『神様へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
任務に行く時、君は躊躇いがちに必ず決まって「気をつけていってらっしゃい」と声をかける。
「気をつけて」の中には「怪我をしないで。何かあったらすぐに知らせて。危ない事に巻き込まれることなく無事で帰ってきて欲しい…」他にももっと俺を心配するたくさんの言葉がひとつに集約されている。俺を見送ったあと君は『神様へ』俺の無事を願いに神像のもとに赴くのだと先日、友人がうっかり口を滑らせたことで知った。多く望んではいけないと君は思っているんだろう。だから短くしている。
「うん、気をつけるよ」
俺はそれに言葉ひとつで返すんだ。すると一瞬、ホッとした顔を見せて抱き締めてくれる。元気を分け与えられるような力一杯の抱擁。俺もなるだけ、折ってしまわないよう君の柔い体を覚えるように腕を回す。これがいつもの見送る前の挨拶になっている。
終わりがはっきりと分からない長引きそうな任務、俺の我が儘は聞いてもらえるだろうか?
「たまにはさ、いってらっしゃいのキスが欲しいな」
「…お帰りなさいのキスしかしません」
ふいっと顔を俺の胸に埋めていき頑なに拒まれてしまった。任務で疲れきった体を引き摺って君のもとに帰ると晴れやかな顔で迎え入れてくれるが、それではいつもと同じだ。ごにょごにょ口ごもって
「帰ってきたら好きなだけ、してもいいけど…」
「それ、ほんとう?」
「長くなるかもしれないんでしょ?楽しみは帰って来たら。ちゃんとここで待ってるから」
クリアな声に視線を下げると見上げる君と目があった。眉が下がってとても心配だと顔に書いてある。一歩間違えば今生の別れに成りかねない、だから君は熱心な信者でもないのにその時だけ『神様へ』願いに行く。それを知ってしまったら益々いとおしく、離れがたくて。やっぱり、今キスがしたいと思う俺がいる。
「ごめん」
がしりと体を固定して身を屈ませて君の髪に、前髪を払いのけ額に。目もとに両頬に次々と唇を落としていった。
「ちょっと、」
「口は楽しみしてるからさ。あとはここだけ」
「…いっ!」
服を脱がなければ見えない場所に強く強く吸い付いた。君はわたわたと腕の中で暴れるけどなんのことはない。赤く咲いた花は白い肌によく似合う。出来ればこの痕が薄くなってすっかり綺麗になる前に、早く君のもとへ帰りたい。
題.神様へ
知らないことも、
分からないことも、
見えないことも、
あなたにだってあるでしょう。
神様へ
どうかこの争いを止めてください
この争いの残骸は
心や身体の傷でしかないのです
壊れた家 脚のないイス
ちぎれたカーテン
残された写真
汚れたぬいぐるみ
この音色を聴くたびに
映像が甦るのです
罪のない人が居なくなり
憎しみは憎しみで繰り返される
人間はいつでも悪魔になる
一番怖い生き物かもしれない
もう繰り返さないように
どうか導いてください
あなたが本当にいるのなら
あの子の右手がほしかった。もし私の右手があの子の右手なら、憧れの人と手を繋いでも、「なんか怪我してる?」とか言われなかったかもしれない。部活でできた凹凸は深くて一生治らなさそう。
あの子の目がほしかった。キラキラしていて、見つめ合ってもそっと気まずげに逸らされることのない瞳。
あの子の声も。一度だってかかってこない通話が叶うのなら。
「神様に願ってもらえるものならめちゃくちゃ取り替えてほしい……」
最初から最後まで落ち込んだデートの日、わたしは居間のソファで膝を抱えていた。なんとかしてあの人を繋ぎ止めなければ。
膝を解放して両手をギュッと握り合わせる。ああ、どうか、天にいるらしい神様、叶うのならば、テレビの中にいるあの子のすべてをください!
