『病室』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
毎年この時期に病室から見える花が好きだ。
大きい音を立てて、夜空に大きな花を咲かせて、私たちに元気を与えて散っていく花火。
いつも静かな小児病棟もこの日だけは花火の音と、小さい子たちがそれを見て喜ぶ声が響き渡る。
昔は、来年も楽しみだと思えていたのに、ここ最近は花火が散っていく度に、来年は見られるのだろうかという不安が心を侵食していく。私は生きていたい。
小さい頃からこの病室が、家の自室のようなものだった。学校に行きたいけれど、行けなくて、病室の窓の外から見える都会のビルの景色が変わらずにずっと一緒にいてくれる存在。この花火たちも一緒だ。
ここ最近、いつもできていたことができなくなっている。寝ていることが多くなった。目を覚まさなくなったらどうしようと。
今日は久しぶりにこの時間まで起きて、花火を昨年と同じように見ている。どれだけの人がこの花火をどこから見ているんだろう。
誰かが知らなくても、この病室でひとり、花火を見ている人がいたんだよと空に放たれる色とりどりの花が知っていてくれたらいいのにな。
私は花火の音が気にならないぐらいに瞼が重くなってきた。まだ見ていたいのに。来年も見れるよね、見たいよ……
「少女の窓辺」
きみがうたってる
涼しい光の窓際で
__永遠の少女は
純白の朝に身を包まれて
赤い目をしたうさぎに微笑みかける
きみのほかに世界は存在しない__
病室の向こう側、そこには白くて明るい光があった。
病室のこっち側、そこには君がいた。
一歩、また一歩と病室の向こう側に歩いて行こうとする君のことをぼくは止めてしまった。
ぼくの勝手でとめてしまった。
何も知らずに、知った気になって、
止めてしまった、
身動き出来なくなっていた。
暴れないように?、暴れる気力もねぇわ。
手首、足首にされた楔まるで獄中暮しのようだった。
私は奴隷なの?
いつ出れるか分からない薄暗い病室の中私は今日もそう思いながら病室の天井を見上げていた。
ガタッ
医者のような人がゾロゾロ入ってきた。
立場的に偉そうな医者が私に向かい、「次は君の番だ」とだけ言い、私に目隠しをして担架に乗せられどこかへ連れてかれた。
そして、注射のようなもので刺され眠った。
そこから私が目覚めることは無かった。
真っ白なのに妙にカラフルになっていくな
『病室』
窓から見える広い世界
狭いようで広い部屋に1人
まるで病室の中にいる私の心
疲れたな
明日になったらまた笑おう
今日は疲れた心を癒そう
扉を隔てた向こう側には
パタパタと歩くシューズの音
窓を隔てた向こう側には
力強く鳴き続ける蝉の声
カーテンを隔てた向こう側には
微かに他人の動きを感じられる
そんな静寂の世界に僕はいる
どうしてこんなことに?
何がいけなかったのだろう?
あの時ああしていれば…
いつ治るのだろう?
ずっとこのままなのかな?
もっと酷くなるのかな?
時が過ぎるのを待つばかりの
この静寂と白い空間の中で、
答えの出ない想いが
幾度となく繰り返えされる
「病室」2022/08/03
不安妄想から身体を壊すタイプの人間が書くとこうなる。
ふわふわな尻尾をふりふり。モデルのようにお尻を上げて優雅に歩く君。
時々、甘えるように体を擦り付けてくる。
ゴロンと横になって、こっちを見上げてくる。
毛並みに沿って撫でると、気持ちよさそうに目を瞑る。
ふかふかのお腹に顔を埋めてもいいですか?
猫パンチが頬にヒットしました。
病室の窓から見えた花火
いつか貴方の隣で見れますか?
