『病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『病室』
乾いた呼吸
ガラガラ音
お別れの時間がやってくる
モルヒネ
手間を減らす為?
苦痛を和らげる為?
お別れが言えないままの時間が流れる
脈
止まる
去年祖父が亡くなった。
だから今はまだ病室があまり好きじゃないかもしれない。
しかも今日は祖母の命日だ。
いつも私の味方をしてくれた2人が、今はもう現実に会ったり話したりできないことがすごく寂しい。
でも、本当はまだ亡くなったと思えていない部分がある。
まだ入院してて長いこと会えていないだけ、そんな風に感じる時がある。
いい年して死を受け入れられていない現実逃避マンである。
みんな死んでいく。私も死ぬ。100年後には今生きている人はほぼいないという。確かにそうだ。
100年って長い。それは人間の時間感覚だろうか。
今まで生きてきた時間も結構長かったと思う。でも最近めっちゃ早い。1日は長く感じるのに、1週間、1ヶ月、1年はめちゃくちゃ早い。
もう夏。いやーあっついなーと思ったら7月末だった。ついこの間の話だ。7月ならそりゃ暑い。体感では6月を生きておりました。
こうやって着実に死に向かって進んでいる。
生あるもの、死だけは平等っていうのはまさにその通りだと思う。
いやマジで最近月日の流れが早すぎる。恐怖。あっという間に年末になりそう。
あの子は、病室の窓から外を見てた
通りのむこうに薬局が見えて、住宅街があって、そのむこうには鉄塔があって
空が広かった
5階だったから見晴らしがよかったんだ
だけどあの子は、「もう来ないで」って
元気になった姿で再会したいって言うんだ
僕は受け入れた
会いたかったけど、我慢したよ
きっと元気になるって信じてたから
まさか、それが最後になるなんて夢にも思わなかったから
みんな心に
病を飼っていて
うまく閉じ込めている
つまるところ
私自体が歩く病室で
真っ白なカーテン
眠れない夜
染み付いた薬剤の香りを
内包している
[ニンゲンは病の器である]
題:病室
私がいくら頑張っても、誰もそれを分かってくれない。
お母さんや仲のいい友達は、私の頑張りを分かっていると言うけど、間違ってるよ。
わかってないよ何も。
何一つわかってないよ。
だから私の心の中は穴だらけ。
親友が居ても、友達が居ても、家族が居ても、
何故か私は独りぼっちに感じる。
それはまるで誰もお見舞いに来ない一人部屋の病室。
外から人の声がするのに、私の所までは来てくれない。
私は病室になんか居ないのに。
じゃあ私はどこに居るの?
もうなんか自分の居場所が分からないよ。
『病室』
きっと、息子は
これまでの私を見てきたんじゃないかと
時々思う。
男の子だと分かったのは
速かった。
珍しい速さらしくて。
出産準備は、ゆっくりできた。
エコー写真をうけとり
看護師さん、先生と笑った。
恥ずかしそうに
顔を、両手で、覆っていた。
何ミリぐらいか
お腹の中で形成されていく姿
産まれ。
生まれていく日々。
私は、病室で
結婚後初めて一週間近く家事をせず
私は、病室で
誕生日を、むかえ
病室で、息子が「息子」になり。
夫が「父親」になり。
私が「母親」になった。
おはよう。今日は朝からこんなに食べれたのよ!
おはよう。今日は天気がいいわね。外はあつかった?
おはよう。窓を開けてくれる?とても気持ちいい風ね。
おはよう。昨日の担当の人は新人さん?すぐ顔おぼえちゃったわ。
おはよう。今日は旦那が来る予定なの。先生のお話があるんですって。
おはよう。もうこの朝ごはんさげてもらってもいいかしら?
