『突然の別れ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
テーマ「突然の別れ」
「俺たち、別れよう」
2人きりの帰り道、彼が静かに告げた。
「分かった。今までありがとう」
突然言われたのにストンと自分の中で受け入れられた。
別に初めからこの人とは恋愛感情があって付き合った訳では無くただ友達付き合いからの延長線だった。
「じゃあ私、こっちだから。さよなら」
何事もないように告げて自宅に帰った。
その夜に好きな歌い手さんが配信していた。
2時間ほど雑談したりちょっと歌を歌ったり楽しい時間を過ごしていたその時、真剣な声で大切なお知らせがありますと言葉を切った。
「俺たちはこれからそれぞれ、やりたい事に集中する為にグループの活動を休止します。いつ再開するかについてはまだ分かりません。
ですが俺たちを大切に思ってくれているリスナーの為にパワーアップして戻ってくるので待っていてください」
好きな配信者さんの活動休止の知らせ。
話が突然過ぎて頭が追いつかない。なんで?という疑問しかなくてしばらく混乱して固まっていた。
正気に戻って青い鳥を見るとそこには既にトレンド入りしている〇〇グループ活動休止の文字。
ああ…あの言葉って夢じゃなかったんだな。
今日2度目の突然の別れ。
彼氏に告げられた時よりもずっと配信者さんから告げられた言葉の方が衝撃的で簡単に私の感情をぐちゃぐちゃにする。
「君まで…私から離れていかないでよ……っ」
溢れてくる涙を止められない。
私の声は嫌になるくらい静かな部屋の中で響いていた。
さよならをしなかった。また会いたいと思っていたから。けど、それが通用しなかった。ただそれだけのことだ。
わんわん
あの子が亡くなったお知らせ動画を見た
その後にここを見たら突然のお別れって…テーマ決めてる人もあの動画見てるんか?
悲しいね
自分と他人が死ぬことはどうでもいいけど、犬や猫や動物が死ぬのは悲しい
すごく悲しい
死にたいと死ねなくて、そうじゃないと早死にする生命の摂理どうにかならんかな
「明日、引っ越すんだ」
幼なじみのハルは『明日雨らしいよ』と同じくらいのテンションで、ユキにそう言った。だから一瞬、へえそうなんだ、と返そうとして、
「え?」
思わず足を止めた。数歩先を歩いたハルも、足を止めてこちらを振り返った。夕焼けのきれいな空をバックにしてハルはいつもと同じように笑った。茶色の髪がきらきらと夕日を反射していた。
「さみしくなるねぇ」
全然寂しそうではないセリフ。引越し?ハルが?
ユキとハルは17歳。0歳の頃から家が近所で、親が仲良くて、ずっと一緒だった。もう家族みたいなものだと思っていた。
それなのに、引越し。それも、前日に告げられた。親にも隠されていたし、ハルにも隠されていたことがショックでらたまらない。
「なんで黙ってたんだよ」
「だってユキ怒るじゃん」
「今怒ってるよ」
「ごめんて」
ハルはそのままくるりと前を向いて、勝手に歩き出した。昔からこういう奴なのだ。
「待てって」
「……待たないよ」
すたすたと歩いたままハルは、先程とは全然違うテンションでそう言った。
「待たない。私、彼氏と同棲するの。幸せになるの。だから、」
ハルは少しだけこちらを振り返ると、困ったようにちょっと笑って
「ユキも早く彼氏見つけなね」
先程より早い速度で歩いていった。もうこっちは振り向かなかった。
あいつは僕を置いてった。
僕はいつもあいつと蹴られて殴られて
暴言も吐かれてた。
あいつはいつも僕の隣で泣いてた。
僕は、痛いのも辛いのも苦しいのも全部、
全部我慢してるのに。
あいつはずっと泣いてた。
泣いてたから、
あいつは僕よりも殴られてた。
僕は殴られたくなんか無かった。
だから泣いたことは無かった。
あの日はいつもよりあいつが殴られてた。
あいつの顔は血と涙でぐしゃぐしゃだった。
そして、その次の日
あいつは死んだ。い
自殺したらしい。
あいつは死んで、いじめについて問題になった。
だから、もう殴られないと思ってた。
でも違った。
あいつが死んだから、その分
僕に矛先が向いたんだ。
#突然の別れ
私が幼い頃両親が交通事故に遭い、突然の別れとなった。
親戚もいない、兄弟もいないただ孤独な生きてきた。
そして、高校系の時初めて彼氏ができた。
だけどその人も帰らぬ人となった。
私が死神なのかと思い、心を閉ざした。
今私の傍にはとても大切な人がいて、やっと心を開けた。
剛輝は、音楽をしていて人気。
だからひっそり2人で暮らしている。
歌って居る時、ギターを持っている時の剛輝は力強く
歌詞ひとつひとつに魂が込められている。
嘘にぶたれる音は好きじゃない。と口癖なように言う。
何かを守るために愛を伏せるなんて不細工だ。
「置き換えるとな、自分を守るために今の愛を失くすなんて
俺不細工になるやろ?それが嫌やねん。」と言った。
別れは突然やって来るけど、突然にならないように
1日1日を積み重ねお互い尊敬尊重をし合い
2人で乗り越えよう。と言ってくれた剛輝に感謝しているよ。
[お題:突然の別れ]
[タイトル:ニョルニョン]
どうやら本当にニョルニョンは居なくなってしまったらしい。
どうして突然! もう五年も一緒に居たのに!
