『涙の理由』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「おかえりなさい。」
そう言えばただいまといいながら私に優しくキスを落とす彼。私の顔を眺めて満足したように微笑んだ後、私の手を引いてリビングに向かった。
「今日スーパーに行ったらね--」
楽しく今日の出来事を話す私をニコニコ見つめながら彼は私の作ったご飯を美味しそうに食べて、お風呂上がりの私の髪の毛を乾かしてくれた。
私を抱き上げ膝の上に乗せた後、かわいいねなんて甘い言葉を言いながら私の髪に指を通して遊んでいる。
2人で抱きしめ合いながらぽかぽか眠りについて、今日も幸せだった。
夜中に頭を撫でられる感触がして目が覚めてしまって、ああ、またかと思った。
起きたことがバレないように薄目を開けると、彼がベットに腰掛けて私の頭を泣きながら撫でている。
『好きだよ、柚ちゃん。』
そう言った表情は苦しそうな、辛そうな顔だった。
なんでたまに夜中に起きて私を見ながら泣いているかとか、他の女の子の名前を呼んでいるかなんて、知らない。
周りから私達カップルがお似合いだね、といっぱい言われても、私は感じてしまっていた。
彼は可愛いと言う時は確かに本心なんだろうけど、『好き』と言う言葉は多分、本当に多分だけど私に言っていない。私に向かって言っているけど、私自身に好きとは言っていないのだ。
まるで、私を通して誰かに愛を伝えているかのような。『好き』と言う時彼の目をじっと見つめてみたら、私の奥の誰かを見ているようだった。
この前彼の小さい頃のアルバムを勝手に見ていたら、1人の女の子と手を繋いで幸せそうに笑い合っていた写真を見つけたことがある。幼稚園生くらいから高校生くらいまでの彼の写真の隣には全部その女の子がいた。
その女の子は、あまりにも私とそっくりだった。
顔がすごく似ていて、一瞬私かと思ったほどだ。
ただ、私は彼の事が大好きだし、愛している。
だから、その女の子との写真の裏に(好きだよ)なんて書かれていることも、私たちが付き合い始めた日の日時にあった結婚式の招待状に、彼が夜泣きながら呟く「柚」という名前が新婦として書かれていたことも、全部全部気がつかないふりをする。
私は彼がなんで涙を流しているかなんて、これからも知らなくていいんだ。
#涙の理由
もう、いい。全部全部、もういい。もう辛いことなんてない。やっと解放される。もう明日が嫌で眠れずに枕を濡らす日々は来ない。私を苦しめる存在は全て消えた。清々しい気持ちでいっぱいだった。……はずなのに。どうして私は泣いているのだろう。どうしてこんなにも虚しさが私の胸を埋めるのだろう。私が辛いと思うことは全部消えた。そのはずなのに。なぜだか涙が止まらない。悲しさ?喜び?そんな理由で私は泣いているんじゃない。もう辛いことは消えたのに、なんで、なんで。誰か、私の涙の理由をおしえて。
《涙の理由》
ある秋の晴れた日。
僕は、彼女とコスモス畑を見に来ていた。
澄み渡る青い空とグラデーションを描く白い薄雲の下、赤、白、桃、黄と色鮮やかなコスモス達が風を受けて揺らめいている。
彼女は僕に背を向け、少し離れた場所でコスモスに囲まれている。
闇に魅入られた者の証である銀を帯びた白髮が、たくさんのコスモスの色の中で靡いている。
ここに来るまでは非常に嬉しそうにしていた彼女だが、コスモスを眺めているうちに物静かになった。
彼女は普段は明るく笑っているが、ふとした時に今のようになる。
僕が少しでも気落ちをしていると、即座にそれを見抜いて笑顔で励ましてくれる。
そんな貴女が時折見せる、一瞬の陰り。
憂いや悩みが原因でなければいいのだが。
そう思いつつ、空を見上げる。
太陽の輝きは、秋と言えども昼間はまだ強い。
その眩しさに一瞬目を眩ませて、僕はコスモス畑に目を戻した。
視界にに広がるのは、一面のコスモス。
真ん中に立っていたはずの彼女の姿は、そこにはなかった。
消え…た?
