『枯葉』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「ただいま」
静けさが広がるリビング、家に帰っても、彼女は居ない。
いつも『おかえり』と迎えてくれた彼女はもう居ない。
あの時私が手を差しのべていたらと、何度も何度も考えた。後悔した。でも、たとえ代わりに私が朽ちていたとしても自分みたいな身代わりでは何人いても足りない。彼女の代わりになんてなれない。
私が最期に彼女に向かって放った言葉は『生きろ』だ。
何が「生きろ」だよ。息をする、食べる、喋る、歩く、ただそれだけのことが、生きることが、彼女にとっての苦痛だった。身も心もボロボロだったのだ。
私はいつも隣に居た。
手を差しのべるチャンスはいくらでもあった。
でも、気づかなかった。気付かないふりをした。
私は、どうしようもない、役立たずだ。
第二十二話 その妃、夢を見る
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
明確な、境目があるわけじゃない。
それでも『本物』と『虚構』の区別がはっきりと付くのは、目に見えているもの全てが枯葉色だからだろう――……
『――ようこそ花洛《ファルオ》へ。麗しい姫君』
まるで白洲裁判のような場所に連れて来られた挙句、槍の切先で四方を取り囲んでおいて、何が『ようこそ』か。
誰がどう見ても歓迎しているようには見えない。寧ろ犯罪者として吊し上げられている気分だ。
『実はそなたに頼みがあってな。こうしてここまで案内したのだ』
壇上から人を見下ろしておいて、何が『頼みがある』だ。
これだけの貴人がいながら、誰もこの馬鹿に教えなかったのか。人に頼みをするような態度ではないことを。
しかも……何が『案内した』だあ?
誘拐しておいて、犯罪者はどちらだ。
『どうだろう。一つ、頼まれてはくれないか』
縛り上げられた上に猿轡までするのは、頼みではなく命令。拒否などしようものなら、あっという間に全方位から串刺しにされるのが落ちだ。
『内容と報酬によっては、考えてあげなくもないわね』
どんな人間だろうと、立場ははっきりさせておく。優勢であるのは、此方だ。
猿轡を外した直後の第一声に、容赦ない謗りや罵りが降り注いでくる。
それを存分に浴びてから、したたかに微笑み返す。すると、壇上の貴人たちは怯んだ様子で口を噤んだ。
たった一人、この中で最もやんごとない人を除いては。
『そう簡単には頷かぬか。思った通りだ』
『褒め言葉だと受け取ればいいかしら』
『そうだな。流石は“予言の巫女”とでも申しておこう』
『予言の巫女? 何それ』
『“そなた”を表すには相応しい名だろう?』
やんごとなき男は、愉しそうな顔で見下した。
『頼みたいのは人捜しだ』
『……あんたのような人間様に御無理であれば、誰がやっても結果は同じでは?』
『これでも手は尽くした。この国でやれることは全てやったんだが、それでも見つからぬのだ』
『じゃあ死んだんでしょ』
残念だったわね、とは言えなかった。
殺気に満ちた眼が、此方を見下ろしたから。
だから代わりにこう囁いた。
ただの客観的な感想を言っただけで、この国の人間は殺されるのかしらと、鼻で笑いながら。
その返答に満足したのか、静かに殺気を治めた男は、頬杖を突きながら笑顔を見せる。
『報酬の希望はあるか』
『勿論私が欲しいものよね』
『そうか。ならば、こういうのはどうだ』
そうしてやんごとなき男は、まるで何もかもをわかっているかのような――……神のような顔で微笑んだ。
『――――……』
そなたの“命”というのは。
#枯葉/和風ファンタジー/気まぐれ更新
お気に入りの続き
枯葉
枯葉が 一枚 二枚 三枚
男の手の中で枯葉が数えられ
黒く靄が掛かって行く
その靄は、大きくなって 道を通りかかる
通行人の体に纏わり付く
知らず知らずの内にその人の寿命を
吸い取って侵して行く....
