『狭い部屋』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
狭い部屋
狭い部屋か一番落ちつく。
私の集中したいときは狭い部屋に籠もって
作業する。
なぜこんなに集中できるのだろう。
僕は狭い部屋の中にいる。
部屋には僕以外誰もいない。
たったひとりのへや。
その部屋は不思議な部屋だった。
時間になると食事が来る。
食べ終わると食事はいつの間にか片付けられており、
机の上に勉強道具と教材が置いてある。
そして時間になるとゲームや漫画などの娯楽が与えられる。
ここでの生活は、とても楽だ。
時間通りに決められたことをやる。
自分自身で考える必要もなければ、
選択を迫られることも無い。
何も考えずに目の前に出されたものをこなすだけ。
そんなある日、僕は気付いた。
本当にこれで良いのだろうか?
人の敷いたレールの上を歩く人生は
選択をすることもなければ考えることもない。
とても楽なのである。
しかし、だからといってこのまま
このレールの上を走り続けるのはどうなのだろうか?
考えに考えた。
自分自身の頭で。
そしてついに僕は自分の意思で外に出た。
他人の敷いたレールからようやく外れたのだ。
外の世界は広かった。
『狭い部屋』
狭い部屋で
貴方とふたり
音を紡いで
体温を重ねる
ふたりの愛を積み上げた分だけ
壊れる時は静かなことを知った
そんな日々は今はもうなくて
貴方が居ないのも平気になった
あの狭い部屋は空気が重くて
密度が濃すぎたのよ きっと
貴方が空に行ってしまうなら
私も連れて行ってほしかった
あの部屋の比にもならないほどの広さで
貴方は今 何をしているの
どうしてひとりで 抜け出してしまったの。
_ ₁₇₉
大学に合格して、上京してきた。
初めて実家を出て、東京で六畳一間の部屋を借りた。
かなり年季の入ったアパートで、一階は豆腐屋だった。
朝の仕込みの音で目を覚まし、原チャリで大学へ通ってた。
夜は銭湯まで歩く。
温まった体でアパートに帰り、錆びた鉄階段を上がり、ギシギシと鳴る廊下を歩いて、部屋のドアを開ける。
いつしか見慣れた狭い部屋の風景。
万年床に、山積みの雑誌、こたつの上の麻雀牌。
そこで生きてた。
そんな時代があった。
一人で、自由だった。楽しくて、時に寂しかった。
PCもスマホも無く、実家から持ってきたワープロで、そんな想いを綴っていた。
たくさんの言葉を書き連ねたけど、紙に印刷することしか出来ず、いつしか色褪せて捨ててしまった。
あの狭い部屋で生み出した言葉達は、今頃どこを彷徨っているのか。
今は我が家を手に入れて、家族で暮らしている。
あの頃の自分と、今の自分。
まったく同じで、何もかもが違う。
この言葉達は、記録され、誰かに見てもらうことも出来るけど、あの頃の自分が感じていた想いは、今はもう表現することは出来ない。
あの狭い部屋に還ることも。
数年前、ドライブがてら、あのアパートまで行ってみた。
懐かしい思い出に出会いたくて。
でも、豆腐屋もアパートも無くなっていた。
小綺麗なマンションに変わっていて、錆びた鉄階段もギシギシ鳴る廊下もなかった。
足繁く通った銭湯も取り壊されていて、自分がここで暮らしていた痕跡はどこにも見当たらなかった。
でも、確かにいたんだよ。
あの時代に、悩んで、笑って、遊んで、大人になろうとしていた自分が。
あの狭い部屋から、大きな世界に羽ばたこうとしていた自分が。
今は、どこにいったのかな。
まだここにいるのかな。自分の心の中に。
いてくれたら、いいな。
無駄に散乱した日用品、家具、他諸々、私の買った私物。
それが、この部屋を狭くしている。
物に囲まれてると安心するけれど、
反面…私の居場所が無いって、私が泣きそうになってる。
狭い部屋には、私しか居ない。
物言わぬ物達は、私を慰めない。
…断捨離しよう、もうこれら全ては私の重荷なんだ。
大きなダンボールとゴミ袋を用意する。
そこに、捨てたい記憶と余分なもの達を詰め込む。
捨てる事は、選ぶ事だ。
物を捨てる、そして、自分の居場所を作る。
居場所を作って、自分を見つめて。
私を捨てない為に_
狭い部屋
起きもしないこと
不安を抱えに探す
かすり傷すら恐れ
踏み出さない一步
勝手知ったる"いつも"は
心乱されぬ安全な居場所
世界はこんなに広いのに
なんて狭い所に留まるのか
狭い部屋
扉はあるけど扉はない
まるで、監禁されてるよう
ここは私の部屋
細長くて狭いけど、知名度も価格も高い都心の一等地
部屋に面した通りは多くの人々が行き交い、そこには昼には昼の夜には夜の全く別の、それぞれに魅力に溢れた街が広がっている
そこを行き交う人々は私の美しい部屋に憧れや羨望の眼差しを向け、私もまたその視線に喜びを感じている
その私の部屋は私が望まなくても常に美しく整えられ、季節感いっぱいに彩られている
そして、私自身も少し季節や流行を先取りした完璧な装いに身を包み、少し物憂げな表情をあえて浮かべ人々の眼差しを誘う
こんな恵まれた環境でこれ以上何を望むの?
