『理想郷』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「理想郷」
理想郷 そんなもの 人それぞれだ ただ、同じ目標 同じ理想に立ち 共に行けるなら それは輝く未来へ続く理想に立ち 共に行けるなら それは輝くかけがえのない未来へ続く
楽園とは名ばかりの地獄
好きなものだけを詰め込んで
何がどこにあるかすら分かりやしない
遠く空の高いところに
美しく気高い空の使者と
暗く深い海の底に
麗しく儚い海の使者
地上に現れる理想郷は
ニンゲンたちの最後の砦
大荒れの時化の中で船を操舵する。
私の人生はいつもそうだ。
耐え難い試練があるか、凪で一休み出来るか。
いつかはどこかに辿り着くのだろうか?
ここまで考えて気づいた。
目標を持たずに海に飛び出している事に。
そうだ理想郷を思い描こう。
それがこの航海の目標だ。
「昔に戻りたい」
君がポツリと漏らした一言。
昔は楽しかったね。
特に何があった訳ではないけど、毎日が輝いていた。
大人になった僕たちは、現実を目の当たりにし、
だんだんとあの頃の輝きを失ってきた。
今はしんどいけど、もう一度手を取り合おう。
自分の輝きを取り戻すことは大変だけど、
相手の輝きは取り戻せるから。
お互いに輝きを取り戻したとき、
あの頃のような楽しい毎日が過ごせるから。
ひたすら笑って、泣いて、お互いに遠慮なく、
自然体で過ごせたあの時のように。
そして、思い出の場所でまた会おう。
そこは僕らの理想郷。
〜理想郷〜
なぁ知ってるか?
ささやく人の声が、すれ違いざまに鼓膜を撫でる。少し距離があいた頃にどよめきとざわめきが場を揺らす。
なにそれすげーじゃん!
めっちゃいい!
え、でもマジなの?
やばくね?
行ってみようぜ!
増す一方のボリューム。楽しそうで何より。その様は若者の特権だから。
話の内容は何となく察しがつく。まことしやかに広まった、夢みたいな条件の求人の話だろう。そこで働く人の紹介以外では応募することが出来ないという特殊な条件のもと、破格の給金でありながら仕事内容はある屋敷に住むだけ、というもの。立地は僻地でありながら、娯楽にもさして事欠かない。自然豊かなアクティビティに、最新の電子機器の類も揃っている。居心地が良過ぎて、行ったやつはまず帰って来ない。夢みたいな話だよな。
だけどまぁ、普通に考えてみようか若者たち。
誰も帰って来ない。本当に?どんなに快適に設えた場所であっても、誰一人帰らないなんてことがあると思うか?
もし仮に誰一人去らないのであれば、求人が出続ける理由は?
人づてにしか辿り着けない、正規のルートで求人が出ないのはどうして?
夢のような生活に憧れる気持ちもよく分かるが、起きながらにして夢の中にいるのは、あんまりいい気分じゃないぜ。
独り言のように頭の中で考える。彼らがまやかしの夢に飲まれないように祈りながら。その間も体は勝手にどこかへ向かう。
今やこの体の全ては俺の意思のもとにない。脳に埋め込まれたチップから出る電子信号が全ての権利を奪ってしまった。意識だけはぼんやりあったりなかったり。感覚的には夢を見ている時や、金縛りのそれに近いような気がする。
なぁ知ってるか?若者たち。まばゆい理想はきっと、雪のように儚く脆いんだ。
〉理想郷
清くてあたたかい、
誰も争わない、嫉みも憎悪も侮蔑もない
罪深くてもそうでなくても、救われる世界
それを人は、「何」と語るのか
例えば
夢半ばに倒れた誰かの生きる世界。
例えば
添い遂げなかったアイの成就する世界。
例えば
多くの犠牲を得ずに理想が叶えられた世界。
ともすれば、それは『理想郷』と呼ぶべきモノだろう
しかして、
例えば
苦しみを背負って倒れたのに
「起き上がれ」と生かされる世界。
例えば
寄せられ囁かれた愛の言の葉が
「全て嘘」で浮薄な恋人を持つ世界。
例えば
多くの「希い」の下進んでいったのに
騙った偽善者だ独裁者だと詰られる世界。
誰かの『理想郷』はややもすれば
誰かの『███』になるかもしれない訳だ
この世にありふれた願いは、正に鏡に写る万の華。
見方を変えれば美しいが、そうでない事もある
原初の欲求こそ同一であっても
そこからくるくると感情を纏わせ
簡単に違う『願望』へと転じさせる。
紛う事なく千差万別。
全ての願いを結集なんてさせたら
何が出来るかなんてわかりゃしない!
