『柔らかい雨』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
柔らかい雨#9
私は雨の日ってあんまり好きじゃないの。
制服とか髪が濡れるとかじゃなくてね。
心を流されてる気がして汚れと一緒に気持ちも流されそうな感覚になってしまって、ちょっと不安になるの。柔らかい雨だとよりそう思うんだ。
でも、傘をさすのは好きよ。いつか私も全て雨のせいにして傘もささずに水たまりに映る世界に行ってみたいな。
「俺が死ぬ時は絶対晴れになってる」
会う度に彼はこの言葉を残す。
ここは雨の国
晴れなんてここでは伝説にしか聞いたことがない。
あれから月日が過ぎて
彼はおじいちゃんになっていた。
お見舞いに行くと彼は笑っていた。
「久しぶり」
弱々しく聞こえる声は最期が近ずいているのを
感じて彼の前で泣いた。
困ったように笑いながら彼は言う。
「俺が死ぬ時は絶対に晴れている」
「まだそんなこと言ってるの?」と
笑いあったあと数日後彼は息を引き取った。
天気は雨だった。
でも私には少し暖かい柔らかい雨に感じた。
─────『柔らかい雨』
柔らかい雨
失恋した日に降った雨は、私を包み込むように、
冷たく、柔らかかった。
その後、親切にも傘を貸してくれた人に出会い、次の恋が始まるのだが、それはまた別の話。
濡れていることにも気づかない
痛みなく優しく降り落ちる
ただ
染み込み続けたこの重みを
私は背負い続けられるだろうか
“柔らかい雨”
柔らかい雨
静かに、溶け込むように、降りしきる雨。
寄り添うような、追い打ちを掛けるような、
その時の気持ちに影響するよね雨って。
暖かく優しく包むように降る、そんな雨が好きだ。
こんな雨なら打たれていてもいい。
家の中にいても、窓を開けて、少し薄暗い空を見上げてしまう。雨が部屋の中に吹き込んでも困るから、すぐに閉めてしまうけれど。
雨上がりの空に掛かる虹も好きだ。
そういえば、この間、久しぶりに空の端から端まで掛かる虹を見たよ。
窓を開けたら視界いっぱいに広がる虹が飛び込んできて、それは綺麗だったなぁ。
それだっていうのに。
今日の雨はなんだ。
殴り掛かるような、そんな激しい風と雨。
こんな時季にこんな天気あったっけ? 台風でもないのに? 気温もなんだかおかしいし、異常気象ってやつだ。
気候が変わってきてしまっているのか。元に戻るのか心配だ。
また、あの柔らかな雨に打たれたい。穏やかな気持ちで移りゆく世界を感じたいんだ。
『柔らかい雨』
お題 柔らかい雨
しとしとと降り注ぐ雨。梅雨の時期の雨が、地上へ柔らかく降り注いでいる。
その雨に育まれて、植物達は勢いよく天に向かって成長していく。
どんな生物も雨を愛してる。恵みの雨のおかげで、生きていく事が出来るのだから。
でも、硬い雨は嫌われている。硬い雨は、激しく降って土砂を押し流して、生物達に襲いかかる。だから嫌われている。
雨が降る時は柔らかい雨が良い。心までも柔らかく、穏やかさを取り戻せる気がする。
柔らかい雨に包まれたい……
柔らかい雨
外に出ると、晴れているけど雨が降っている。
にわか雨だ。
でも、雲がある雨より、気分が晴れている。
彼女が行けばいつもぱらりと雨が降る。
入る時と帰る時。
いつもは一人で自然を感じたい時に来るだけだけど。
今日は報告があるの。
「私、結婚しますっ。」
いつもの神社で、いつものように言うだけ言って礼をして帰る。
その日の雨は忘れられない程
柔らかい雨だった。
#柔らかい雨
電車 馬が尾をふっている。傘 どこを他人のように拭き取る。あ、雨 ひそかに思いこんでいるのが何人もいる。
あなたは私を柔らかい雨で包んでくれた。
優しい、とても優しい雨に打たれるように、
私を苦しみから、救い出してくれた。
ありがとう…
柔らかい雨
シトシト
雨が降る
乾いている地面を湿らせていく
砂は濃い茶色へと変化していく
私は泣いた、
静かに静かに
あなたのせいで人生が変わった
ほんとうにどうしてくれるのよ
〜柔らかい雨〜
2月。
ご飯が食べられなくなっていて
寝てばかりいた飼い猫が逝った。
苦しさから解放されて良かったと思った。
5月。
突然、一人では動けない体になり
最終的に機械に生かされているだけ
の状態になっていた父が逝った。
それこそ何重苦かも分からない状態から解放されて
良かったねって思った。
猫は荼毘に付し納骨堂に入れ、
父の葬儀も兄と二人でなんとかやりきった。
そんな中。
妻が自分の携帯に届いた長女からのメールを見せてくれた。
『パパがしんぱい。』
柔らかい雨は唐突に僕の上に降り注いだ。
慌てて後ろを向きしばらく前を向けなかった。
強がっていたわけじゃない。
自分でもそう思っていた。
でも、不意に自分に向けられた言葉に、
心が大きく動揺してしまったのは事実で、
