『花咲いて』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
花咲いて
愛になる
素敵な虹
澄みわたる青い空
優しい光に輝く花
愛情注ぐ恵みの水
降り注がれた可憐な花
花咲いて君になる
蕾が開き、花が咲く。自身の存在を主張するかのように、花弁が暗闇で燦然と輝いている。光彩を放つ満月と花の下で、女は一人の男を待ち続けていた。
急がないと。必ず今夜でなければ彼女には会えない。
一人の男が息を切らしながら夜の街を走っていた。なんとか夜明けまでに約束の場所へ辿り着いた男は、息を呑むほどに美しい情景にしばし呼吸をするのを忘れたようだった。
月と花の光の中で佇んでいる彼女は、夜の女王そのものだった。
二人は肩を寄せ合い、これまでの時間を埋めるように寄り添っていた。
やがて空が白み始め、女の体は徐々に砂のように崩れていく。
「貴方に会えて本当によかった。また会える?」
「会えるよ、きっと。ずっと待ってるから。」
とうとう太陽が顔を出し、女は男の足下に花の種だけを残して、跡形もなく消え去ってしまった。
胸の内 蕾開いた 時計草
気付かれずに狂い咲けと請う
【花咲いて】
花咲いて
盛夏に咲く花…向日葵とか。
いい漢字だよね、ヒマワリ。
走光性とか虫に置き換えると微妙なのにな。
やっぱり動かないというのがデカいんだろうな。
ワサワサ動く花はどことなく微妙だもの。
ねぇロックンフラワー?
極力動かないでほしいなんて俺も人も勝手なもんだよな。
“花咲いて”
彼の花はそうだな…魅惑の花だろう。何かのお題のときも「魅惑の花」と書いた気がする。万人受けする訳ではないけれども、どこか魅力的で、もっと知りたい、近付きたいと思わせられる彼なのだ。
彼はだいぶ年上の、素敵な男の人。私は幼い頃から男の人が怖くて苦手なのだけれど、彼だけには近付きたいと思う。もっと教えてと、強く思う。きっとこれも年上マジックがかかっていて、いつか解けてしまうような魅惑の魔法なのだろう。彼しかかけられない魔法に、私はまんまとかかってしまっているのだ。
彼の魅惑の花が咲き誇る時は、どんな季節なのだろう。その周りの雰囲気も、その季節さえも取り込んでしまう彼の魅力の多さに、今日もまた圧倒され、愛おしいと思ってしまう。私はこのまま永遠に、彼の手のひらの上で、まんまと踊らされていたい。
今ここで
何を言ったら
その花は
固く閉ざした
蕾を開く?
「花咲いて」
20年ぐらいサボテンを育てている。
育てると言っても、放置に近いけど。
でも20年前は小さなサボテンだったけど、
今はとっても大きくなった。
あまりにも大きくなって家族も驚いている。
もう一つ20年の間に驚いたことがある。
一回だけ花が咲いた。紫色の花が3つ。
可愛い花だったな。
あれ以来咲くことはないけど、
また花咲いてほしいな。
花咲いて
丁寧に丁寧にお手入れされた花は、それはそれは美しい。それはそれでとても素晴らしいことだと思う。
でも、僕がハッと心惹かれるのは、こんなところに、だったり、いつの間に、のように、こちらの予想外なタイミングで咲いる花のほうだ。心の隙間を突かれる、とでもいうのか、妙に気を引いてくる。不思議な魅力がある。
誰かにさほど興味を持たれなくても、彼らは彼らで必死に根を伸ばし、葉を茂らせ、見事に花を咲かせたのだ。まさにあっぱれだ。
2024年7月。
今大会も、僕や皆が知っている花がたくさん咲いてくれることだろう。でも、今まで知らなかった無名の花も、きっと見事に咲いてくれるはず。それを見つけた僕たちは、また感動するんだろうなあ。
花の都パリ。頑張れ日本。
「花咲いて」
太陽に向かって咲く向日葵は皆同じ方を向いている。
効率がいいというよりは気が合う集まりだといいな。
花咲いて、僕の恋心は枯れてしまった。
はな咲きて 花にはなれず ただ君と
君の花との あひだに枯る
#7 花咲いて
花咲いて
大層な意味を込められた100何本のバラの花束より
君から貰う、たった1本のガーベラが好きだ。
昔、一度だけグラジオラスを育てたことがある
たまたま、処分品にあったの買っただけなので
特に思い入れがあるわけでもなく
鉢植え出来れば何でも良かった
しかし、毎日それなりに手入れをすると
愛着が湧いてくる
花が咲く前に鉢植えが倒れてしまい折れてしまったので