ベッドから見上げる花火というのは悲しいものです
花火の上で待つ事だけはしませんからね
病室
ここは、人がそれぞれの運命を待つ場所
死を待つ人、生きることを願う人、病と闘う人、
帰りたくても帰れない人、
体は生きていても動くことすらできない人
様々な運命を織り交ぜた空間は
人の思いと共に、また1つ記憶を重ねていく
今日、ちょうど、病院へ行く予定。
ここの病院は自分にとって大切な事、所。
最初の頃は不安でまわりの景色、人たちなんて
見えなかった。
でも今は病気になり感謝しているくらいだ。
只、病院には、なるべくかからない方が良いのだろう。(医療の方々すみません)健康で、いたいもの。
数年前、父は病院で亡くなった。
あの時、どれだけそこの病院にお世話になったか。
一度は手術が出来ないと断った脳外科の先生。
父には持病があるので、手術したら、助かるか…。
結果、先生は、決断し手術をしてくださり、父も安静に。朝方、異変が起き私と母、叔母で急いで病院へ。隣街までの40分が長かった。無事でいてと祈りながら運転した。病院につき直ちに処置。その時の廊下の窓からは、朝日が登り、朝が始まっていた。この朝日を見る事が出来ない人もいる…そんな事思いながら過ごした。
先生の処置のおかげで命は繋がり翌年父の誕生日。
父は病室。せめて誕生日ケーキを家族で食べようと持って行ったが、父は喜んでくれたが食べなかった。もう食べられなかった。入退院を繰返し、退院前に病院の食堂で、メロンソーダーが飲みたいと飲んでいた父。
病院は、体や心を治す場所。
医療従事者の皆さんが頑張り最善を尽くしても救えない命もある。
今はコロナで、大変だと思いますが、どうか、御自分も労り、休める時に休んでください。
医療従事者の皆さんありがとうございます☺️
病室
なんてタイムリーなお題
2週間ほど前に私は病室にいた。
大腸炎で入院中だった。
入院なんてしたのは出産以来。
コロナ禍での入院、更に個室だったこともあって、外部との完全な隔離状態。
病室にやってくるのは看護士と先生、清掃員だけ。
でも、なぜかさほど寂しいとは思わなかった。
新しい病院なので個室はホテルのよう。
電話も出来るしネットも出来る。
退屈ではあったけれど、家事も仕事もやらなくていい。
1週間の点滴でシャワーと着替えがままならないことと、五分粥のけっして美味しいとはいえない食事以外はいたって快適だった。
きっと、神様が休みなさいと与えてくれた時間なのかもしれないと思った。
重病ではなかったことが幸いだった。
眺めるのは窓の外ばかり
あの枯れ葉が全部落ちたら俺も
なんて思ってたけど
集団病棟じゃそれもままならん
『病室』
旅先で体調不良になった私は
知り合いがひとりもいない土地で入院した
4人部屋の病室には年配の女性が2人いた
彼女達は誰も見舞いに来ない私に優しくしてくれた
2週間経った頃ひとりの女性の病室が変わった
それから1週間経たないうちにもうひとりの病室も変わった
退院の日
お世話になった看護婦さんに彼女達のことを聞いた
2人共もうこの世にはいなかった
私が退院するまで伝えないで。という約束をしていたらしい
彼女達から頂いた優しさは今でも私の心に残っている
あの病室で笑った3人の笑い声とともに
水がぽたぽたと落ちる音がする
だらだらと流れる汗は気持ちが悪い
水が飲みたい、喉が渇いた
そういっても体は動こうとしない
波のようにぐにゃぐにゃした頭が揺れる
気づいたら4:36と出ているのに気がつくけど
何も出来ないままブルーライトの光を浴びる
カーテンが段々と明るくなるのに気がつく
恐怖は消えない
病室にいるかのように白いベッドは、暗闇に照らされて黒いベッドになる。
それは肌に触れると
涙で湿っているような感じがする
病室にいるかのような僕の寂しさは
注射で埋めることは出来ない
その部屋には消毒液はなくて
僕の涙の匂いだけで埋め尽くされたみたいだった
僕が呼んでも誰も来るはずもなくて
病室にいたおばあちゃんは来るはずもなくて
ただ1人寂しい僕は
またあの病室に身を委ねたい