この世界には、魂の通り道と言う普通の人には、見えない 魂の道と言う物が
存在する
しかし稀に魂が道から外れる時がある
そうした魂は、澱んだ空気や人の負の
感情に触れ穢れる時がある。
その負の感情が強ければ強い程
穢れも強くなる。
その穢れを 浄化して 時には、自分自身に取り込んで活力にする者達が居る。
人間ではあるが決して普通の人間ではない
穢れた魂を狩り 浄化せし得る者
その者達は、バインダーと呼ばれ
普通の人達と同じ様に日常に溶け込み
学校に行く者も居れば
普通に会社を起業する者も居る
魂を己の活力にし 取り込む事ができるが
普通の人間と同じ様に生活し
普通の人と同じ食事を取ることも
睡眠を取ることも
もちろん 恋をする事だってできるのだ...
此処に一人の少年が居る
彼は、鋭い目つきを色眼鏡で隠し
穢れた魂を追いかけ狩るバインダーだ
戦闘好きで 魂狩りの腕は、ピカイチで
浄化した魂の色が見える特殊な目の力があり 本来の生前残した魂の感情を読む事が
出来る。
そんなバインダーの腕は天才的な少年
名前を ハイネ.クラウンと言う
彼とチームを組んでいる仲間達の
魂 検挙率は群を抜いていた。
しかしそんな天才的な彼にも
苦手なものがあるそれは....
『A21ーBエリア』一頻りこの場所で
思いっきり笑った後 ハイネは、我に
返り落ち込んでいた。
(俺の馬鹿...)と頭の中で何度も自己嫌悪に
陥るが あの時は、本当に楽しくて
楽しくて仕方なかったんだから
しょうがねぇだろうと思うが
気づいた時は、後の祭りだった。
あの後ミーナに説教されナイトに諭され
気づいた時には、シズクはもうハイネとは
目も合わせなくなっていた。
やり過ぎたと後悔した時には、もう遅く
此処 一週間シズクは、ハイネの呼びかけには無言を貫いていた。
そう彼ハイネクラウンの苦手な事
それは、恋愛事だった。
好きな子に対して優しくアプローチ
出来ない 小学生男子レベルで
彼の恋愛レベルは、止まっていた。
しかし素直に謝る事も出来ない
かと言って自分だけ無視され続けるのは
精神的にかなりのダメージを負っていた。
そんな自己嫌悪に陥っている時
机の上に置いてあるスマホが震えた。
ハイネは、机に突っ伏しながら電話に出た。
「は...い」声に覇気が失われていた。
「ちょっとあんた 声 死んでんだけど
仕事が入ったから バインダー局に
早く来なさい ハロルド局長 もとい
社長がお呼びよ」
「仕事ったってどうせ いつもの魂狩りだろう... そんなのお前らで ちゃちゃっと
すませろよ 俺は 今日 仕事をする
気分じゃあ....」
「いつものじゃあ無いからあんたに
電話を掛けたのよ! 緊急事態なの
すぐ来て!」
ミーナの切羽 詰まった口調にハイネは
なんだか予感めいたものを感じ
確信する。
(これは、もしかして高レベルの穢れの
予感...)ハイネは、徐に口角を上げ
その瞬間 悩んでた事全てを忘れて
相棒の鎌を手の中でくるくると回し
家を飛び出した。
バインダー局 表の名前 ハロルドカンパニー の扉を蹴破りハイネは挨拶も
そこそこに 社長兼局長の前に飛び出した。
途中 「社長の前で何たる無礼な...」と
呟く声がしたが今のハイネには
聞こえていなかった。
しかしそんなハイネの行動も慣れたものだと ハロルド局長も他のいつものメンバーも気にせず話しをする。
「昨夜の明け方通行人が次々と道端で
意識を失い倒れる事件が発生
穢れの可能性あり 今すぐマップに
送った座標位置まで向かって貰いたい」
ハロルド局長が送った座標が表示された
瞬間 ハイネは風の如く駆け出していた。
それを見て慌てて追い掛ける
ミーナとナイト そして「あ....」と
シズクが小さく声を上げるが....
