『海の底』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
〔普通〕
—ヒトは海の底で暮らすことはできない。
空気無いし。
水圧で潰れちゃうし。
肌ふやけちゃうし。
魚は山の上で暮らすことはできない。
水無いし。
大気圧で内臓引っ張られるし。
肌カピカピになるし。
私が普段の生活で普通だと思ってることも、
きっと誰かにとっては普通じゃないんだろうな。
私はヒトの一生しか過ごすことができないから、
ワタシの一生しか知ることができないから、
相手のことを理解する努力だけは続けてみたい。
…海の底だってなかなか良いところのはずだから。
久しぶりに夜1人で歩くと、
ついこんなことを考えてしまう。
ツンと鼻を刺激する空気が、
まだ冬真っ只中であることを伝えてくる。
嗚呼、語り合う友ってかけがえのない存在なんだな。
見上げた空は、深い海の底の夢をみていた。
#海の底:9
あぁ、何故このなことになったの考える、まさか乗っていた船が沈んでしまうなんて、もうすぐ、呼吸ができなくなる。あぁ、最後に見る景色が海の底になるなんて、でもあぁ神秘的だなぁ。
恋と、愛の違いは深さなんだそうだ。
恋は浅く、愛は深い。
浅い頃の恋は綺麗で透明で、愛が深まってしまえば深まってしまうほどにその美しさからは遠くなっていく。深く、深く、愛し合ってしまったなら、お互いに相手から抜け出せない。所謂共依存、とでも言おうか。海の底よりも深く愛し合ってしまった彼らは、心まで相手に食い尽くされてしまったのだろう。
海の底
海の底は暗い。
行ったことないけど。
海に行った記憶が小学生の頃で止まってる。
《海の底》
時々全てを投げ出して誰も来れないであろう海の底に沈みたくなる時がある。別に何かある訳ではない。仕事だってやりがいがあるかは分からないけれど人の役に立っていると感じるし、友人関係だって良好なはずだ。それなのになぜか全てが嫌になる。深い深い海の底に沈んでしまいたくなる。
ガヤガヤと居酒屋特有の騒がしさが沈んでしまった私の気持ちにはちょうど良いのかもしれない。感傷に浸りすぎず、酒にも飲まれ過ぎず、ただ淡々と時間が過ぎる。
「先輩浮かない顔してますね。大丈夫ですか?」
声をかけてきたのは私の2歳下の出来の良い後輩だった。人懐っこい笑顔と相手がどんな人であろうとすぐに打ち解けてしまう巧みな話術。私とはまるで正反対の性格でその性格が羨ましいと思ってしまう。
「ああ、ごめんね。せっかくの飲み会なのに。ちょっと疲れちゃっただけだから気にしないで。」
「先輩いつも頑張ってますからね。本当に先輩のこと尊敬してますよ。でも、疲れたならちゃんと休まないと。」
「ふふ、ありがとう。多分酔いが少し回っただけだと思うから大丈夫だよ。」
「お水1つ頼みましょうか?あ、それとも外の空気吸いに行きます?」
「んー、ちょっとだけ外に行こっかな。」
「了解です!じゃ、行きましょう。」
「へ?」
「え?」
どうやら私は彼と一緒に外に出るようだ。てっきり1人で出るものだと思っていたから、間抜けな声を出してしまったことが恥ずかしい。
「ふー、外気持ちいい。先輩寒くないですか?」
「大丈夫だよ。外気持ちいいね。」
「ですね。俺もちょっと疲れたんで一回外に出たかったんですよ。」
「君も疲れることあるんだ。」
「流石に人間なんでありますよ。てか、先輩の中で俺のイメージどうなってるんですか。」
「うーん、なんでも出来る後輩?」
「そんなオールマイティーな人間じゃないですよ。先輩こそ何でも出来るイメージですけど。」
「まさか。買い被りすぎだよ。いつも全部投げ出したいって思ってるような人間だよ?」
「そうなんですね。まあ、その気持ち分かりますよ。なんか全部ぐちゃぐちゃにしてどっかに逃げたくなる時俺もあるんで。」
「君も、あるんだ。」
知らなかった後輩の一面。真面目そうな彼からまさかぐちゃぐちゃだなんて言葉が出てくるとは思わなかった。けれど、逃げ出したいと思う気持ちを持っているのは私だけではないのだと思うと少し安心する。
「私ね、たまに全部投げ出して光が届かないくらい深い海に落ちたいって思うの。」
「え、」
「別に今の人生が嫌な訳じゃないよ。そうじゃないんだけど、何て言うかな、上手く言葉にできないけどとにかく誰もいない場所に行きたいなって思う時があるの。」
「先輩も俺と同じですね。」
「ね。でも、私意気地無しだから海の底まで行くことは出来ないんだろうな。私上手く泳げないからきっと沈んじゃう。水面に出られないのも怖いからなあ。」
「なら、」
「ん?」
「その時は、先輩が沈んでしまいそうな時は俺が引き上げます。先輩が沈まないように、絶対に水面まで連れていきますよ。」
あまりにも真剣な彼の顔に言葉が詰まる。別に本当に海底まで沈もうだなんて思ってはいない。けれど彼の真剣なその顔と声に、根拠の無い安心している私がいる。
