『柔らかい雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
最後の電車が役目を終え車庫に戻るとき
私も帰路に着く。
時計の短針はてっぺんに上っていた。
重くなった足をなんとか動かし、階段を登る。
一番端にあるかわいい我が家の扉を開け、明かりを着ける。
そこは本当に人が住んでいるのか疑うくらい生活感の無い部屋。
良く言えばモデルルームのような部屋だ。
家へ帰ったら絶対に座らないことにしている。
座ったら体が重りのようになり、立てなくなってしまう。
フラフラになりながらスーツを掛け、風呂場へ直行する。
この季節だと服を脱ぎたくなくなる。
冷えた浴室を温めて自分も温かい雨を浴びる。
身体包む雨。
それは心地よく疲れをとってくれる。
柔らかい雨。
柔らかい雨 2024.11.7
お題『柔らかい雨』
湯船につかるのが面倒な時、シャワーだけですませることがある。
ただ、寒がりなのでわりと長時間シャワーを体にあてる。自分が心地良いと思う温度に設定して柔らかくてあたたかい雨を自分にあてるのだ。
「ぬわぁ、生き返るぅ」
こういう温かい水を当ててる時間も至福のひと時である。
ドアを明けたら
貴方が立ってた
私は思わず
抱きついた
抱きしめてくれる
貴方は凄く冷たくて
粉雪がヒラヒラと
降って
貴方と私を白く
染める
会えた喜び
会えなかった
寂しさで
私は胸の中で
泣いた
届かない気持ちに思いを馳せて
この黒い気持ちに対して落ちるのは柔らかい雨
もっといっぱい降ってしまって
この嫌な気持ちごと流してほしいのに
こんなんじゃ何も流れていかない
優しくされる方が涙が止まらないのよ
#柔らかい雨
小学生の頃、学校のプールに入っている途中で雨が降ってきたことがあったけれど、水面に波紋を作っていく雨を見て妙に心を惹かれた。それは土とかコンクリートを打ち付けるような獰猛な雨とは違って、水面と雨粒が優しく触れ合うような、どこか柔らかさのある雨だった。
柔らかい雨
わかんないよ、先生。
デーンと鍵盤を仰々しく押し込む。ため息が出てきた。
譜読みから1週間、さらっと頭から最後まで弾きこなせるようになってきた所だ。
ショパン前奏曲第15番《雨だれ》
今回言い渡された課題曲だ。
難易度自体は優しめだからね、と先生も笑っていた。
問題点は表現だ。
君の雨だれはなんていうか、ゲリラ豪雨だね。と先生はにこやかに切り捨ててくれた。
悔しい。
弾き始めを軽くさらう。
テンポはゆったりと、和音の音が部屋の隅々まで響き渡るように。柔らかい雨が地面に降り注ぐように。
一回だけ、お手本で先生が弾いてくれたのを思い出しながら弾く。
あのぴかぴか光る雨粒のように。
私の弾く雨の音を探す。
柔らかい雨が空から舞い降りる
柔らかい雨が大地に降り注ぐ
柔らかい雨が大海に舞い降りる
柔らかい雨が頬を伝う
柔らかい雨があなたにも降り注ぐ
柔らかい雨はぼくらをいつまでもつつみこむ
題 柔らかい雨
ポツリ、ポツリ、、
あ、春雨・・・
春に降る雨は柔らかいと思う。
私はさぁぁっと降る細かい、本当に細かい線のような雨を見上げた。
優しい色の淡い空に、細かい白い線が舞い降りる。
髪や顔に当たっても、その感触はソフトで全然嫌じゃない。
優しさを含んで降り注いでいるようで
道の真ん中で雨が降る空をただ見ているなんて、完全に変な人なんだけど。
それでも降ってくる淡い柔らかさを感じたい。
春雨が好きだ。
春は優しい季節だから、降る雨も優しいのかな、とふと思った。
あ も、サイテー
い …
あ いっつもそう
い …
あ 私何かしたかな…
い あっても良いよ
あ ?
