『梅雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「梅雨」
梅酒 梅干し 梅シロップ
あれやってこれやって
あっあれも買わないと
雨に濡れてる場合じゃない季節
#36 梅雨
「梅雨は、一つの季節としても数えられるんだ」
「そうなの?春夏秋冬、梅雨?ってこと?」
疑問符だらけの私の返答に、呆れもせず話を続ける彼。
「梅雨は春でもなく夏でもない感じがするだろ?」
「確かに」
「梅雨は東アジアで見られる雨季で、しかしその雨量や降り方は地域によって異なる」
「つまり…ひとくちに梅雨と言っても、同じイメージを抱いているとは限らない、ってこと?」
「まあ、そういうことだ」
「ふぅん…」
窓に目を向けた。
折しも今日は梅雨を思わせるような雨。
ただ、今そう感じるのは自分だけかもしれない。
ぼんやりと感傷に浸っていると、ん、んっと下手くそな咳払いのような音が聞こえてきた。
「確かに、君と僕は出身地が離れている。梅雨のイメージも当然違うだろう。だが、一緒になってもう長い。これからもここに住むだろう。それなら、きっと梅雨のイメージも一致していくようになる。そう思わないか?」
視線を戻すと、決まり悪そうな彼と目が合った。
彼との、これからの年月を思う。
「…じゃあ、紫陽花見たい、青いの」
「よし。それなら、あの大きい傘を出すか」
そろそろ近くの紫陽花が咲き並んでいるはずだ、と彼が立ち上がった。
ちらりと窓の外に目を向けた。
心なしか先ほどより明るくなっている気がした。
目覚めの季節を抜け
進む命の旅立ちに
育つ源降り注ぐ
時に激しい友と
連れ立って走り去る
巡る季節に忘れられぬよう
爪跡を残して
―「梅雨」―
涙雨、泪、移り気
紫陽花を手折る
見よ、虹の幻影を
哀歌を捧げよ
#梅雨
雨は嫌いじゃない
私の代わりに泣いてくれるから。
お題
梅雨
梅雨は嫌いじゃない
温室に閉じ込められ
甘い香りと湿度に炙られながら
曇った硝子から外の世界を見る
外は溶けて流れていく水彩画のよう
梅雨
また めぐってきたわね
さがしものは
みつからないままで
梅雨は私にとって苦手な季節だ。
古傷が痛んだり、偏頭痛が起こったりするからだ。しかし、その中でも私が好きなことがある。
それは、夜中に雨音が聞こえることだ。
寝る前に窓を開けて、雨の音を聞くと、心が落ち着いて、深い眠りにつくことができるのだ。
わかむらさき
天色
花浅葱
私の好きな立葵
キャンバスに描き込んで
梅雨の長雨を優しく白に落とし込んで
コーヒーと毛布にくるまり
キャンバスの隅に夏を忍ばせる
美術室の窓にはてんとう虫
筆洗は鈍色の雨
凛として
ただひたすら好きな季節にかえていく
(梅雨)
『梅雨』
今朝梅雨入りしたと、テレビをつけると言っていた。
嬉しくなり、いつもより少し早くうちを出る。
傘をさして歩くのが好き。
雨粒が傘にリズミカルに踊るように弾ける音がする。
外を行く人々が思い思いの傘をさしている。
雨に洗われ見慣れた風景がいつもより生き生きとして見える。
小学生が友達に出会い何人かで傘をさしているのを見ると、まるで大きなガクアザサイの様。
「おはよう」友達に声をかけられる。「梅雨入りだね」弾んだ声で言うと「とうとう梅雨入りだね、雨って鬱陶しいよね」とさも嫌そうに言われて不思議に思う。
みんなは、なぜ雨が嫌いなのかしら。
町は登校時にはシャッターが閉まっていて色が無い。でも雨が降るとみんなで傘をさすから急に町並みが鮮やかになるというのに。
一人だとハミングしながら傘をクルクルと回しながら歩く。
雨音もクルクル回る。
傘をさしていると守られている気がするその感じが好き。
雨の音を聴いていると不意にピアノ曲が聴きたくなる。
今朝、梅雨入りしたと言っていたのだからしばらくは楽しめる。
嫌な学校に行くのも、梅雨の間だけは私のお気に入りの時間になる。
No.52『始まりの雨』
散文/掌編小説
ついていない時は、何をやってもついていないらしい。解けた靴紐を結ぼうとしたら切れてしまうし、売り切れが続いたトイレットペーパーもやっと手に入れたと思ったら、大量に入荷されて買い溜めの心配がなくなるし。
「あ。雨だ」