二時間かけてひっくり返した部屋の中で、千堂由梨は心の中で悪態をついた。確かに、思い返せばここ二、三日姿を見なかったのだが、まさか本当に居なくなっているとは思わなかった。
ここ数日の飲み会で頭がやられていたのだ。ニョルニョンのことに全く気が回っていなかった。そういえばニョルニョンにご飯あげてないなと、ようやく気づいたのが今朝のことである。
そこから二時間かけてニョルニョンを探した。必死だった。何十冊もの本を床に落とすと、ページの幾つかが折れた。布団を別の場所に移動させて下を確認し、しばらくしてまた移動させて下を確認した。冷蔵庫の中では缶ビールが生温くなっている。台所には輪切りのちくわが転がるばかり。箪笥の衣類は全て机の上だ。果たして、どこにもニョルニョンはいない。
不注意な自分が恨めしい。由梨の中にある喪失感は、次第に自身への怒りに変わっていた。
どうして二日前に家に帰らなかった? どうして昨日すぐに寝てしまった? どうして今さら気づいた? 全ては過去のことだ。進み続ける時間の矢は後ろには返らない。なので、必然仕事の時間もすぐそこに迫っている。
「あーもう、メイク・・・・・・服も、アイロンかけなきゃ」
と、そこまで喋って、自分が声を出していることに由梨はようやく気がついた。行動をいちいち口にする人はほとんどいない。特に部屋に一人きりであれば尚更だ。
明らかに普段じゃない。由梨の心はドーナツのように、あるいはコーヒーカップのように穴が空いていた。ちょうどニョルニョンがすっぽりとハマりそうな穴である。
それでも仕事は休めない。仕事を休めるかどうかはニョルニョンがいるかいないかではなく、カレンダーが土日祝日であるかである。
二十分ほどで身支度を済ませた。適当に済ませたメイクでは、いつもより血色が悪い。同僚からイジられそうで憂鬱だ。穴の空いた心には憂鬱がよく沁みる。
外に出るとふざけたような朝日が照っていた。馬鹿にしてんのか、と言いたくなるが、口には出さない。同じ失敗はしない。代わりに朝ごはんを食べていないお腹がグゥと鳴った。
途中でコンビニに寄ろう。確か地下鉄の近くにあったはずだ。
コンビニ、そう、コンビニだ。
ニョルニョンを拾ったのもコンビニだった。けれど地下鉄近くではなく、むしろ駅と真逆に一時間ほど歩かなければならない、病院内のコンビニである。
そんなことをつい思い出してしまう。これはミスだ。穴の空いた心じゃ理性がすり抜けてしまう。
果たして、由梨は地下鉄に背を向けた。もしかしたらと由梨は思う。もしかしたら、あのコンビニにニョルニョンはいるんじゃないか。
けれど、ニョルニョンはそこにいない。本当は由梨も知っているのだ。けれど、それを思い出すことを、由梨の心が許さない。
ニョルニョンとはドーナツであり、コーヒーカップであり、ちくわなのだ。
けれど由梨は気づかない。まずは牛を球と見れなくては。さもなくばニョルニョンはニョルニョンのままである。
#23 突然の別れ
今日まで続いていたことが、
明日も続くとは限らない。
そう言いながら、
また明日がくると信じてしまう。
無邪気に、もしくは絶望感を持って。
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私には突然でも、
彼にとっては、きっとそうじゃなかった。
「また明日ね」
「うん、また明日」
学校から分かれ道まで5分程度の道を、ゆっくり時間をかけて帰って来た。
ふとしたきっかけで仲良くなった私たち。
塾もあったりして一緒に帰れる日は少ないけど、
たわいも無い話に、お互いの悩みを交えながら、急速に心の距離を近づけていた。そう思っていた。
性別は違うけど、似ている悩み。
根っこの考え方も似ていて、
だけど、性別のせいじゃない何かが違う。
その何かが、些細で、そして決定的だった。
もういいんだ、ごめん。
そう言って、彼は突然転校していった。