確かにその通りだけれど、
この狭い部屋が私の世界のすべて
この部屋を飛び出して、私だって皆と同じ様に笑いあったり恋もしたい
でも、それは無理…
そう、私は銀座の真ん中の、あの有名なショーウィンドウの中のマネキンだから
『狭い部屋』
狭い部屋
あれやこれや夢見て広い部屋にしたというのにおかしい。確かここには機能的テーブルを置いて幾何学模様のレースのテーブルカバーをかけて、丸いフォルムの椅子があったはず。
壁に収納があるから、本棚は中に入れて、ベッドは壁にくっつけた。なぜ、お気に入りのものの姿が見えないのだ?ミニマリストにはなれないが、それなりに断捨離した。キッチンは何も変わらず機能的だ。
ワンルームだろう!汚部屋にしてしまったのか?
待て待て。床にはゴミも落ちてないぞ。
ピンセットが目に入る。
首を傾げて部屋を覗き込むとハタと思い出す。
あっ?先程掃除する為に摘んで出していたらしい。万年せんべい布団の上にお気に入りテーブルと椅子があった。やれやれ。ピンセットでテーブルと椅子を戻す。
肩をグルと回して腕を横に伸ばすとヒンヤリとした壁に触れる。
あぁ、立って半畳寝て一畳、妄想だけは無限に広がる。
狭い部屋
私は、狭い部屋が好きだ。
楽だし。
落ち着くし。
居心地がいいし。
一人で、いられるし。
気を使わなくていいし。
そう思っていた。
今も思ってはいる。
だけれど、何か目標を達成しようと思うならば
この、狭い部屋から扉を開けて
外の世界へ足を踏み出さなければならない。
扉は、鉛のように重く、普通に押すだけでは
扉は開かない。
そのため、外から誰かの手を借りるか、
自らの力で少しずつ扉を動かすしかない。
手っ取り早いのは、前者。
身になる力、開放感をより実感できるのは後者。
どちらにせよ、扉を開けたとしても
さらにその先に、何が待ち構えているかは
誰にもわからないし、
レールも自分で敷いて行かなければならない。
そのレールは、一人で敷いていくのはあまりにも
困難。
とはいえ、誰かに協力を求めようにも
誰が、そのレール敷く手伝いをしてくれるか
何もわからない。
だからこそ、失敗を繰り返し
そのレールを作り、また壊して敷き直す。
その繰り返し。
そして、どこかのタイミングで
自分の納得が行くレールが作り始めることが
ようやくできる。
そして、少しずつレールを伸ばしていく。
それも、一つと人生なのだと。
あとは、自分の納得行くレールを作るろうと
するあまり協力してくれた人を、ないがしろにしては ならない。
感謝を忘れない。
そして、黙々と努力することも大切。
狭いほうがいいじゃない
物が置けないからね
ほんとうに 必要なものだけ
狭い部屋
生き物がいると、生活に張りが出てくる。狭い部屋で生活していると尚更そう感じる。
犬や猫の場合は、伝えた愛情が返ってくるからわかりやすい。植物の場合は、花が開いたり枝が伸びたり、新葉が艶を輝かせたり。無言でも変化が見えて楽しい。
難しいのは、窓際の金魚鉢の住人だ。餌をやるときは反応があるが、それ以外はいつも変わらず。笑いもせず声もあげず。
可愛いと思うときもある。でも、やるせない気持ちになるときもある。小さな命をコントロールしている、小さな優越感に浸っているだけなのかも、と。
