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 一人きりで傘をさして、黙って雫は砕けてゆく。肩を濡らす湿度だけは一緒に下を向いてくれそうだった。暮れの日々に沈んだ街で、底を擦り減らして歩いている誰かにもちゃんと屋根があるだろうか?無事に帰れるだろうか。
 ありがとうが言えない心境は冷たさとかではないと思った。傷みきってしまう前に、傷跡に絆創膏を貼って。一人きりで傘をさして、痛みで雫は砕けてゆく。誰もが二人にはなれないから、肩を濡らさなくていいよ。下を向いて幸せそうな誰かの声が耳に入らないことに、救われてしまっていることを、恥じないでどうか休んでいてください。明日も降りますように。

11/7/2023, 10:10:35 AM