僕は喪失感に囚われて、彼女のいた場所へ慌てて向かった。
この感じは、あの時と同じ。
かつて旅の仲間の心に住む人が自分の世界へ帰った一年後、自分の気持ちに気が付いた時。
その人には二度と会えないと、本当の意味で気付いてしまった時。
なるべくコスモスを傷めないように、掻き分けながらその場所へ向かう。
するとそこには、しゃがみ込んで空を見上げる彼女の姿があった。
探しに来た僕に驚いたのか、彼女の表情はきょとんとしている。
よかった。いた。
彼女は、ここにいてくれた。
僕は、心底安堵した。
自分の顔が緩むのも気にせず、僕はしゃがみ込んだ彼女へ手を差し出す。
この手を、笑顔で取ってくれる彼女。
だけど、立ち上がった彼女の顔が近付いた時に見えてしまった。
彼女の目尻に溜まった、涙を。
彼女は本当に嬉しそうに僕の手を取り、微笑んでいる。
今は、その理由を話す時ではないのだろう。
もしも、涙の理由を僕に語れなくても。
僕がその理由を晴らせるならば、それでいい。
青い空の中、優しい風に揺らぐコスモス達。
この花達のように、互いに語らなくとも共に寄り添える存在でありたい。
「ど、どうして泣いてるんです?」
と言われて、初めて私が泣いていることに気がついた。拭おうとしても、次の瞬間また溢れてくる。
「先輩!?」
「大丈夫ですか!?」
「誰かに何かされたんだったら私が…!」
多種多様の反応する私の後輩たち。ゆっくりと背中をさする手があたたかい。
私はやっとのことで口を開いた。
「違うの、悲しいんじゃなくて、嬉しいの」
さっきのざわめきから一転、静かになると同時に、8つの目が私に集まる。
「私、幸せだわ。皆のような後輩がいてくれて」
途端、先ほどのざわめきが帰ってきた。ただし、今度は歓声と悲鳴と泣き声で。「本当ですか!?」「先輩〜!」「私も幸せです!!」中には抱きついてくる後輩もいて、私はもみくちゃにされてしまった。
皆んながこんなに喜んでくれるのなら、たまには泣いてみるのも悪くないかもしれない。
でも、幸せを感じるごとに泣いてちゃ、涙がいくらあっても足りないな。
★涙の理由
悲しい涙より嬉しい涙がたくさん流れますように。
そこには涙を流した妻がいた
現場付近にあった証拠品
1.玉ねぎ
2.恋愛小説
3.ホラー系雑誌
4.殺虫剤
5.卒アル
6.期限切れのケーキ
7.無くしたと思ってた500円
8.くっさい靴下
「涙の理由」
どうでもいいことなら、涙は出ない。
自分の核に関わる事だから無関心ではいられないの。
【お題:涙の理由 20241010】【20241011up】
「へっ?」
何?何が起こってるの?
誰か教えて!
ついさっきまで、顧客との打合せをしていた。
まぁ、顧客と言っても2年前まで付き合っていた元彼で、今は後輩の旦那だったりするんだけど。
えっ?やりにくくないかって?
全然、平気。
元彼なのに何故かって?
うん、まぁ、普通なら顔を合わせるのも〜ってなるのかもしれないけど、付き合ったのもお互い何となくだったし、好きだーとか、愛してるーとかそういう雰囲気ではなかった。
どちらかと言えば、仲の良い異性の友達で、そういう事してみたら意外と相性が良かったから付き合ってただけ。
あ、フシダラとかそう言うのは聞き飽きてるから、言わないでね。
元々は飲み友達で、お互いいい年齢だったし相手がいないなら〜って軽い感じだったからね。
で、とある日の居酒屋デートの時に後輩ちゃんも連れていったんだけど、まぁ、その時2人はお互いビビビッっと来たらしくて、元彼からはその日のうちに別れて欲しいって言われた。
断る理由が私にはなかったから、あっさり別れたのよね。
未練?ないない、そんなものこれっぽっちも無い。
後輩ちゃんにも謝られたけど、なんて言うかセフレみたいな関係だったからさ、そんな気にする必要無かったんだって、本気で。
その後2人はトントン拍子で進んで、後輩ちゃんはついこの間産休に入った所なのよ。
さっきもその話をちょっとしてたんだ、無事産まれてくるといいねって。
それで今の私の状況ですが、男性に抱かれております。
あ、男女のってやつじゃなく、男性の胸元に包み込まれている?感じ。
男性と表現しているのは相手の正体が不確かだから。
声と話し方から行くと、たぶんあの人だと思う。
けれど今顔を確認できない状態なんだよね。
「宝生、どうした。大丈夫か?」
あ、宝生っていうのは私の苗字で、私の名前は宝生 マリと言います。
あ、まぁそれはいいんだけど⋯⋯、耳元での美声はやめて欲しいデス、背筋がゾワゾワするぅ。
でもこれで確定した、この男性は須藤さんだ。
企画部のエースで次期課長と言われてる人。
めっちゃイケメンでイケボで女子社員の人気No.1の人。
「あのっ、っう」
ダメだ、痛い、痛くて目が開けられない。
「宝生、あいつか?さっき話してたあいつのせいなのか?」
「ちがっ、うぅっ」
「じゃぁ何で泣いているんだ?頼む宝生、涙の理由を教えてくれ」
涙の理由?