「ふは、ふふ、何も本当に海底まで行く訳じゃ無いんだから、そんな真剣な顔しなくても、んふふ」
「先輩、笑いすぎですよ!こっちは本気で心配してんのに。」
「ふふ、ごめんね。でもありがとう。君のお陰で元気出たよ。でも、そろそろ中戻ろっか。話してたらお腹空いちゃった。」
「…そうですね。先輩、」
「どうしたの?」
「さっきの言葉嘘じゃないですよ。どうしても辛い時は俺のこと頼ってくださいね。」
「…うん。あ、君もいつでも私のこと頼ってね。どこまで君の力になれるか分からないけど、私に出来ることは全力でやるよ。」
「それは、頼もしいですね。」
「でしょ?」
えへへ、と笑うと彼も釣られて笑っていた。きっと海の底から水面に上がるのは簡単なことではないのだろうけど、不思議と彼となら簡単に上がれてしまいそうだななんて思いながら店の中へと入っていった。
Fin
今しばらく、海の底で潜伏中。
海藻のようにただただ揺らいでいたい。
何も何も考えず、ただただ揺らいでいたい。
耳に入る水がわたしを外部の声から守ってくれているようにさえ感じた。わたしは、もう海から上がることを諦め、底へ沈んでいく。陸はもう疲れたな。
地上には自分の居場所など、どこにもないような気がした。誰かと誰かが笑っている顔も、誰かと誰かが楽しそうに喋っている様子も、何もかもが羨ましくて嫌だった。
静かな場所で一人きりなりたくて、深い海の底まで落ちてみることにした。光も届かず音もない深海は、きっと孤独を求めようとする僕みたいな奴には性に合っているんじゃないかと思ったのだ。
そうして沈んでみたら、予想は裏切られた。
深海は怖いくらいに広く安らかさに包まれているように見えて、実際はとても冷たく苛酷な世界であったのだと知る。
どうやら僕の背に背負うには、海の底の水はひどく重すぎたらしい。
【海の底】
海の底がどんなものかを知っているかって?
冷たくて暗くて狭くて怖いところだよね
得体の知れない生き物がウロウロして
とにかく嫌なところだと思うよ
そんな事ない?
暖かくて陽の光が天使の梯子みたいに降り注いで
静かに生き物を照らす神聖な場所だって?
うーん……
あなたが言うならそうなのかもしれないね
なんだか羨ましいな
あなたの目にはこの世界が
いつも美しく見えているんだ
…いや違うか
あなたの認識が
あなたの心が
あなたこそが美しいから、
この世界も美しいのか
そうすると…
あなたと一緒にいたら
私の目にうつる世界も美しくなるのかな
生まれてはじめて、
この先、生きていくのが楽しみになってきたかもしれないよ
テーマ“海の底”
沈んでいく
何処までも落ちていく
ゆっくり、でも速い
光がどんどん遠くなる…
ああ
落とされたんだと気が付いた時は
既に遅い。
もう、浮かび上がる気力も体力もない。
海の底に
眠っていた気持ちが
一瞬にして弾け飛んで亡くなった。
「君」という存在がいるだけで
「僕」は存在できなくて
【2人】はいつまでも【1人】
誰かが言った。
いらない子。
君に溺れるくらいだったら
海の底で溺れる方がマシ
テーマ:海の底 #69
突然出会った人外と人間のハーフの男の子は、僕たちが兄弟だと言う。急なことで頭が追いついていない僕ーー
「えっと…。君は本当に僕のことを探していたの?」
『勝瑠(すぐる)。僕の名前』
「あ…。勝瑠」
僕はそう言って訂正する。
『やっぱり真兄さんは、僕のこと覚えていないんだね』
やっぱりという言葉に引っかがった。やっぱりってなんだ?
『真兄さんは、自分の両親のこととか知ってる?』
僕は何も言わなかった。
『おいおい…。真の弟だか、なんだか知らないが。いきなり出てきて話を勧め過ぎじゃねぇか? 真だって、まだ状況把握とかできてねぇだろ。あんまり焦らせるなって』
シャドウが珍しくまともなことを言った。
勝瑠は僕を見つめてから、
『そうだね、今言っても疲れているよね。分かった。また後で話そう』
勝瑠はそう言って、部屋を出ていった。部屋にはシャドウと僕の2人きり。
「シャドウー」
『シッ』
シャドウが何かを感じ取ったかのように、ドアの方向を見る。
「なんだ?」
僕はそう言って、ドアの方向を向いたが誰かいるわけでもなかった。
「どうしたんだよ、シャドウ」
『なんか、違和感がある』
シャドウは体を硬直させている。嘘ではなさそうだ。
「僕は何をすればいい」
小声でいうと
『そのままでいろ』
そう囁かれた。
ガタッ!
物音がしてそこに向けて一直線に体を滑らすシャドウ。
『捕まえ…た』
そう言って、シャドウが手にしたものはトカゲのようなものだった。なんだ? トカゲにしては変な紋章…。
そう思ってみていると急にトカゲが姿を消した。
一体何だったんだ…。
僕がそう思っていると、急に僕に眠気が襲う。
「ーこと、真!」
一体どこなんだ、ここは!
