『沈む夕日』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
朝日は昇るもの、夕日は沈むもの。
ですが、太陽が空に見えるようになるから朝だし、太陽が空に見えなくなる頃だから夕方であって、夕方だから日が沈むのではない。
太陽の動きが先、朝・夕という名前は後。
しかし、その上、実際は地球の方がクルクル回っているのだ。太陽は動いていない。こっちが動いている。
地球が自転しているから、太陽が動いて見え、太陽が出ているか出ていないか、昼か夜かというのは人類にとって一大事だから、見せかけの太陽の動きに沿った時間の感覚が生まれ、夜が来たら一区切り、というだけでは飽き足らず、その夜の始まりの頃に夕という名をつける。夕はそもそも三日月の形を模したものだから、その月が見える頃ということで、夕方と幅を持たせた時間の呼び方を使い出し、その時間の区分が人口に膾炙しまくって、その時間帯に見える太陽のことを夕日と呼ぶようになり、で、わたしたちはいつだって自分から見えるものばっかりを事実だと思い込むから、“夕日”が“沈む“のではないかしらね。
夕が三日月の象形文字だって知らなかったな。“夕日”って混乱した熟語だ。
道端で夕日が沈んでいる。
思いの外、かなり沈んでいる。
私はどうしたものかと考えた。
声をかけるべきだろうか。
いや、沈んでいるだけで
落ち込んでいる訳ではないかもしれない。
沈むのが趣味なのかもしれない。
そもそも私ごときがなんと声をかければ良いのか。
私ごときが声をかけて、
余計に沈んでしまったらどうしよう。
と考えていると朝日がきた。
あの頃は、夕日が沈むまで遊んでいた。街に行ったり、カラオケに行ったり、ゲーセンに行ったり。楽しかった。また、あの時のようにみんなで遊ぶ日が来るのだろうか。君はまた、帰ってくるのだろうか。
創作 「沈む夕日」
みかんのグミのようにぷるぷるとした太陽が、海面にぶつかったところから、ゆるゆると溶けている。
甘酸っぱい記憶をいっぱいに吸った太陽は、胸へと染み込んで、涙となって溢れた。
夏の空気を燦々と振り撒いた太陽の残り香は、迫り来る夜に薄められ、ただ湿った後悔だけがわだかまる。
後悔は夜闇に紛れて、足首を掴む。
将来が我が身を押さえて、首を絞める。
沈む夕日は、影を見ない。
音もなく、未練もなく、
燃えるその身を蒼い塩水に沈めていく。
(終)
「沈む夕日」
プロポーズ
沈む夕日が
見えるとこ
意味、彼からのプロポーズの場所が
沈む夕日が見えるところ
彼女の一声が虚ろな雑踏を塗り替え顔色を喪う
一面は朱く照り返し瞼を焼く陰ばかり勿体ぶる
やがてもう直ありふれた夜に呑まれるのだろう
泥む想いが肺の裏辺りに縋って行き場を失くす
他人のように憐れんで西は頬を刺し続けていた
―――――
(沈む夕日)
「沈む夕日」
例えば…
沈む夕日に向かって
バカヤローと叫んでみる
みんなのために1日
必死に働いたのに
バカヤローはないだろ…
と思うだろう
この世界は
誰かのやり場のない苛立ちを
誰かが理不尽に受けとって
毎日回っている
みんなのバカヤローを
受け取った夕日は
より赤く燃えて沈んでいく
沈む夕日
命の恩人の君の動画を見ながら心のなかで呟く、
「嗚呼、生きててよかった」
沈む夕日
君と僕、並んで空を見ていた
青からオレンジに染まり
やがて深い闇に落ちるだろう
君は何も言わなかったし
僕も何も言えなかった
ただ二人並んで、静かにその時を待っていた
このオレンジ色の光が沈んでしまったら
君も、僕も、消えてしまうだろう
君は仮初めの生を与えられた幻で
それに気づいてしまった僕は
もはやこの命、捨てるしかないのだから
君は何を考えているのかわからない表情で
僕は溢れる感情を必死に抑えて