正直に言っていいのかな?どうしよう⋯⋯。
「宝生、俺はお前が泣いてるのは見たくないんだ」
⋯⋯え、ナンデ?
ってか、ダメだ、痛すぎて目が開けられない。
涙もボロボロ出てくるし、このままだと化粧がとれて顔が大変なことに⋯⋯、そして須藤さんのスーツも大変なことに。
「あのっ、須藤さんスーツが⋯⋯」
「気にするな。そんな事よりお前の方が大事だ。何で泣いているんだ?俺には言えないのか?」
いや、言えなくはないけど。
ってか、どうして須藤さんに抱きしめられてるの私は。
須藤さんは同じ課の人で、先輩で色々と教えてもらったけど。
でもここ、元彼の会社の近くだし、何で須藤さんがいるの?
それに、須藤さんってこんなキャラだったかな?
「誰だ?誰に泣かされた?俺が締めあげてやるから遠慮なく言ってくれ」
ええい、仕方がない、正直に言うよ!
「ゴミが」
「五見?五見って名前の男なのか?」
何故、そうなるんですか。
「風で目にゴミが入ったんです」
「わかった、メニゴミだな⋯⋯ん?目に、ゴミ?」
「はい。私ハードコンタクトしていて、ゴミが入るとすごく痛くて」
「誰かに泣かされたわけじゃ⋯⋯ない?」
「はい。ただ、両目にゴミが入ってしまって、目が開けられないので道の端にいただけです」
「⋯⋯⋯⋯あー、ゴメン、俺の早とちりだった、かな?」
「いいえ⋯⋯つっ」
あー、ダメだ。目ぇ開けられない。
「宝生、どうすればいい?」
「えっ?」
「目にゴミが入ったんだろ?俺がとってやるか?」
「あ、いえ、土埃なので、コンタクトを外して洗えば⋯⋯」
「わかった、洗うんだな。任せろ」
「へっ?⋯⋯きゃぁ」
待って待って待って、なんで私お姫様抱っこされてるのー!
でもでもでも、目が開けられないのが悔しい。
今の須藤さん、超絶カッコイイはずなのに見れないなんてー!
結局、さっきまで元彼と打ち合わせしていたカフェにお姫様抱っこで出戻った私は、須藤さんから解放され、店員に手をひかれながらレストルームに案内された。
目を閉じたまま店員にお礼を伝えて、痛くて開けない目をこじ開けてコンタクトを取り出しやっと一息つけた。
コンタクトを洗い、目に異物感が無くなるまで常備持ち歩いている目薬で土埃を流し、再びコンタクトを装着。
鏡の中の自分は随分と目が赤くなり、化粧はボロボロになっていた。
「はぁ、このカフェもう使えない⋯、お気に入りだったのになぁ」
とりあえず、ボロボロの化粧を落として手持ちの化粧品でどうにか顔を作る。
手持ちと言っても、ファンデーションと口紅、アイブロウ、アイライナーくらいしかないのでできることは限られたけど。
「うーん、こんなもんかな」
化粧をしていないと、やっぱり、心もとないな。
化粧は女の武装とはよく言ったものだ、なんて考えながらレストルームを出ると、須藤さんが待っていた。
「須藤さん、ありがとうございました」
「もう、大丈夫?」
「はい、お陰様で」
「じゃぁ、今日はこのまま病院に行ってから帰ってね」
うん?
「課長には連絡しておいたから。直帰させるって」
「あの⋯⋯」
「念の為⋯いや、俺のために病院行ってくれる?じゃないと俺、心配で仕事が手につかないかも」
「え、あ、はい、行きます、病院」
あー、お願いだから耳元で囁かないで下さいぃ⋯⋯。
その後須藤さんと別れて、行きつけの眼科に行き診てもらい、特に問題なかったことを須藤さんに連絡して家に帰った。
そしてその日、ずっと須藤さんが耳元で囁いていて眠れず、ベッドでのたうち回っていた私は、翌日目の下のクマを須藤さんに見られて、酷く心配されたのでした。
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(´-ι_-`) ちょっと願望詰め込んでみました(照)
涙の理由
どうして泣いているの?