裏切られたような、彼を責めたい気持ちと、
私では駄目だったんだ、と自分を責めたい気持ちがぐしゃぐしゃになって、
わかった、としか返事できなかった。
それからは、ずっと一人で帰った。
その間、私の何がいけなかったのか考えていたけど、分からなかった。
だけど、分からないからダメだったんだと思うようになった。
そのうち、彼が転校したことが余程ショックだったのか、その前の悩みがどうでも良くなっていたのに気づいた。
彼がいなくなって辛かったのに、
彼に何もしてあげられなかったことを悔やむ気持ちは無くならないくせに、
それでも時間が経つと勝手に立ち直るものらしい。
一人で帰るのも平気になった。
自分のしぶとさが少しだけ嫌になった。
こうして、ひと夏の恋のような、何かは終わった。
あ、死んだ
お母さんが死んだ
お母さんは毒親。
突然の分かれ。
私は嬉しくて、開放された快感に浸る日々。人生ってこんなに鮮やかだったんだって、気づいちゃったの。
そういえば、死んだ理由を聞かせてもらってない。
なんで死んだのかなんて聞けるムードじゃなく、私だけがせいせいしていたようにも見えたので、黙っていた。
なんで死んだんだろ。
思い出せない。ずっと、何か大事なことを忘れているきがしている。
ぐちゃぐちゃ 暴力 嫌味 精神 威圧
ぐちゃぐちゃ ドンドン ガシャン
ぁあ、思い出した。あの日?
お母さんの暴力に嫌気がさして耐えきれなくなった夜か。
私がお母さんを刺したんだった。 忘れてたなぁ、
感想? 血が生ぬるくて気持ち悪かった、くらいかな、
ただただ、「あ、死んだ」 しか思ってなかった。
突然の別れは突然の変化をもたらす
変化のチャンスは自分で掴まなきゃね!
お題 「突然の別れ」
突然の別れ その1
小さい頃、おばあちゃんの家で飼っていた、よく遊んでいたコーギーが死んだ。
昨日まで元気だったのに、いきなり。あ、名前出すと特定されるかもだから犬種を仮の名前にするね。その時はまだ小さかったから記憶は殆ど無いけど、大事だったんだろうなってことはわかる。
コーギーが死んだときの私はどんな顔してたんだろう。泣きじゃくってた?死という出来事に怒ってた?それとも無表情?まぁ今こんなこと考えても仕方ないね。でもちょっと月日が経って、久しぶりにおばあちゃんの家に行ったら、今度はハムスターが死んだんだ。また急死だ。その時はもう慣れたから、なんでこんなに雰囲気暗いんだろう?って不思議で仕方なかった。
それから何年か経って私が保育園の年中?年長くらいか。のときに、友達が急死した。
その子のおばあちゃんによると、最後の言葉は「眠い」だったって。その日は暑くて、網戸にしないと寝れないくらい熱くて、蝉が五月蠅かった。
その時の私は「死」について軽くだけど分かってはいたから、あぁふざけちゃ駄目なんだなって思った。正直面倒くさかった。
また何年か経って、小学4年生のときかな。また愛犬が死んだんだ。言い忘れてたけど、
おばあちゃんの家にはコーギーとハムスター合わせて犬4匹、ハムスター一匹飼ってた。
それはプードルだったんだけど、私に噛みつくし威嚇するし面倒臭かったからあんまり
関わってなかった。んで私の叔母に当たる人、一番その犬を大事にしてた人だね。その人が私に、「プードルのこと、好きだった?」って泣きながら聞いてきて、面倒臭かったから適当に悲しそうなふりして「うん」って言っといた。もはや面倒臭いとしか思ってなかった。
そっからまたまた年月が経ちまして小学5年生。
コーギー(黒)が死んだ。もう面倒いからクロコギでいいや。クロコギはいわゆる癌で死んだんだけど、どこの癌かは聞いてない。もう何とも思わなくなってきた。
それからちょっと時が流れて中一くらい。同級生がまた死んだ。ここまでになると警戒心が薄すぎだろ…と思うようになる。どうして私の周りにはこうも死が多いのだろうか。まぁ仕方のないことか。今回も急死らしい。いや多くね?急死多くね?