仕方なくテープで補強したら、そこから再生し、とうとう蕾をつけた
そこから数日が経ち、素人が育てたにしては綺麗な花咲いて目を楽しませてくれた
さらに数日後役目を終えたとばかりに
グラジオラスは萎れてしまった
ほんのひとときだったが
花を育てる楽しさを教えてくれた
花咲いて
月夜に照らし
艶やかな
華も恥じらう
乙女心
字余り
「華咲きにけり」
不意に現れた
網目模様の蝶が
迷うくらいに咲く夏の花
夕立待ちわびた花壇の
熱を冷ますように
夜のとばりが降りる
#花咲いて
花咲いて
花咲いて、その下で笑い合えるのはきっと花の色や春の空気が優しいから。
日々家
『花咲いて』
「本当に、咲乃の頭の中はお花畑だな。甘々の恋愛小説ばかり読んで」
口を開けばいつも夢見がちなことばかり言っている中学一年の妹に、僕は指摘する。妹は、ぷうっと膨れた。膨らみかけたチューリップの蕾のように、薄いピンク色の頬が丸くなる。
「お兄ちゃんだって、異世界ものばっかり読んでるじゃない。それと同じだよ」
何が同じなのかはわからないが、妹にとっては正当な反論であるらしい。
可愛くない奴。僕は、ふっと妹から目を逸らして机に向かい、生物の教科書に視線を落とした。妹がまだ何か騒いでいたが、教科書に記されたメンデルの法則に意識を向け、雑音をシャットアウトした。
好きな小説のジャンルがどうこうという平和な論争を交わした一ヶ月後、妹は好きな男子にふられた。そしてショックから部屋に閉じこもり、一言も話さなくなってしまった。
妹はこの世界との間に、分厚いガラスの壁を築いてしまったのだ。それは簡単に壊すことができない繊細な造りをしていた。無理に叩き潰せば妹の命を奪ってしまうかもしれない。僕も両親も、これまでとは打って変わって妹に気を遣い始めた。腫れ物に触るような扱いを続けていたものの、妹はより一層心を閉ざしていく。どうしたらいいのか、僕たちは判断がつかず、ただそっとしておいてやることしかできなかった。
あれから約半年。十二月も半ばに差しかかった薄曇りの日。白い息を吐きながら歩いていた僕は偶然、道の端に小さな花屋を見つけた。
そういえば、妹は花が好きだった。近所の土手に咲いていた菜の花やコスモスを摘んで、よく押し花を作っていた。妹の机の引き出しには今でも、その時の押し花で作った栞が大量に仕舞い込まれているはずだ。そんな記憶が蘇ってきて、僕は花屋に足を踏み入れていた。
店の中は狭く、バケツに入れられた切り花が所狭しと並んでいた。ぼんやりと、僕は店の奥へ進む。サボテンの並ぶコーナーまで来て、何とはなしに僕は足を止めた。妹が小学生の頃に好んで聴いていた歌の内容を、不意に思い出す。
「このヒロイン、可哀想なんだよ。でも、囚われのヒロインって憧れるなぁ」
そんなことを言いながら、にやついていた妹。今はその笑顔を見ることもなくなったけれど。
あの歌が頭の奥で流れ始める。気がつくと、僕はサボテンを一鉢購入して店を出ていた。
サボテンは一年の間でも、滅多に花をつけないと聞いたことがある。そのため、サボテンの花が咲くことを奇跡のように考える人もいるらしい。このサボテンがもし花を咲かせたら、妹の閉ざされた心は開くだろうか。蝉の抜け殻のように空っぽになってしまった妹が、再び笑う日はくるのだろうか。
信じてみようと僕は思った。サボテンが咲く日を、そして妹がもう一度明るさを取り戻す日を、ずっと信じたまま近くで見守ろうと思う。
そう。あの歌の主人公のように。
イケメン猫の僕と暮らすイザベラさんの中庭で、この夏も美しく花咲いた桃色オレンジのノウゼンカズラ。
イザベラさんが丹精込めて育てたんだ。
お庭のお手入れを時々お願いしている園芸家の中野源州さんが、いくつかのプランターに植えてリビングの南側デッキに並べてくれている。
午後に陽がさすと部屋からのぞく花びらが発光するように透けて、とても華やかな空間が広がる。
イザベラさんは、その可愛らしく咲き誇るノウゼンカズラを見ると幸せに満たされる。
花言葉は「溢れる愛」。
イザベラさんはその言葉のように、大切な家族にたっぷりの愛を注いでいる。
「花咲いて」
真夏、都会に引っ越してからは自然と遠ざかってしまった
毎日感じていた緑の景色、虫の音、何もかも忘れ過ごす日々
仕事帰り、疲れたなぁ、とふと見たそこには小さくひまわりがポツンと咲いていた
今年こそは帰りたい
花咲いて散りゆく定めだとしてもその刹那こそただ美しい