【狭い部屋】
今日も還らぬ貴方を待つ。
掃除を済ませ、買い出しと夕飯の下準備を終え
ポツリ零れるように貴方への思いを呟く。
「────────────────────」
一人寂しい部屋に響く声に目を伏せる。
虚しさを隠すために私は立ち上がり、部屋に向かう。
自室のベットに横になり、天井を見上げる。
ベットの横や机の上には使われる事の無い贈り物。
「おかえり、なんてもう何年も言ってないわね」
二人で映る写真に目を向ければ、幸せに満ちた輝かしい笑顔を浮かべて写る私達。
「こんなに愛していたのに、貴方からはもう伝えられないのね」
苦しい、寂しい…それなのに、貴方の笑顔は愛おしくてずっと忘れられない鎖になっていて。
「私、貴方のくれた幸せにずっと溺れて痛いの」
今日はご飯を食べて、お風呂に入って、寝てしまおう。
明日の朝にはきっとまた笑えるから。
「あんなに狭かったはずの部屋なのに、貴方が逝ってしまってから、私だけになったら広くてとても寂しいの。」
今日もそんな思いを胸に抱いて眠るの。
___私、貴方と過ごす狭い部屋が大好きよ。
6/4/2023, 2:05:01 PM