『窓から見える景色』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
窓から見える景色、
「なーに見てんの?」
幸人が、僕の顔を覗き込むと言った。
その笑顔は、まるで窓から差す太陽のようだった。
僕は眩しすぎて、瞳を落とした。
僕は、幸人の細長い白い手に、手を絡めると
「帰ろっか……」
と、呟いた。
「うりゃ、うりゃ、うりうり! あー、また負けたぁ!」
新宿のゲーセン。
シューティングゲームをやっている、僕らは三回目の挑戦で、諦めて肩を落とした。
自販機でスポドリを買って口をつけると、幸人が面白がって僕をからかう。
僕は必死になって、その手を避ける。
なんでかっていうと、彼に取られないようにするためだ。
隙あらば、僕のスポドリを飲みたがる、幸人はどうかと思う。
こんな時分なのに、衛生的によくないよ。
そう言うと、
「やっぱり、死んでも一緒にいたいじゃん」
などと、のたまう。
何を思ってそんなこと、言ってるんだか。
僕は何も幸人と、一緒に死にたくなんかないし、もしもそんな事があっても、絶対に嬉しくない。
「もう、花ちゃんは、本当にいけず」
「ちゃうちゃう」
東京の高校に進学してきたのはいいものの、やはり幸人の前ではたまに方言が口をつく。
それが、なんだか、恥ずかしくなって下を向く。
「ちぇ……」
「何が不満なん?」
お題「空から見える景色」
いつもではないけれど
ふとした時に君を思う
旅立った時の
君の苦しみを思う
旅立つことを決めた時
君は笑えたろうか
君の声が耳をかすめる
時もあるけど
まだ僕はここに居たい
まだ僕は諦めていない
君の居る空は
色々な顔を見せるけど
君の居るところから見れば
僕はほんの欠片だろうけど
時間の流れをもう少しだけ
楽しみたいんだ
私たちのクラスは理科だった。
私の好きな人は校庭で体育をやっている。
野球をしてる。やっぱりうまいな。
野球部だから当然か。
でも、他の誰よりもかっこいい。
窓から見ても彼は私の心臓をドキドキさせる。
私の家の窓からは
建物しか見えない
外はこんなにも明るいのに
何ひとつ見えなくて悲しい
はぁ、早く引っ越したい
〈窓からの景色〉
ふざけました、すみません
病室の窓は、ほんの少ししか開かないよう作られていた。患者が逃げ出さないようにだろう。
精神科病棟の一室で、オレはひとりで考え事をしている。
また居場所を失くすんだな。
窓の外は、暗雲が立ち込めていた。
オレの先行きを暗示しているかのようだ。
上から処分が下されるまで、オレには何が出来るのだろう?
校庭が広がりその奥には山。山の上に煙突があり山の下には河が流れている、いつもと変わらない景色。今日は雨上がり、虹がかかった。何か良いことあると良いいなぁ。
私が見た窓の景色は
晴れだったり雨だったり
一瞬一瞬が違う空の表情だった
私が見ているのは、
いつも同じ景色。
空と、
向かいの家に生えてる木と、
向かいの家の屋根。
いつも変わらない風景。
でも1つだけ、
変わっていく物があるんです。
それはね…洗濯物。
最初は、1人分だった洗濯物。
日によって、干してあったりなかったり。
ある日、洗濯物が2人分になった。
それからは天気のいい日は
ほぼ毎日、ヒラヒラと揺れている。
そのうちに、小さな小さな洗濯物がまた増えた。
その小さな洗濯物も段々と大きくなっていって、
いつしか…洗濯物は、また2人分に減った。
長い時間が過ぎて…ある時から、
毎日洗濯物が干されなくなった。
干してあったりなかったり。
干してあっても1人分。
私の窓から見える景色は
今日も同じ。
「あははは」
声がした。鈴を転がすような声。
そちらを見なくても、その声が誰のものかわかる。
2階のこの教室の窓際の席からは校庭がまるっと見えた。
そこの端に彼女はいた。授業中だろうに木陰に座って友人と笑い転げる彼女を見てみると、こちらまで楽しくなって、笑みが漏れる。
不意に彼女が上を見上げた。すぐに弧を描く目。振られる小さい手のひら。
「せーんぱいっ」
授業中なのを忘れて振り返した手が教師によって掴まれる。
「お前なぁ...彼女が可愛いのはわかるけど、受験生なの忘れんなよ」
後5ヶ月。それでこの学校を卒業する。彼女と一緒に過ごせる期間も後少ししかない。
窓の外を見下ろす。
愛しい彼女は自分が遠くの大学に行く予定だと知ったら泣くだろうか。それでも良いと、遠距離恋愛というのをしてくれるだろうか。ひどく寂しがり屋の彼女。もしかして、別れを切り出されるかもしれない...
窓から入ってくる風は先週より少し冷たくなったような気がする。
季節は夏から秋に変わろうとしていた。
季節の変わり目に、彼女との関係にも変化が訪れそうだ。
#窓から見える景色・秋
🍀窓から見える景色
教室の駐車場側の一角の窓。
そこから見えるのは、先生たちの車。
知らず知らずに覚えていた先生たちの車が並んでいる。
毎日見てたらナンバー覚えちゃうよね
窓から見える景色
意識して記憶を辿ると、しまいこんでいた
何気ない日常の一欠片がよみがえる。
小さい頃、久し振りのぼた雪にはしゃいだ日。
部室からテニス部の練習をこっそり眺めた日。
窓からの景色の記憶だけでも
思っていたよりたくさんあることに気づきました。
ただ、その一瞬のことは覚えていても
その後何があったかは、なかなか思い出せなくて。
それでも、その時の雰囲気や気持ちだけでも
鮮明に浮かんでくるというのは
不思議で面白いことだと思います。
まるで心の中にたくさんの窓があって
そこを覗き込んでいるようで。
布団の中で目が覚めた。
カーテンの向こう側、
あー今日は良い天気っぽいな。
今日は素敵な目覚めだし、
良い1日になりそう…
グーっと伸びて、
スッキリ起き上がって、
カーテンをサーッっと勢いよく開ける。
目があった。
猫がこちらを見てた。
もしかしてびっくりしたの?
