『病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
病室の片隅にあるベッドの上。
そこから外の風景を窓辺から眺める君の顔を遠くから見つめる僕は。
その大きな瞳にさざ波のように揺蕩う感情をはかり知れずに。
またこの胸の鼓動が逸る意味も知らぬままに。
この白い空間に囚われ続けている。
【病室】
病室
同じ医療を扱う場所でも。
入院病棟がある病院の空気は、
少し違う気がする。
お見舞いで訪れたそこは。
静かなようで、騒がしい。
いろんな音や声で溢れてる。
消毒液のような、独特の臭いと、
すれ違う人の空気。
見つけた先のそのドアに、
どこか緊張を感じながら。
笑って話ができるだろうか。
できれば声が聴きたいです。
病室
私は生まれつき体が弱く、特に夏になると毎年のように入院するため夏祭りも体調さえ良ければ行けるくらい
祖母の最期看取ったことがある。
病室に行ったときにはほぼ意識がなく、母の呼びかけにも曖昧な返事を返していただけだ。
「あぁ、もうすぐ亡くなってしまうのか」
漠然と死を受け入れていた記憶がある。
長生きをしていたから。
大病を患うことなく、寿命を全うしていたはずだから。
*
私の母がちょっとした手術で1泊2日の入院をしたことがある。
手術が終わったあとに、病室に行くと
酷く憔悴した母が居た。
何となく動揺しそうになった。
元は日帰りで帰れるかもしれない、と言われていたからそこまで深刻に考えていなかったのかもしれない。
結局母は翌日問題なく帰宅してきたのだが、
そのとき初めて死が過ぎった。
母が死んだら私はどう生きていくの?
どう受けいれられるの?
あと何年一緒に過ごせるの?
当たり前が当たり前でないことを今更のように実感した。
*
祖母の死と母の死は比較できるものではないけれど
自分の親だからこんなにも重みを感じるのだろうか。
私がすんなりと受け入れた祖母の死に対し、
母は重みを感じていたのだろうか。
それが分からぬように、大人びた振舞いをしていたのだろうか。
祖母の病室にいた母と、母の病室にいた私が、少しだけ重なっているように見えた。
病室。
白い殺風景。
窓から見える空や森。
仲良くなった病室の人達。
看護師。
味のしないご飯。
退院の時の嬉しさ。
もう、死ぬ時以外きたくないと思える場所。
病室。
病室
点滴が落ちる音さえ聞こえそうな病室で、ただぼうっと天井を眺める。今日も変わらず真っ白だ。
なんとなくテレビをつけると、好きだったお笑い番組が流れていた。いつの間に、夜になったんだ。
あれ、私、三回もご飯食べたっけ。覚えてない…。
まぁ、どっちでもいっか。私はどうせ、長くない。
お医者さんは申し訳なさそうにお母さんに謝ってたけど、別に、私に治るつもりがないから治ってないだけで。医療のせいじゃ、ないんだよなぁ。
だって、私に誰も会いに来ないんだもん。
誰も来ないなら…。私はいらないんでしょ?
# 病室
仕事中の骨折で入院して2週間が経った。
今日の朝方、隣の患者の男にベットの交換を申し込まれたれた、面倒で初めは断ったが
しつこく頼まれ私は渋々承諾した。
夜になると誰かがこっちに歩いてくるのがわかる。
その足音は確実に交換した、私の病室のベットに近づいていた。
病室
金銭面で大部屋にしようか迷ったけど、
結局、個室にした。
実際に入院したら、
私は個室にして良かったと思った。
病状が重くても、長期の入院でも、
大部屋しか選択肢がない人はいる。
選べる自分は、幸せ者だと感じた。
気がついたら病院の個室の中、点滴に繋がれていた。
無機質な天井と硬めのベッドの中、繋がれた注射の針と腕の痣がひどく痛々しい。
どうやら僕は事故にあったようだ。
だが、直前の記憶がない。どこかへ渡ろうとしていた事は覚えているから、おそらくは車に轢かれたのだろうか。
隣で恋人が涙を流して僕の手を握っている。
ああ、生きていてよかった、と。
僕は大丈夫だよと声をパクパクさせながら、再び眠りについた。
病院の病室にいる君。
彼が仕事のストレスによる過労で病院に入院したという連絡が来たので私は急いで病院に向かった。
彼とは仕事先で出会い、付き合うきっかけにもなったのだ。
一緒にアパートで暮らしてるほどだ。
そんな彼から入院の連絡が来て荷物をまとめて病院の病室に向かった。
私「大丈夫?荷物持って来たんだけど…💦」
彼、「ああ、ありがとう…、ごめんな。心配かけて…」
私「もう、バカ!、お仕事頑張りすぎなんだよ!、少しは相談してくれてもよかったじゃん!一緒に住んでるのに!」
彼「ごめんって…💦、お前に心配かけたくなくて…、それに…いろいろ準備してて…言えなかったんだ…」
私「なによ!準備って!」
彼「ここでいうのもあれなんだけどさ…俺たち付き合ってから1年くらい立つだろ?そろそろ…、その…、結婚の話とか出来たらって思ってて…💦本当にすまん!」
私「え?け、結婚の話…、ウソでしょ?」
彼「ウソじゃないよ。そろそろ結婚を考えてて…両親にお前のこと紹介しないとなって考えてたんだ。ダメだった?」