「つーかさ」
わたしのクッションを尻に敷いていたがために、げしっとソファから蹴落とされた兄がこちらを振り向いた。
「アイツ恥ずかしいだけじゃね?」
「えっ」
兄はゲーム──最近同世代で流行ってる戦闘ゲームだ──のポーズ画面のままスマホをローテーブルに置き、珍しく真面目な顔をしてあの人、兄からすれば友を語り始める。最初に紹介してくれた以降何を言っても目をつぶって沈黙していたのに別人かのように真剣な視線でわたしを見ていた。
「手ェ、悪くは言われなかったんだろ。心配したんじゃねェの」
「えっ」
「そんでな、アイツ内気なとこあるから見つめ合いとか無理だぞ」
「えっ、えっ」
「だから電話はお前からかけろ。以上!」
「えっ!!」
わたしの顔は嬉しさで溢れているだろう。お互いを親友と呼んで憚らない兄が言うならきっと間違いじゃない。
ニヤリと口角を上げてラグからソファに舞い戻った兄は再びクッションを尻に敷こうとし、ややあってそれを端に寄せた。ぜひ常日頃からそうしてほしい。
そしてスマホを取り寄せてわたしの眼前に掲げてみせた。いつも通りの戦闘シーンで不自然に固まったキャラクタがいるが笑う余裕もない。
「そんでさ、この戦闘どうしたらいいと思う?」
「ねェ、本当に?ほんとのほんと?」
「マジもマジ、大真面目にぜってェそうだって。そんでこれさ、どうしたらいいと思う?」
「右翼が甘いと思う」
「マジ?」
「マジもマジ、大真面目に。で、本当に?」
「だからマジだって言ってんだろ!信じろよ。おまえの神だぞ、おれは」
ドンと胸を叩いた神様はそれからわたしの横でゲーム片手に話を聞いてくれた。いつも負けまくってわたしに攻略を聞いてくるくせにフレンドより良い成績にしたいと手放さないままだ。
尚、わたしはというと、あの人もハマっていると聞いたのでマスターしてあるのだ。まだお話で趣味までは踏み込めていないけど!
「てかさ、よくわかんねェ天に祈るより、おれに祈れ。あとお菓子くれ。そんでおれっていう神様はな、恋のキューピットもできんだよ。コレのためには」
「そうなんだ。あとそのスキル変えた方がいいよ」
「マジ?助かる、ゲーム神様」
わたしは両手が塞がった恋愛神様へ貢物たるポッキーを運んできて、あの人のためならゲーム神ごっこも悪くはないなと思った。
神様へ
もしも願いを叶えてくださるなら、ここに投稿しているみなさまのように、お題を出されたらパッと書きたいことが浮かぶ能力、文章力などなど、書くために必要な能力を与えてください。
書くことは好きなのですが、書くスピードはゆっくりだし、書きたい内容·アイデアは浮かばないし、上手く書くことができません。ですから神様。
もしも願いを叶えてくださるなら、書くための能力が欲しいです。
雨よ
人身御供(ひとみごくう)とは、人間を神への生贄とすること。人身供犠(じんしんくぎ/じんしんきょうぎ)とも。また、生贄の「贄(ニエ)」は神や帝に捧げる鳥・魚・新穀などの食物の意味である。(ウィキペディア参照)
私の村はこんな令和の時代には似つかわしくない昔じみた村だ。雨が滅多に降らない。降らなすぎる。そのため、村では神様に生贄を用意する。生贄は20歳から25歳の女が選ばれる。選ばれた家には給付金として、100万もの大金が支給される。私の姉がそれに選ばれた。父も母もそれを受け入れた。
私は姉を尊敬している。姉はかっこいい。そんな姉が生贄に選ばれた。悲しい。悲しい。
私は生贄に神様に差し出された。姉は殺した。生贄にしたくなかったから。この村の神様は子どもを嫌う。きっと雨は降らない。むしろ、日差しは強くなるだろう。姉を生贄とした罰だ。ざまぁみろ。
『神様へ』より
神様、なんで人間は自ら命を断つのですか?
