闇猫

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最後の電車が役目を終え車庫に戻るとき
私も帰路に着く。

時計の短針はてっぺんに上っていた。
重くなった足をなんとか動かし、階段を登る。
一番端にあるかわいい我が家の扉を開け、明かりを着ける。
そこは本当に人が住んでいるのか疑うくらい生活感の無い部屋。
良く言えばモデルルームのような部屋だ。

家へ帰ったら絶対に座らないことにしている。
座ったら体が重りのようになり、立てなくなってしまう。
フラフラになりながらスーツを掛け、風呂場へ直行する。
この季節だと服を脱ぎたくなくなる。

冷えた浴室を温めて自分も温かい雨を浴びる。
身体包む雨。
それは心地よく疲れをとってくれる。
柔らかい雨。





柔らかい雨 2024.11.7

11/7/2024, 12:01:05 AM