もっと他のパターン思いつけよ。
でもそこまで仲いい友達でもなかったし、死んだものは元には戻らないしなとか思いながら
退屈な授業を受けて帰った。そういえばここ最近私くらいの年齢の子を狙う不審者がいるって聞いたから、気をつけて帰らなきゃ。そして家に帰ったあと、殺風景だが散らかった部屋の中で、私は思った。
さぁ、次は何年後にしようかな。
突然の別れ その2
どうして、こんな幸せがずっと続くなんて思ってたんだろう。
確証のない幸せな未来が、どうしてなんの危険に晒されることもなくずっと続くなんて
思ったんだろう。
目の前の光景を認められない。否、認めたくない。
どうしてこうなった?どこで間違えた?
考えたってもう遅い。
先生に姉の死を突然伝えられ、制止の声も聞かずに急いで家に帰った俺は、酷く息切れしながらもリビングへと走った。それを見た瞬間、俺にとって唯一の家族だった姉は死んだ、と実感した。急死だそうだ。
俺はその場に崩れ落ちた。先生も友人もみんな俺を慰めた。
違う。お前らじゃない。お前らじゃないんだ。
こんな時、俺が欲しくてやまないことを一番に言ってくれた姉はもういない。
ねぇ神様。何が悪かったんですか。誰かのせいでこうなったんですか。
誰かのせいなんて、都合が良すぎると分かっていても縋らずにはいられなかった。
「姉さん…」
今日もまた、居ないはずの姉と一緒に帰り道を歩く。
あとがき
なんか小説みたいになっちゃったwあと一部事実ですね。嘘にホントのことを少し混ぜると
一気に信憑性が増すと聞いたもので…曖昧な最後になってしまいましたが、賢いあなた方ならもう分かるはず。なんか上から目線ですみませんw
帰宅したときには、既に腹を見せて浮かんでいた。
何も知らないエアーポンプは泡を吐き出し続けている。逆さまのオレンジの体。大きな目ん玉を凝視する。
「可燃ごみだってさ」
役所で貰った分別マニュアルを片手に声をかけるも返事は無い。どうせなら丁寧に捌いて食ってやろうか。そう考えたけれど、あの世で泳げないと可哀想だからやめた。
「収集明日じゃん」
傍にあったコンビニの袋の中を覗いたら、昨日食べたおにぎりの包装紙が見えた。どういう訳か急に胸の奥が熱くなって、視界が滲んできた。
「あんまりだわ」
返事は無かった。
エアーポンプはまだ泡を吐いている。
(突然の別れ)
人間の誰しもが或る一人の人間の死によって、悲痛な思いをすることに余りにも惨(むご)たらしい感動を覚えている。
夕陽に染まる静かなリビングを眺めてから、キッチンでひとり黙々と包丁を動かす。
今日の夕飯は、ハンバーグ。
君の笑顔が見たいから、君の大好物を作る。
輪切りにして面取りをしたニンジンのグラッセ、パリパリに焼かれたジャガイモのガレット。
ハンバーグの中には、チーズをたっぷりと仕込んだ。
二つに割った時の君の顔を想像する。
きっと、子供みたいに目をキラキラさせて喜び、口いっぱいに頬張って幸せそうな顔をするんだろうな。
乾いた笑いが自然と口から漏れた。
玉ねぎを刻みすぎたかな、涙が止まらないよ。
ねえ、約束したじゃん、ひとりにしないって。
ずっと一緒だっ、て。
ねえ、帰ってきて、帰ってきてよ。
世界一大好きな君の「ただいま」を聞きたいよ。
テーマ「突然の別れ」
《突然の別れ》
ワイスピを観ろ
そこに別れの全てがある
See you again
突然の別れは人生の一部です。
愛する人との別れや思いがけない別れに直面することがあります。
だからこの瞬間を大切にすることが重要です。
今を楽しんで生きることです。
そのようにすることで、あなたはすべての次元と繋がります。
一期一会、奇跡のような出会いがあることに感謝しましょう。
ユニークでオリジナルな組み合わせが二度とないことに気づきます。
【お題:突然の別れ】
恐れてる
いつか貴方と
突然の
別れが来る日を
絶対来ないで
いつ亡くなるか わからないから
せめて こども達がこまらないように
終活をしようかな
