『狭い部屋』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
不自由にも思える
私の楽園
安心をくれる
私の楽園
悲しみに耐える為の
私の楽園
私らしく過ごせる
私の楽園
身動きのほとんど取れない
小さな楽園で
日々眠り、日々起きる。
もう少し広いと嬉しい
なんて思ったりしなくもないけど
住み慣れた小さな楽園は
心地がいいもの。
–狭い部屋–
思い出す ひとり暮らしのアパートの
不自由の中の自由さを
【狭い部屋】短歌
【狭い部屋】
今日も還らぬ貴方を待つ。
掃除を済ませ、買い出しと夕飯の下準備を終え
ポツリ零れるように貴方への思いを呟く。
「────────────────────」
一人寂しい部屋に響く声に目を伏せる。
虚しさを隠すために私は立ち上がり、部屋に向かう。
自室のベットに横になり、天井を見上げる。
ベットの横や机の上には使われる事の無い贈り物。
「おかえり、なんてもう何年も言ってないわね」
二人で映る写真に目を向ければ、幸せに満ちた輝かしい笑顔を浮かべて写る私達。
「こんなに愛していたのに、貴方からはもう伝えられないのね」
苦しい、寂しい…それなのに、貴方の笑顔は愛おしくてずっと忘れられない鎖になっていて。
「私、貴方のくれた幸せにずっと溺れて痛いの」
今日はご飯を食べて、お風呂に入って、寝てしまおう。
明日の朝にはきっとまた笑えるから。
「あんなに狭かったはずの部屋なのに、貴方が逝ってしまってから、私だけになったら広くてとても寂しいの。」
今日もそんな思いを胸に抱いて眠るの。
___私、貴方と過ごす狭い部屋が大好きよ。
東山桐花(とおやまきりか)、と履歴書に書く。慣れない感覚で手がしびれた。足もしびれた。あぐらをかいた足を組みかえる。
「きーさん」と言って嬉しそうな顔をして私の右に座り込む。いつも腹の底から出ているような声だ。なんだったか。ああそうだ、岸本美久瑠(きしもとみくる)だ。
「はーい。きーさんだよ」
「ふっ、何それ」
美久瑠がニカッと眩しく笑うのは昔から変わらない。短髪にイヤリングが似合う。いつも遠くを見たような涼しい目をしている。女子に人気がありそうな女子だ。
「これに受かったら本当に一緒に働けるね」
私の肩に両手を置いて体重をかけ、履歴書を興味津々に覗き込んでくるのは、浅岡光子(あさおかみつこ)。少し肌が日焼けていて、黒縁眼鏡をかけている。大人しい、と見せかけて三人の中で一番騒がしい奴だ。
「でも二人は別々の部署でしょ?」
知らない人が沢山いる場所でパソコンに向かい合わせになると考えたら胃が痛くなる。また世界が灰色になりかける。
「そうだけど昼休憩とか帰りは一緒だぜ?」
そう言って光子が、風呂上がりでまだ湿っている
私の頭を撫でまわす。
「そうだった。あーよかった」
「どんだけ人見知りなんだか。心配しなくてもそんな悪い人いないから」
美久瑠の包み込んでくれるような優しい言葉に安心する。思わず〝先輩〟と言いそうになる包容力だ。
「たまに取り引き先の偉い人がセクハラオヤジだったりするけど」
「こらっ!!」
「すまん」
光子が余計なことを言うので、美久瑠が叱る。
私が小さなことに一喜一憂したり、行き過ぎた考えになる度に、二人が背中に手を添えてくれる。私たちはこの安くてボロボロな狭い部屋で、衣食住を共にしている。
嫌な夢を見た時はすぐ隣にいる美久瑠か光子に抱きつく。小さなテーブルに同じコンビニ弁当三つを並べる。たまに服を共有したりする。家族同然の存在だ。
<狭い部屋>6.4
NO.10
続く?
