『花咲いて』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ただがむしゃらに、こなしていく日々が過ぎていた。あの頃は、立ち止まることがとても怖かった。
周りなんて関係ない、自分たちがどうすべきか?
どう伝え、魅せるか?
それしか考えていなかった。
全速力で階段を駆け上がり、周りを蹴落とし行く。それが当たり前だった……でも、それは間違いの始まり。
だから、少しずつ壊れていく音にも気が付けない。
せっかく撒いた種も、簡単に粉々になり、土に還ってしまう。そして時には、風に飛ばされてしまうこともあった。
もう、ここまでかな……ふと、そんなことも過ってしまう。
何もかも諦めて立ち止まろうかと、周りをゆっくり見渡した。
ぼろぼろの荒れ果てた地面と砂埃の世界だと、勝手に思い描いて信じていたけど。
緑が多い繁り、気持ちの良い風も吹いていた。よく目を凝らすと、とても小さな花々が静かに咲き始めている。
まだ世界は変われる、どんな景色を魅せることが出来るのだろうか……
瞳に映っていたのは、温かな笑顔が咲き乱れ、太陽を求めるように手を伸ばし、ここに居場所を求める声たち。
キミ達がいる限り、一緒に先へ進もう。
そしてこれからもずっと、届けつづけよう。
見つけてくれて、見守ってくれてありがとう。
『花咲いて』
高校生の時のお花見を思い出した。友達と縁石に座ってあんこ団子を食べた。桜の花びらが舞い散るのを眺めながら。
#111
花咲いて
朝露を日々
まとわせて
そばで見守る
散りゆく日まで
「花咲いて」
学校帰りのバス 何気ないいつもの道
イヤホンをつけながら音楽を聴く
ふと見上げて太陽が眩しく輝いていた
なんだろう
漫画の主人公になった気分だった
『花咲いて』
誰もが無駄だと言ってくる
でも、僕は信じてる
いつか必ず、僕の努力が実を結ぶと
「花咲いて」
咲いた花火と
飛行機を見て
当たらないのか
尋ねた日
そんな幼い
記憶の花が
咲いてもうすぐ
盆が来る
「花咲いて」
揺らぐ水面に花びら落ちて
季節が景色を彩っていく
悲しい時間は
新しいことが少しずつ変えていく
涙池 いま花咲いて 水面春
花の美しさは花が咲いた時にわかる
つぼみの時が綺麗でも
花が咲いたら思ったより
綺麗では無いかもしれない
つぼみの時が綺麗でなくても
その花が咲いた時
その花の美しさに気づく
花は自分の力で
綺麗な花を
咲かす
誰の手も借りずに
その自然の美しさに
思わず引き込まれてしまう
自分がいた
お題[花が咲いて]
No.47
ある日、学校から帰る途中で虹色の不思議な花を見つけた。
赤、青、黄色…とそれぞれの花びらの色が違うんじゃない。
まるで七色の絵の具をパレットに出して、適当に混ぜたような、そんな柄をしていた。
確か、マーブル模様って言うんだっけ?
最初は誰かが色水にでも浸けて、そんな花を作り出したのかとも思ったけど、それは道端に咲くたんぽぽみたいに、アスファルトの上に普通に生えていた。
……もしかしてこれ、新種の花なんじゃ?
そう思って僕は、その花を手折って走って家に持ち帰った。
「お母さん! 見て、この花! 虹色なんだよ!」
僕は乱暴に玄関のドアを開けて、お母さんの元へ駆け寄った。
「虹色の花? ……お花なんてどこにあるの?」
「え? ほらここに……ってあれ?」
しっかりと掴んでいたはずの花は、もう影も形もなかった。
つつじの花が咲いている。昔通った通学路には、ユスラウメも豊富に実っていた。
つつじの花の蜜もユスラウメも、長い通学路の空腹を満たしてくれるおやつだった。
酸っぱいイタドリや道に垂れ下がっている枇杷も、子どもには格好の獲物だ。私は何だって食べた。
喉が渇いたときに、水道水を飲ませてもらっていた鍛冶屋を覚えている。
中学生になると、自転車を使うことを覚え、道端の植物をむさぼることはなくなってしまった。
さらに高校生になると、小遣いを握りしめてお好み焼き屋や安いケーキ屋に出入りするようになる。
しかしお金のいらない道端のおやつの思い出は、今でも私の気持ちを豊かにさせる。
【花咲いて】
花咲いて(2023.7.23)
記憶の中のあの子は、いつも校舎裏の花壇にいた。
「ねぇ、何してるの?」
初めはただ遠くから見つめるだけだったけれど、ある日、ふと声をかけてみた。すると、今まで作業に夢中になっていたのか、顔を上げたその子は、はっと目を丸くさせていた。
「……花の世話」
長いこと話していなかったような、か細い声だった。
「ふーん…何の花?」
私は花というよりその子自身に興味があったけれど、そんな素振りを見せないように話を続けた。
「…咲いたら、わかる。多分、来年の夏には、きっと咲いてる」
「へぇ…」