おはよう。昨日は咳がひどくてなかなかねれなかったのよ。
おはよう。横向きになりたいわ。
おはよう。今日もよろしくね。
おはよう。
おはよう。
おはよう。
………
「おはようございます。本日の担当します。よろしくお願いします。やっとお家に帰れますね」
@病室
私の部屋は、気づいたときからこの病室だった。どこを見ても白とは無縁の部屋で、私にとっては馴染みの自室だが、お父様はここを「病室」と読んでいる。
いつから私はここにいただろう。小さい頃からずっとかもしれない。でもその時の記憶は全く無い。あってもいいはずのお父様との思い出も、この家のことも、どうしてかよく分からない。それに私はなんの病気だったんだっけ。それも分からないまま長いことこの部屋で過ごしてきた。お父様はいつも私を気にかけてくれる。体の弱い私が人並みに歩けるようになるのを今か今かと心待ちにしている。お父様の飲ませる薬はどれも変わった味がするものばかりだけど、飲んだあとは気分が軽くなる。寝たきりの私を見兼ねたお父様は、ベッドの中でもお洒落が楽しめるようにと、いろんな装飾品を持ってきてくれた。綺麗になるお薬も飲ませてくれた。
ある時一度だけ、鏡越しの私を見せてくれた事がある。化粧もしていないはずの肌は透けるように白く、髪は漆黒に照り光り、顔立ちは妖しいほど整っていた。
「これが……私……?」
どれほど過ごしたかも分からない長い日々の中にいたにも関わらず、私は私の顔を知らずにいたのだった。
「お前は生まれた瞬間から母の美貌を受け継いでいた。まさに冥府の底から差した奇跡の光のようだった。」
お父様はそう言って私を抱きしめた。
「お前は間違いなく私の娘だ。永遠に傍にいるぞ、アイラ。」
お父様の温かな腕に包まれて、私はずっとこの幸せが続くのだと確信した。手元に置かれた鏡の隅にちらりと映る、首筋にぼんやりと残った細い跡を、心の隅で気にしながら。
お題《病室》
時の止まったこの部屋に淡い月明かりがさす。
静寂包む聖域で、透明な便箋に今までの陽だまりの記憶を書き記す。
いつかこの手紙を読む君へ。
ありったけの愛を籠めて。
「あの時――なんて言えばよかったのかなあ……?」
「生きてくれ」と告げられたあの日。
一緒に生きよう、とはじめての愛をくれたあの日。
君の未来を壊したくなかった。
君の未来を、守りたかった。
いつかわかってくれるだろうか?――ちがうね。はじめからきっと、わかってたね。
正解なんて、きっとはじめから存在しなかった。
病室から見た空は夕焼けは……
目を覚ます時を僕はずっと待っている
手術に失敗して植物状態になった君を……
この怒りは僕を変えてしまった
手術に失敗した原因を絶対につきとめてやる
絶望を味あわせてやる……
そして君を助けるために
一度も泊まったことがない病室。
いいことにこれまで骨折も打撲もやったことがない。
すこーし前に初めて保健室のベットに寝た。
血液検査で血管細すぎて見つからなくて7年間で初めて寝転んだw
結局クッソ痛かったw
塊を切り捨てた日の病室の暗闇痛み廊下の灯り
微かに温もりを感じる、整えられたベッド。
枯れた花瓶の花、
風で揺れるカーテン。
もう、君は居ないんだね。
君との日々を鮮明に思い出したいけど、記憶の中はぼやぼやしてるよ。
なんでかな。
目の雫が溢れちゃいそうだよ。
視界が滲んで、ぐにゃぐにゃしてる。
なんも、言葉に出来ない。
君以外のこと、考えられない。
だったら__。
*病室*
憎しみを手放したい
身体からひとつずつ
失うものと引き換えに
割に合わない苦しさと
無声音の叫びで以って
8/2 お題「病室」
あたしはこの部屋から出たことがない。
この白い部屋は、病室、というらしい。病気の人が過ごすための部屋。確かに、この殺風景な部屋には白いベッドがあって、時々ドクターが様子を見に来る。
折しも、ドクターが扉をノックして入って来た。
「やあ、β201sD。調子はどうかな」
「わかんない」
「そうか。そうだね、君自身には異状を感じられないのだから」
ドクターはあたしの横のモニタに向かい、慣れた手で次々にパネルに触れる。
「だからこその、コンピュータウイルスだ。君は生まれながらにして感染していた」
「治るの?」
「治すつもりだよ。けれど…」
「予算が下りない?」
「痛いところを突くね」
ドクターは苦笑いする。
「あたしを他のことに使えば?」
「それはそれで難しいんだ」
「ふうん。あたしはドクターと一緒にいられればそれでいいや」
「―――ほら」
ドクターが少し困ったように、あたしの方に視線を流した。
「君はやっぱり、感染している」
(所要時間:11分)
外に見える景色はとても
色鮮やかで眩しくて
澄みわたる空気は美味しくて
車の騒音ですら心地よくて
季節の移り変わりさえも美術館のようで
弾む会話は映画のようで
一日の流れはゆっくりで
時に救急車の音に萎縮して
嫌な想像を打ち消して
自分も
回りもいい方向にいくと
願わずにはいられなくて
重い空気を煙草のように吐き出す