生まれて初めて、心の底からこんな言葉をだした。
「狭いよ!?狭すぎるよ!?」と大きい声で言った。
「うるさいわよ!?狭いんだから、声が響いて耳が痛い!?」と同時に僕の鳩尾に固いものがクリヒットした。叫ぶともう一回殴られないので、歯をくいしばって我慢した。ほんと・・・よく我慢した俺よ。
俺は「ごめん」と呟いた。癖で胸の前で手を合わせようとしたが、辞めた。
一息つける状態ではないが、少なくともゆっくり会話ができるくらいまでは、落ち着けた。
現状を確認することにした。
「まずは、俺の名前はAです。B高校生の一年です。」君は?
相手はイライラしながら答えた。
「私の名前は、z・・・y高校の一年」なんとか自己紹介が終わったところで現状について、話した。
「Cさんはこの、狭い部屋どこかわかるかい?」
「わかるわけないじゃん。こんな、狭い部屋なんか。それと私のことはxでいい。」
まさか、漫画でしか見たことのない、ツンデレ感のある言い回しをしてくるとは、この至近距離で吐息を出しながら言われた、ときめくぞっ!心のなかだけ心のなかだけに留めておいた。
話は戻して、俺らは今、Dが言ったように、狭い部屋にいる。
サイズは多分ロッカーくらいだろう。その中、2人向かい合い体も密着しそうな距離に俺らは居る。
「そうだよな。ちなみに俺もわからん」
「とりあえずは、この一昔前に、流行った○○しないと出れません、見たいな状態だ。」
「なにそれ?」と相づちをいれたが、俺の知識では地雷を踏みそうだったので、当たり障りのない返答をした。「つまり、ある条件クリアすれば、出られますよ。ということだよ」
「ふーん」と素っ気なく返事は返ってきた。
「そんなことり、早くここから出して!?」落ち着けとなだめるが、本当にこの状態どっすかなぁ
狭い部屋
ずっと、狭い部屋の中にいたんだ。
その中の小さな世界で、狭い視野のまま生きてきたんだ。
でもある日、その部屋の鍵は勝手に開いて、外というものを知った。
とても広くて、大きくて、楽しそうで、わくわくして、それでいて、ちょっぴり怖かったんだ。
怖じ気づいて、また部屋に戻ろうと後ずさったとき、その人は言ったんだ。
「外に出てきてくれて、ありがとう。君の世界は、君が思っているよりも、もっと広いんだよ、楽しいんだよ、優しいんだよ。だから、どうかずっとそこにはいないで、もっと色んなものを見てほしいんだ。経験してほしいんだ。……そこから出るのが怖いのは、よくわかる。でもね、案外世界は怖くないんだよ。もし、それでも怖いというなら、一緒に行こう。君が怖くなくなるまで、そばにいるから」
ただ、ただ優しく、それでいて背中を押すように、腕を引っ張るように、その言葉は体を突き動かして、後ずさった足はいつの間にか一歩前に踏み出していた。
ずっと、狭い部屋の中にいたけれど、歩き出したその世界は優しくて、あたたかかった。
2023/06/04 【狭い部屋】
「ただいま〜」
玄関に妙に掠れた声が響く。
「お帰りなさい。テストどうだった?」
母が上機嫌な様子で出迎えてくれる。私は今日返された定期テストの結果を無言で母に渡す。
「今回も学年一位。よく頑張ったわね。」
ありがとう、お母さん。私は母にお礼を言って、そのまま二階の自室へと向かって階段を登り始める。部屋に入る寸前、リビングでくつろいでいたであろう父と母との会話が聞こえてきた。
-見て!今回のテストの結果。
-ほお、またすごいなあの子は。
-この成績なら、東京の有名大学への進学も夢じゃないわね。
私は部屋のドアを閉める。さっき聞こえてきた母の言葉が、小学生の頃から使っていて、今となっては狭く感じるこの部屋に、妙に響いたような気がした。
今日は進路相談の日だ。まあ大体の進路は決まっていたし、特に緊張もしなかった。
「お前、東京のN大うけるのか?」
-はい。そうですけど。まあ田舎ですし、ちょっと遠いですけど。
「お前はそれでいいのか?」
何を言っているのだろう。確かにここは偏差値すごく高いけど、入れそうならいい大学に入っておいて損はないし、特に私はいやだとか思っていないのだけれど。
「まあ、もっと視野を広げてみるのもアリなんじゃないか?」
私には、先生の言ってることがわからなかった。
自室で勉強している時、部屋に着信音が響いた。携帯を見たら、メッセージが入っていて、その主は今年大学1年目になるいとこからだった。
-元気にしてる?そろそろ受験だよね?大学とか決まったの?あんたならどこでもいけると思うけど、好きなところに行くんだよ!
