「俺が死ぬ時は絶対晴れになってる」
会う度に彼はこの言葉を残す。
ここは雨の国
晴れなんてここでは伝説にしか聞いたことがない。
あれから月日が過ぎて
彼はおじいちゃんになっていた。
お見舞いに行くと彼は笑っていた。
「久しぶり」
弱々しく聞こえる声は最期が近ずいているのを
感じて彼の前で泣いた。
困ったように笑いながら彼は言う。
「俺が死ぬ時は絶対に晴れている」
「まだそんなこと言ってるの?」と
笑いあったあと数日後彼は息を引き取った。
天気は雨だった。
でも私には少し暖かい柔らかい雨に感じた。
─────『柔らかい雨』
11/6/2023, 11:17:59 PM