そりゃあ区別も差別も戦争もなんだって起こる筈さ、
…おや?長々と語る『僕』は一体何が言いたいのかって?
統合された、或いは「心のない」人間…
いや、ヒトガタの集まりでも無い限り、
全て救われる真の理想『郷』なんて無いさ
って話だとも
そんなに重く考えなくていい。
なんせこれはただの、フィクションなんだからね!
齧って欠けた林檎の果実を片手に
心の羅針盤に身を任せ
海を渡り山を超えて
まだ誰も知らぬユートピア
この目で見てみようじゃないか
── 理想郷 ──
脱ぎ捨てた身体はちゃんと畳んで仕舞ってください。
理想郷 天使係より
争いのない世界。飢えのない世界。怒りや悲しみ、憎しみのない世界。まさに理想。
それを叶えるにはまず個体差があってはならない。外見の醜悪があるから、身に付けるものの質の違いがあるから、性格の違いがあるから、人は人を羨んで、憎んで、争う。
それなら全部管理してしまえばいい。
産まれたら決められた顔に整形して、人より背が伸びたら削り落として、衣食住は決められたものだけを何もかも与えればいい。
君達は選択などしなくていい。つまり身に降りかかる悪い事は全部何かのせいにできるんだよ。
それでもこの計画にはまだまだ粗がある。もっと隙無く練り上げなくては。
それでも劣等感を抱く奴は□□すればいい。こんなにこちらが努力してもなお他人と比べて生きる奴なんて、そもそも生きることに向いていない。早々に去ってもらうのが優しさだ。
ああ、なんて素晴らしい。なんてよくある話。素敵じゃないか。
薄桃色の空。
そよ吹く風。
色とりどりに咲く花たち。
どこからか漂う甘美な香り。
羽ばたいていく鳥の群れ。
サファイアブルーの水辺に降り立つ一羽の鳥。
虹色の翼と長い尾羽。
こちらをじっと見つめた後
水面をくちばしでつつくと
波紋が幾重にも広がって
私と鳥はひとつになった。
-理想郷-
僕の頭の中に理想郷がある
誰もそこにはたどり着けない
僕もだ
きのう出会った人の頭の中にも
理想郷があった
だけど僕はそこにたどり着けない
その人もだ
みんな現実世界に生きていて
両足で歩いて、肺で呼吸していた
何かの救いのようにコーヒーを飲んで
横書きの知識を自分の中に詰め込んで
半月の夜を快走する電車に乗って
帰っていく
どこへ向かおうとも必ず
発車のベルが鳴る
平等だ
今や総理は根なし草
どれ程の理想郷を掲げられるのか
期待する気が起きぬほど
総理は何をしようとしてるのか
国民には見えてこない
総理は何をしたいの?
志しは何処へ消えたの?