私「ううん、うれしい…、君と付き合うことが出来てこんなに幸せなことないと思ってたし、君のこと知れてすごくうれしく思ってたんだ。」
彼「よかった…、改めてプロポーズは治ってからにしてもいい?」
私「うん、治ってからだね!待ってるよ。君のことずっとずっと大好きだから!、元気になってね!」
彼「ああ、ありがとう❤️、お前と付き合えてよかった!治ったらプロポーズするから待ってろよ!俺も大好きだ!」
終わり
声劇、シチュボ台本。
また、病室がひとつ空いた。
空になった病室の窓から外を見下ろすと、楽しそうに笑っている男の子とその家族が抱き合っていた。
ふと、少しだけ口角があがる。
こちらに気付いたのか、男の子が私に手を振った。
「ありがとう!」
そう言ってくれた。
手を振り返して、後ろを振り返ると、同僚がニヤニヤとしてこちらを見ていた。
顔が赤くなる。見られた。最悪だ。
「まさか君にもそんな一面があったんだな?ふーん?」
「減給にしてやる」
人生の終わりを考える時、想像するのは年老いた自分が病室のベッドに腰掛ける姿だ
事故とか事件とか、命を落とす可能性は身近にあるのに、無意識に自分は最後まで生きられると思っている
「病室」
寂しそうに「もう帰る?」と
聞いた人の最後の声
雲が時の流れを教える
蝶が寿命を伝える
白い羽の天使が窓から入ってきて
いつもお話をしてくれる。
少し空いた窓からの風は、熱で火照った身体を、冷やしてくれた。神無月友矢は、ベッドに上体を起こし、外の景色と弟が来るのを見ていた。彼の病室から病院の裏手と駐車場がよく見えた。友矢は、生まれつき身体が弱く、子供の頃から入退院を繰り返していた。中学になって一学期の終わりに学校の健康診断で異常が見つかり、長期の入院になった。栗色のさらさらとした髪と、くりくりとした大きな榛色の目と色素の薄い肌をしていて、小ぢんまりとした姿なので、母性本能を擽ると女生徒達によくもてた。
意味無い。もてた処で、何時、命が尽きるか分からないのに、ツマラナイことだなと。
「おい、入るぞ」軽いノックの音と教会の鐘の音のような声と共に、美しい弟が現れた。
日が射す。
あなたが青空に溶けてしまう。
無機質な白は、あなたには似合わないこと。
それはよく知っています。ええ、知っていますとも!
でも、そんなに急ぐこともないでしょう?
せめて、空が赤くなるまで。
病室。この時期とにかく話題になるのは熱中症。その中でもエアコンをつけてた場合の電気代と熱中症になって入院することになった場合の費用の比較はよく目にする。
入院したら色々と金が吹っ飛ぶけどそれに加えて収入も減る訳だしな。万が一を考えたらエアコンの電気代なんて安いものよ。
そう理屈ではわかっているけど実際には色々とけちって電気代を安くしたいのが貧乏人というものだ。特にエアコンの買い替えは何度も考えてしまう。
何度も買い替えを決心してもいや、まだ使えるんだよな。という気持ちがわいてしまう。もうほとんど温度が下がらなくなってるのに。
でもそんなエアコンでもつけてるとつけてないとじゃ雲泥の差ではある。つけてないと間違いなく熱中症になっているだろう。
まぁ設定温度18度でも温度計は熱中症の危険ありを指しているのだけど。まだ使えているけど一度決めたことだし来年の夏までには絶対に買い替えるぞ。
でも今日はちょっとだけ楽だな。昨日雨ふったから少しだけ温度が低いのかな。それでも30度越えてるんだからこれからの夏はしんどいね。
しかし最近は暑さのことばかり書いてる気がする。実際暑すぎてもう暑さとエアコンのことしか考えられないくらい暑いからしかたないか。
来年はエアコンを買い替えて暑さのことなんて考えなくてよくなりたいね。
『病室』
病院というのは、息苦しいものです。
特に病室は、あの、妙な静けさが、私を哀しみで
覆いかぶさるのです。
1日目、魚肉ソーセージとシガレット2本
次の日、シャンパン
の、御見舞品
意地でも根性でも無く
ただ吹かしに一階へおり
隣のオジサマからライターを、貸してもらった
手術は、13時間で無事成功
リハビリでも、踊ってると言われた懐かしさ
今じゃ、踊れない
ただ、仲間と遊びたい
ちまき食って
ビールで乾杯
と、珈琲片手に書く私。
お題 『病室』
どんどん症状が良くなって明るい病室もあれば、病状が悪くなって暗い病室もある。
数週間前動けた人が、点滴の管や胃の管など入って
動けなくなっていく。
動けなくておむつ替えられたり栄養入れられたり、身体拭かれたり、あっち向いたりこっち向いたり身体の向きを変えられて、苦しい痰の吸引させられて。意識はなくて、言葉を発することもなくて。ただケアをされる。
意識はなくとも、看護師として声掛けしながらケアは行う。苦しそうな痰の吸引も、「すみません、もう少しですからね」て、一日に何回も。
この状態で回復の見込みもない。これは患者さん本人の幸せだと言えるのだろうか。
でも、ケアをするのが仕事だから。今日も病棟に行って看護をする。少しでも明るい病室が増えますように、祈りながら。