ごめんね!
今日は素敵な朝だね。
お互い楽しい1日だと良いね。
なんて言葉を交わしたような感じの今朝の
窓から見える景色
窓から見えるあの景色
2年生の頃水色の先生の車をずっと眺めていた
もう一生見ることができない特別な景色だった
窓から見える景色
『窓からはどんな景色が見える?』
一足先に夕飯を食べ終えた姉は、スマホ片手にご飯を食べる弟に言った。
『心理テスト?』
『いや今日のお題。それより行儀悪すぎな』
弟は一日中スマホをいじっている。その大半がアプリゲームで、今やっているのは同じステージを周回してキャラを育てるシステムのゲームだ。
よくも飽きずにやれるなと姉は肩をすくめる。そのストイックさを他のところでも是非発揮してほしい。
『木の葉が落ちていく景色。最後の葉っぱが落ちたら、寿命がくるみたいな』
『あー、切ないやつね』
『でもあれさ、よくよく考えたら、また葉っぱつくじゃん。ってことはまた復活するんだよ』
『それめっちゃいい考え方じゃん!』
姉は目を開いた。
まさか弟からこんな話が出てくるとは思ってもいなかったから。
普段ゲームにしか脳がないのに。
『なんか友達が彼女と上手くいってなくて、「あの葉っぱが落ちたら俺も終わりだー」みたいなこと言ってたわけ。でも木ってまた葉っぱつくよなって何人かで喋ってたら発展してた』
それで励ましてたっと弟は言う。
なにその詩的な励まし方と姉はケタケタ笑った。
生い茂っていた木の葉は時の風に吹かれて散ってゆくが、いつだって新しい芽をその体に宿しており、いつか花が咲くかもしれない。
『木は木だろ。ただそこにあるだけで』
お風呂から上がってきた兄が口を挟む。
『また情緒もないこと言うー』
『人が勝手に意味を持たせてるだけだ。意味ばっかり考えてると疲れんだろうが。
葉っぱが落ちても、ただ落ちたって事実があるだけで、彼女と上手く行くか行かないかと全く関係ないから安心しろ』
『いや、俺じゃなくて友達の話なんだけど…』
兄は言うだけ言うと、スリッパをバタバタと音立てて廊下へ消えた。
人の数だけ見える景色があり、すべての人が同じ景色を見てるとは限らない。
でも、だからこそ盲目な状況にある人を気付かせたり、救えたりすることができるのかもしれない。
『そういう姉ちゃんは何が見えるの?』
『私?私はねぇ…』
景色は移り変わってゆく。
ずっと同じシーンではないから。
貴方が見る景色に光がありますように。
金曜日の朝は少し憂鬱で
HRに遅刻しそうだった。
いろんなことがどうでも良くなってきて、
1、2限をサボることにして
どこ行こうかなって思って。
渋谷のまちで彷徨っていた。
行き交う人が、早歩きの人混みがすごくて。
みんな会社に行ったり、学校に行ったりしてるから
歩けない自分が出来損ないに感じた。
スクランブル交差点からよく見えるスターバックス。
仕事をしてる大人たちに混ざったセーラー服は少し異質で。
大きな窓の外は霧雨が降っていて。
たくさんの人が歩いていて、
慌ただしい渋谷のまちと、センチメンタルな私がいて
覆い隠すように降る霧雨はどこか物悲しくて、優しかった。
窓から見える景色
『窓から見える景色』
窓から見える景色は本物なのだろうか。
窓枠で切り取られた世界は、額縁の中の絵のようで。
どこまでも続く大きな空や、遠くに見える山々が、
本当に実在しているものだとは思えないんだ。
だってあの、いつも見ている住宅街。
昔から変わらずそこにあるけれど、私はそこまで行ったことがないから、どんな人達が住んでいるところなのか全く分からないんだ。
窓から見える景色。
それは行ったことのない場所。
それは名前も分からないような場所。
形だけあって中身が無いの。
想像もできないよ。世界はちょっと広すぎる。
雑踏が無関係に消えていく。隔てるのはコンクリートの壁一枚なのに、ずっと一人だ。今日も窓から自分以外の世界を覗いた。
[窓の外の景色]
窓から見える景色はいつもとかわらない。
モノクロのセカイだ。
私のセカイはいつかモノクロで無くなる日が来るのだろうか…
窓から見える景色
窓から見える景色、
それはとても綺麗な景色。
時間や季節、毎日違って見える。けれど、
家の窓からの景色はあまり綺麗だと思わない。
旅行に出掛けたらその場所からの景色は
とっても綺麗だと思う。
これは、見慣れてしまっているから。
見慣れることで綺麗だな、と思わなくなってしまう。
とても綺麗な景色なのに。
そんなことを考えながらいつも目を向けない
身の回りに視線を向ける、
黄昏時 。
橙色の光が射し込む窓辺の席に腰掛けた 。
あかい夕陽が浮かんだ空にひとつ、黒い影がさしたと思えばカァカァと鳴き声を漏らしていく 。
今日でこの席も卒業 。
慣れ親しんだ地域と友達も卒業 。
春からは東京の大学に進学する 。
地元の両親も 、中学から一緒の友達も 、
東京ではみんな居ないんだ 。
今日までここで生きた私に 、
昨日までの私に 、
おめでとう 。
さよなら 。