総理は理想すら語ろうとしない…
今や総理は根なし草
支持率や世論ばかり気にして
あっちにふらり こっちにふらり
この国は何処へ向かっているのか
国民は皆 迷える子羊だ
総理 そろそろ変えよっか
次も きっと 駄目かもな
国民は理想すら語れずにいる
#理想郷
あなたが居て 私が居る
ただそれだけで
静かな穏やかな時が流れる
誰もいない島。
ただ腐敗した建物だけが並ぶ、緑に生い茂る殺風景な景色
数年前はたくさんの人が住んでいたニッポン。
一夜にして空から降ってきた矢に殺された島。
酷く残酷で無惨であった。
しかしそれはひどく美しかった。
人の死というものは生よりも美しいのだ。
全てを失ったニッポンこそ、
最も美しいと言えよう。
私はこの島を愛している。
私にはお気に入りの桜の木がありました。
とても美しい木で、私は花が咲いていない時も
毎日、その木に会いに行っていました。
ある日、いつものように角を曲がって
すっかりと変わってしまった風景に
愕然としたのを覚えています。
駆け寄ってみると
あの桜の木は丸太にされて横たわっていました。
昨日までの光景とは全く別のものに
なってしまった事を受け入れる事は
できませんでした。
私は、伐られてしまった事
そこに桜の木が存在しない事を
認めないために、その近くに行くのをやめました。
今でも春になるとまた花を咲かせていると
そう思っています。
多分、そこが私の理想郷なんだと思います。
綺麗な風景がひとつひとつなくなっていくと
またそこに行ってしまったのだと
思うようにしているのですが
現実のこの世界はなんてつまらないのだろうと
思うのです。
元は現実に存在していたのに
何時の間にか理想郷へ行ってしまうのは
おかしな話しだなと思います…
「カフェ 理想郷」という店に入った。
理想郷ってなんだろうなと思いながら、一つしかないメニューのコーヒーを頼んだ。
一つしかないということは、さぞスペシャルなコーヒーなのかと思ったが、味はいたって普通と感じた。それにしてもやたらと落ち着く。ロッジ風のお洒落な作りではあるが、似たような内装はよくある。カフェライターのわたしとしては今の所、書くべきことはないと思っている。
やたらと落ち着くこと以外は。
ふとお店のパンフレットに目がとまり、手に取る。
コーヒーの写真と、キャッチコピーのような言葉が書いてある。
ここは、私にとっての理想郷。あなたにとってはわかりませんが。
やたらと落ち着くのはそのせいか。
店主と結婚する数年前の話である。
理想郷を求めてるわけではないが、今だけは、今のこの時だけは求めさせてくれ。
「理想郷」
私の頭の中には、
私の理想郷が詰まっている。
でもそれは、
私がして欲しいことが詰まってる世界でもあって、
なんて強欲なんだと思いながらも、
私は今日も理想郷へダイブする。
珍しく、時計よりも早く起きた朝は、
いつもよりちょっとだけ、
贅沢な朝食を食べたくなるものだ。
休日ならば尚のこと、
ミルを回して珈琲を淹れたり、
読みかけの本を開いたりと、
不思議なくらいにワクワクする。
ただ残念な事にそのワクワクは、
私がこの温い悪魔を跳ね除ける前に、
再び瞼を閉じてしまう。
だから今だって、
1人で騒ぐ時計にも、
夢にまで見た理想郷にも、
手が届かないのだ。
-理想郷は夢の中-
「ユートピアって現実には存在しない、理想の場所、理想郷って意味らしいよ」
「えー、ユートピアって、どこにでもある名前だよね、スーパー銭湯とか、パチンコ屋とかにありそうじゃん」
「理想郷ってどんなイメージ」
「春に花咲いてる、見渡す限り続く桃畑のイメージかな?山梨県笛吹市あたりの」
「それって、桃源郷っぽくない?しかも、桃しか合ってない」
「桃源郷も理想郷でも、いっしょでしょ」
「イヤイヤ、反対の意味らしいよ。しかも郷しか合ってないよ」
「えー、じゃあ、あなたの理想郷は?」
「働かなくても、みんなが自由に安心して、幸せに暮らしてる世界かな」
「あー、ホントだ、ユートピアの意味あってるね『現実には存在しない場所』って」
『理想郷』