「シズクは、危ないから此処に居て」
ミーナに止められて立ち止まるシズク
シズクは、三人の後ろ姿を見送って
この前ハイネに言われた台詞を一人頭の中で考えていた。
『いつまでもミーナやナイトに守られたままで良いのかよ 弱っちいまま皆の足引っ張ったまま生きて行くつもりかよ』
(私...は...弱い...)
だからこの頃ハイネの顔が見れなかった
弱い奴は足でまといだと言われる様な
気がして
ハイネと上手く話せなくなっていた
自分が情けなくて 恥ずかしくて....
そんなシズクの心中を見透かした様に
ハロルド局長は声を掛ける。
「大丈夫だよシズク君 君には君のできる
事がある 皆の帰りを待つのも立派な仕事だよ」
(私の出来る事....) シズクは、
ハロルド局長の言葉に「は...い」と小さく
呟く
目的の座標位置に到着した
ハイネ ミーナ ナイト
三人が到着した頃には、空気は澱んで
汚染されていた 明らかに穢れのおりが溜まっていた
穢れの大元は何かと三人は、辺りを見回す。
「何もねぇじゃねぇか!」ハイネが
少し苛ついたその時
はらはらと何かが落ちてきた
「何かしらこれ?」ミーナが手に持って
しげしげと観察すると...
「枯葉....」ナイトも呟く
その時 手の中の枯葉が生き物の様に蠢き
葉の先端が刃の様に鋭くなった
「きゃああああー」手の中に枯葉を
持っていたミーナは、刃で手を切ってしまい傷を受ける。
「ミーナ!!」ナイトが叫ぶ
枯葉がどんどん増えて行き刃となって三人を襲う
「唯の葉っぱ如きどうって事ねぇ!」
ハイネが鎌で葉っぱを切り裂く
ナイトは、拳銃を
ミーナは、レイピアをそれぞれ構えた。
すると.....
「一枚 二枚 .....」どこからともなく
不気味な声が聞こえた。
その声と共に 黒い靄が立ち上り
だんだんと大きくなって人影が現れた。
そこには、男が立っていた。
男と言っても文字通り影になっていて
顔は見えないかろうじて男性的な
シルエットが浮かび上がっているだけである。
「先手必勝!」とハイネが飛び出す。
するとまた枯葉が舞い今度は、枯葉の先端から蔓が伸びて来てハイネの足を
絡め取りハイネを地面に叩き付ける。
「ぐっ!」ハイネは呻くがすぐに立ち上がる。
「ハイネ深追いするな!」
「そうよ 無茶しないで!」
ナイトとミーナが武器で応戦して
ハイネを援護するが二人ともすでに
枯葉の刃に当てられ切り傷を負っていた。
その時 寂しそうな声が聞こえた。
『何で 何で俺は死ななければ行けない
癌で余命三ヶ月だなんて....
俺は会社の為に精一杯やって来た
なのに 上司も部下も面倒な仕事は
全部俺に押しつけやがって 憎い
あいつらが憎い 何であいつらが生きてて
俺が死ななければならない
あいつらが死ねば良いのに 憎い』
思いの感情の丈が溢れ穢れの核が
見えた。
「あそこか....」男のシルエットの心臓の
近い部分に穢れの核はあった。
ハイネは核 目掛けて飛んだ
「誰かを憎んで魂を穢す位なら
誰か一人の為に精一杯生きやがれ!」
鎌を振りかぶり核を粉々に砕いた。
辺りの澱みは消えて 空気が爽やかに
澄んで来た。
魂は浄化され 本来の魂の色を見る為に
ハイネは眼鏡を外す。
「淡いブルーに 金色がかった黄色
少しの寂しさと プライドと誇り
良い魂の色持ってんじゃねぇか!」
珍しくハイネは魂をその場で食べず
バインダー局に持ち帰った。
そうしてぼろぼろの三人がバインダー局に
帰還する。
三人にシズクが駆け寄る。
「皆....け....が 私....直....す」
シズクが最初にミーナの手を取る
そうして怪我した部分に優しく触れる。
そうすると傷がみるみる内に塞がる。
「ナイトも....」シズクがナイトの袖を
引っ張る。
「ありがとうシズク」
「さすがねシズク相変わらずシズクの
治癒術は、凄いわ!」「本当だね!」
ミーナとナイトがシズクを褒める。
シズクは、俯いて
「凄....く無い....よ.... 大きな....