ただ静かに沈む夕日を見ていた
沈む夕日
帰りのバス
少し高い視点
秋から
冬へ
僅かな時期
灼けるように
染まる空の模様に
目を向けて
目を凝らす
遠くて近い
そんな場所に
帰る時間が
ほんの少し懐かしい
ここからでも
見えなくはない
たまに見るんだけど
そこには帰らない
別の帰り道があるから
沈む夕日
そのときまでは
また明日ねって
当たり前に思っていたんだ
仕事帰り 電車の窓から見える 川の景色が好き
川の土手にいる人たち
川沿いに走っていく高速道路
川面は ある日は波打ち、晴れた日は煌めいている
いちばん好きなのは
霜月から冬至にかけて 夕暮れが早まる頃
沈む夕日の陽光が
暮れていく群青色にとけて
雲が 茜色のグラデーションに染まる
マジックアワーと呼ばれる
とても美しく神々しい この色彩
スマホに視線を落としている ほとんどの人は
たぶん 気づいていない景色を
わたしはひとり 楽しんでいる
山の向こうに沈む夕日
今日もまた1日が終わる
日も長くなって、1日が長く感じるけれど
結局は24時間
たったそれだけ
その時間で、何ができたかなぁ
どんどんすぎていく、僕の人生
その時間で、何ができるかなぁ
沈む夕日
綺麗だと思う一方で寂しさを感じる夕日。
もう、一日が終わるのかと思ってしまう。
夕日を見る時こそ大体終わってほしくない日で、
もう少しだけ、と思いながら眺めてる。
空も雲も茜色に染まって、
段々と、でも止まることなく沈む真っ赤な夕日。
気付けばもう、暗くなっておやすみなさい。
また、新たな日が始まる。
今日も一日の終わりに近付いてきましたね。
太陽も月に見守られながら沈んでいきます。
今日も一日お疲れ様。
お題『沈む夕日』
「帰り道にカレーの匂いがすると無性にお腹空くよな」
「うちおかんが今日カレーって言ってた」
「いいな。俺もカレー食べたくなってきた」
「じゃあうち来る?親も兄もばあちゃんも皆ちゃんといるよ、カレーだから」
おかん絶対いいよって言うだろうし、と提案して気付く。初めての彼氏を家に呼ぶ理由が「今日カレーだから」なことあっていいのか?いいわけなくない?
「ご、ごめん」
不躾な提案を、と謝りかけたその瞬間。
「…それは…ちゃんとお土産買って、ご家族に迷惑じゃない、タイミング…がいい…」
ぼそぼそ聞こえるどこか掠れた小さな声。暗くなりつつあるのにやけに赤い顔をしているものだから、笑ってしまった。
"沈む夕日"
今日は珍しく定時で帰れた。
ちょうど夕日が沈んでいく時間。
電車に揺られながら窓から外を見る。
オレンジ色の太陽が沈んでいってる。
「綺麗な夕日…」
小声で呟いた。
きっと館の庭でラムリと見る夕日は何倍も綺麗なんだろうな…なんて考えながら。
電車の揺れに身を任せ、少し目を閉じる。
「綺麗な夕日だなぁ。」
沈んでいく夕日に照らされる赤い薔薇。
少しオレンジ色になってて綺麗。
「主様にも見てもらいたいな。」
今度オレンジ色の薔薇を主様に贈ってみようかな、
なんてことを考えながら沈んでいく夕日を眺める。
沈む夕日
「沈む夕日 詩」
沈む夕日
君と見ていたい
一日の終りに
最高の癒やしを君と
夕日は疲れた心を吹き飛ばしてくれる
明日への活力や希望をくれる
夕日を見て明日も頑張ろう
沈む夕陽
哀愁…
過去は儚く消えて
いく…
でも…
だれかの心には
過去が現在形
変わらないで
いる
過去に戻って
もう一度…
沈む夕陽を眺めながら
想う…
待ってくれ、まだあの子と話したいんだ。
俺の時間が始まる時、あの子の時間は終わりを迎える。
まだだ、まだ目を閉じないで。
お願いだから、そんな満足そうな顔をしないでくれ。
俺のことも連れてってくれ。
役割なんて知ったこっちゃない。
あの子のいない世界は真っ暗なんだ。
真っ白な世界で俺だけが。