い こんな時も…ね
あ ……もっと降れ…
『柔らかい雨』
天気雨 舞う夕暮れ
金色に染まる山里……
薄雲の切れ間から
光のカーテンが 降り注ぐ
振り向いた東の山麓に
七色の橋が 架かると
神々しい光に包まれた
きつねの嫁入りが
七色の橋を渡りだす
やがて、その行列は
七色の橋と共に
霞んでいった
柔らかい雨が
静かに
里山を 包む……
#柔らかい雨 729
気づいたら真っ白な世界に居た。
小さな子供と手を繋いで。
僕の手を引いて小さな子供は歩き出す。
まるでここに何回も来ているような
道案内の人のような。
どこに向かうのか分からないのに
不思議と気分は落ち着いていた。
子供は僕が知っているような知らないような曲の
鼻歌を歌っていた。
僕と子供は言葉を交わさなかった。
それが心地よくて正解だって思った。
歩いていくうちに遠くから聞こえる音に気がついた。
泣き声から始まって笑い声、怒り声と
聞こえてくる音は小さなはずなのに
強いエコーがかかっているようで僕の頭に響いた。
なんだか胸が苦しくなって涙がこみ上げてきて
僕は立ち止まった。
でもそれを子供は許してくれなかった。
「いくよ」と言うように手を引っ張る子供は
さっきよりも強く手を握ってくれていた。
「大丈夫」とでも言うように。
また少し進んでいくと扉に着いた。
扉を開けると今までと変わらない部屋があったが
そこには雨も降っていた。
また子供が先導して歩く。
しとしと降る雨は僕たちを避けているようで
濡れることは無かった。
少し歩くと子供は僕の手を離し走り出した。
ふと前を向くと白いワンピースを着た人が居た。
飛びつく子供を抱きとめる姿に
僕は昔の母を思い重ねた。
その瞬間頭に流れる思い出
「僕がパパの代わりにママの王子様になるよ!!」
「ふふっ、嬉しい。
でもいいのよ貴方は本当に好きな人と結ばれなさい。」
「え〜ママのこと好きなのに?」
「じゃあママよりももっと好きになれた人が現れるまでママの王子様になってくれる?」
「うん!!僕が王子様だよ!!」
懐かしい元気な母と僕の思い出。
最近では体調を崩しがちの母の元気な時の記憶。
最近ではもう長くないかもしれないと言われたのが
僕は悲しくて
母はそんなの分かっていたみたいな顔してて
だから僕の恋人を紹介したんだ。
喜んでくれ笑顔になってくれって思って。
この子供は僕で女の人は僕の母だ。
子供は母に手を振って僕をまた連れて歩く。
また扉を開けた。
今度は僕の背中を押して
子供は僕を真っ直ぐに見て扉を閉めた。
優しくてみんなを好きって顔してたなんて思いながら
ひとり部屋を歩く。
ここも雨が降っていた。
今度は僕も濡れた。
不思議と雨は冷たくなくて
柔らかい雨の中をずっと歩く。
また母に会えたら
沢山の「ありがとう」を伝えないと
─────『柔らかい雨』
ポツポツと雨が降ってきた。
そんな激しい雨ではないけど傘をさした。
いつもの道を歩いていると。
クラスの好きな女子が居た。
その子はみんなから良くは言われないけど。
僕はその子に傘を差し出した。
そっと彼女の肩を寄せ傘に入らせた。
好きな子と相合傘して帰った。
柔らかい雨
今朝は少し早く家を出たせいか、
柔らかな雨の中、泉のほとりにたたずむ五頭の鹿を見たのでした。
(あの山にあんなに鹿がいて、お山はだいじょうぶかな。と心配になったりもする。)
「柔らかい雨」
『柔らかい雨』
晴天‥気持ちいい
ポトン‥雨?天泣?柔らかいぞ
見上げれば鳥さんが‥
運をありがとう
「しね」
朝、学校に登校すると、今日も机に黒く濃く書かれていた。教室の後方からクスクスと嗤い声が聞こえる。嗤い声を聴きながら、劣等感と羞恥心と、よく分からない感情を抱えて、それを消しゴムで消す。
2時間目に外を眺めていると、雨が降ってきた。今日は朝の天気予報を見て、傘を持ってきている。良かった、少しだけ嬉しい気持ちになった。
3時間目までの授業の合間、トイレに行ったため、少しだけ席を外した。教室に戻る時、玄関付近できゃあきゃあと嗤い声がしていた。
昼休み、1人で弁当を食べようとすると、横から伸びてくる手があった。それは弁当などには興味を示さず、机の引き出しに躊躇なく突っ込み、1冊のノートを乱雑に引き出した。「数学」とだけ表紙に書かれているノートを見て、そいつはニヤッと口角を上げ、「これ貰ってくね〜」と言って去っていった。拒否する暇も与えてくれなかった。