まったく。本当に過保護なんだから。メッセージを読みながら私はため息をついた。そんな時、メッセージと一緒に写真も送られていることに気づいた。その写真は、いとこが通っている大学のものだった。
-その写真は、すごく輝いていた。
大学は自然に囲まれていてすごくのどかな場所にあった。空もすごく綺麗な青色をしている。そういえば東北の方の大学って言ってたっけ?
写真の中には従姉妹の友達らしき人も写っていた。すごくいい笑顔。本当に楽しそう。
-いいな。私もこんな大学に行きたい。
私はいつのまにか、持っていたシャーペンを放り投げて、学校でもらったたくさんの大学のパンフレットへ手を伸ばしていた。
「お母さん、私行きたい大学があるんだけど。」
-何?東京のどこか?
お母さんはすごく期待しているような表情をしていた。それゆえに、私が行きたい大学のパンフレットを見た時はすごい驚いたような表情をしていた。
先生の言っていたこと、いとこの言っていたこと、今ならわかる。狭い部屋に閉じこもってなくてもいいんだ。もっと広い世界を見ていいんだ。
-だから、私もたくさん見てみたい。
私は、写真に写っていた、東京のように建物で隠れた小さく暗い空ではなく、どこまでも続いていく広く青い空を思い浮かべながら、一人暮らしするときは、もうちょっと広い部屋に住もうかな、なんてことを頭の隅で考えていた。
『狭い部屋』
僕は部屋に引きこもっている。
僕だって、これが駄目だって分かってるんだ。
ただ、怖い。それだけなんだ。
みんなの言葉が、みんなの目が、
怖いだけなんだ。
同じ人間なのに、嫌い合ったり、
憎しみ合ったり、騙し合ったりする。
僕はただ、人間が怖いだけなんだ。
高熱の出た日には、狭い部屋がますます狭くなる
追い詰められ、逃げ出すことも叶わず
ひたすら
まどろみの中で、まるで生贄のようなあきらめと、
普段とはまるで違う、さもすれば少しハイになっている、不思議な状態で寝転がっている
幻のような光景
現実との剥離
そうだったらいいのに、と願っている
「狭い部屋」
「みんな、お待たせ~」
「あ、やっと来たー」
「おい、遅刻だぞ!」
「ごめんごめん、リュックが重くてさ!」
「今日は何する気だよ~?」「ねぇ、昨日言ってたお菓子は?!」「あっ、その帽子新しいやつじゃん?」「服に虫ついてんぞ」「えっ!」
「なぁ早く出発しようぜーー!!!」
向かうは『秘密基地』
ドキドキとワクワクが詰まってる
僕は生まれてから一度もこの狭い部屋から出たことないが、何不自由なく過ごせている
それは、この部屋には僕の友達のイキ(アンドロイド)がいるからだ
イキに頼めば炊事、洗濯何でもしてくれる
この狭い部屋から出なくても生きていける
だが、ふと考える
この生き方は正しいしいのか?
イキの方が楽しそうに、幸せそうに生きているように見える
まるで家畜のように生きている僕に
生きてる意味はあるのか?
【Highest in the Room】
はじめまして・・・
私は貴方のガイドです。
ココは貴方の夢の中の世界・・・ですがココは夢にしては、やけにリアリティがあると思いませんか?
ココは夢であり夢以上の高次元の場所・・・私は『頭の中にある広い小部屋』と表現しています・・・
今、貴方に私が見えて声も聞こえているのであれば貴方は合格です『夢の中を操る資格』を得ています。
まずはこの世界を歩いてみましょう・・・。
と言いたいところですが、ココは見たところ貴方の家の近くですが途中から闇に包まれて進めなくなってますね・・・。
まだ夢の中を操る能力が上手く使えていないからでしょう・・・。
大丈夫です、慣れれば、どうとでもなります・・・私は貴方を導くガイドです・・・今からこの闇を払う為の方法を、お教えしましょう・・・。
え?私の名前ですか?
