『理想郷』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「理想郷」
私の頭の中には、
私の理想郷が詰まっている。
でもそれは、
私がして欲しいことが詰まってる世界でもあって、
なんて強欲なんだと思いながらも、
私は今日も理想郷へダイブする。
珍しく、時計よりも早く起きた朝は、
いつもよりちょっとだけ、
贅沢な朝食を食べたくなるものだ。
休日ならば尚のこと、
ミルを回して珈琲を淹れたり、
読みかけの本を開いたりと、
不思議なくらいにワクワクする。
ただ残念な事にそのワクワクは、
私がこの温い悪魔を跳ね除ける前に、
再び瞼を閉じてしまう。
だから今だって、
1人で騒ぐ時計にも、
夢にまで見た理想郷にも、
手が届かないのだ。
-理想郷は夢の中-
「ユートピアって現実には存在しない、理想の場所、理想郷って意味らしいよ」
「えー、ユートピアって、どこにでもある名前だよね、スーパー銭湯とか、パチンコ屋とかにありそうじゃん」
「理想郷ってどんなイメージ」
「春に花咲いてる、見渡す限り続く桃畑のイメージかな?山梨県笛吹市あたりの」
「それって、桃源郷っぽくない?しかも、桃しか合ってない」
「桃源郷も理想郷でも、いっしょでしょ」
「イヤイヤ、反対の意味らしいよ。しかも郷しか合ってないよ」
「えー、じゃあ、あなたの理想郷は?」
「働かなくても、みんなが自由に安心して、幸せに暮らしてる世界かな」
「あー、ホントだ、ユートピアの意味あってるね『現実には存在しない場所』って」
『理想郷』
「おはよう」に「おはよう」が返ってきてくれる場所
帰りたいって思える場所
それが「家」だというなら、私の家はどこにあるのか
理想郷を捨て、旅に出た。
荷物は背嚢一つとパンパイプだけだ。ロバのテゥーの丈夫な背中に身を預け、川に沿って国を出ていったのだ。
最初の頃は幅も広く、気迫に満ちた流れの川だったのだが、故郷から遠くなればなるほど弱く、狭いものになっていった。近くにあって当たり前だと思っていた針葉樹林も徐々に斑模様となり、やがて完全に草原に変わった。木が一本も立っていない地には、人間も生息しないようだ。
夜は焚き火をみながら国の音楽を奏で、テゥーに聞かせた。二ヶ月間、毎晩違うところで野営をし、娘のことと、生まれ故郷のことを思いながら寝入っていた。
旅を続けている内に大草原が砂漠になり、川もいつの間にか蒸発してなくなっていたが、代わりに先方に薄く小さく、一つだけの尖った山が現れた。それを目指して砂山の中を進行した。
食料も少なくなった頃に、テゥーが足を痛めた。歩けなくはないが、人を乗せて運ぶのは無理だ。ゆっくりと、ロバと並んで歩くことにした。
尖った山が段々と大きくなり、くっきりと見えるようになった。もう、食べ物がないものの、その眺めを栄養にして一歩一歩進んでいった。山の方に近づくと砂漠が途絶え叢が広がる地域、そして見たことのない樹木が見えてきた。そこでテゥーが倒れ、息絶えたので、安眠できるように広々としたお墓を掘ってやった。
山の麓に小さな、こぢんまりとした集落を見つけた。震える足とやつれた顔の私を見ると村人が助けてくれた。彼らが勧めてくれる食べ物と柔らかい寝床を丁寧に拒み、道案内をお願いした。
集落から少し離れたところ、小さな川の隣に娘たちの家が立っていた。ヤギや鶏が自由に歩き回っている。その家のドアを叩くと、娘の旦那が迎えてくれた。
彼の腕の中から、碧い布に包まれた、小さな赤い顔が覗いていた。私は、玄関に立ちながら孫を抱き、涙を流した。
理想郷を捨て、再び母になった。
ー理想郷ー
皆が笑顔で
ゆるゆる生きて
豊かな所
『理想郷』
あったら住んでみたいけど
あるのは頭の中だけ
もし頭の中の理想郷に住んでるとしても
日常になれば不満が出て
また違う理想郷を模索しはじめる
人間とは欲深いもの
背を向けることをただ1人おぼえないぼく。全てがきらめいて、全てが楽しい。日差しはただあたたかい。日向ぼっこにさいてきだとおもう。みんなは目を細めてしかめっ面だ。
ぼく、なにかおかしなことをしたのかな。みんなが嫌な目でこっちを見るんだ。コソコソってしてないで、なにか言いたいことがあれば言えばいいのに。