何故、愛という感情を幸せを感じることができるのですか?
私にはまだわかりませんよ。
【神様へ】
神様。
そう呼ばれるモノを、私は都合よく信じている。
良いことがあったら、「神様のおかげ」と笑う。
嫌なことがあったら、「神様のせいで」と泣く。
神様。
それは、きっと一番に「望み」と「怒り」の矛先が
向けられる対象。
都合のいい事だとは承知です
ただ一つだけ
どうか
お願いします
*神様へ
てんとう虫が空を飛び交って
神様への願いを運んでいる
神様は微笑んで
運ばれてきたひとつひとつの願いを
静かに聞き入れた
ところで君たちには願いはないのかい?
神様がてんとう虫に尋ねた
てんとう虫はしばらく考えてこう言った
メッセンジャーは願いを持たないほうが幸せなのです
神様は少しかなしげな目をして頷いた
#神様へ
題 神様へ
新年リポート!
神様にどんなお願いをしましたか?
女子高生
エーと、今年もいい年になりますようにって言うのと、あと、私は今年受験があるので、志望校に受かりますように、ってお願いしました。マァ、自分の勉強次第なんですけど、それでも神頼みってしたくなっちゃいますよね、えへへ。さっき絵馬も書いてきたんです、あと合格祈願の御守りも買いました。御利益あるといいな。
神様にどんなお願いをしましたか?
50代社会人男性
最近、いい事ないんですよ⋯⋯。 会社で、部下が結構マズいことをしでかして、それの尻拭いをさせられるし、車を運転してたら後ろからぶつけられるし、妻や娘からも疎ましがられるし⋯⋯。 今年は何かいい事ありますようにって神様にお願いしたんですけど、届いてますかねぇ。もしかしたら、神様は俺のことなんて見てないんじゃないですかね、あはは。
神様にどんなお願いをしましたか?
5歳男の子
仮面ライダーになりたいっておねがいしました!お母さんに、変身ベルト買ってっていったけど、買ってくれなかったから、神様にくださいっておねがいしました!あと、あと、電車の運転手とサッカー選手とユーチューバーにもなりたいっておねがいしました!
神様にどんなお願いをしましたか?
神様
エ、それ俺に聞きます?⋯⋯ マー全人類幸せになっちゃえばいいんじゃないですかネ、ハッハッハ。⋯⋯ エー真剣にって。そもそも俺には、自分や誰かのオネガイを叶える力なんてないんですよ。俺の仕事は、ここ(天界の御殿にある雲の椅子)で寝っ転がって、下々のニンゲンどもを見てるだけなんですカラ。ホントもう、ヤんなっちゃいますよ、この時期は。下界の俺の別荘にズカズカ入ってきやがって。⋯⋯ ニンゲンの願いってのは、一応は俺に届くんですよ、叶えられないけどね。だから色んなところから念が届いて、頭パンクしそう⋯⋯。
エ、このニンゲンたち?⋯⋯ アーなんかいた気がするわ。受験なんて、俺にお願いしたってどうしようもないでしょ、この女の子、大して勉強してないくせに。そもそも受験の概念が理解不能なんだよね。ニンゲンってなんで優劣つけたがるわけ、争いの元でしょ。⋯⋯ オマモリ?⋯⋯ アー御守りね、ハイハイ。あれでしょ、ニンゲンが作ってる、なんか、凄そうなヤツ。可哀想にね、あんな紙と布袋のためにお金払わされて、ニンゲンの金儲けに使われて。
こっちの男は⋯⋯ アー、うわァって思ったニンゲンだ。こいつ、部下を助けてやった的なこと言ってるけど、実際、ただ部下の教育を怠っただけだからね。何も分からない部下が、何とかしようとして失敗しただけ。事故ったのも、仕事のストレスで⋯⋯ なんだっけ、最近流行(はや)りの、煽り運転?してただけだからね。そんなんだから家族から嫌われるんじゃないですかネ。このニンゲンには安心して欲しいなァ、俺はいつも見てるからネ、ハッハッハ。
