『柔らかい雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#柔らかい雨
傘の花の中
たたずむ私
身動きさえできず
ただ空を見上げて
聞こえるはずのない声を探す
哀しみなんて流れてしまえ
寂しさなんて溶けてしまえ
少しだけ微笑んで
目を閉じれば…
雨も優しい
やがて柔らかに私を包み
垂れこめた雲の隙間から
光を連れてくる
雨もいい
今のうちに泣いてしまおう
柔らかい雨が降ってきた
隣にいる夫がスッと上着を脱いで
私の頭の上にかぶせてきた
え?夫よ!
風邪引くよ?
そう言うと
お前が風邪引いたら大変だから着てろ
そう言って私の手首を掴み歩きだしてくれた
まったく
してくれることがイチイチカッコいいんだよ
私は嬉しくて照れ笑いながらうつむいて
コクりと頷くことしかできなかった
夫、かっこ良すぎ!!!
あゝ朝露が我を濡らしている
素晴らしき祝福が収斂し結晶化した愛は
天へと舞い上がり朝露と成った
何時迄もこの愉楽を存分に味わせ賜う
魂が消え、肉体が消えようとも
海原を創った朝露は欣快(きんかい)を広げる
どれだけ醜怪な世界だろうと
無言で可憐に包むに違いない
おゝ朝露が霧散し消えて逝く……。
『朝露』
柔らかい雨
音もなく
僅かに触れる
これから雨が降りそうな雨粒
優しくはない
冷たさもない
雨が強くならずに去っていく
降らなかったなって
ちゃんと降っていた雨
嫌なことが続いたあと、
外に出たら雨が降っていた
今日は傘を持ってきていない
こんなところでまで嫌なことが起こるのか
スマホで天気予報を見るに、
どうやらこの雨はまだまだ止まないようだ
しかたがないので濡れて帰ることにした
思いの外優しく柔らかい雨だった
打たれて冷たいはずなのだが、
どこか温かみを感じるような雨だった
そのうち雨に慰められているような、
そんな感覚になり、
まあこんな嫌な日くらいたまにはあるさと
心を切り替えて、
私は帰路につくのだった
柔らかい雨
孤独でいる時には心と頬に冷たく激しい雨がざあざあ降る。
でも、貴方といる時は、心と頬に柔らかい雨がしとしと降る。
『弱い』でも『小雨』でもいいのに、『柔らかい』と表現するのは、雨が日本人に愛されてきた証拠だよなあ…と、分かったような、分かってないような(多分こっちの要素が8割)ことを考えた。
じゃあ、『硬い』雨とは何か?
ーそりゃ霰(あられ)か、雹(ひょう)だろ。
そう真っ先に思いついた自分は、やっぱり分かってない方の人間でした。
雨は水だ。水というのは硬さが変わる(硬水軟水ってわけじゃなくて)。水は勢いがあれば硬くなり、弱ければ柔らかくなる(まぁ、僕は物理学者でもなんでもないから、これが正しいのか分からないけど)。
つまり、「柔らかい雨」というのは小雨であるということを予想する。……小雨の時、傘を差すだろうか(こんな話題しか思い浮かばない)。僕は差す。ちょっとでも濡れるのが嫌だから。ただ、何処か、ヨーロッパの国(イギリスだったかな)は小雨では傘を差さないそうだ(勿論、一概にそう、とはいえない)。雨が多いから、少しの雨で傘を差していたらきりがないらしい。
今までヨーロッパの国というのは小綺麗な装いで街を闊歩しているようなイメージだったので、意外だなあと感心した覚えがある(以上、不確実な豆知識でした)。
「柔らかい雨」とかけまして
「素潜り漁する女は見るな」と解きます。
その心はどちらも「雨水/海女見ず」です。
柔らかい雨
傷ついたココロに
柔らかい雨
しみわたって
すきとおって
僕は僕にもどる
『柔らかい雨』
あなたがそばにいてくれるだけで、一人じゃ耐えられなかった冷たい雨でさえ、光のような柔らかい雨に姿を変えた。
あなたの涙を覆い隠すような、そんな柔らかい雨になりたいと願った。
ー目ー
君の顔を見て泣きそうになった
僕の話を聞きながら君の目が泣いてるから
僕のせいだね
僕の感情が移っちゃったかな
ごめんね
ううん、違うね
ありがとう
僕の話を真剣に聞いてくれて
本当にありがとう
君の目が「今まで辛かったね」と僕に語りかけている
目で慰めてくれる人がいるだなんて思ってもなかった
君の目が僕のずっとずっと深いところに届いたんだ
もっと強くなれるように努力する
もっと信じられるように努力する
もっと、もっと、頑張るから
僕の扉の中を見てくれませんか
柔らかい雨
(お題更新のため本稿を下書きとして保管)
2023.11.7 藍
私は雫あの降り注ぐ雨の1粒
雨が降り、私は落ちて土に還る
そして、川を流れ、私は海に帰る
それを繰り返す、私こそが水である
私はどこにでもいる
あの山にもあの町にも
私は水である
長く長く長い旅をして、長く長く引きこもる
私はあそこにも居て、そこにもいる
ほら、君の足元にも
水になった私は空を駆けることだって、道を走ることだってできる
私は何よりも自由な存在
