『理想郷』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『理想郷』
暖かい日差しが、窓の向こうから差し込んでくる。
明かりをつけていない部屋の中を、優しく照らす。
部屋着の上からカーディガンを羽織る。
水色で少し大きめのカーディガン。暖かいから冬の必需品。
私のお気に入り。
キッチンでマグカップにホットチョコレートを入れる。
それを両手で包んで、ソファーに座る。
少しずつ飲みながら、ぼんやりと遠くの音に耳を澄ます。
大通りから少し離れているし、この辺りは人通りも少ないから、よく耳を澄ませないと車の音も人の話し声も聞こえない。
直で聞くと恐怖を感じる都会のざわめき達も、ここまで小さいと気にならなくなる。
ホットチョコレートを飲み干して、空になったマグカップをテーブルに置き、ぐいっと伸びをする。
さてと。大学へ行かなくては。
せっかく第1志望の大学に受かったのだ。都会の音が怖いなどとは言っていられない。
勢いをつけてソファーから立ち上がる。
私の一日、始まり。
水族館の魚が泳ぐ遊園地で結婚式を開きたい。
これが、私の理想郷。
【理想郷】
俺は夢を見ていた。
目を覚ませば、至るところに俺を好く女がいる。酒は湯水の如く湧いて出るし、嫌味ったらしい上司も俺に平伏している。
俺はその国の絶対的な王者だった。何をしても許されるし、俺が言ったことがその国の秩序になるのだ。
以前まで俺が暮らしていた国は、本当にどうしようもない場所だった。俺を馬鹿にする奴らばかりの、腐りきった国。
頭ごなしに俺を否定する、人格が破綻した上司。俺の気持ちをちっとも理解しようとしない、口だけでかい女。少し社会に出るのが遅れただけで、そのことをグチグチと言い続ける毒親。
あいつら全員腐ってやがる。俺は常日頃からそう思っていた。
だから、全員手に掛けた。俺が新しい国へ行く前に、せめてもの配慮で全員あの世に送ってやった。
あいつら、今頃閻魔様の御前で泣き喚いているに違いない。
そう思うと、今までの鬱憤も晴れるようだった。死ぬ間際にも関わらず笑みが止まらない。
俺は新しい国へ行くための切符を思い切り蹴り上げる。椅子がガコンッと倒れ、俺は宙吊りになった。
意識が遠のいていく。待っていてくれ、俺の理想郷。
目を覚ますと、はじめに飛び込んできたのは死体の山だった。腐乱臭と血の臭いが充満している。
あちこちから想像を絶するほどの悲鳴と怒号が耳へ流れ込んでくる。
「俺じゃない、俺はやってない!」
「どうしてこんな酷いことするの、私じゃないんだって!」
「あいつが悪いんだ! 俺はこんなところにいるはずじゃないんだ!」
「さて、君の前科は?」
いつの間にか、目の前には巨大な男が座っていた。口ひげを蓄えた威厳のある赤鬼。そいつが、私を見下してにやりと嫌な笑みを浮かべていた。
桃源郷なら在ったかもしれない。
人々が働かずに生きていける、餓えることのない世界。
桃の香りがする極楽。
理想郷は存在し得ない。
私の夢は、誰かの夢を阻害するから。
ひととひとは永遠に、分かり合えないようにできている。
お題「理想郷」
理想郷
じっとしているだけじゃ
なにも始まらないから
キミと遠くで なにかが 絡み合っていく
この思いのさきに きっと君の見てた夢が
何でだろ ?
予感さえ わからずに キミと話した
まだ見たこともない 理想郷がどこにあるか何て
飛び立つ羽も どこにあるのか わからなくなってた
君の両手に 広がっていく世界
また会えると思って 通りすぎてた
もう一度 どこかで会えるか何て
約束もないまま 背を向けただけだった
今あなたに 全ての言葉を
足りないくらい 思い出は たくさんある
今届いた 幼い頃のように 駆け巡る想いが
きっときっと離れないでと ビート打つから
未来さえ まだ見えないけれど
いつかはページが増えてく
キミとすれ違った 予感の数だけ
君の面影増えてく
君の背中に 光る流星みたいに
綺羅星たちが 集まる 君の予感に
#理想郷
それは悲惨な戦争もなく、
人を傷つける言葉や行動がなくなる
温かい言葉や励ましのあるのびのびとした
繊細さんな方が生きやすい世界
生きづらいと感じている方が
もっと気楽で呼吸のしやすい世界🌍
ユートピア、夢の都、夜は海に沈み、朝は白玉の壁に、揺れる陽光。
壁際に立っている女性がいる。
彼女は、道具屋をしているのだが、床に広げてある、品々が売れないため、こうして立っているのである。
名前は、ルーナという。
ルーナは小さい女の子で、最初は名前を持たない女の子だった。
少し大きくなった頃、人がやって来てこう言った。
「きみ、このパンをあげよう」
ルーナはお腹が空いていたので、かすめ取るようにしてそれを受け取った。
「名前は?」
「ないの」
