『涙の理由』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
涙の理由
溢れる涙が止まらない。
拭いたいけど、両手は使えない。
どうしてこんなに涙が出るんだろう。
「お前、古い玉ねぎだったのか!」
古い玉ねぎには気をつけよう。
死ぬほど涙が止まらないから。
僕が1番学んだことだ。
※ノンフィクションです。
(涙の理由)
誰にも。聞かれたくない、ことだって。。あるわ、、
〈涙の理由〉
仕事帰りに立ち寄ったカフェの窓際で、私は冷めかけたカフェラテを指先で揺らしていた。
ガラス越しの街は灯りに満ちているのに、胸の奥にはどうしても影が残る。
三十三歳。親も親戚も同僚も、皆そろって「結婚」を口にする。
「そろそろ決めたら?」
「彼がいるなら安心だね」
数年付き合っている真司の存在を言えば、決まりきったように「じゃあ次は式だね」と笑顔を向けられる。
真司は穏やかで、どこまでも優しい。けれど、彼と歩む未来を思い描こうとすると、胸の中にぽっかりと白い空白ができる。
温かな手のひらのように確かに支えられているのに、その先の景色がどうしても見えない。
同僚が結婚を決めたと聞いた日。
笑顔で「おめでとう」と言った瞬間、胸の奥に小さな痛みが走った。
私もそうあるべきなのか。
それとも、違う道を選んでもいいのか。
数日後に真司と過ごした後、不意に涙が滲んだことがあった。
「どうした? 泣いてる?」
真司の声で初めて気づいた。理由を答えられず、私は笑ってごまかす。
その涙は、悲しみでも喜びでもなく、自分でも名前のつけられない感情だった。
涙の理由は、まだはっきりとは言えない。
ただ、周囲の期待と、自分の中の曖昧な答えの狭間で、押し出されるように溢れていたのだと思う。
カフェを出て夜風に触れたとき、ようやく私は自分に問いかけた。
「私はどうしたいんだろう」
すぐには答えが見つからない。また涙がにじむ。
けれど、この涙──心の声に耳を澄ませれば、いつか辿り着ける気がする。
街の灯りが遠ざかる。私はひとり歩きながら、頬に残る涙の温度を確かめていた。
それが私を導く、最初の手がかりになると信じながら。
「………何故、泣いてる?」
「………っえ?」
俺は突然ハチにそう言われ固まってしまう。
「え、えっと………」
「アイラは、涙は悲しいときに流すと言っていた。アイラは今悲しいのか?」
「いや、これは………」
「何が悲しいだ?私にはわからないから教えて欲しい。アイラが泣いているのは、気になる」
「ちょ、ちょ、ちょっと待て、待ってくれ!」
ハチに畳み掛けられ俺は一旦話を止める。こりゃ何か勘違いしてそうだ。
「えっと………あのな、俺は確かに泣くのは悲しいときって言ったが、人はそれ以外のときにもたくさん泣くんだ」
「何故?」
「なぜって言われると……それはもう生物的に仕方ないと言うか………とにかく!人は悲しいときだけじゃなくて嬉しいときとか、ほかにも泣くときがあるんだ」
「………私は泣いたことが無いから、やはり理解ができない」
「………………っ」
その言葉は、俺の胸をチクチクと痛めつける。でも本当に痛んでいるのは俺ではなく、こいつだろう。
「私はやはり………」
「違う」
ハチが紡ぎかけた言葉を食い気味に否定する。俺は、ハチにそんなことを思ってほしくない。
「それだけは違う」
ー自分が人間じゃないなんて
「……きっとこれからハチも覚えて行くよ、悲しみの涙も、喜びの涙も」
「………そうか」
まだ、完全に納得したような雰囲気ではなかったが、それでもちゃんと、俺の言葉を受け止めてはくれたみたいだ。
「………で、アイラは何で泣いていたんだ?嬉しいからか?」
「あぁ、それは………」
俺はずっと右手に持っていた包丁を少し上げてみせる。
「……タマネギ、切ってた…」
……ハチもポカンとして首を傾げた。
「………………たまねぎ?」
ー涙の理由ー
アイラ・ブルーム
#涙の理由
あいつが死んだ。私の元カレが、死んだ。今は葬式。案外泣けるんだな。
「あんた、意外と泣いてんじゃん。」
と話しかけてきたのは、元カレの母。
「やっぱり、より戻そうって思ってるの?」
嫌っぽく言ってくる。あー。腹立つ。
「そうですね〜。愛されてたときはとっても幸せでしたよ。」
ふん!嫌味で返してやる!