この子供は⋯⋯ 強欲だなァ、マいいんじゃないですかネ、夢があって。ところで、ユーチューバーって何?最近、そんな念が届くことが増えたんだけど⋯⋯。 ⋯⋯ ヘェ、ユーチューブ⋯⋯ ?ニンゲンはよく分からんものを作るんだな。
俺のインタビューなんて、意味あった?ニンゲンに知られたらザンネンに思われるだけデショ。⋯⋯ マ、そうだよな、結局のところ、ニンゲンは俺のことなんて信じてないよな。信じてないくせに、こういう時だけ俺を頼るんだよな⋯⋯ 。アーア、ニンゲンに転職しようかなァ⋯⋯ ハッハッハ。
神様へ
いつも沢山の人の願いを祈りを聞いて下さりありがとうございます。
神様にもきっと願い事がある事でしょう。
それは誰が叶えて下さるんでしょうか。
スムーズに事が運んでいる時は必ず自分に併せてくれている人がいると私は思っています。
それが周りの人なのか神様なのか…
いつも感謝しています。
ありがとうございます。
神様
私はそんなに信じていないけれど、もし居るのなら教えて欲しい。
人はなぜ生きるのか、なぜ死ぬのか。
なぜ知識、感情を与えたのか。
今この苦しみは一体何のためにある?
私にはわからない。
答えを教えて欲しい。
--こんなに苦しいのなら、最初から感情なんていらなかったよ--
神様、貴方はこの世界をどう思われますか?
僕はこの世界が綺麗なようで、汚れて感じます。
この世界には幾つも美しいものがあります。
そして、儚くもあります。
人間もまた、其の一つと父は言っていました。
ですが僕には、汚れて見えます。
平気で嘘を吐く者、人を壊す者、
お金でものを言う人、人を苦しめようとする人。
世の中はそんな人でいっぱいだと、僕は思います。
ですが父は、
『それもまた人の性というもの。そうなってしまうのには何か理由があるからだ。それに、そんな人達ばかりでは無いのだよ。』と言った。
だから僕は、「父様にとって、一番素敵だと思える人は?一番汚れていると思う人は?どんな人なの?」
『努力をして夢を掴んでいる者など、努力を惜しまない人がステキだと感じるよ。でも、人を騙して利益を得ようとする人や、人を殺してしまう人は余りよく思えないな。』と父は言った。
そんな事を父は言っていたが、僕には矢張り、理解が出来なかった。
父は殺された。
父を殺した人は、「唯の八つ当たりで殺った」と言っていた。
不思議だ。
父のように優しく、おおらかな人間は殺されて、
彼のように己の気分で人を殺した者は生きている。
罰は与えられてるけどね。
神様は何故、このような世界をつくったのだろうか。
僕には理解が出来ないな。
とても不思議だ。
どうか答えを教えてください、神様
お題〚神様へ〛
神様へ
あなたは本当に残酷です。
どうして彼女たちが死なないといけなかったんですか、、
もっと明るい未来を歩かせて、見せてあげることはできなかったんですか、、
こんなの悲しすぎるじゃないですか
不条理すぎませんか
神様へ
神様、もしも私のようなものの話を聞いてくださるのならば頼みたいことがあります。私は死にたいのです。貴女が私の隣に居たものを連れていってからというもの光が見えずして闇が絶え間なく私を引きずり込むのです。私は人間が死を恐れるのは分かっています。そして、死を望むからこそ生が実感でき、死にたいからこそ生きるということも理解しています。ですが私はそれを知っているからこそ死にたいのです。
神様へ
皆の願いが多くて困ってませんか?
貴方様も誰かに頼りたくなりませんか?
