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人魚姫の恋が報われなかったのだとしたら、私の恋は報われるはずがなかった。最初から報われるものじゃないと知っていた。でも、こんなにも悲しくてたまらないのは、どこかで報われるだろうと信じていたからなのだろう。片想いして、両想いだと信じて、告白して。振られた。涙が溢れてしまいそうだった。でも、カッコ悪いとこは見せたくない。そう思って、何とか笑った。でも、笑えていた気がしない。どうやって告白したかよく覚えていない。ただ、あの人に「ごめん、俺は君のことなんにも知らないから。付き合えない。」って言われたことは覚えている。相手からしたら、私なんて興味さえなかったのだろう。去年同じクラスだったのに。名前さえ覚えてもらえていないだなんて。あの人は、ただ、告白という名の嘔吐物をかけられただけ。気持ち悪くて、仕方がないだけ…。プツン、と糸が切れて、涙が溢れ出した。ああ、この恋終わったんだ。でも、まだ、あの人のことが好きなんだ。
「私って、なんて馬鹿なんだろう。」
定番の体育館裏で、暗い暗い心の海の底に溺れていく。差し込んでいたあなたという光が届かないところまで、深く、沈んでいった。

1/20/2023, 1:17:21 PM