『海の底』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
人間になりたいなあ…
あの二本足が羨ましくてたまらない。
最近は海の周りに人がいることが増えて、水面に近づくのも怖くなってしまった。
時々、人間が落ちてくるの。
苦しいはずなのに、無抵抗で水の動きに身を委ねて。
陸に上がれない私が出会えるのは落ちてきた人間だけ。
だから、恋をしたのも、落ちてきた人間。
海の底で、白い唇にキスをする。
「海の底」
大きな光は
海の底に眠る魚達を怒らせ
小さな光では
海の底を照らせはしない
光は
眩しすぎないくらいがちょうど良い
海の底
深海
暗く静か
知らない深海魚がいそう
宇宙の彼方くらい謎
深くなればなるほどに
地上ですら謎がまだあるのに
どこまで知れるんだろう
知ることを増やすことに意味はある
しかしほとんどは知らないまま
深海は宇宙ほど変化はなさそう
本心が変わらないくらいに
きっと私は私を知らなくても
私を生きてくけど
謎は残ったままになる
例えわからなくてもあるがまま
暗く静かでのんびりと
僅かに揺れる灯りのもと
活動はしてると思う
消えてくれ
貴方が私に言った、最初で最後の言葉。
何度も貴方に会いに行ったのに、
毎日貴方だけを見ていたのに、
私の愛は、届いていなかった。
貴方の家で毎日晩御飯を作っていたのは私なのに。
貴方に視線を送る邪魔な女は私が追い払ったのに。
貴方はその女の手を取って、私の手を振り払った。
認めて貰えない愛は、持っていたって意味が無い。
愛されない私は、生きていたって邪魔なだけよね。
だけど確かに私は貴方を愛していて、愛されたかった。
どうかそれだけは、覚えていて欲しいの。
雪の降る暗い夜の中、独り海を目指す。
貴方に初めて出会った場所。貴方を好きになった場所。
この海に二人で身を流すのが夢だったのだけど、
貴方の願いはこれでは無いのでしょう。
貴方の幸せを望んでいるの、壊す事など出来やしない。
私の事を嫌いになってもいいわ。恨んだっていい。
だから、絶対に忘れないで。最期のお願いよ。
海の底へと沈んでいく。貴方への愛を握りしめて。
寒い夜は、深海のようだ。
どこか寂しく感じて、時計の針が進む度に町から明かりが消えていく。
皆、夜は眠るものだから。
だから私は、海へと潜る。
外にいても寒くない格好だけをして、私は風を凌げる家屋から出発するのだ。
今の私は、さながらドライスーツを着た潜水士。
静かで、暗い世界が、目の前にはある。
街灯の明かりは、チョウチンアンコウだったように見えた。
たまに見かける、切れかけた電球のチカチカした様はヒカリキンメダイを彷彿とさせる。
どの子とコミュニケーションを取ろうとしている電球なんだろうな。私だったりするのか?