皆が思いやりある人で溢れる世界だと良いですね。
決戦の日
蓮翔(どうしようかな……)
蓮 「お……れ……と………」
マイキー「おい……れん……」
蓮翔(出た方がいいのか?)
三ツ谷「おい!蓮翔!」
蓮翔「は!あ、え、あ、何?」
三ツ谷「お前大丈夫か?」
蓮翔「あ?うん」
1時間後
蓮翔「あ、俺行かねぇから」
蓮「なんで?」
蓮翔「行かないといけないとこがあるから、後で来るよ」
蓮「(●’ω’)b゚+。ォヶー。+゚」
そして時間になり
???「よろしく頼むぞ」
仲間の敵「了解!!!!!」
戦争が始まり
マイキー「おい、蓮翔は?」
蓮「後で来るだって」
マイキー「了解」
相手の敵「行くぞぉぉぉぉ!!!」
相手の敵「おぉぉぉぉ!」
マイキー「俺らも行くぞおぉぉぉぉ!!!」
マイキー「ボコッガンボキッ」
敵「ウガッ」
マイキー「おい!お前らの総長は誰だ!!!俺がぶっ殺してやる」
敵「………それを言う時が来ましたか」
副総長???「お前ら整列!!!」
敵「ハイッ!」
副総長???(総長、来ていいですよボソッ)
(副総長、総長は顔を隠しているので分かりません)
???「コツコツコツ、やぁ、皆殺っているようだね」
マイキー「誰だお前、」
ドラケン「マイキー黙れ」
マイキー「はい、」
???「やっぱりそうなるか、じゃあ外したら分かるかな?」
マイキー「うそ、だろ、」
ドラケン「まじか、よ」
蓮「……」
蓮翔「東卍の皆さん、固まってますよニコ、お前も外せ」
副総長???「了解」
龍翔「久しぶりです、東卍の皆さん」
マイキー「龍翔!!!?」
龍翔「マイキーうるさい」
マイキー「すいませんw」
蓮翔「そう、俺らのチーム名は龍蓮狐…わかるかな?」
三ツ谷「最も強いと言われている、チーム…」
蓮「その名も龍蓮狐、意味は2人の名が入ってるだろ」
千冬「そして、狐があってあいつらは"裏で狐だ"」
蓮翔「全員正解、よくわかったね」
龍翔「説明すると、俺らは兄弟となる」
マイキー「嘘だろ、じゃあ蓮は……」
蓮「………そうなると血は繋がってない双子でもない」
蓮翔「そう、蓮とは双子じゃないつまり従兄弟になる」
龍翔「本当の双子は俺ら、俺らには親もいない拾われた」
三ツ谷「……………」
蓮翔「俺らを拾ってくれたのは"イザナ"だよ」
三ツ谷「コツコツコツ」
蓮翔「………ニコ」
ドラケン「三ツ谷……コツコツコツ」
蓮翔「………ニコ」
三ツ谷「玲翔、言ってよかったのかよ…」
ドラケン「ほんとだよ…」
蓮翔「なんで言うんだよ、ずっと隠して来たのに」
龍翔「まぁいいだろ…」
玲翔「まぁいい俺の本名は廣瀬玲翔、佐藤蓮翔は嘘の名前」
蓮「…………」
マイキー「…………コツコツコツコツコツコツ」
玲翔「マイキー、本当にいいのか?」
マイキー「もういい…」
マイキー「サァァァァァ、」(闇に入る)
玲翔「サァァァァァァァァァァァァァァ」(闇堕ち)
龍翔「玲翔!!!」
玲翔「…………サッ、」
(マイキードラケン三ツ谷龍翔その他の仲間を瞬間移動させた玲翔)
玲翔「蓮、ごめんなまた10年後会おうなニコ」
蓮「……………」
そしてからも、5年たっても会うことは無かった
実家のあった場所から田んぼの並ぶ道を通り、山のある方向へ向かう。
登山道入口から少し進み、右側に外れて数分歩くと――あった。
「神様、お久しぶりです」
まるで時が止まっているような錯覚を覚えたが、すぐ現実に戻る。
子どもの頃何度も訪れた小さく古い社は、最後に訪れたときよりももっと荒れていた。胸元がぎゅっと掴まれたような心地になって、心を込めて掃除をした。