け....が...治せない....し 病気....も......
治せ....無い....」
「そんな事ないわよ いつもシズクが
治癒してくれるから私達 本当に
助かってるし!」
ミーナがシズクを励ます。
「助....か...る... 本....当...」
「本当よ!」
シズクは、ミーナの言葉を聞いて笑顔を
浮かべる。
そのシズクの笑顔を横目で見て踵を
返して帰ろうとするハイネ
(此処に居ると また余計な事が口から
出そうだし.... 気づかれない内に帰ろう...)
もう実はメンタルがぼろぼろのハイネだった。
これ以上ダメージを受けたらしばらく
立ち上がれない程には....
歩を進め様として 控えめに袖を引っ張る
力に思わず足が止まる。
反射で思わず振り返ってしまうとそこには、上目遣いで自分を見上げるシズクの
顔があった。
「っ....」ハイネはたじろぎ 一歩引く
「ハイネ....も...け....が.... 直....す...」
(っ....ドクン)
一週間ぶりにシズクに自分の名前を呼ばれ
耐性が薄らいでいたハイネは不覚にも
胸が高鳴ってしまう.....
(可愛いっ~) シズクに顔を見られない様に後ろを向くハイネ
「お..... 俺は....別に良い こんなの勝手に治るし.....」
顔に熱が上がって来たハイネは
早く此処から逃げ出したくて仕方なかった。
しかしそれを ミーナとナイトの言葉が
止める。
「何言ってんのハイネ 戦闘中
地面に叩き付けられて背中打ってたじゃない」
「そうよ あんた 戦闘中 前に出っ放しで傷だらけだったじゃない!」
「せ....な....か....」シズクがハイネを
じっと見る。
ハイネはその視線に居たたまれない
シズクがハイネの背中に触る
その感触にビクッと背中を震わすハイネ
「せ....な.....か....見.....せて」
シズクがまたハイネを上目遣いに
見上げて来た ハイネはそれに耐えきれず
「良いって!」と全力で断ろうとしたが...
「駄目!!見せて!!」シズクが珍しく
はっきりと大きな声で言葉を紡いだ。
その吊り上がって怒った珍しい表情に
耐性が薄くなっているハイネは
またときめいてしまい二の句が継げなくなってしまい....