私の名前はガイドです・・・
私の役目であり名前でもあります
・・・・・・
ダメです私に名前をつけるのは、よくありません・・・
私は貴方が『夢の中を操る能力』を教えたり間違った操り方をしないように導くのがガイドという存在であり概念です・・・
名前を付けるという事は、ガイドそのものの存在を上書きされ、私がガイドとして正しく貴方を導く事が出来なくなります・・・
それでも貴方はいいのですか?
・・・・・・・・・
そうです、その呼び方でいいんです・・・
ガイドはガイドでしかありません・・・
それ以上でもそれ以下の存在でもありません。
──────ᗢᘏو─
なんて出会いが、夢の中であってから1ヶ月くらい、たった・・・
今では俺は夢を操り空を飛び魔法を使い、火でも雷でもレーザーでも撃てる・瞬間移動したり好きな様に過ごしてる。
時たま変な事をしようとするとガイドに怒られる。
先生か親、みたいだ( ̄▽ ̄;)
ガイドは本当に優秀だ・・・初めに闇を晴らす方法を教わった時は闇の先を頭の中でイメージする事・・・始めは自分の馴染みがあるイメージしやすい場所が良いというので、簡単に思い浮かべれるバイト先のたこ焼き屋を思い浮かべたら闇が晴れ、すぐたこ焼き屋の道が出来た・・・なんかスゲーって思いながら、ガイドと2人でたこ焼き食べてた。
夢を操るのは基本的に思い込みと想像力が大事。炎を出すなら色や温度・視覚的な見た目・炎がゴーゴー鳴ってる音、出来るだけリアルにイメージする、それだけで火が出せる・・・何なら色だけ変えてしまったりなんて芸当もう楽勝にできる。
空を飛ぶのも飛んでる時に見える自分の視界を想像したりして飛んでる
最初は慣れなかったから空を飛んでる映画のシーンを動画で見まくって頭の中で出来るだけ記憶したり努力してた。
いまではドラゴ○ボールも真っ青なほど空を飛んでいる・*・:≡( ε:)
この世界は特殊で俺が寝たら現実の俺は7時間くらい寝てるのにコチラでの体感の活動時間は最短で1分~最長で3週間活動した事がある。
この世界は夜も現実世界と同じ概念で暗くなる、そして普通に、この世界の人々は基本的に寝るし俺もそれにならい普通に寝る・・・夢の中なのに寝るって不思議だけど、寝て起きたらまだ夢の中・・・現実世界ではまだ寝てる。
夢を操れないと出来ない芸当である・・・。
基本的には自分の意思で現実世界で起きれるし、まだ夢の中にいたい時は夢の中で起きれる。
勿論、俺の意思とは関係なく勝手に現実世界の方で起きたりなんて事もたまにある。
ある意味ココは現実と変わりない俺の頭の中にだけある仮想現実で俺の勝手な都合でコロコロ変えれる何でも、ありありの世界だ。
ガイドが『頭の中に広い小部屋』と表現した意味がわかる、どれだけ凄い事をココで出来ても1人の人間の小さな頭の中での出来事にすぎない・・・それに、この夢の中を操る能力は、やり過ぎると俺の頭が危険らしくガイドが時々ストップをかけてくれる
ココの居心地が良過ぎて1ヶ月はココにいれるか調子に乗って挑戦したら、3週間目にガイドにマジ切れされ、この世界からバイキ○マンの如く空の彼方へ蹴り飛ばされた
ヽ(#゚Д゚)ノ┌┛Σ(ノ´Д`)ノ ・*・:─=≡Σ=͟͟͞( ε:)
そして現実の俺の布団の上で 目が覚めたなんて事があった。
あの時はやりすぎたとマジで反省した。
起きた時、体調がやばくて頭がボーッとしてたし3日間は家で寝込んだ・・・。
親が言うには鬱にでも、なったのかと心配されるぐらい、やばかったらしい((( ;゚Д゚)))
3週間、夢の中滞在でもやばいみたいだ( ̄▽ ̄;)
その後、夢の中に行ったらガイドにメチャクチャ説教喰らいました( ºωº )チーン…
最近は夢の中にいる時間は向こうの体感時間で1日だけにしている。
ガイドにも、それくらいなら、ぜんぜん大丈夫だとお許しを頂いた。
今、俺は夢の中でNARUTOやJOJOといったアニメの世界のストーリーに、そって敵と闘うが特定の能力しか使えない縛りをしてどこまで戦えるか楽しんでる😄
んで、調子乗ってガイドに『夢の中を操る能力』って長ったらしくて嫌だからJOJOのスタンドみたいにカッコイイのをつけて良いか相談したら何故かガイドにメッチャ褒められた。
そういうインスピレーションは夢の中では、すごい大事らしく何なら貴方のスタンド作りましょう。
ビジュアルも考えましょうと言われた。
なので俺は今どんなカッコイイ見た目のスタンドにするか考え中なのである・・・。
一応、スタンドの名前だけ決まっている。
スタンド名
『Highest in the Room』
訳すと『部屋の1番高い場所』って感じだけど『夢の中を操るトップの存在』っていう意味で名付けてみた。
ガイドに言ったら
メッチャ褒めてくれた*⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝*ワンダホォォォォ
てな感じで ある日、突然にこういう能力を手に入れてしまった・・・
っていう小説を誰か書いてくれませんか?