ざんねんながら私は魚では無いので交信は出来そうにないから、他を当たってくれよ。
深海は、まだ未知なる部分の多い世界だ。
宇宙に比べると、さすがに宇宙の方が未知は大きい気がするけれど。
夜には、町はまた違ったふうに見えてくるものだ。
いつも通うスーパーも、定期的に赤と緑を繰り返す信号機も。
この世界は、落ち着いていて、静かでやさしく、寂しいものだ。
私は定期的に寒い外へと繰り出す。この習慣は、ダイバーが酸素を補給しに海上へと上がってくるようなものだ。
無いと、私は私でいられ無くなる気がしている。
冬が一段と感じられるのだが、春だって夏だって、秋だってこれをしている。
ほかの季節ではどうなのか、それはまたいつか話そう。
そうしなくとも、実は誰だってその世界へは簡単に行ける。
静かであれば昼間だっていい。早朝だったら体感するのが早いかもしれないのはそうだけれどね。
安全な場所を確保してから、目を閉じて静かに深呼吸をするんだ。
すると耳が澄ましやすくなることだろう。
その世界を、まぶたの裏に想像するんだ。
きっと、あなたの中にも深海はあるだろう。
どんな魚がいるだろうか。もしくは、いないのかもしれない。
見たこともない奴が現れるかも。
なんたって、深海は未知なる世界なのだから。
気が向いたらやってみては如何だろうか。
「海の底」2024/01/21
みんなより先に心が
大人になったのかもしれない
私は1度堕ちて
今ここで生きてる
だから少し人より
心が強いのかもしれない
でもそんな人間でも
自分を傷つけるときが多数あるのです。
【海の底】
海の底____
【苦い海と沈んだ夕日】
「海は苦い。」
「いや、海はしょっぱいでしょ。」
「違うよ、こころ。」
友達の憂は頑なにそう言う。
「うちの海は苦いんだ。」
「そっかあ。」
あたしはもう受け入れる。
「ねぇ、沈んだ夕日って時に残酷だよね。」
「あたしはそれでも沈んだ夕日大好きだけどね。」
「ぶはっ。」
憂は心から笑った。
【意味】
苦い海は「苦海」。くかいと読む。
この世が苦しいものであることを海にたとえた語。
憂はこの世界が苦しいということ。
沈んだ「しん」
夕日「ゆう」
「親友」
【解説文】
「この世が苦しい。」
「いや、海はしょっぱいでしょ。」
「違うよ、こころ。」
友達の憂は頑なにそう言う。
「うちの世界は苦しいんだ。」
「そっかぁ。」
あたしはもう受け入れる。
「ねえ、親友ってときに残酷だよね。」
「それでもあたしは憂が大好きだけどね。」
「ぶはっ。」
憂は男の子みたいに笑った。
こうやって文章を書いて公開するのにも、海底ケーブルがあるからネット回線に繋げられるのだなと。技術の進歩には壮大な設備があるのだと思いを馳せる。
改めて今ある環境に感謝したい。
(能登の方ではStarlink(衛星通信)や船上基地局でドコモとKDDIの携帯回線を繋いでいるようですが…情報は行き届いているのでしょうか。心配です。)
テーマ:海の底
お題︰海の底
沈んでく あなたの姿
深くかぶったあなたのフード
取っ払ってみたくて
ゆらりゆれてるパーカーの紐
指先かすって再度掴んで
キュッと引っ張るあなたの重み
あっさり引き締まって顔を隠した
そこにいるの どんな顔なの
この紐手放したらあなたは離れてしまう
私に見せてほしいの
あなたの素顔が知りたい
この衝動止められやしない
引っ張られて 沈んでく ごぼり息吐いた
腕捕まれて逃げられない
そのまま深くまで
「海の底 はるかそこまで
お前を引きずりおろしたい」
ニタリ 楽しそうに笑っていた
「助けて、っ!」
放った言葉は泡となって空へ向かう。
溺れないように藻掻いても逆効果。
誰も気づけずにただ沈んでいく。
肺を満たしたきみの言葉で、ただ沈んでいく。
きっときみはまだ気づかない。
真っ暗な海の底。
沈んでった先には死があっただけ。
『海の底』
海の底
暗く静かで
不安と孤独に染まる
ひとりぼっちで何もない
落ちてくるのは石っころ
誰かが投げたのだろうか
上を見ると、光が差していた
キラキラと輝く石は
やがてぽふんと地に着いた
するともう輝きはなく、黒い物体になっていた
上から差す光
いつか見えなくなるのだろうか
思った通り青くはなかった
海の底
『海の底』
暗くて、さみしくて、冷たい。
陽の光も届かないような真っ暗な場所で、今日もぼくは生きている。
ここは、ふかいふかい海の底。
息を吸おうとすればたちまち水が気道を塞いで、言葉を紡ごうと吐き出した息はぽこぽこと小さな泡へと変わる。
上手に泳げないぼくは、どこにも行くことができない。
ただずっと、ここで静かに沈んでいるだけ。
誰も見つけてはくれない。引き上げてくれる人なんていない。そもそも誰も、ぼくのことを見てすらくれなかった。
ここは、ふかいふかい海の底?