私が弁当を食べ終わった頃にそいつらはまた来た。
「プレゼントがあるよぉ〜」不気味な笑みを浮かべながらそいつは言った。中庭の池に行くように言われた。大体予想はついていた。私が池に向かうと、鯉たちが優雅に泳ぐ中に四角い何かが浮いていた。それは私の数学ノートだった。池の中心に浮いていたため、私は地に這いつくばって、袖を池の水で濡らしながらノートを手繰り寄せた。その間中、3階の窓から覗く彼女達の嗤い声が中庭全体に響きわたっていた。そのノートには、「しね」「ブス」「キモい」などの暴言が鉛筆やマジックで大きく書かれていた。それをタオルで包み、鞄に入れた。
学校が終わった。予報通り、外はまだ規則的な雨が降り続けていた。玄関で靴を履き替え、傘立てを見て悟った。朝確かにさしたはずの傘がなかった。数メートル先の雨の中から嗤い声が聞こえる。顔を上げるとやっぱり彼女たちが私の傘をさして歩いていくのが見えた。追う気にもならなかった。私はあらゆる全てのことをとうの昔に諦めていた。今日唯一幸せだった出来事も今、不幸に変化した。家まで20分程、雨に打たれる決意をし、私は帰路へと踏み出した。
雨の中へ入った私は、予想外のことに戸惑い、足を止めた。雨というのはこんなにも柔らかいのだろうか。私は天から落ちる銃弾の雨に当たりに行くような想像をしていたのだ。雨は私に優しかった。優しく伝って流れ落ちていく。視界が揺れて、目に溜まった液体が溢れ、零れる。
この世界は、少なくとも私の生きる世界よりは、優しく生ぬるかった。
11.6 柔らかい雨
柔らかい雨
失恋。大好きな先輩に嫌われてしまった。告白した訳では無いのに、先輩の態度でわかってしまったのだ。避けられたり目も合わなかったりと踏んだり蹴ったりの日々が通り過ぎていく。私には柔らかい雨が打ち付けそれがもう私を包み込むのだ。そっと、優しく、
〜柔らかい雨〜
私の涙を包み込んでくれるような
柔らかい雨が降ってきた
暖かくて
冷えきった心も温められていく
世界が全員敵なら
今の私はどう生きていくのだろう
優しい雨と差し込んだ光
1番近くに居た仲間
そう全てを受け入れた瞬間
全て間違いではなかったと知った瞬間
私は生きていける
そう思った
敵か味方すら分からない世界でも
自分のことを信じれる
それが何よりの味方で
自分のこと愛してる
それが何よりの勝利なのだ
ぱらぱらとリズミカルに葉をたたく。
乾ききった土にたっぷりの潤いがもたらされる。
むわりと漂う雨の匂い。
その中に涙が混ざっていても分かるまい。
小学生だった頃
夏休みは、自転車に乗って
毎日、毎日、ずっとプールに
通った…
その頃の最高気温は確か…
マックス32度くらい
今と違って湿度も低かったから
木陰に行って風が吹けば
爽やかで気持ちが良かった
大人たちもおおらかで、
泳いでいる子供たちを黙って
見守っていた…
十分に水と戯れて帰路につく頃には
必ずと言っていい程、入道雲に
「柔らかな雨」スコールを
浴びながら乾きかけの髪をまた
雨に濡らし立ち漕ぎの自転車で
一目散に家を目指す
平和で幸せな時間がそこにあった
今の殺伐とした世の中なんて
想像もしなかった大切な時間だ
何でこんな事に、私が何をしたの一体私が何を。
何気ない朝だった、珈琲を飲んで居るとアイツが放った言葉が。此処から出て行ってくれないかだった、どうしての?
何があったの?子供が出来たんだ!子供誰に!?
沈黙して語らないアイツ、数分後に一言妻に。
はぁ〜あ何、妻は私でしょ?いや、籍は入れてないから妻じゃないんだ。言葉を飲むとはこの事か、確かに一緒に出してはいなかった任せていた。そしてアイツは、違う女と籍を入れた訳か。そこそこ収入の有る私と暮し、二重生活をしていた理由か。余りにも酷い仕打に言葉も出ない、頭を整理したいからと家を出る。会社は休もう、それだけしか浮かばない。外は寒い風が吹いている、こんな季節に私は彷徨っている。人生も彷徨っている!気が付けば、実家に居た。何も無い家で、誰も居ない両親も居ない。此処で、枯れる程泣いて忘れようアイツ何か。戸籍は綺麗だ、私も綺麗だ。アイツより!