じゃんぷじゃんぷするのがすきなだけだよ。くれよんでまるを描いてその上に線をかきたすと、くものす描いてるの?って言われる。たしかにそう見えるなあ。ぼくは何を書いてるんだろう。
ぼくはこの白い建物が嫌なところだって分かるよ。ちゅうしゃを打ってくる場所だろ?かーさんは「あなたはどこか悪いのよ」って、ひっしな顔してぼくを見上げる。かーさんについてったら、脳って字が見えてきた。
かーさんはしんぱいしすぎさ。だからかーさんが嫌いなのよ。おとうさんが言うにはひすてりっくになりやすい、って。もっとわかりやすく言っておくれよ。
あの白い建物からもらったおくすりなんてのみたくないよ。苦いやつだろ?こなの、アイスといっしょに食べるやつだ。あれ、なんだかラムネみたいだ。
おくすりをのむと、ぼくがぼくじゃないみたいになる。ぼくの両手がぶるぶるしてる。たいちょうは悪くなったりするけど、ぼんやりしてた頭がげんきになってくみたいだ。
僕は作り話が好きだ。前の僕が見えてた世界を、文字に書き起す。僕の理想郷を、まだ手離したくない。でも絶対に戻りたくはない。まだ時々、思い出しては手が震える。でも、もうぼくはだいじょうぶだよ。
<理想郷>(ユートピア)11.1
No.3
へぇ、ここが君の理想郷。ふんふん、好きなものに囲まれた部屋ね。
いろんな趣味があるんだね。結構集めているんだね。
うん?俺?
自分の部屋ねぇ。あまり何も無いよ。ものは置かない。それが、理想郷かって?
悪いね、君をいじめてるわけじゃないよ。
理想郷ってなんか、成長の停滞を感じるのよ。
理想というより、怠惰かな。
思いやりと自己犠牲の境界って
どこなんですかね
───お題『理想郷』
誰も傷つかず、死なず、孤立せず、泣かず、飢えず、迷わず、病まず、叫ばず、失わず、消えず、乱れず、失わず痛まず嗤わず嫌わず嘆かず去らず止まらず能わず動かず眠らず歌わず探さず醒まさず動かず起きず食べず進まず覚めず作らず壊さず産まず踊らず聞かず言わず見ず咲かず枯れず生まれず死ねず
それならはじめから
争いも病もない平和な世界。
何の不安もない自由な世界。
死すらもこない幸せな世界。
皮肉なものでしょう。
誰しもが一度は描いたこんな世界のことを
どこにも存在しない場所『理想郷』と呼ぶんですよ。
お題 『理想郷』
『理想郷』
理想郷、それは、みんなの喜びで溢れる場所
でも、そんなところはどこにもない
みんな、それぞれの価値観があって生きている
誰かの喜びが誰かの悲しみかも知れない
誰かの悲しみが誰かの喜びかも知れない
世の中はそんなもので溢れてる
だから、そんな理想郷はどこにもないし、あっちゃいけない
みんなの価値観を消し去ってしまうものだから
理想郷、それは、みんなの笑顔で満たされる場所
でも、そんなところはどこにもない
みんな、それぞれの想いで生きている
誰かの笑顔が誰かの泣き顔かも知れない
誰かの泣き顔が誰かの笑顔かも知れない
世の中はそんなもので溢れてる
だから、そんな理想郷はどこにもないし、あっちゃいけない
みんなの想いを消し去ってしまうものだから
理想郷、そんな場所はどこにもない
だから、自分の理想郷を自分で作らなきゃ
せめて大切な人達だけでも喜びで溢れ、笑顔で満たすことのできる、そんな場所
そんな場所も誰かの悲しみで溢れ、泣き顔で埋め尽くされた場所の裏側にあるのかな
それなら、僕は理想郷なんていらない
せめて、いまある場所を大切に、少しでも良くなるように足掻こう
一人でも多くの人が笑えるように
一人でも多くの人が喜びに包まれるように
理想郷
「ただ抱きしめて頂けるだけでよろしかったのです、
僕はそれだけで十分でした。」
うら若い彼らの理想郷とはどこにあったんだろうね。
私は今でもよく分からないよ。
少なくとも私はそれを理想郷とは言わないと思うよ。
「さようならを貴方に」
文句ばかりの雑踏。
流れる波は闇より暗い。
人は何を為せた。
身を任せるばかりで、
その足は、手は、
一寸も動かせていない。
「理想郷」など、
何と烏滸がましい。
夢に彩られた日々は、
遥か遠い、
辿り着けぬ場所にある。
理想郷
自分の好きな物
好きなことができる場所
自分が幸せに過ごせる場所を
理想郷と言うのか
それとも
自分だけでなく