その涙の理由を知りたい
お題「涙の理由」
体育祭で、皆が泣いていた。
自分以外の、皆が泣いていた。
別に、負けた訳じゃない。
嬉しくて、、でも終わっちゃったから泣いてた。
分かってる。
皆が泣いてる理由くらい、分かってる。
先生が言ってた。「全力でやらない奴は、泣けないし、当日楽しめない」って
俺なりには頑張ったし、楽しもうともした。
泣こうともした。でも無理
皆の気持ちに共感するのも、無理。
出来ないわけじゃない、したくない。
だって、泣いている自分は周りから見て面白くもなんともないから。
可愛くもなんともないから。
楽しんでる自分だって、誰かが見てくれているわけじゃない。
皆、なんでこんなに必死にできるんだろ。
楽しもうとしたし、必死にやろうとしたけど皆の必死にはどうやったって敵わない。
必死って何?認めて貰えたら必死なの?
なんなの?俺は頑張ってやってるのに「もっと頑張れ」なんて、図々しく思えてくる。
なんで?お前らよりもよっぽど頑張っているつもりなのに。
結局目立ってきた奴らしか、頑張ってるように見えないんだろ。
「スターは頑張ってる」裏方は無視かよ。
スターになろうとしたって、足が2本ちぎられてたらもう立てないんだよ。
更に腕が2本なかったら、どうやってなれっての?
知ってるよ。妬んでるだけだって。
でもね、言いたいこと言えるのここだけだからちょっとぐらい許してねって思ってる。
不快だったら、ごめんなさい。
泣いてる理由くらい知ってる。分かってる。
でもさ、簡単を簡単と言ってこなすことは難しいってよく言うよね。
それと同じだよ。しょうがないよ。
言ってしまえば、体育祭で汗水垂らして沢山頑張って、みんなと楽しもうとしたのに最後に泣けなかったなって。楽しめなかったなって。
皆に置いてかれたなって。
理由は教えてくれるくせに、それを掴めるのは一部の人間なんですね先生。
意味が伝わんないかも、、、ごめんなさい
「あんた、あの人の葬式でよく泣いたね……ほとんど会った覚えもないだろうに」
親戚のおじさんの葬式を終えた帰り道、車の助手席から母が不思議そうに俺に尋ねた。
「あー……うん。葬式の雰囲気? に、やられた」
「そうかい。随分感受性豊かだったんだね」
おじさんの人となりは父曰く「悪い奴ではない」らしいんだが、その一方で趣味の人でもあり、「自分の世界」を大切に持っている人でもあったそうだ。
そういった人だからか親戚づきあいも希薄で、俺が会うのは実に二十年以上ぶり(両親も正確には覚えていなかった)だったようだ。
一応、俺が生まれた時には顔を見に来てくれたらしいが、当然俺がそんなことを覚えているはずもなく……。
そりゃそんな程度の面識しかない人の葬式で泣いたら感受性豊かだと思われるのも当然、か。
……けど、本当はそんな立派な理由じゃないんだ。
おじさんごめん! おじさんの葬式で泣いたのは昨日見たお笑い番組のネタを思い出したのが原因なんだ。
危うく思い出し笑いしそうになったから二の腕の内側を思いっきり抓ったんだけど、それが想像以上に痛くて……。
で、笑いはどうにか堪えられたけど代わりに涙が出ちゃったんだよね。
あ、あとあくび噛み殺してたのも見られたかも。流石に葬式の場で大口開けてあくびなんて出来ないからどうにか噛み殺してたけど、あれやると涙出るじゃん? それもあったかも。
おじさん、本当にしょーもない理由で泣いてごめん!
俺は俺なりに葬式の雰囲気ぶち壊さないように頑張ったことだけは認めて! 今度(1回忌だっけ?)はちゃんとするから! 許して! 化けて出ないで!