出先で雨に降られるのもついてないけど、慌てて飛び込んだコンビニでは、ビニール傘が売り切れていた。仕方なく店先で雨が止むのを待っていたが、こんな時に限って雨は、なかなか止んでくれなかったりする。
遠くで雷が鳴っている。降り始めた雨は勢いを増し、わたしは店内に引き返して、何かを買うことにした。だけど、実は昨日、大型スーパーで買い溜めをしたばかりで、何を買おうか小一時間悩むことになるのだけれど。
結局は雨のせいか肌寒くなって来たので、ホットコーヒーを買うことにした。
「あ」
店先でコーヒーを飲もうと思ったら、鈍色の雲から太陽が顔を覗かせていて。もう少し我慢していたらと悔みつつ、特に飲みたくもないコーヒーを啜る。
そんなわたしが大切な人に出逢うまで、あと5分。すっかり止んでしまった雨が始まりの雨になることに、この時のわたしは気づかずにいた。
お題:梅雨
そういうときもあるよね
そうやって言ってくれるので
甘えて感情をのせる
自分をさらけ出す瞬間が
大降りの雨とつながる
梅雨
キックボード
母さんに買ってもらったキックボードに乗る
やわらかい風を切って、走り出す
ネクタイがたなびく
深夜の道路をとばして走る自動車
ヘッドライトが僕を照らす
頭の中に駆動音が反響している
ひたすら地面をキック、キック、キック
今日は母さんの命日
朝日がかすかに世界を照らす
家に向かって、ひたすらキックする
中2
梅雨
頭痛すぎピーヤー笑笑笑
いっぺん死んでくる
ある古い書物の一節にて。
伝説の雨の島がある。それは一般的には梅雨島と呼ばれている。現在も存在する。
だが、雨が降り続くため発見するのは困難で、一見梅雨島と見分けができない。
そこに暮らす人々はどんな暮らしをしているのか。
滞在した者は言う、神と人々が優雅に暮らす島。
ー オリジナル小説・ドゥコ作中の書物ノン・ドゥカ・ドゥコから ー
梅雨か…それでずっと雨なんだ…
それにしても晴れ間がほしい
天気の子でも時々晴れたのに
現実はそうとはいかないんだな〜
いつになったら止むかな…
いい加減青空がみたい
そう思った次の日は午後に綺麗な虹が見れた
それから雨が降っても降り止まないことはなかった
時期外れの梅雨がちょっとだけいいものに思えた
梅雨は嫌い。
頭が痛くなるし、ジメジメしてて少し憂鬱。
でも、雨は好きなんだ。
雨音とか、雨の匂いとか。
紫陽花も綺麗に咲くし!結構いい事もあるね!
雨が嫌じゃないと言うと昔から変人扱いされた。
全員が晴れが好きだって誰が決めたの?
幼い頃とても乾燥肌だった自分は、雨の湿気で湿度の上がる日に、乾燥からくる肌の痒みが少ないことに気づいた。
大人になり乾燥肌がだいぶましになつた今でも、幼い頃に痒みで苦しんだ自分を自分で肯定してあげたくて、雨が嫌いじゃないと言い続けているけど、
雨が昔より好きじゃなくなった自分に、あの頃の苦しみが少しずつ癒されていることを感じる。
彼は傘を忘れてしまった。
だけど彼には傘を貸してくれる人がいない。
だから、濡れるしかないのだけど。
でもまだ濡れる決心がつかなくて。
だから止まないと分かってる雨を眺めてる。
軒下の下で一人。
だけと彼は梅雨が嫌いじゃない。
「梅雨」
私は雨が嫌い。二年前のことを思い出してしまうから。
~高校1年の夏~
私はクラスの皆といち早く仲良くしたかったから、自分から話しかけていた。その日も少し仲良くなったクラスメイトの女子に「今日遊ばない?」と聞いていた。だが、
「え?なんであなたと遊ばなきゃいけないの?私あんたのこときらいなんだよね~(笑)」
私は仲良くなったと思っていたがその子的には仲良くなかったらしく、クラスの女子の皆に嫌われていたらしい。その理由は「調子乗ってるから」だった。
それを聞いた次の日から私は不登校になった。
その日は、雨が降っていた。
~不登校~
今日も雨だ…
私はあの日から学校には行っていない。だけど、何気に学校に行かない生活も楽しい。
ある意味不登校もいいのかもしれない。
~四年後~
私は有名な歌手になった。今は幸せだ。私だけを見てくれる彼氏がいて、私を親友だと言ってくれる子が居る。
あの雨の日の悲しかった思い出は、もう忘れた。今幸せならそれでいい。
~おわり~