不覚にも後ろを向いてやり過ごすことしか出来なかった。
優しく甘やかで柔らかい雨に心が溶かされた。
そんな感じだった。
『連絡してあげてね。』
妻から促されて娘へメールを送る。
「俺は大丈夫。」ただそれだけが伝えたかった。
柔らかい雨
気づけば肩がじんわり濡れているほどの柔らかな雨は、ここ最近すっかりご無沙汰だ。
昨日の雨はかなり勢いがあった。
傘に当たるたびにボツ、ボツと大きな音が鳴る。
そう考えると柔らかい雨は罪悪である。
気づかぬうちに濡れてしまう。
私は濡れるのは嫌いではないが、あくまで雨が降っていると認識した上で自分から濡れるのがいいのであって、気づかぬうちに濡れているのは不愉快だ。
自由意思に柔らかな雨が水を差す日がくるまでには、もう少し時間が掛かりそうだ。
雨が傘へ当たる音
優しいな 涙溢れてる私の姿
傘が隠して
空からまるで 私にあなたが
抱きしめている雨ですか
あなたがいなくなった世界で
小さく生きてる私は
些細な物事に戸惑ってます
もう、あなたに悩みは言えない
甘えていい場所ひとつを失った
迷い迷い 迷路
アスファルト路から
草が多年草などが咲いていて
雨に濡れていても綺麗に移った
そうだきっとあなたがくれた
愛を私が育むと戸惑いは消える
あなたの愛を私記憶なか手繰る
それでシンプルに迷いは消え
また歩んでく あなたは
いない世界でもあなたがいたから
私も愛を覚えてきた
雨まだ 傘に当たる 傘を
少したたみたい 濡れたい
あなたが抱きしめてくれた
記憶を私なか思いだしたいから
この季節、柔らかい雨なんてある!?(?)
【柔らかい雨】37
音もなく降る細い雨は
まるで
あなたのようです
緩やかに
わたしの心を潤し
満たし
穏やかで
優しい気持ちにさせてくれる…
きっと今日は
柔らかい雨になって
逢いにきてくれたのですね
# 柔らかい雨 (324)
柔らかい雨。
柔らかい雨って、一体どんな雨のことなのだろう。
君に柔らかい雨って、どんな雨だと思う?と聞いたら、君はなんて答えるのだろう。
✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵✵「涼(りょう)君」
「うん?どうした〜?」
私は同棲をしている恋人の涼君とソファに並んで座り、映画を見ているときに聞いてみた。
「柔らかい雨って、どんな雨の事だと思う?」
「柔らかい雨?」
「うん」
涼君は、校閲の仕事をしている。涼君の部屋には色々な種類の辞書がいっぱい置いてある。言葉のプロに、存在しない言葉を聞いてみたかったのだ。
「柔らかい雨っていう言葉自体はないよね?」
「うん」
「……でも、柔らかい雨っていうくらいなんだから、きっと、雨自体は冷たいけれど何処か温かくて、静かに降ってるんだろうね。ま、あくまで想像だから、人並みくらいしか出来ないけれど」
私は、あまり想像力豊かな方ではないと思う。だから、恋人が校閲という仕事をしているのに私は読みながら想像する事に疲れてしまい、小説を読むことはないに等しい。
けれど、涼君の言葉からは端々に温かさが滲み出ていて、涼君の作る物語は、どんな物語なのだろうと思う。
「けど、以外にバイオレンスな物語だったりして……」
「えっ?何?」
「!ううん。何でもない!ありがとう!!」
私はそういうと、珈琲おかわり、といってソファーから立ち上がり台所へ行く。
何だか腑に落ちない、という顔をソファーから覗かせている涼君は、何だか可愛かった。
空を見ていると、1粒の雨が降ってきて、だんだん雨が強くなってきて、でも、私にとっては、違うふうに、思えた、それは、何故かとゆうと、目を閉じて、耳をすめせば、ほらね。
音楽のように聞こえるでしょ。
私は、それを聞いた時に、心が気持ちよかった。
雨はさわさわと、あるかなきかの音を立て、あなたの頬を静かに濡らした。
綻び始めた桃の蕾、駐車場の車の列、斎場の灰色の建物、そして傘も持たず佇むあなたを、霧に似た雨が包みこむ。
真っ白な喪服を纏い、あなたはひとり空を見上げている。旧式の煙突は今では使われなくなって、そこから煙が排出されることはない。今頃は白々と焼けた私の骨を、年老いた両親や親戚たちが骨壺に納めていることだろう。ただ血が繋がっているというだけの他人たち。まだ何も分からない幼い姪が、形ばかり私の骨を箸で掴むことを思えば、そればかりがくすぐったい。
あなたは、長年私と共に暮らし連れ添ってきたあなたは、その場に居合わせることを許されなかった。通夜にも葬式にも出席を許されず、黒い喪服の群れに追い出されたあなたは、ただひとり雨の中に佇んでいる。この国では同性間の結婚が許されず、ささやかに、けれど確かに営んできた私たちの日々に、何の法的な保証もなされない。
桃の蕾に溜まった雨が雫を結び、あなたの肩に落ちる。雨ばかりがやわらかに、あなたと私の怒りに降り注ぐ。