一人きりで傘をさして、黙って雫は砕けてゆく。肩を濡らす湿度だけは一緒に下を向いてくれそうだった。暮れの日々に沈んだ街で、底を擦り減らして歩いている誰かにもちゃんと屋根があるだろうか?無事に帰れるだろうか。
ありがとうが言えない心境は冷たさとかではないと思った。傷みきってしまう前に、傷跡に絆創膏を貼って。一人きりで傘をさして、痛みで雫は砕けてゆく。誰もが二人にはなれないから、肩を濡らさなくていいよ。下を向いて幸せそうな誰かの声が耳に入らないことに、救われてしまっていることを、恥じないでどうか休んでいてください。明日も降りますように。
霧のような、
だけど、霧にしては水が多くて、
服がびしゃびしゃになる。
だけど、それが嫌ではなくて。
柔らかい雨を傘をささずに歩いてた。
周りの目をきしてないふりをして。
何だか、独りで浮かれていた。
雨の中を歩いていた。
折りたたみ傘を持っていたが、使う気はなかった。
あまり雨が強くないというのもあるが、そんな気分ではないのが大きい。
大好きな恋人と喧嘩して別れた。
原因は向こうの浮気。
裏切られたという事実は私を打ちのめした。
雨が降ってきても、傘を出す気力が湧かなかった。
土砂降りであれば、いっそ清々しくなるのだろうが、ずっと弱い雨だった。
濡れるか濡れないかというような、柔らかい雨。
もしかしたら雨が慰めてくれてるのかもしれない。
おせっかいと感じるが、きっと気の所為なのだろう。
だけどそんな考えに至ってしまった自分に、ちょっとだけおかしくて笑ってしまった。
気がつくと雨は止んでいた。
雲の切れ間から陽の光が差し込み、大きな虹が架かっていた。
あまりのおせっかぶりに、おかしくなってしまう。
そして晴れていく空のように、私の気持ちも晴れ渡っていく。
新しい恋を頑張ろう。
そう思うのだった。
お別れの日 天気は予報通り晴れていた
十年来の友達が転職で遠くの町へ引っ越す
今日は引っ越し前の二人で会う最後の日
予約したお店で華やかな料理を前に彼女とおしゃべり
昔からの憧れの仕事でやっと夢を叶えられたと笑顔で言う
それが夢だったことなんて私は当たり前に知っている
だから私も笑顔で送り出したい なのに上手く笑えない
今日をお祝いの日にしようと決めたのは私だったのに
喜びだけではない感情が混ざり合って渦巻いている
食事を終えて外へ出ると予報外れの天気雨が降り出した
二人とも傘を持っていなかったので駅へと駆け足で行った
結局、別れの言葉を上手く言えないまま友達を見送った
今日見たあの笑顔を引きずって一人だけの帰り道を歩く
晴れなのにまだ降り注ぐ天気雨は私を表している
私は肩をすくめて抱えていたものを頬へ伝わせた
今ならその雨の柔らかさに許された気がして
夜の蛍光灯の光が雨が斜めに降る様子を照らしていた。傘をさす必要がないほどだと思っているけれど、こうやってみるとかなり降っていたのだなあ、と気がついた。
時計の針が十二時を回っても人通りは決して減ることがない。道端でスマホを触って誰かを待っている女性たち、急ぎ足でどこかへ向かっている男性を尻目に、私はちょっと高いヒールを履いて空港への道のりをカツンカツンと音を立てながら歩いている。
実は仕事を辞めた。本当にしたかったことが分からなくなったから。
大学を卒業して何も考えずに流れるように就職して、自分の時間よりも仕事を優先してきた。何も文句はなかった。やりたいことが特になかったから。
部下を持つようになって、管理職になって責任が重くなることが増えた。嫌ではなかった。
女がここまで昇進できるのは、今の世の中では珍しかったかもしれない。男女平等に見てくれていた上司には感謝の心でいっぱいだ。
ところが、なんだか最近迷うようになった。何に迷っているのかさえ、分からないけれど。
私のいいところなのかどうなのか決断は早かった。仕事を辞めて、海外に行くことにした。借りていたマンションを解約して、水道も電力も解約した。心優しいホストファミリーに今後はお世話になるつもりだ。
英語は得意ではないけれど、どうにかなるとおもってる。少し楽観しすぎかもしれない。まあ、後悔する時は後悔すればいいと思う。そんなスタンスが私らしい。
食生活も日本の中での当たり前が当たり前ではなくなるだろう。そんなカルチャーショックさえも、楽しみに変えていくことができれば、上出来だろう。
それじゃ、ちょっとこれからアメリカ行ってくる
朝、目が覚めると、少しだけ雨の匂いがした
朝だけど明るいわけでもなく、暗い夜ともまた違う
そんな朝
1日の始まりにコーヒーを飲みながら窓の外を見る
少しだけ濡れたアスファルトがキラキラ光っている
小さな水たまりに子どもがジャンプしている
新調したばかりの傘と長靴の出番にはしゃぐ子供の声
キラキラと雫が跳ねているような用水路の葉っぱ
色とりどりの色をより際立てさせる雨
いつもと同じようで、いつもと違う
そんな朝を迎える
柔らかい雨のある朝