本当はこんな小さな鉢から出て、大河を旅したいと思っているのかも、と。
そしてたぶん、それは自分自身のことなのだ、と。
そんなことを考えながら、ごめんな、と言いながら鉢の中に餌を放つ。
10日前のあの日、僕は人生の転換点をむかえた。
あの日、僕は姉と弟と3人で
ショッピングモールに出かけていた。
しばらくした後、テロが起こっていしまった。
姉はテロに巻き込まれて死んでしまった。
弟は逃げ惑う人達に踏まれ続けて死んでしまった。
あれから僕は自分の狭い部屋に引きこもっている。
姉弟助けれなかった後悔と自分だけ生き残ってしまった責任をずっと感じ続けている。
引きこもり始めてから2週間後また転換点が来た。
お昼ご飯を食べているとあの人が家に入ってきた。
あの人は入ってきては突然僕にこう言ってきた。
君の家族を奪った人たちに復讐したいとは思わないかい?
普通の道から外れることになるけれど
僕はあの人からの魅力的な提案を断れなかった。
そして元に戻ることのできない生活が
あの人とともに始まる。
《狭い部屋》
荒廃した、この世界。
僕は今日も、空を見上げる。
濁り切った空に、一つの大きな鳥籠。
そこで、君は無邪気に遊んでいる。
君は知らない。
この世界がこんな汚れていることなんて。
ああ、こっちを見ないでくれ。
君の澄んだ瞳に見つめられると、この世界にいる意味が、分からなくなるから。
狭い自室のベッドの上が
わたしの定位置
わたしの居場所
部屋の扉を閉めれば
縮んだ心は一瞬のうちに
大きく翼を広げる
嘆きながら
呻きながら
耐えながら
流した涙を
この狭い部屋は
無言で受け止める
悩み苦しむ時でも
淋しさに眠れない夜でも
どんな時でも
この部屋は
いつも温かく優しい
# 狭い部屋
あなたがいなくなって
この狭い部屋にひとりきり
部屋が広かったら
きっとこの寂しさに
耐えられなかった
家は壊してみて初めてわかる
こんなに狭いところで暮らしていたんだね
ぎゅうぎゅうのツバメの巣のような部屋だった
#狭い部屋
狭い部屋
それは私の心…。
なんで?私の仕事また取るの?
なんで?私の決めたことに“ウン“と言わないの?
人と仲良くできない。
仲良かった人ともダメになる。
そして、自分の心に深い傷を掘り込むように
自分を責め、傷ついたまま癒せぬまま。
狭い部屋に私と猫たち。
ベッドの上は猫に占領されて、私が横になろうとすると邪魔そうにする猫たち
自由で、気まぐれで。
とても愛らしい。
これはなかなかまずいことになった。
私は家で本を読んでいたのだが、彼との約束の時間はもう過ぎていたらしい。彼はなかなか機嫌が直らない。私は本を置いて、彼を眺める。
整った顔立ちは、かなり使えると思うのだけれど、彼は私たち以外には無愛想なのだから台無しだ。
適度に鍛えられた体は私を持ち上げるなんて雑作もないことだろう。君はなにを考えて、なにを思うのか。時々考えている。君は優しいから、きっと私を見捨てられないのだろうけれど。ちゃんと、置いていってね。
狭い部屋の中で、君と二人。
また、仲直りをしたら彼女のバーにでも行って、みんなで飲もう。今回は私の奢りだから、好きなだけ飲んだらいい。
ご機嫌斜めな君も、無愛想な私も、きっと大丈夫。
この人生も悪くないはずだから。