「何よ、それ!うちの息子が悪いって言いたいの?泣いてたくせに!」
うわー、めんどいやつだー。そういや、この人はこんな人だったわー。
「確かに泣いてましたね〜では。」
こんなやつとは早く別れてぇわ〜。
だって、私が泣いてたのは、「嬉し泣き」だもの。
あんな苦しんでいたというのに
どうして気づいてあげられなかったんだろう
そばで支えてあげられなかったんだろう
あの時にどうして涙の理由が分からなかったんだろう
本当の理由に気づいてあげられなかった、、、
「涙の理由」
自己嫌悪からの被害妄想
止まらない想像は体と脳を蝕んでいく
それでも生きて、足掻いて、と何かが囁くから
呼吸を続ける、涙を流しながら
絶えず脈打つ心臓を抉ることができない
心音を消す一歩の踏み切りが私にはできない
ならば、脈打つ心臓を楽にしてやろう
流れる血の流動から生み出される爆発的なエネルギーを自己理解から自己肯定へと促すのだ
擦り切れた脳はもはや感情は機械的かもしれない
それでもいい。呼吸しているのならば、それも一つの正解でいい。
「涙の理由」
夕闇の涙の理由(わけ)はあなたへの思慕か抗議かそれとも諦め
彼女を見つけた。
十何年と音信不通だった彼女。
俺の全てをぶち壊して、夜の闇に消えてった彼女を。
見つけてしまった
…やっぱり、生きていたんだな。今日までを。
あの化け物が壊した人間の数は星の数よりも多いのだろう。数多の者をその妖艶な目遣いで魅了し、近づいて来た哀れな奴らと遊んで、壊して、捨ててきたのだろう。俺にしたように。
今まさに一人の罪なき男に擦り寄ってるではないか。
あまりに滑稽で、思わず涙が出てきてしまう。
だが…どうして、そう感じるのにわざわざこの涙を拭ってまであの化け物をずっと目で追ってしまうのか
……ああ、嘘だ、そんなわけない。信じたくない。前が見えなくなってきた。
俺はまた彼女に
恋をしてしまったというのか!?
涙の理由
涙の理由
自分だけのものになればいい
嬉し涙も悔し涙も
ぜんぶぜんぶ本当の自分だから
「涙の理由」
君の涙の理由は、アイツなんだね?
君は優しくて、アイツを一生懸命愛して、信じて。
なのに裏切られて、蔑ろにされ、軽んじられて、馬鹿にされて、傷ついて。
哀しくて、悔しくて、辛くて、泣いてるんだね?
そして、それでもアイツを嫌いになれなくて、泣いてるんだね?
僕に一体何が出来る?
君を慰めても、寄り添っても、抱きしめても。
何をしても、きっとアイツの一言にも敵わない。
君を泣かせるのも、喜ばせるのも、きっとアイツしか出来ない。
僕に出来る事は何?
ただ見守る事しか出来ない?