もうだめだ、と父は言った
白い四角い病室に
味のない時間が
規則正しく流れていることが
おそろしかった
わたしはあのとき
なんと言葉をかければよかったのか
後悔など、するはずもなかった
わたしの心には
埋められない大きな空白があった
向き合うこともままならない
正体不明の空白が
それとどう折り合いをつけて
それまでを生きてきたのだろう
わたしはあのとき
なにを言ってあげられたのか
冬の病室は 季節感もなく
無機質に沈黙するばかりで
#病室
「病室」
消毒液の匂いと、なんとも言えない匂いが漂っている
白くて、殺風景で、静かで
寂しさを、ひしひしと感じる場所
手術後の病室、部屋は真っ暗で静か
どうしてこんな時間に目が覚めたのか、もう一度、目をつぶっても寝られない。
麻酔が完全に切れてないのか
体が自分のじゃない様な不思議な感覚で
気持ち悪さも感じた。
必要最低限の物だけで殆ど何もない
誰もいない
嫌な電子音
おかしな自分の体
自分には大きすぎるベットが体を動かせない事を改めて実感させる。
自分に繋がれた点滴や機械を取ってしまいたくなった。
起きて歩き回りたい。外に行きたい。
自分に繋がれたものを取った所で今の体じゃ走る事も歩くことも出来ないが目に見える物についつい八つ当たりしてしまいそうになる。
早く退院して家へ帰りたい
僕… ?ふとして上を見上げたら看護師さんたちが僕を覗き込んでいる。
あ、これアニメとかでよくあるやつだ。と、僕は思った
「私、何があったのでしょう?」あれ…?私?
まぁ、いっか。
あれ、なんか目の前がぐるぐるす…バタン
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ヒト… ?ふとして上を見上げたら看護師さんたちがー…
あれ?なんかこの光景、見たことあるな。
なんでだろう。あぁなんか…頭がものすごく痛い…
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生物… あれ?何!?この感覚もしかして私、人間になれたの!?
?なにか、がこっちを見て…る…
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無… ?………………
家族以外の面積はー
断られた
ずーっと会えない
早く退院してください
毎日お祈りしてます
早く治りますように
もしかして
追い出される方が
早いかも
こんなご時世に病気に
なると ほんとに
病室が遠すぎる
目が覚めると、知らない天井が真っ先に見えた。
なんとなく頭が痛い。
(ここは…病室?)
ズキズキとした痛みの中でぼんやりそう思った。
そういえば、どこからかアルコールの臭いがする。
(俺は一体何でこんな所に?)
最後の記憶では確か自宅のベッドに身を沈めたはず──夜中に喉が渇いて起きた記憶はあるが、外に出た記憶はない。
横たわったまま左に視線をやると大きな窓がある。
そこから見える景色は雲のひとつもない快晴だ。
空が見えるだけで周りの建物等は目に入らない、随分高い場所にある病室だな。
窓以外全て白い壁を眺めながら、ここはどこなのか、何故自分はここに居るのかを考えてみる。
が、情報が少なすぎて何も思い当たらない。
状況が分からないばかりなのはどうにも気持ちが悪い。
身を起こそうと腹筋に力を入れると頭の痛みが一際増し、思わず呻きながら頭を抱えてしまった。
「うっ………ったく、何なんだよ……」
呻きながら目の届く範囲を見回してみるが、どうにもものが少ない──というか、俺が寝ているベッド以外にものがほとんどない。
随分前に個室で入院した事があるが、ナースコールや袖机のような棚などがあったように思う。
待てよ……?
ナースコールが無いとしたらどうやって医者を呼べば良いんだ?
酷く痛む頭痛の他に悩みが出来てしまった。
この後また別の問題にぶつかり、あんな事件に巻き込まれるだなんて…この時の俺は予想もしていなかった。
次回「ナースセンターに潜んだ殺人鬼」
一生続きません。