『花束』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
花束を君に。
色とりどりの花を君に。
枯らさないように水をやってね。
いつかふたりの部屋に飾ろう。
珍しい、いつも花なんてくれないのに。
驚いて顔を上げたら目を逸らされてしまった。
わ、耳が真っ赤。
それが返事?
ピンク、黄色、白のかわいらしい小花が集まってる「花束」
この人が頑張って選んでる様子が浮かんできて思わず口角が上がってしまう。
...
ふふ。花瓶、買ってこなきゃ。
貴方はいつもの帰り道を歩いていた。
いつもと違うところを挙げるのなら、咲いている花に目を惹かれるところだろうか。微かに漂う花の香は、貴方に気付いてもらおうといわんばかりに強くなり始めた。
無視することもできなかった貴方は、その香りに誘われて足を進める。見知った道は知らぬ道へ、黄昏時の空は宵の口へ。
迷子になったのではないかと不安になる貴方を慰めるように、目の前に扉が現れた。
「A bouquet of flowers for」
来た道は深い闇に閉ざされて、貴方に残されたのは扉を開けるという選択肢のみ。開けてみれば、花屋のような部屋で、紙には指示が書かれていた。
「この部屋は誰かに感謝や労いの気持ちを表さないと出られません。その人のことを想い、考え、心を込めて花束を完成させましょう」
──誰のことを考えましたか?
『──誰かのための花束を』
お題「花束」
スマイル
私は普段いつも不安げな顔をしている。
笑顔とはほど遠い表情だ。何に対してそ
んなに不安なのか。未来、過去、そして
今現在がたまらなく不安なのだ。表情は
大切だと分かっている。ふと鏡に映る自
分に笑ってみせたり、おどけてみせたり
することもある。でもそれは結局、その
場しのぎでしかない。いつも何かにおび
え、何かに責められている気さえする。
それは外界にであり、自分自身にでもあ
る。昨日も仕事中おびえ疲れ、頭がぐし
ゃぐしゃになっていた。その時、笑顔で
『お疲れ様です!』と言ってくれたいつも
の優しい彼女。凍っていた心が、じわじ
わと溶けていくのがよく分かった。あの
時の彼女の笑顔は、私にとって神にも近
い存在だった。臆病者の私は、いくどと
なくこの笑顔という暖かさに救われ、う
つむいた顔を上げるのだった。
花束の中に、小さな蜂がいた。
筒状になったチューリップの中にこもったまま、私のもとへ届いたのだろう。
居眠りから目覚めたみたいに、ゆっくりとした動きで花びらの内側を登ってくる姿は愛らしい。
窓を開けて花束をかざしてやると、蜂はかえって花束の奥へ潜ってしまった。
束を下向きにしたり横にしたり、振ったりなど試行錯誤しながら蜂を出そうとしていると、ぱさりと何かが落ちた。
メッセージカードだ。運んでいるうちに花の隙間から茎の方へ落ちてしまっていたようだった。
カードを拾うと同時に蜂は出ていった。
メッセージカードには「誕生日おめでとう」と簡単な文が書かれていた。
その語尾には蜂が上を歩いたのか、黄色い花粉がついていて、どことなくハート形に見えた。
【花束】
いっぱいの花を、あなたに贈ろう。
溢れんばかりの花を、ひとまとめにして。
あなたが好きな色、あなたに似合う色、あなたが映える色、あなたの隣に傍にあるだけで、どれもきっと綺麗に見えるだろう。
迷っていたら、店員さんに声をかけられて、あれよあれよと言う間に、大きな大きな花束が出来上がった。
太陽のように笑うあなたに、花を買って帰ろうとふと思い立って、花屋さんの前で立ち止まる。
「太陽のような、大切な人に。」
太陽を写し取ったような向日葵を中心に、可愛らしくまとめた花束。
―――あなたは喜んでくれるだろうか。
「いつも、ありがとう。」
家に辿り着くと、中から花の香りがした。
「えぇ〜、嬉しい!ありがとう!」
出会い頭に、そのまま手にしていた花束を相手に渡す。
「居間、見てもらえる?」
嬉しそうに花束を抱き締めるあなたが、照れた様に笑う。
「何だか、二人して同じ事考えてたみたいだよ?」
居間に入った途端、花の香りが強くなる。
「…え?」
頬を恥ずかしそうに掻いているあなたが、はにかんだ。
「かっちゃんに似合うやつ〜、とか考えてたら、こんなにおっきくなっちゃって…。」
ひと抱えどころか、そのまま飾っておけるような大きさになっていて、純粋に驚いた。
「でっか…。良く持って帰れたな。」
ふたりは、それぞれに買ってきた花束を仲良く飾って、似た者同士だと笑いあって、喜びを分かち合う。
私から、愛を込めて―――。
#花束
美しい言葉
辛辣な言葉
優しい言葉
空しい言葉
受けとめたひとつひとつの言葉を
胸に抱えて歩いて行こう
やがて言葉にかけられた魔法が
生命の光に照らされて
新しい生命の花を咲かせる
キミだけの花束
キミ色に染まった言葉の花
誰かの心を照らす笑顔の魔法
キミだけが使える魔法の言葉
[花束]
花束に気持ちをこめて、あなたに渡したい。
2年間ありがとう。また、会える日を楽しみにしてます。
蝉時雨がうるさい7月25日の事、私は花束を人にあげることにした。
人にあげるならその人の好きな花を花束にするべきなのだけど、私にはそれが分からなかった。
もうその人は私の目の前には現れないし、私に話しかけてくれることも無いんだから、好きなお花なんて聞けないよ。
でも私はその人を愛しているし、愛しているその人は、今日が誕生日なの。
だから今日は私が選びたい花を花束にしてもらったの。
その花はナデシコ、勿忘草、向日葵。
意味は「純愛」「真実の愛」「あなたを見つめる」
お花と花言葉が大好きだったあなたならわかってくれるわよね?