結局何の花なのかわからなくて残念な気持ちと、思っていたよりも長くかかるんだなという驚きから声が出た。
それきり私が何も言わないので、彼女はそろそろと作業に戻って、つとめて私の方を見ないようにしているようだった。私も、その後しばらくしてその場を去った。
次の年の7月、あの子が死んだ。自殺だったらしい。
私はあの子に近しいわけではなく、たまに花壇で見かける程度の関係性だったから、人伝にそのことを知った。去年から、クラスで孤立して、いじめを受けていたらしい。まぁ、よくある話か…。
もう花壇であの子を見ることはないんだな、と思うと寂しくなって、ふと、あの子の言葉を思い出した。ちょうど、今頃に、あの子が育てていた花が咲く頃じゃないだろうか。
私は校舎裏の花壇へと急いだ。
花壇に近づくにつれて、ふぅわりと、花の香りが漂っていた。白い、白い百合の花だった。
そのとき、あの子はきっと、全てわかっていたんだなと悟った。
風の中で、白百合が寂しげに、けれど頷くように、ゆらりと揺れた。
きみに言いそびれたこと、口のなかでこじれて、もうずっと、わたしの喉にはひまわりが咲いている、きみになら毟られてもいい花びらががきいろく弱弱しくひらいている
花が咲く
その瞬間この暗い世界を色付けてくれる。
花の色、匂い、形、汚れたこの世界の中でピュア(自然に)咲いている。
時々この世界を自分がキャンパスに書くなら何色で表現をするだろうかと考えると白黒
でも、花にだけは自然と色をつけたくなる
小さくて日常で見向きもされないけど、そこにだって生命力はある、私のキャンパスを輝かせてくれる。
花咲いて、花散る
ディアスポラのおかげだろうか。
この地にも、やっと花が咲く。
土、水、とっておきの陽光を注がれて。
咲く、咲く、花が咲く。
花が咲いて、花が散る。
丸っこい、ちっちゃな種を残して。
私はお花が大好き
でも、育ててたお花が🌸 枯れちゃった…
お花咲いてくれないかな
時期が来ると花が咲く。そこで終わりだと誰しもが思っている。
そうだろう?期が熟してここだと思って花開く。だがその経験を元に実を結ぶのだ。
期を待ち続けよ。
実が落ちるのはまだまだ先だ。
重くのしかかってくるような暑さから逃げるように、玄関のドアを開けて素早く内に入ると大急ぎでドアを閉めた。
ムン……、とした短い廊下を抜けてリビングの扉を開けると、ヒンヤリとした空気が抜けていく。
いきかえるー。
はあ、とひと息ついていると「おかえりー」とキッチンから君の声。
「ただいま」と返しながら君の手元を覗くと、真っ赤なスイカを切っている最中だった。
近所の人と半分こにしたらしく、他にも特売品が流しにところ狭しと並べられている。
今日あったことを楽しそうに話す君に時折、相槌を打ちながら、シャクりとスイカを頬張った。
テーマ「花咲いて」
【花咲いて】
私を情報通だと言うけど、それはあなたを知りたいから。
いろんな人と関わって、たくさんの噂に耳を澄ませる。
そうして集めた中に、あなたの想い人の話があった。
私とは似ても似つかない、もの静かできれいな人。
真実を確かめるまでもなく、あなたに打ち明けられた。
喉の奥からせり上がる嫉妬が声に出そうで、口をつぐむ。
その一線を越えなければ、私は友人でいられる。
悪魔が嘲笑うように、失恋の瞬間は目の前で訪れた。
放課後、廊下で話していたらあなたの言葉が止まる。
窓の外を見て固まっているから、私も目を向けた。
校門付近で輝く笑顔を浮かべ、噂の想い人が駆けていく。
他校の生徒と手を繋いで歩く背中をあなたは見ていた。
近すぎたのかもしれない。何を伝えても届かなくて。
冗談だと決めつけて、ありがとなって笑うのが憎い。
誰が同情とか励ましでこんなこと、言うと思うの。
大暴れするこの鼓動を聞かせてあげたい。
小さな芽生えを自覚したときに摘んでおくべきだった。
ふいにあなたに手折られて、花瓶の用意なんてない。
それでも尊く思ってしまう。馬鹿みたいでしょう。
逆さに吊るせば、少しだけ長く色を残してくれる。
自覚していた以上に、あなたへの想いは根強かった。
手折られてもなお、茎は生きていて伸びようとしている。
暇そうに揺れる手を見つめ、頭の中では妄想ばかり。
まさか、今まで通りに話せることで胸が痛むとは。
第三者から伝わる言葉は、本人のより力を持つらしい。
お節介な友人が私を哀れんで、想いを届けてしまった。
「気づかなくて」と謝らないで。もう傷つけないで。
あなたが軽く握るだけで粉々に砕け散るのだから。
いいんだよ。と一言背にかけられて
もう、いいんだ。と泣きかけて
ひたすら待ちわびて
ただ静かに
色とりどりに
遠くさざめき 花咲いて
夜空一面に花咲いて
ドカーンと響く夏の音
綻んだ顔にときめいた
『このドキドキがバレないように』
ぎゅっと握った手離さぬように