私の『小さい頭の狭い部屋』をフル活動して書いてみたんだけど、これで限界なんよ (இдஇ`。)
設定はココまでやれたから続きは誰か書いてくれませんか~お願いしまーす┏○ ペコオオオォォォ
──────────ᗢᘏو─
テーマ【狭い部屋】
【狭い部屋】
ただでさえ狭い部屋には、まだ開けていない段ボールが積まれている。床には食べ終えたカップ麺の容器が置いてある。
狭い部屋がさらに狭くなる。しかし、そんなことを彼は気になどしていなかった。
部屋には彼の声とパソコンの音が響いていた。
彼はネット上で人気の人であった。
私は狭い部屋から羽ばたいているかれを見ていた。
しだいに私はワクワクとした気持ちを覚えていた。
狭い部屋
私の部屋は狭い。
でも何でも手を伸ばせば届く距離にある。
それはそれで便利だと気に入っている。
#狭い部屋
「っ…はぁッ、」
「お願い…ここから出して…っ」
寒い。狭い。暗い。
「ぃるま…っ」
ガチャ
部屋の扉が開く
扉から漏れ出てくる光は暖かくて、やっと出れるんだという安心感に胸を撫で下ろす
「らん」
「いるま…っ!」ニコッ
ぎゅっ
扉を開けられるや否や、抱きついているまの胸に顔を埋める
「いいこいいこ、よく出ないで頑張ったな」
「うんッ!ちゃんと来るって分かってたから」
「そっか、らんはいい子だな」
「さすが、俺のらん♡」
あぁ、いるまのぞくぞくするその目が大好き
俺を閉じ込めて自分のものにしたいっていう欲が漏れ出てるその目が
そんなに歪んでる?
この愛し方じゃ、愛され方じゃ、「ダメ」なのかな。
僕の胸の中には小さくて狭い、僕だけしか入れない部屋がある
人混みの中で一人になりたいとき、寂しくて現実を忘れたいとき、いつでも僕はそこへ行く
部屋ができてから、もう長いことたつから、そこに入るのも慣れたもんさ
えっ、もしかして引いてる?
君だから話したんだけどな
だからいつもぼんやりしてるのかって?
僕ってそんなにぼんやりして見える?