明るくて、たくさんの人がいて、あたたかい。
太陽は穏やかに街を照らして、地面にできた水たまりがきらきらと輝いている。
地面に足が着いている。口を開いても、しょっぱい海水が入り込んでくることはない。いろいろな音が、空気を震わせて両耳にはっきりと届く。
でも、それなのにどうして、ぼくはこんなにも息苦しいんだろう。どうして、言葉が一つも出てこないんだろう。
誰もぼくを見てくれない。誰も、引き上げてくれない。
ああ、きっとここは、暗くてさみしくて冷たい場所。
ぼくにとっての、ふかいふかい海の底。
海の底を歩いている魚を見た
人間も歩く
歩くし泳ぐけど飛べない
鳥は飛べるし歩ける
あの魚は泳げるのかな
どんな風に泳ぐのかな
子供のころ何度か海水浴に行ったから
ほんのすこし私の細胞のひとかけら達も
海の底の砂を構成してるかもしれない
どうしてかしら?
憧れを持って
海から陸へ旅立つお姫様はいるのに
陸から海にやってくるひとは少ないの?
ここだってとってもすてきなのに!
居心地も景色も最高
陸になんていかなくたって広い世界が
ここにはあるのに
なんて海の底でゴロゴロ寝そべる
こんなあたしじゃ人魚姫失格よね
でもいつか出会ってみたい
だからはやくこっちに来てよね
海の底
ゆっくりと目を開ける。
あぁ、夢か。
苦しくもない。辛くもない。寂しくもない。痛くもない。冷たくもない。
ただ、どこかあたたかい。
ずっとこのままでいたい。このまま沈んでいきたい。けれども明日はやってくる。
だから、少し。ほんの少しだけでいいから。
自分に優しく。
_海の底_
海岸のコンクリートの端に海に背を向けて立つ。そのまま勢いよく大空を見上げれば重力に従って体が海に吸い込まれていく。真っ青な空と白い雲を見ながらスローモーションのように海に落ちていくのを感じる。バシャン!夏の景色が水に溶けてすぐ、波も私が立てたしぶきの音も小さくなった。人の声も太陽の熱もない冷たくて静かな世界に沈んでいく。深く深く深く。水面のきらめきが遠くなって少し不安も覚えるけれど、我慢していると誰からも何からも逃れて私だけの世界に入れるのだ。
ここでは受験も将来も考える必要はない。私の心をかき乱す同級生も、少し話すだけで生徒を泣かせちゃう特殊技能を持った先生もいない。話したことないけど苦手な陽キャ女子も、数学の解法について話し合う男の子たちも、いつも仲良しのメンバーも、だあれもいない。
ただこの静寂を感じるだけでいい。薄暗い青を見つめるだけでいい。なんの解決にもならない現実逃避だけど。
将来なりたいものなんてこの歳で決まってる人なんかいないし、企業や大学の説明なんて綺麗事しか書いてなくてほんとのことなんかひとつもわからない。これから何十年も同じことをして過ごすなんて途方もなさすぎて想像さえできない。それでも選択の時は迫ってくるから仕方なく選ぶしかない。
でもそれは地上の私がやること。
海の私はそんな面倒くさいしがらみとは関係ないのだ。
絶望はしていない
むしろ落ち着いている
心地のいい静寂
見上げると希望があり
足元は穏やかだ
未知なのに既視感がある
懐かしくはないけれど感動はある
始まりと終わり
微かな予感がする
【海の底】
「ゲームばっかりってどういうこと? 僕は今日朝起きて学校へいって授業を受けて昼休みに宿題をしてご飯食べて、午後も授業を受けて部活をして家に帰ってきて今に至るんだけど、これの何処がゲームばっかりなの? 本当にゲームばっかりの人はトイレする時間すら惜しんでゲームするらしいよ。それに比べたら僕のゲームの時間なんてかわいいもんだと思うんだけど違う? え? 今? 今は深海のステージ進んでる。結構難しいってのに親がうるさいんだよ」
苦しい。海の底に沈んでいるみたいに。
うまく息ができなくて、どうすれば楽になるのかもわからない。
必死になってもがいて、余計に沈んでいく。
このまま諦めた方が楽かもしれない。
何も考えず、抗わず、漂うだけ。
今日は満月だった。海に映る月が、クラゲみたいに
ゆれていた。