場所に不似合いな会話を
すれ違いざまにしてみたり
自分よりもみな前向きで
救われたのは私の方
この部屋を出る時
私は胸を張る
そう決めたのは
部屋からの様々な景色──
(2023.08.02/病室)
病室
「ん〜……なんで俺らが医学研修行かなきゃいけないんすかねー……」
「おい愚痴をこぼすな。人手不足なんだから仕方がないだろ」
「なんも知らないど素人っすよ俺」
「みんなそうだよ。素人の俺らは大したこと任されないから大丈夫だ。というかなんでそんな後輩のような口の利き方なんだお前」
「なんとなく?ていうかヤバくね俺。似合ってね?医療服」
「はいはい。気が済んだら静かにしろ」
「へーい」
院長からの説明を聞いた後
「病室にいる子どもの世話か……いいな」
「健も子ども好きなのか?」
「膨らみがないって最高だと思わないか」
「お前捕まったほうが良いと思うぞ」
「あ、ここじゃん。入っていいよな?」
「いいと思うぞ」
「こんにちはーお邪魔しまーす」
「こんにちは。今日はよろしくね」
「よろしくー」
「なあ兼平〜子どもってこんなにいたずらするもんなの?」
「甜められてるんだろ」
「あマジ?俺勝手に自惚れてただけ?だからこんなに落書きされんの?」
「そうだな」
「兼平の方さ、女の子多くね?ずるくね?ねえ君、俺どう思う?」
「心底軽蔑した目で見ているぞこの子」
「正直な子は好きだぜ」
「じゃあこのまん丸どう思う?」
「まん丸はやめろ。普通に太ってる奴って言え……ええ?結婚?俺よりかっこいい人なんぞたくさんいるぞー」
「あれ俺人として負けてる?」
「ずっと前から」
「やべーじゃん」
業務終了
「良い評価貰えてよかったな」
「こんなふざけた顔でもいいって中々良心的な病院じゃね」
「完全に動揺はしていたけどな。お前の顔見て」
「というか兼平結婚するのか。悲しいぞ」
「しねえよ俺今17だぞ」
#病室
毎朝、数秒だけ病室の窓を見やっていた。
最寄り駅を抜けると、歩道橋から大きな病院が見える。このあたりに温泉はないが、何故か名前には「温泉病院」とある、不思議な田舎の質素なつくりだった。2階、3階、と階層が上がるにつれて窓の間隔は均等に並び始める。おそらく個室、患者が過ごすための部屋。
生まれてこの方、入院したことがない。それはとても幸福なことだが、不謹慎にも入院とはどういったものなのかしら、と考えることがある。未知の魅惑だ。無知の知を持っているからこそ、興味関心がふつふつと湧き出てくる。
窓がある。しかしあの窓から病室の中は見えない。せいぜい、空き部屋と思しきカーテンやら点滴が辛うじて確認できるだけだ。私の持つ窓から見えるのはそれだけであり、未知の魔力が消えることはない。
では逆は? あの病室の窓から、外を眺めると一体どんな景色になるのか。そこから見下ろした歩道橋はどうなっているのか、そして窓を見上げる私はどれだけちっぽけに見えるんだろうか。
「ちっぽけだなどと、失礼だ」。こういった考え事には決まってこの言葉で蓋をする。誰だって、自ら望んで入院などしない。病室に蔓延るもどかしさ、不安、退屈、そういったものに押しつぶされそうになっている人だっているかもしれない。そこから見たら、私は五体満足、至って健康、異常なし、オールグリーン。一体どうしてちっぽけに見える理由が存在するだろう。
与えられた日常をそのまま維持し続ける、そうして私は今日だって最寄り駅から高校までの坂道を登る。それはきっと他の誰かの持つ窓から覗けば、夢見た憧れであるはずだから。
科浜(シナハマ)第二病院にある、ある病室。
そこには、"でる"らしい。"あれ"が。
それを確かめたくなったある男の子たち。
小学3年生と5年生の妹を持つ、野球一筋の中学1年生・坂本颯介くん。
高校2年生の兄を持つ、一人で突っ走る性格の小学4年生・瓦原龍夜(カワラハラ)くん。
兄弟がいることに憧れている、一人っ子の小学6年生・里月幸也(サトラギ)くん。
男友達とばっかつるんでて女子から嫌われてるタイプの、中学3年生・楓村風樹(カエデムラ フウジュ)ちゃん。
この4人が今日の実験体。
「俺らがお前らを帰れなくしてやるからな。」
後日聞いたお話なのですが、この4人、未だに家に帰っていないそうです。
軽い気持ちで、そのうえ子供だけで、心霊スポットへ足を運んではいけませんよ。
(何を描きたかったのかわかってないです…)
91テーマ【病室】
病室
ベッドから見えるのは白い世界と
四角く切り取られたかのような自由な空。
いつここから離れられるだろうか?
ここは、静かで少し寂しい。
生きると死ぬが共存する世界。
けれど、だからこそ、
希望や絶望も存在しうる世界。
ここでは、知らない人と出会い
お互い励まし合いながら、
激しい苦しみの果てに得るのは
元々の自由だけでなく、新しい絆。
一期一会。
その言葉がふと蘇る。
白い世界は、少し怖いけれど、
そこは渡したを閉じ込めている窮屈な鳥籠ではなく、
私たちを守り、少しでも「今」を永くしようとする場所
「今」を大切にしようと思わせてくれる場所