心はいつも忙しいんだけどな
【狭い部屋】
自分でも馬鹿な事をしているって、本当は判ってる――
その日バイトも入れず丸々予定を空けていた私は、ちょっとした模様替えも兼ねて朝から部屋の掃除をしていた。
要らない紙類を纏め、普段はフローリングワイパーで適当に済ませている床もしっかり水拭きし、サボりがちだった窓やサッシを磨いて――などとやっていると、ワンルームの狭いアパートにも拘らず何だかんだで半日以上を掃除に費やしてしまった。
しかしここで一休みしてしまうと一気に疲労が押し寄せてくる気がして、そのまま夕食の準備に取り掛かる。
(昨日のうちに買い出し行っといて正解だったな)
調理の合間にダイニングテーブルにクロスを掛け、グラスと銀のカトラリーを二人分並べ花瓶に生けた花を置く。すると引っ越し当初から使い続けてきた古びたダイニングテーブルが、ちょっとしたフレンチ・レストランに大変身を遂げた。
サラダにチーズとパンの盛り合わせ、彼の好きな煮込みハンバーグ――そんなありふれた私の料理もまるでプロの仕事に……は言い過ぎにしても、このセッティングのお陰でいつもより格段に美味しそうに見えるのは紛れもない事実。まして今日は恋人の誕生日、頑張って料理した甲斐があったというものだ。
「演出って、やっぱり大事よね……」
そろそろ良い具合に冷えたであろうシャンパンを冷蔵庫から取り出しグラスに注ぐと、黄金色に煌めく泡と香りが弾けた。
「うん、バースデーディナーとしては上々! やれば出来るじゃない、私」
セッティングや料理の出来栄えを明るい声音で自画自賛してみても、私の心が満たされる事はない。
今夜一緒に過ごすはずだった人物が、私の元へ来る事はもう不可能なのだという事実も、わざわざ二人分の料理なんか用意したところで結局食べるのは自分独りきりなのだという現実も、判り切っていたからだ。
「誕生日、おめでとう」
そう呟いて独り席に着いた私は作業のように料理を口に運びながら、ここに来る事のない恋人、そして彼と共に過ごした日々を思う。
とは言えこれといってドラマチックな展開だとか、波乱があった訳でもない。小さな幸福と、他人にとっては下らない程度のちょっとした不満……そんなごくごく普通の日常の積み重ねこそが、私達の全てだった。
初めて彼を招き手料理を振る舞った時、大喜びしてあっという間に平らげてくれた事。そんな彼を見た自分の方が嬉しくて幸せな気持ちで満たされた事。
柔軟剤の匂いが気に入ったんだと言いながら、どさくさ紛れに後ろから抱き付いてくる事。
二人きりの時は、案外喋らない事。
私が愚痴れば、よしよしと頭を撫でてくれる事。落ち込めば、下手っぴな手品で元気付けようとしてくれた事。
彼が先にシャワーを浴びると、決まって高い方のフックにヘッドを掛けてしまい、後から入る小柄な私はいつも地味に困っていた事。
ネクタイを結ぶのが下手な事。
寝癖だらけの髪を、いつも適当に濡らすだけで済ませる事。
革靴の踵を平気で潰す事。
そして何度それらを注意しても直らない事。
――大好きな所も、正直ちょっと苛々する所も、もう会えない今となっては全てが愛しい。
ここまで思い返して、彼によって与えられてきた沢山の思いと幸せを、改めて実感した。
だが同時にこれからも続いていくと信じていた、彼との暖かく優しい平穏な日々が、実はこんなにも脆く儚いものだったと思い知らされてしまったのだ。
眼からはいつしか涙が溢れ、止めどなく頬を伝い落ちていた。
「……これから先も直接『おめでとう』って言いたかったよ」
死んだ男の誕生日を祝おうなんて、君馬鹿なの?
(え……!?)
ふと何処からか、彼のそんな呆れ混じりの憎まれ口が聞こえた気がして、私はそっと心の中で自嘲する。
自分でも馬鹿な事をしてるって、そんな事本当は判っている。でも……
この狭い部屋にはまだ、彼の物も匂いも思い出も沢山残っているから。もう二度と会えないんだって、頭では判っていても全然受け入れる事が出来ないんだよ。
「私を置いて逝くなんて、馬鹿はそっちじゃん」
涙で滲んだ時計の針は零時に接近し、今日の終わりを告げようとしていた。
羽を切られた小鳥はもう空へは飛べない
羽はあるけれど狭い部屋に
閉じ込められた鳥も空へは出られない
ひとの温もりを知った小鳥は
空に飛び立つことを望んでいるのだろうか
この狭い部屋で愛され続けて小鳥は幸せか
擦り寄るきみは
なにを想って今日も鳴くの
_狭い部屋
部屋は狭いに越したことない。掃除も楽だし落ち着くし、なにより物が増えなくていい。私には布団とタオルと蔵書があればそれでいい。
水滴がどこからか落ちてきた。
そこで誰かが泣いている。気持ちが溢れてしまったのだろう。でも、人は泣いて成長できる。次がきっとある。