……違う。
僕が君にしてあげられるたった一つの事。
君を、アイツから解放してあげる。
君のしがらみを、拘りを、断ち切ってあげる。
それなら僕にも出来るから。
もう少しだけ、待っててね。
『涙の理由』
考えてみれば、今日は朝から気分が沈んでいた。
起きた瞬間から体はだるかったし、食欲もない。
寝たはずなのに眠気がひどい。頭もぼーっとする。
スマホを眺めていただけなのに、
涙が出てくる。
きっと今日はそういう日なんだ。
早く寝よう、早く寝ようって思ってるのに、
今日もなかなか寝付けないのかな。
全てを忘れ去ってしまいたい。
元彼が小学校で書いた学期目標の写真があった。「あやね、はやおき」まだ付き合ってたなら見せれたかな。クスッとした感情も愛おしさも行き場がないまま宙を浮いてる。
涙の理由
それを聞いても、君はただ
"分からない"そう言って無理やり笑顔を作るだけ。
こんな時にも笑顔を見せようとする君が、
僕は怖い。
…いつか、僕の前から消えそうで
…いつか、こわれてしまいそうで
お題『涙の理由』
ぽろぽろと溢れた涙は私の心に染みを作った——最初は彼氏の酷い物言いに腹を立て、怒りのあまり泣き出してしまった。そして泣いているのが悔しくてさらに泣けてきた。しゃくり上げるのを我慢するあまり喉の奥がひりついて痛い。
しかし彼は彼で泣いている私を見て「泣けば済むと思うなよ!」と捨て台詞を吐くと、タバコとライターだけを持って外に出てしまった。さっきの言葉みたいに思考は自己中なのに喫煙するときには律儀に外に出てくれるのはありがたい。
私は躊躇わず自分の部屋の鍵をかけた。
涙の理由?
それは『ここから出ていけ』と言われたからだ。
出て行くも何もここは私の名義なのにね。
最近なんだったか…あ、映画か。
「花まんま」で4回泣きましたね。
別段、誰か悲劇的な死を迎えるとか、小説に必要な捨て駒というか、そういう悲劇が何もないので泣く必要はないんだけど、鈴木亮平の兄バカパワーで4回泣いたというか。
強いストレスかなにかで感情が動かない時期だったので、泣くという行為がとてもリラックスに繋がりました。
誰も死んでないんだから、これは悲しい涙じゃなくて、安堵の涙というのが一番近いのかもしれない。
安心した時というのが、私の場合とても強い涙の理由になります。
涙の理由?
聞きたいのかい?
聞いたところで面白くもなんともないよ?
それでもよければ話そう
僕がなぜ涙を流すのか
先日、僕の叔母の旦那さんのお母さんが、山へ行ってきたらしいんだ
その山はその人のうちの所有する山で、山の幸を採るために行ったんだね
いつもより美味しそうに育っていたから、喜びながら採ったんだって
後日、叔母が僕のうちへ、もらった山の幸をおすそ分けしに来てくれたんだ
家族で美味しくいただいたよ
ほんと、美味しかった
でも、その中にしいたけがあってね
しいたけだけならよかったんだけど、しいたけに似た毒キノコが混ざってたみたいで
まぁ命に関わる毒じゃないんだ
だけど、ここまで言えばわかるよね
そのキノコ、食べるとしばらく涙が止まらなくなる症状が出るキノコだったわけだよ
食べたのは昨日のことさ
今日になっても止まらない
笑い茸ならぬ泣き茸
そんな名前じゃないんだけどね
というわけで、肉体的な反応で涙を垂れ流しているのであって、精神的なダメージとかじゃないし、命に別状もないから、心配しなくても大丈夫
今日は会う知り合いみんなに心配されて、申し訳ないくらいだ
致命の毒キノコじゃなかっただけ、全然マシさ
涙の理由
彼は皆に好かれている。誰にでも優しくて、いつもわらっている。憧れの存在。そんな彼は教室の端で泣いていた。余りにもびっくりして、近寄って理由を聞いた。
その理由は陰で悪口を言われたのこと。そんな彼を慰めた。「自分は友達だよ!あんな奴は気にしなくていい」と彼は涙を拭いて一緒に帰った。
それから彼とはいつも遊んで一緒に勉強をしている。自分には勿体ない友達だ。
地下鉄駅の奥、錆びた非常口の扉を抜けた先に、その喫茶店はあった。
店名は《クロノ》。
外の時間とは異なる規則で動く、いわゆるパラレルワールドの入口だ。
椅子に座ると「別の世界線の自分」と会える。ただし条件が一つ――注文したコーヒーが冷めきる前に、席を立たなければならない。