花束
小さいあの人から花を貰ったのでそのお返しとして花束を買いに行った。
店員にプレゼント用の花を頼んだら、色とりどりの花を束にして出してくれた。恐らく自分に匂いを感じる機能があったら甘い香りを楽しむことが出来ただろう。
まだ帰り道だけれどあの人の喜ぶ顔が楽しみだ。
「お誕生日おめでとー!」
サプライズだよ〜と両手に手渡された花束
薄桃色した花びらに注ぐ真昼の太陽
「新鮮、すごく嬉しい。芍薬大好きなの」
掌につるりとした感触
光沢のあるシルバーグレーのリボンが目を引く
「覚えてたよ、前に言ってたもの」
そう言った彼女の自信に満ちた満面の笑み
花束みたいに美しかった
花束
お葬式
あの花とこの花
一つ一つ大切に束ねる
君が眠っている棺に並べて
極楽浄土へ旅が始まる
お届けです!
両手いっぱい きみに咲け
かさばり過ぎの 思いだけれど
「花束」
#327
片手に花とかじゃなくて、
両手に花とかじゃなくて、
推し皆花なんだよな、
「んー、その場合は花束って言うんじゃない?」
「うわっ、、wめっちゃ言えてる笑」
花束
相手の男性が101本のバラの花束を持って、
“結婚してください”
って言ってくれるプロポーズが理想
横光利一の「春は馬車に乗って」という小説をご存知だろうか。
存じない方がいたら、是非とも読んでいただきたい。青空文庫で読むことができる。
病気で余命間もない妻とその夫の、療養中のことを小説にしたもので、作家本人の体験がもとになっている。
史実ではこの妻と一緒になるまでに妻の家族からの反対や、一緒になってからも自分の母と仲が険悪になり、苦労しっぱなしのところへ妻の病気が発覚する。
妻、と表記しているが、彼女の家族の許可を得て籍を入れられたのは彼女の死後のことである。
看病する側の言い分、病人の苦しみと本音。
この小説ははじまりから終わりまで無力感と諦念がもたらす美に満ちている。
その美が流れ星のように儚く消え果てる最後のときがこの物語の終幕となる。
このお話を読み終えたとき、あなたはきっとスイートピーの花束が忘れられなくなるだろう。
花束
過ぎ去りし乙女心
苺色のうわ言にホイップクリームを添えて
(インスタ映えする乙女チックでステキな喫茶店に1人で行ったおばさんな私による抒情詩)
いつか忘れた大昔
お花畑のお茶会に
乙女の心を忘れて来たよ
取りに戻れば席は無し
乙女の学校不登校
欠席裁判 判決は
姫から黒子に成り下がり
集いし乙女の輝きに
怯んで真っ直ぐ見れません
悲しい老いぼれ婆さんは
隅っこトボトボ店の奥
暗いお店の端っこで
昔の夢に追いすがる
霞んだ瞳をかっぴらき
過ぎし乙女のメニューをば
しかと焼き付け 熱っぽく
汗水たらして
醜姿を刻む
薄薔薇色の茶をすすり
桃色菓子にウットリと
パシャパシャ写真を撮りまくり
冥土の土産に余念なし
自撮りで己が成れ果てを
知りて慄き 嘆けども
涙は真珠にならないよ
老いは固くて歯が立たぬ
ダイヤモンドは砕けない
墓には持って行けねども
バラの香りの茶の雫
骨に蓄え大満足
レースとフリルに包まれて
ミイラになっても可愛くいたい
髑髏に薄紅化粧して
骨になっても愛して欲しい
来ない王子を偲びつつ
魔女になったが
魔法はできず
人目に触れぬ森の奥
苺の墓に入りたい
孤独な乙女の成れの果て
不気味な魔女を思い出したら
リボンのお供え待ってます
些細なことで喧嘩してしまった
罪悪感が残る
相手にも事情があった
言葉にしてうまく謝れないから
メッセージを添えて花束を
アルジャーノンがネズミの名前だと知った時の衝撃たるや
知らないままでいる不幸と
知り過ぎてしまった不幸
本当のしあわせって、何なんだろうね
#花束
「花束を送ろう。君に、トーマス・ライト」
白髪の男は言った。
僕は感情に任せて、胸ぐらをつかみかけたがやめた。
今感情的になるのは、あまりいい事とは言えない。
地に落ちた花束を、僕は拾った。
ジャカランタの花束。花言葉は、栄光。
僕の好きな花を、僕が王になる時に送ってくれたこの友人は、今までどこに隠れていたのだろう。
屋敷は引き払い、彼が隠遁したのは、約五十年前。
僕が、彼と最後に交わした言葉は、
「十字軍の遠征に、君は付き合わないのか」
彼は叙階した騎士だった。
最近その爵位に着いた彼は、将来を有望されていた。
彼は額を落とした。
そして、僕にかしづいて深くこうべを垂れた。
「トーマス、栄光を得るのは君だ。未来のバレンシア王に幸いを」
その時僕は十六歳で、丁度成人の儀を迎えたばかりだった。