「っ.... かっ....勝手にしろ!!」
後ろを向いて眼鏡で顔を隠して
シズクの手の感触を治癒が終わるまで
ひたすら耐えるしか無いハイネにとって
ある意味 穢れを浄化して怪我をするよりも耐え難い拷問だったのだった。....。
枯葉
あともう少しのあの人のいのち。
てのひらをにぎり脈をはかる。
ゆっくりで、ふっと消えてしまいそうによわい。
手のひらも乾燥して昔の若々しさは消えてしまった。
あの人のいのちも、からだも、枯葉みたいで
私の胸が軋んだ。
みなさん、こんにちは。
そろそろ枯れ葉🍂の時期も過ぎて、新芽が顔を出す頃になってきましたね☺️🍀🌷
暖かくなってきますが、みなさん、健康にお気をつけてお過ごしください☺️
(文章変になってないかな大丈夫かな)
杉葉かく日取りをおもう三月の闇のひたすら象るように
カサコソと
足元で 囁きながら
風に舞っている
虫食いの枯れ葉……
初めは小さな新芽だった
春に息吹き
夏に青く萌え
秋に金色に輝く
木枯らしに耐え
やがて
地に舞い降り 土に還る
フカフカの枯れ葉のお布団は
大地の栄養となり
また 新しい
命のサイクルが始まる
無駄なものなんて
この世には一切ないんだ
必要だから
ここにいるんだ………
#枯れ葉
枯葉が舞った。揃った靴は手紙を踏んで女の子は飛び降りた。心臓が高鳴る、貴女が死ぬ。死んでしまう。嫌だと思ったときにはもう遅く貴女は枯葉になっていた。
枯葉
枯れ葉は、肥料になるらしい
おじいちゃんは、いわゆる老害だ
古く臭い考えだし、口煩い
今時の若いもんは〜……なんて文句も平気で言う
今になっては逆に慣れたもんだが、小さい頃にも容赦なくタコができるほど聞き慣れた言葉だ
そんな態度だから近所の人からは毎回、話題が無くなった時のネタにされている
自業自得だ、とも思うが
誰に対しても態度の変わらない人間
裏表がない、という意味では終始一貫な人だなと思う
「礼儀がなっとらんな」
杖を上げて、俺を指しながらこちらを見るおじいちゃん
礼儀がなっていない、というのは‘’俺に会っておきながら挨拶のひとつもしないとはどいうことだ”、という意味らしい
「(通訳雇ってくんないかな)」
「あぁ……おはよう」
目線を上げて顔色を伺うが、鉄板のように硬い表情は変わらない
別に間違った事も言っとらん気もするが、顔に更にシワが入ったような気もする
「おはよう…ございます」
そう言うと満足したのか背を向けてリビングへ向かう
腰が悪いのにわざわざ俺のところまで来て、小さな嫌がらせをしてるくのだ
毎朝やられるからたまったもんじゃない
一見些細に見えるだろうが、機嫌が悪い時は思わず口が滑って
俺は執事じゃねぇぞ、この野郎。と言って喧嘩になったこともある
「……ふん…」
こんな事考えても時間の無駄だよな、早く行こう
頭の中に残る邪念を振り払って、玄関のドアを開けた
少し歩くと見慣れた風景が飛び込む
ランドセルを交互に預けながら登校する小学生、スマホを見ながら歩く若者、なにやら仲良さげに話す近所のおばさん
「ロウさん家の子だわ」
ロウさん、というのは俺のおじいみゃんのニックネームみたいなものだ
小学生の間で妖怪みたいな通り名で呼ばれているらしく
杖をついた老害じいさん、の略らしい
「ずいぶんと、まぁ。おおきくなったわね」
「あなたが歳を取っただけじゃない?」
「やだもぉ……気にしてるんだからね。やめてちょうだい」
「でも、挨拶もしないのね」
「まぁ、親代わりがあの人じゃあ……ねぇ?」
無視をしようかと一瞬思ったが、出かける前にじいちゃんに言われた言葉が頭に引っかかって思わず声をかけた
「おはようございます」
「あら、おはよう」
「ほんと、礼儀正しいねぇ。」
「私の息子にも見習ってほしいわ」
おばさんは口に手を当てながら、ヒラヒラと手を振る
その様子にある文章を思い出した
確か、最近読んだ本で口元を隠すのは感情を知られたくない心理の現れだった、とか見たような気がする
「それでね、最近新しい服を買ってみたの」
「どう?」
話が進んでいたのか、目の前のおばさんはヒラヒラと長いスカートを靡かせて右に視線を向ける
「うーん……イマイチね」
「色が合って無いんじゃない?まぁ、いいと思うけど」
赤、紫、黄のスワイプ柄のセーターと、茶色のロングスカート
バックには典型的な豹柄とか、目がチカチカするような彩り鮮やかなものまで
それ誰が着るの?っていう服を着ていたりする
40歳以降はセンスのない服しか着てはいけない、とかそういう規則でもあるのかな
「では、そろそろ……」
「引き止めちゃってごめんなさいねぇ、じゃあ」
「はい、さようなら」
少しお辞儀をした後に足を進めるとザクッ、と足に何かを踏んだ感触を感じた
道端に、大量の枯葉が落ちている
まるで______
「おじいちゃんみたい」
思わず枯葉を手に取る
葉っぱは茶色くカサカサで、土の匂いがした
元気そうな小学生も、あの若者も、近所のおばさんも、おじいちゃんも、みんな歳をとっていく
俺も、あんなふうになるのだろうか
栄養が無くなって成長を終えた葉と、シワシワのおじいちゃんの手の様子が重なった
枯葉
呆れ返るくらいの落ち葉
落葉
洛陽三十三所観音霊場
そして新緑!
