僕は狭い部屋の中にいる。
部屋には僕以外誰もいない。
たったひとりのへや。
その部屋は不思議な部屋だった。
時間になると食事が来る。
食べ終わると食事はいつの間にか片付けられており、
机の上に勉強道具と教材が置いてある。
そして時間になるとゲームや漫画などの娯楽が与えられる。
ここでの生活は、とても楽だ。
時間通りに決められたことをやる。
自分自身で考える必要もなければ、
選択を迫られることも無い。
何も考えずに目の前に出されたものをこなすだけ。
そんなある日、僕は気付いた。
本当にこれで良いのだろうか?
人の敷いたレールの上を歩く人生は
選択をすることもなければ考えることもない。
とても楽なのである。
しかし、だからといってこのまま
このレールの上を走り続けるのはどうなのだろうか?
考えに考えた。
自分自身の頭で。
そしてついに僕は自分の意思で外に出た。
他人の敷いたレールからようやく外れたのだ。
外の世界は広かった。
『狭い部屋』
6/4/2024, 10:49:52 PM