悲しんでも仕方がない。だって……特別な力のない私には、なにもできないから。
できることは、今までのお礼を、心を込めて告げるだけ。
できる限りきれいにしたところで、改めて社の前に膝をつく。
「私、幸せを見つけました」
私は幼い頃に両親を亡くした。母方の両親に引き取られた先が、この村だった。
祖父母はとても優しかったが、よそ者扱いをされていたせいで学校にはうまく馴染めず、両親がいない寂しさをなかなか昇華できなかった。
そのたびに、偶然見つけたこの社に逃げ込んだ。
『こういう場所にもね、神様はいらっしゃるんだよ。私たち人間を見守ってくれているんだよ』
最初はただいるだけだったけれど、祖父母と出かけたときに同じような社を見つけてそう教えてもらってからは、次第に話しかけるようになっていた。
その日あったこと、嬉しかったこと、ただの愚痴……何でも話した。
人ならざるものが見えていたわけではない。
明らかに「何か」を感じ取っていたわけでもない。
それでも、誰に話してもきっと信じてもらえないと思うけれど、まるで母親に抱きしめられているような、心地いいあたたかさがいつもあった。
胸中にできた深い傷が少しずつでも、確実に癒やされていた。
やがて高校を卒業した私は、大学生になるのを機に村の外へ出た。
『なるべく顔を出すようにしますね。そのたびに立派になったって思ってくださるよう、頑張ります』
それでも大学を卒業し、祖父母が亡くなると、訪れることも難しくなってきた。社を忘れない日は一日たりとてなかったけれど、約束をしたのは私だ。ただ、心苦しかった。
『それなら、今まで見守ってくれてありがとうございましたっていう気持ちを、伝えにいけばいいんじゃないかな?』
そう助言をしてくれたのは、夫になる予定の彼氏だった。
――謝るより、今までの感謝を。神様に心配をかけないよう、一人前に生きていくと頑張る決意を。
その想いを胸に、社へ来た。
「ここで情けない姿ばかりを見せてきた私を、好きになってくれる人と出会えました。神様みたいに私をいつも優しく見守ってくれる、私にはもったいない人です」
震えそうになる声を必死に堪える。
「今まで私が頑張ってこれたのは、神様がいてくださったおかげです。頼りない私を、辛抱強く見守ってくださっていました。本当にありがとうございます」
ああ、頬が冷たい。笑顔を作りたいのに、なかなかできない。
「実は、もうこちらへは窺えなくなりそうなんです。夫と一緒に、海外へ行くことになって。なので……お別れを、言いに来ました」
社が歪んでいる。もし神様に実体があったら、しっかりしろと頭を叩かれていそうだ。
「社のことは一生忘れません。本当に……本当に、今までありがとうございました」
両手を合わせて、深く頭を下げる。この想いを少しでも、神様に届けたい。
そのとき、明らかに強い風が身体を通り抜けた。
――これからも息災でな。もう、泣いてばかりいるでないぞ。
慌てて顔を上げても、社があるだけ。
幻聴じゃない。神様はやっぱり、いてくれたんだ。
「……はい。神様」
目元を拭って、ようやく笑顔を向けられた。
お題:神様へ
神様へ。
どうして善人ばかり苦しい思いをして、悪人はのうのうとしているのですか。
どうして彼女を生かしてくれなかったのですか。
どうして彼女と一緒にいかせてくれなかったのですか。
どうして彼女は殺されなくちゃいけなかったのですか。
どうして
どうして
どうして
どうして
どうして彼女を殺したあいつは生きているのですか。