俺は心の中で何度も何度もおじさんに謝罪した。
傷ついてなんかない
悲しいなんて言葉でくくらない
私の涙は
誰にも見せない、見せてやるもんか
だから
誰もいないとこなら
泣いても、いいよね
本当は傷ついたんだ
ものすごく悲しかったんだ
#涙の理由
お題『涙の理由』
先ほどドアを作ると決めた俺は、真実の口のオブジェや石像の置いてある部屋に移動しようと思い、南壁から4つめの黒い点を見つけ指で穴を開けた。
そしてその中心には隣の部屋(オブジェ部屋)との壁が一切ないと判断した俺は壁紙を蹴破り、見事移動することに成功した。
成功したがこのオブジェ部屋にはドア作りに適した材料はあるのだろうか。
そう思い部屋の探索をする。
マネキンに混じって聖母マリアの石像を発見した。
マリア像の両目からスーッと赤い血の涙が流れている。
この涙の理由を数年前にネットで知った。
どうやら「災いの前兆」や「世界で起きる未来が悲劇であることを伝えている」らしい。
もしかしてこれから俺に災いや悲劇がやって来るのだろうか……。
End
理由のない涙も、許してくれますか
わけもなく、子どものように
泣きじゃくる夜は
一人ではきっと、耐えられないから
No.145『涙の理由』
君の涙の理由が聞きたい。
でも君自身がそれを拒む。
なんで僕に君の苦しみを背負わせてくれないんだ。
このままじゃ君が苦しみに潰されてしまう…!!
君がいないと僕は……
涙の理由なんてない。
勝手に溢れちゃうんだよ。
なにかちょっとずつ嫌なことが
溜まって、溜まって。
また小さな確信的なそんなものが注がれて。
溢れる。
泣くな、なんて。
違うんだよ。泣きたく泣いてる訳じゃないから、
止められないんだよ。
またそれを言われて涙が溢れる。
もうこんな自分が嫌になる。
それでまた自分を責めて涙が止まらない。
私だって、治したいよ。この癖。
涙の理由
涙の理由、私の場合は感情が昂ってしまったときに決まって出てくる。
泣きたくなくても、出てきてしまう。本当にうざい。
こっちは泣きたくて泣いているわけじゃないのに、
ある人は「泣いたら許されると思ってる。」なんて云うんだ。本当に気持ち悪い。
私も、こんなこと思っている私も気持ち悪い。
涙の理由
「好きな人ができたから」
そう言ってフラれたらしい。それってそもそも恋愛的な意味で好かれてなかったのでは?という疑問は辛うじて飲み込んだ。いくら自分でも、この言い方が良くないことぐらいは分かる。君を傷付けたいわけじゃないからね。君は一目惚れが多いだとか、人間として安定していれば付き合うとか言うけれど。
「あなたと結婚とかいう話にならなければ狙ってた人がいる」
何かの流れでそう言われて、これはむしろ今からでも身を引こうかと思った。君の中では自分は友達枠で、自分の中の君は飼い主枠であってこの時点で噛み合っていないからね。利害の一致で今の関係に収まっているけれど、利害関係を覆す程の損得があれば君は簡単に離れていきそうだから。君からすれば、アピールしようかな程度だったから別に何とも思っていないそうだが、いやアピールしようと思った時点で中身はどうあれ気持ちは傾いていたのでは、と邪推する。まぁこんなことで涙する程純粋ではないのが自分だから今日のお題は君の話になるのだけれど。
冒頭の話の時、君は飲んだ酒を涙として排出しているのかと見間違う程飲んで泣いていた。どうにも自分の周りには、失恋の度にきちんと涙を流す人が多い気がする。そこまで真摯に他人と向き合えるのは才能だと思っているから、素直に尊敬すると言ったら「むかつく」と言われることが多い。仕方ない、事実だから。そんなわけで失恋から一年経った今も引きずっていると口にする君は、一ヶ月程度は見る度に泣いていた。
それ以来君の泣き顔を見ることはないし、感受性の強い君は感動して涙を浮かべることはあっても泣き顔と呼べるほど顔が崩れることはない。
そんな君は先月、お馬さんのレースで負けて泣いていました。
「涙の理由」
ねぇ、僕のために泣かないで。
僕はもうすぐ死ぬ。
それを伝えたら僕の大切な人は涙を流してくれた。
僕のために泣かないで。
君には笑っていて欲しいから。
僕がそう言うと彼女は笑顔を見せてくれた。
きっと僕が居なくなったら君はもっと泣くんだろうな。
君に出会って僕は生きる意味を、生きる喜びを知った。
だから、君には泣いて欲しくない。
僕に幸せをくれる君だから。
サヨナラするのは辛いけど、覚悟は出来たよ。
僕のこと忘れないでね。
君のことは絶対忘れない。
大好きな人。
笑顔でサヨナラを告げる。
今までありがとう、大好きでした。
涙の理由を問うてみると
皆決まってお前には分からぬと言うが
わしかて1人の人間なので
理解しようと努力はする
到底理解はできぬだろうが
それも仕方ないであろう
わしかて1人の人間なのだ
そして君も1人の人間であろう
君もわしを理解しようと努力しなされ
これが他人の事を思いやると言うことだろ