のぞみは 母と犬を見送り
息子が独り立ちしたのを見届けてから
がいいな
お題:突然の別れ
生まれた時から体の一部が繋がっているような関係だった
いつかこうなることはわかっていたがその時がついに来る
綺麗な別れにできるかは他人の手に委ねられた
半身をもぎ取られるかもしれないし
ささくれ立つかもしれない
気がついた時には名残惜しさを感じる暇もなく無慈悲に引き割かれていくのだ。
タイトル
割り箸
突然の別れはつらいねー。
考えたらだめなやつ。
中学1年生のときから仲良くしている友達がいた。
彼女は綺麗で、親しみやすくて賢くて、努力家で、将来の夢に向かって直向きに努力のできる良いとこのお嬢さまだった。なんでそんな出来過ぎた子がわたしを気に入ってくれたのかは分からないけれど、わたしたちは親友と呼べる仲になった。他のクラスメイトが、「2人の間に割って入れない」というくらいに。
彼女は医学部志望だった。
高校に上がって文系と理系でクラスが分かれて、そこからは同じクラスになることはなかったけれど、登下校はほとんど一緒でわたしたちの仲は変わらなかった。彼女は付属大学の医学部を目指し、わたしは外部の大学を目指した。バスの中で、お互いに勉強したことのない生物や日本史の教科書を見ながら、相手のために問題を出し合ったりした。
出会って6年目の春、わたしは第一志望の大学に入学した。
彼女は都内の予備校へ通うことになった。
彼女との仲は相変わらずだった。
時間を無駄にするからとSNSを一切やっていなかった彼女は、とうとうLINEのアカウントも消して、勉強にのめり込むようになった。わたしたちはiMessageで連絡を取り合った。彼女はわたしの大学生活の様子を楽しそうに聞いてくれた。新しくできた友達、サークルの話、授業がどんなに難しいか、面白いか。
彼女も日常の些細なことをわたしに話してくれた。会話は途切れなかった。
その次の春、2回目の受験を終えて彼女は大学へ進学した。
医学部ではなく、薬学部だった。
大学生になってからもわたしたちは変わらず親友同士で、大人になって年老いてしわしわのおばあちゃんになっても親友同士で、昔話に花を咲かせてはゲラゲラ笑う仲であると信じて疑わなかったわたしは、自分が3年生になった4月、突然彼女と連絡が取れなくなったとき、単純に忙しいんだろうな、と推測していた。
人の命を預かる仕事をするために学ぶことは膨大で、努力家の彼女のことだからきっと今は手が離せないんだろうな、と。
連絡が取れなくなって4ヶ月、会えない?と連絡したら忙しいと返信が来た。そっかあ、じゃあまた次の機会にね。それから彼女からの連絡はぱたりと途絶えた。大学に入学してから作られた彼女のInstagramのストーリーは更新され続けた。
正直、わたしは戸惑っていた。
10年来の親友にこんなに唐突に、そしてあからさまに距離を置かれた理由が分からなかった。理由は分からないけれど、何かしら自分に原因があったのだろうと、思い切って彼女に連絡した。
何かしでかしていたらごめん、と。
「むしろ気にかけてくれてありがとうね。謝らないで。
わたしが思うに、今私たちがいるべき場所、頑張ってる方向性、将来に対しての目標や気持ちがお互いそれぞれ違うフィールドだからこういうすれ違いみたいなことが起こってるんだと思う。
これは誰が悪いとか、どっちがいけないとかではなくて、私たちがそれぞれ違う方向性で頑張って、成長した結果だから今見えてる景色が違うってだけだと思うんだ。
高校卒業して、ここまでに辿り着くのにいろんな価値観に触れてきて、学んできて、成長してきたわけだから、自分たちの価値観の軸はいつまでも同じではなくて、変わると思う。
だから、理解をし合わなきゃいけないとかじゃなくて、尊重していきたい。
これからはお互いのフィールドになると思う。だから、お互いそれぞれの道頑張っていこうね。」
これが元親友からの最後のメッセージ。
わたしはこの突然の別れに、いまだに心の整理がつかないでいる。