なので、この店に入る時には予め、何を話すか決めておくことをオススメする
雨で濡れたコートを脱ぎながら、真衣は重い足取りで席に座った。
「……会いたい人がいるんです」
店主は無言で頷き、カウンターで黒い液体を落としていく。
真衣は、ふと窓の外に目をやる。
雨ーー
あの時もこんな雨が降っていた、と心の中で想う。
湯気が立つカップを前に、真衣は鼓動が早くなるのが分かった。
目の前に現れたのは、別の世界の自分だった。
その「真衣」は明るい瞳をして、左薬指に銀色の指輪を光らせている。
「あなたは……結婚してるの?」
「うん。あの人とね」
彼女が微笑むたび、真衣の胸は締め付けられる。
こちらの世界では、あの人――達也は事故で亡くなっているのだ。
こんな雨の日にーー
ふと会話の途中で、背後から冷たい囁きが重なった。
『どうして、こっちに来たの』
耳元に氷のような声。振り返ると、客のいないはずのテーブルに、影が座っている。黒い靄のような、顔のない「誰か」。
指輪を嵌めた真衣が怯えた声を上げた。
「この世界ではね、彼を失わなかった代わりに、“私”を失うの。影に喰われて……。だから――あなたの涙が、私の代わりに流れる」
コーヒーの表面が静かに揺れる。
真衣の頬を、熱い雫が伝った。理由もわからず、ただ溢れて止まらない。
自分ではなく、もう一人の「真衣」の痛みを泣いているのだと気づいたとき、カップから立ち上る湯気が消えかけていた。
「戻らなきゃ……」
椅子を離れる直前、影が伸ばした手が視界を掠めた。掴まれれば、二度と帰れない。
次の瞬間、真衣は《クロノ》の薄暗い店内に引き戻されていた。カップのコーヒーはまだ温かい。
涙を拭い、呼吸を落ち着かせる。
涙の理由は、誰のものだったのだろう。
それを知ることは、もう二度とできなかった。
《クロノ》のドアベルが鳴った。
パラレルワールド、コーヒーが冷めないうちに、涙の理由の総集編です。
涙の理由
ある国の王子が百年前に眠りにつかされていた。
彼を解き放つには、純粋な涙が必要だという。
それは小説の中で読んだ話。
しかしそれを知ったことをキッカケに、主人公は奇妙なことに巻き込まれていく。
それは、ある日の夜の事だった。
突然の金縛り。
主人公は、初めて体験する金縛りに恐怖と焦りをかんじていた。
ーーなに、これ。金縛りってやつ?何で?ーー
焦りと恐怖は次第にピークに達していく。
そのとき、耳元で声がした。
「お前が泣いたとき、封印が解かれる」
封印?
私が泣いたとき?何の話?
やがて、金縛りはとけた。
だが、もうその日は寝ることができなかった。
部屋中の電気をつけ、朝まで起きていた。
鳥の声で、ようやく私は緊張の糸を解いた。
しかし、次の瞬間、昨日の声が頭の中で響いた。
「純粋な涙をもらうために、お前の大切な人をもらっていくよ」
その瞬間、訳の分からない涙が伝った。
こんなわけの分からない、涙の理由何て知りたくない。
私は誰を失った?
思い出そうとすればするほど、その輪郭は遠く遠ざかっていく。
私は、あなたの何でしたか?
涙の理由
学生の頃、少し変わった友人がいた。
一緒に映画を見に行った時、私は感動のあまり涙を流した。
映画が終わると、友人から「涙の味は何味?」と意味不明な質問をされた。
映画の余韻に浸っていたかったのに、熱がサーッと冷めていった。
「あ〜ぁ今、余韻に浸ってた所なのに。涙の味?…涙って味あんの?」
「あはは、ごめんごめん。涙って味あるよ?味でその涙の理由がわかるんだ。どう?」
唇の横を流れた涙の跡を舌で探ると確かに、微かに甘い気がした。
その日以来、涙の味が頭の片隅に記憶された。
両親が喧嘩して母が涙を流した時。
彼女が別れ話を切り出して泣き始めた時。
上司に叱られて涙が流れた時。
涙の味から涙の理由を探るのが癖になっていった。
そんなある時、僕に涙の味を教えてくれた友人が自ら命を絶ってこの世から去った。
全く現実味がないまま、彼の葬式に参列した。
棺の中には、僕に得意げに涙の味を語ってくれた彼が静かに目を閉じて眠っていた。
僕の目から久しぶりに涙が溢れてきた。
その味は今までにないくらい塩辛い涙だった。
塩辛い涙の理由───は嘘泣き。