「それじゃあ、君は今日からルーナだ」
それから、彼女はルーナという名前である。
羅針盤を見ている客がいたので、
「そいつは、宙に浮かべるものだよ。いまから、二百年ぐらい前のものさ。とある、偉い学者が考えたものでね、それはさぞかし、立派な学者だったそうだ」
と、ルーナは言った。
興味がなさそうに客は帰って行った。
「ちぇっ」
と、ルーナは呟いた。
今日もあっちの店では、客が喜ぶ声が聞こえてくる。大盛況のわけを、ルーナは聞きたかった。
理想郷か。
やっぱりこの世の中だったら
コロナも戦争もなくて
飢える人もいない
平和な世の中がいいよね。
【理想郷】31 kogi
あなたがいなくなった
この世には
わたしの理想郷なんて
どこを探しても
在るはずもなくて
あなたが居てくれれば
そこが
わたしの理想郷だった
# 理想郷 (318)
争いも、すれ違いや衝突も無い。
誰も傷つかない。
悲しみや苦しみ、孤独なんてものは存在しない。
そんな世界はきっと生きやすいのかもしれない。
だけどね、それでは「つまらない」ような気がするんだ。
鈍くなってしまうんじゃないかな、僕たち人間は。
理想は理想のままでいいのかも、なんて。
〝理想郷〟
ここは私と推しだけの空間
この空間では、推しと密着出来るという
宇宙一幸せな
『推しとファン』 の理想郷である。
理想郷ではなく
君が
僕が
作り出すんだよね
自分の世界を
〜理想郷〜
理想郷
私が求める理想郷はみんなが争わず、ずっと笑顔でいられる世界
親が子供を傷つけたり、捨てなくてもいい世界
それが私にとっての理想郷
―暗がりの中で―
ヒューーーッ
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ッッグシャリ
0日目
近頃ホラー好きの間で密かに話題になっている
心霊スポット〈果てなしトンネル〉
立ち入り禁止のテープが貼られたその入口に
踏み入るが最後
語彙以外の記憶全てを失い
暗がりの中謎の蝋燭の明かりに連れられて
トンネルの果てまで歩き続けることになるのだとか
今までにそのトンネルに挑んだ勇気ある者たちが
帰ってきたことはないらしい
そのためトンネル内での“最後”を知る者はいないが
一部のホラー好きの間では
トンネルの途中で力尽きて霊になり
今もトンネルを彷徨い続けているのでは
などと数々の考察が繰り広げられている
理想郷
そう… 私は孤独を選んだ…
光りの色が強過ぎて
私は私が在る故に痛く
漆黒の闇に 深く堕ちた…
そう… 私は終焉を望んだ…
描き続けた理想には
私は私が在る故に儚く
絶望の闇に 静に朽ちた…
許され無い この世界で
見続けた 存在は
何時しか 色褪せて…
閉ざされた この感情は
独りなり 失われ
何時しか 廃に散る…
そう… 私が 選んだ…
哀しき 理想郷…
理想郷
お金なんかいらない
名誉もどうでもいい
何もかも必要ない
ただ、心地よい風が吹く高原で
読書をしながら眠りたいだけ
これが私の理想郷だ
理想郷
なんの裏切りもなく
交わされた約束が守られ
みんなが笑顔でいることを
許されている世界
誰にでも光は降り注ぎ
誰にでもやさしく
誰にでも等しい
涙は皆無な居心地
私は私のままでいい
あなたはあなたのままでいい
確かめ合う必要もなく
認め合う必要もない
形なきものの存在を
交わし育て合う心の都
手を伸ばせば届く
身近に感じる思いの都
皆さんの投稿を拝見させていただくと、
とても詩的でキラキラした雰囲気の文章ばかりで素直に「すごい…!」と舌を巻きます。
いつか、自分にもこんな素敵な文章を書ける日が来るのでしょうか!?
うーん……無理! そもそもセンスが違います!
こりゃもう、別な方向に突っ走ったほうが良さそうですね。
頑張ります。どこに理想郷があるか、さっぱり分からないですが。
相反するものがなければ
それは叶えられない
治したい医者には
病人が必要
癒したいヒーラーには
傷ついた人が必要
勝利し崇拝されたいヒーローには
負け役の悪人が必要
夫々の役割を
演じながら生きる
この世は舞台
経験の宝庫
地球
全てを忘れて
降り立った
ここは遊園地
艱難辛苦
喜怒哀楽
全てを味わい尽くすまで
輪廻は続く
苦労の無い
痛みの無い
ただ真っ直ぐの道には
何の感動も無い
喜ぶには
喜べないものが必要
幸せを感じるには
不幸を味わわねばならない
悲しみも無い
苦しみも無い
どんな望みも全て叶う
そんな
何時の時代も誰もが
求め続けている世界
理想郷
闇で瞬く光
一瞬の煌めきだから
それは美しい
それが永遠なら
なんて退屈な世界
「理想郷」
刺さらない棘がもぎ取られた花束の一つ一つの茎と泡の消えるつぶらな音と、交わらない日々と削れた錆が降りかかるくらいの距離の心はいつも鍵の形で
『理想郷』