『花束』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【花束】
わたしは花束が苦手だ。
人間の勝手な都合で摘まれ、寄せ集められ、重い想いを背負わされる。
花だって生きているのだ。
何の準備もしていないのに、急に渡されても困る。
犬や猫を突然預かってと言われたら困るでしょう?
ペットと花は違う?
もう一度言う。
花だって生きているのだ。
あなたの想いは花束じゃなくて、言葉で表現してよ。
花が好きなら、群生しているものを見に行こうよ。
蝶や蜂が命を紡いでいる花畑や花園へ行こうよ。
あの日の花束、まだ残ってるのよ。
貴方が、緊張して渡した、
ピンクのガーベラの花束。
私がピンクを大好きなのを知っていて、
買ってきてくれたのよね。
愛しているわ。
いつまでも、永遠に。
母の退院の日に
花束を渡した
2
母に申し訳ないなと思う
見守ってくれてるだろうに
母が亡くなって家に帰ってきて
私は横で一緒に寝た
お母さんが
生きてくれていたらな
母性が恋しい
花束なんて洒落たものは
あげられないけれど
愛情なら誰よりも注げるよ
花束には色んな意味がある
君にはどんな花束が似合うかな
かすみ草?
勿忘草?
朝顔もいいかもね
きっとどんな花でも君は喜んでくれるだろう
そんな君のために
花束を選ぶ時間も
僕はとても楽しいよ
初めてお付き合いをして一年が経った日、
彼は小さな花束を贈ってくれた
初めてプロポーズされた日、
彼は両手にいっぱいの花束を贈ってくれた
初めての結婚記念日、
貴方は抱えきれないほどの花束を贈ってくれた
初めての命日、
貴方は一本だけ花をくれた
でもわかるの。
その一本に託された想いが、
あの時から変わっていないこと。
毎年この日になると
僕は花束をあの海へ投げ入れる。
君が死んだあの綺麗な海に
君が好きだと言った花を。
記念日だからってわけでもなく、なんとなくあの人に渡したくなって、花屋に駆け込んで買った花束。
帰るうちになんだかだんだん恥ずかしくなって、でもやっぱりやめたなんてしたくなくて、結局顔も見ずに無言で押し付けた。
あとから、やっぱり顔見とけば良かった、と後悔した。
ありがとう、って、あの人の声が、あんまり優しかったから。
雨の中、傘ともう一つ。
白の花束を抱えて歩く。
前が見えない。少し大きすぎただろうか。
生の、その青い独特の匂いでむせそうだ。
君に手向ける、最後の。
前が見えない。少し大きすぎたんだろう。
君の好きだったこの香りが、鼻について、
離れない。
#花束
一輪。
また、一輪。
大きな川にかかる橋の上。
そこを歩きながら、川面に向かって次々と花を落としていく。
買ったときはあんなに綺麗だった花々が、今は水の上に連なって寂しく流れ去っていく。
本当は君へと贈るはずの花たちだったのに。
君の幸せを叶えるのは僕ではなかったから。
「さようなら」
ただの飾りとなった花束に、僕はそっと別れを告げた。
【花束】
3月10日。私の夫の命日。
少し前に綺麗に咲いた、カタクリのお花を少しばかり束にして。
---
自然を愛し、花を愛し、私を愛してくれたあなた。
あなたが亡くなってから庭に植え直した梅の木も、今では立派に育ったわ。
一緒に梅の花も持ってこようかと思ったけれど、メジロがついばんでしまったわね。
だからその代わりに、昨日写真を撮ったのよ。
あなたほどうまくは撮れなかったけれど、見てもらえると嬉しいわ。
この写真、私が持っていると、まるであなたがその場にいるような気持ちになってしまうのよ。
それから、今日も蝋燭は持ってきていないわ。火は嫌いだもの。
---
・・・。
・・・・・・。
もう4年も経つのね。
この寂しさともそろそろお別れかしらね。もうすぐ私もあなたの元へ行きますからね。
1949/3/10
花束を渡されるのは
いつもどこかさみしい