僕は目が覚めるとあの部屋ではなく、グラグラと揺れるなにかの中にいた。潮の香りが微かにする。
船? 船に乗っているのか?
僕はなんとか状況を理解しようとした。
「真! よかった。無事か」
そう言って手を握る人は大きい男。
「早く安全なところへ!」
そういう女の人は僕の手を引く。
この船は沈みかけているようだ。よく見たら足元まで水が上がってきていた。
「勝瑠は? 勝瑠はどこだ!」
そう言って、男は誰かを探す。勝瑠…聞いたことある名前だな…。と思っていると一気に波が強くなった。
かと思えば水の中に引きずり込まれた。
暗い、何かが落ちてくる。それを一緒にいた女の人が僕に落ちてこないようにと守ってくれた。
この人は一体誰なんだ。わからない…。わからないけど。何故か安心する。
そんなことを思いながらも、ずっと体は沈んでいく。船とともに。
その時、ボコボコボコボコッ。という音が聞こえた。救助船が来たみたいだ。
女の人は僕を救助船の周辺まで運んでいくと手を離した。そしてまた海の底へと潜っていった。
あなたは一体誰…?
そう思いながらも、視界がだんだん明るくなっていった。
そして、現実に戻されたのであった。
海の底は光が届かない。
まるで今の私みたいだな…笑
やりたい事が楽しくなくなって、見えなくなって、
やりたくない事しか見えなくて現実にのまれてる私みたい笑
今の私には光なんて届くはずがない…。
人魚姫の恋が報われなかったのだとしたら、私の恋は報われるはずがなかった。最初から報われるものじゃないと知っていた。でも、こんなにも悲しくてたまらないのは、どこかで報われるだろうと信じていたからなのだろう。片想いして、両想いだと信じて、告白して。振られた。涙が溢れてしまいそうだった。でも、カッコ悪いとこは見せたくない。そう思って、何とか笑った。でも、笑えていた気がしない。どうやって告白したかよく覚えていない。ただ、あの人に「ごめん、俺は君のことなんにも知らないから。付き合えない。」って言われたことは覚えている。相手からしたら、私なんて興味さえなかったのだろう。去年同じクラスだったのに。名前さえ覚えてもらえていないだなんて。あの人は、ただ、告白という名の嘔吐物をかけられただけ。気持ち悪くて、仕方がないだけ…。プツン、と糸が切れて、涙が溢れ出した。ああ、この恋終わったんだ。でも、まだ、あの人のことが好きなんだ。
「私って、なんて馬鹿なんだろう。」
定番の体育館裏で、暗い暗い心の海の底に溺れていく。差し込んでいたあなたという光が届かないところまで、深く、沈んでいった。
海の底
海の底
何がいるんだろう
何があるんだろう
深い謎に包まれた
海の底
【海の底】 #2
生きている限り
どうしようもない苦しみが
まるで鎖のように繋がって
重みを増していく
いつの日か耐えられなくなり
私の心と体は引き裂かれる
だから私は大声で叫ぶ
高台から海に向かって
誰かに分かってほしい思いを
誰にも言えない思いを
そうすればきっと
鎖は海の底まで沈んでゆくから
『海の底』
もぐら
地の底に眠る
そこは
海の底のように
光が届かず
もぐら
心地よく
暗闇に棲み
小さく
鼻唄を唄う
俺の街には、海の底に指輪を投げ入れると幸せが深く長く続くと言う言い伝えがある。そう言う話を滅多に信じない俺だったけどその話は妙に興味を持った。と言うのも俺には二年ほど付き合っている彼女が居るからという理由だが、
そんな事を思ってから数年経ち、俺はその彼女と結婚し、今は俺達二人の間に芽吹いた命がお腹の中にあった。そんな幸せ絶頂の時に、息の根が止まりそうになりそうな知らせが届く。病院に検診に行った妻が事故にあったのだ。そして現在"重体"らしい。どうすれば良いか、まずは病院に行くのが先だ。だがその前に俺はある所に寄った
それから数時間後、また知らせが届く。それは、重体が軽傷に変わったと言う話だった、病院の人も偉く驚き困惑している声だった。でも俺には理由が分かるのだ。
俺は病院に向かう前、あの言い伝えのあった海に向かった。不思議と興味をもったあの場所だ。二人が助かるなら、そう思い、指輪を取り海に投げ入れたのだ。 その結果、先程の効果かは分からないが二人が無事と言う連絡が入った。まさに奇跡だ。
そこで俺は思う。
『 ...噂ってのは、たまには信じてみるもんだな。』
そう呟いては、彼女とお腹の子が居る病院に急いで向かった。
#海の底
どんどん沈んでいく
ゆらりゆらり揺れながら
ゆっくりゆっくりおちていく
おもい枷を抱えて
もう浮かんでこないように
いつかの難破船のように
全てが終わってから
全てなくなってから
誰かに見つけてもらえたなら
きっと救われるよね