みんなも幸せに過ごせる場所を
理想郷と言うのか
それは人それぞれだけど
他の人の理想郷を
バカにすることは絶対にしてはいけない
十人十色、百人百色
みんなそれぞれの色がある
助け合い
励まし合い
信じ合い
お互いがお互いを尊重する
怒りより 笑い
嫉妬より 尊敬
いつもこころ穏やかでいられる
私の理想郷
『理想郷』
暖かな日差しを受けて輝く野原
若草色に混じって香る花々
いつかのやさしい春の記憶
永遠の幸福を閉じ込めた神様の宝箱
僕らだけが愛だった
088【理想郷】2022.11.01
「ヴォロージャ兄さん……お茶の時間だけど、どうかな?」
声をかけながら部屋にはいると、ヴォロージャは窓際にいざりこんでなにかに夢中になっていたらしい。内緒の悪戯を見つけられた子どものように、はっとこちらにふりかえった。
「……あ、あぁ……ユーリャ。もうすこしだけ待ってて。いま、果樹園に南国の果物を植えられないか、実験しているところだから」
と、兄は気もそぞろであるといわんばかりに、いらえを返そうとした私を置きざりにして、色鮮やで、つるつるとした小石をいくつかつまみあげ、床の上に並べた。
「はい。これでおしまい」
無邪気ににっこりしながら立ちあがると、
「いくよ、ユーリャ。遅くなると、お母さまが気を悪くなさるからね」
と手をさしのべて、むしろ私のほうをいざなおうとした。私は、不用意に目頭が熱くなったが、かろうじて、手をまぶたまで持っていくのは抑えた。
弟である私のほうが年長者であるかのように兄に接さねばならなくなって、もう一年以上経つ。回復の見込みはない、と医者からは見放された。教会は、ただ祈れ、とだけ告げて突き放した。きまぐれにおとずれる、こうした奇跡の瞬間、ヴォロージャが幼きみぎりを思い出したかのように、長兄として気丈に振る舞おうとする姿を見せてくれる瞬間だけが、私にとっての唯一の慰謝であった。
ふたりして室を出ながら、私は一瞬だけ後ろを見て、ヴォロージャの理想郷の全景を視野におさめた。
もともとは、テーブルのチェス盤の上でだけの世界だった。チェスの駒と、煌くカフスボタン、それとふたつばかりのさいころ、それが兄の版図であり、人民であり、作物であった。それはいくばくもせぬうちにテーブル全体にはみ出し、さらに拡大し、いまでは床一面がヴォロージャの夢に占領されている。兄弟共有の玩具だった機関車はアジアへとつながる鉄道となり、妹のサーシャのドールハウスは国会議事堂になっていた。わざわざペテルブルクから取り寄せた哲学書は、もはや読まれることもなく、ヴォロージャの版図の縁のほうに累々と積み重ねられている。これらはいまでは、国境の山々となっているのである。
「お父さまは古臭くて困ったものだね。もう、旧来のやり方は通用しなくなってきているというのに……次期当主である僕の意向もとりいれて、あとすこしだけでも農奴の待遇を改善してくれたらいいのに」
ね、ユーリャもそう思うでしょ、と小首をかしげるヴォロージャに、私は中途半端な返事しかできない。以前なら、その理想に私も私の理想を熱く語り返すことができた。だけど、いま、ヴォロージャは後継者ではない。私でもない。次期当主は、父に忠実で、もしかしたらそれ以上に反動的かもしれない二番目の兄、ニコライだ。
すべては、半年にわたる獄中生活のせいだった。私は、おもわずヴォロージャの細い体躯を抱きしめた。その背中に、腕に、拷問の傷跡が残っているのを、衣服に隠されてはいても、私は知っている。
革命への夢は、もはや断つしかなかった。いまはただ、このひとさえ無事にながらえてくれたらいい。私の望みは、ただそれだけだった。
「ふるさと納税はじめたんだー」って言ってこられてぞっとした。そいつこの前家買ったんだが。賃貸じゃないのにふるさと納税。ちゃんとシステム調べた? 自分の住んでるところの財政知ってる? ババアは将来のお前のキッズ達へ、「お前の親たちお前のこと地獄に突き落とそうとしてんぞ」って伝えたい。
本来自分の住んでるところに入れる税金を他の地区にFOR YOUするのがふるさと納税。よって、やっていいのは根無し草の賃貸住みだけだと思ってる。今一瞬は確かにいいかもしれんが、その地に定住する気なら他所に納税するのはよせよ。