おめでとうも
これからもがんばっても
それはつまり
さようならということ
ガーベラやミニひまわりの隙間に
残った人たちの安堵が見える
わたしは美しい花々を持ち帰って瓶に挿した
そして花束がただの花になって枯れるまでを
見届けた
#花束
君の墓標に捧げる花の
色に迷う自分が不甲斐なくて
また涙する
「花束」
愛を込めて
祝福を込めて
祈りを込めて
哀悼を込めて
手渡される。
美しき想いの象徴。
でもそれは、手渡されたその時にもう役目を終えている。
かさばるだけの大袈裟な想いの証は
翌日にはビニール袋に覆われ、収集車の訪れを待つ。
渡し、渡されるというセレモニーのためだけに生まれ、消えて行く。
まだ鮮やかな色彩が袋の結び目から顔を覗かせている。
誰が誰に
何の想いを込めたのか
私には分からないけれど
あなたを連れて帰っても
いいでしょうか。
花束。自分で買うのか、人から戴くのか。飾られているのか、捨てられているのか、道端に添えられているのか。色々なところで目にする機会は多い。
ときに創作において、相手に伝えられない思いが、言葉が、花となって溢れてしまう。
そんな詩的なものがあるらしい。
花は手向けだ。愛する人に、頑張った人に、これからを応援する人に、もう会えない人に、ここには居ない人に数多の想いと共に贈られる。
ならば花束は、言葉の塊だ。丹精込めて育てられた彼らは、人の手によって紡がれ束ねられ、色に花に想像に委ねられ、贈られる。
もし僕たちの紡ぐ言葉も、紡がれなかった言葉も、零した涙も、堪えた何かも。誰かに向けた、向けられた、向けられなかった愛憎悲喜交々、全てをかき集め、束ねたのなら。
誰かに手向ける花束になるのではなかろうか。
僕の。
君の。
あの人の花束は、どんなものなのだろうか。
『花束』
『花束』
言葉に代えて
想いを乗せて
あなたに贈る
これが僕の心です。
ガラでもない───そう思いながら花屋の店先に立って何分たったろう?
見たこともない花の洪水に圧されて目眩がする。
あいつは花を渡されて喜ぶようなヤツじゃない。しかし、「何をふざけて…」と突き返すようなヤツでもない。
それでも、出会った記念の日を毎年忘れているオレから花束を贈ったら憎まれ口と一緒に笑顔を見せてくれるんだろうか?
#26 『花束』
今日で店じまい。
端正込めて花束を造り続けて50年ちょっと。
人生最後の花束を心を込めて造り、最後の客に手渡す。
ふと、この人は誰に何のために渡すのか、好奇心が湧き出してくる。
大切な人への愛の告白に使うのか。
それとも入院している家族へのお見舞いか。
最後だし、いいだろう。
店をそそくさと閉めて、慌ててあとをつける。
着いたのは、何かイベントをやっている会場だった。
そうか!
歌い手さんへのサプライズか!
我が最後の花束の晴れ舞台としては最高の演出じゃないか。
チケットを買い、中へ入ると、熱狂した観客の中央に四角いリング。
プロレス?
すると我が最後の花束を抱えてキレイな女性が入ってくる。
…ま、最後は屈強な肉体のプロレスラーか、
…それもまたいいだろう…。
プロレスラーへ最後の花束が渡される。
……やはり何だかわからないが、感無量で思わず泣き出しそうになった………
!その瞬間。
「てめぇ、コノヤロー!!!」
我が最後の花束は……、イカつい髭面の男の顔に散った……。
………泣いた。
素敵に思う事。
ためて、ためて花束にして
好きな人に渡して
笑顔が出るといいね
花束
「ほら綺麗な花束でしょ
人から見れば祝福の象徴だけど
根を張る花にはさしずめ四肢をを切り落とされた奴隷の縛り上げかな、根を生やすことも子孫を残すことも出来ないまま人間の都合で理不尽に枯らされて、燃えるゴミになるんだろうね、ちょっと可哀想だけど仕方ないよね、だって人の幸福の為だもの
お誕生日おめでとう、はい花束」
「…ありがとう大事にするよ」