枯葉
子どもの頃、枯葉を踏むのが好きだった。
踏んだときのパリッとした音と
靴を履いていても伝わってくる感触が
なんとも言えず好きだった。
今も踏めそうならば踏んでいる。
わざわざ探して踏みに行ったりはしないけどね。
そろそろ枯葉もおしまいかな。
暖かい日が続くと、
青々とした木の芽が顔を出しそうだ。
まあ、春はそれよりも前に、
花粉が知らせに来てくれるんだけどね。
【枯葉】※フラアサ
公園の落ち葉が舞い、フランシスの足元へ落ちる。あまりにも非力なそれは、風に抗う術をもたない。フランシスはそれを一瞥し、靴で踏みつけるようにして歩を進める。
【未完】
紅葉した葉が、
やがて、落ち葉になる。
時間は、止まらない。
そうやって、みんな、
年を取って行く。
時間を無駄にしないようにして、
大切にしよう。
あなたも、私と同じ、人間だもの。
人間は、人間よ。
一人では、何にも、できない。
こんな、世の中で、
誰を、愛しますか?
〈枯葉〉
当たり前の事だけど、歳を重ねると、沢山の病気にかかり、沢山の出来ない事が増える。
喪失体験も数多くし、思うようにならない身体の上に、心すら思うようにはならない。
「自分がこんなになるなんて、若い時には、想像もしてなかった」
「こんなはずじゃなかった。どうして自分が」
そう感じるのに、年齢制限は無い。
みんな同じ。
積み重なった枯葉は、いつか腐葉土になる。
歳を重ねた分だけ、積み重ねたものがある。
私は言う。
あなた方が生きた年数分、尊敬すると。
〈枯葉〉
3月になって、春の匂いがするようになった。
日の出時間に合わせて、自然と目覚めも早くなる。暖かな空気を感じて、うずうずする気持ちそのままに起き上がった。時刻はAM 5:30。朝練に家を出るには少し早くて、軽くストレッチしてから近所を走ることにした。そのくらいならオーバーワークにはならないだろう。
春は好きだ。何か、新しいことが始まる季節。街路樹にも芽がふいている。
軽く息を弾ませながら走る道の傍らに目を遣ると、ところどころ枯葉がまだ残っているのに気づいた。と、同時に、真冬の大会直前のロード中に、枯葉に突っ込み盛大に転んだ記憶が甦る。尻餅をついて、確かに尻が痛かった。でもそれ以上に、真っ青になって駆け寄ってきた彼を見て、胸が痛かった。
過ぎていった季節分鍛えられたこの体は、自分の体であって、自分だけの体では無い。
来月からは3年。同じだけの日々を筋肉にしてきたメンバーと、若芽の1年との新しいチームで、どう楽しもうか。枯葉を横目に、スピードを上げた。
「枯葉」
🍂
枯葉集めて焼き芋とジャガバタやりたい
枯葉
家の前に山のようにある枯葉は隣からの嫌がらせだった。
秋になると毎日のように枯れ葉の山がある。
時には人くらいのサイズもあった。
けど、たまに文字のようなものが彫られてる葉があった。
一つ目は『ろ』二つ目は『げ』三つ目は『に』だった。
こんなことする暇あったら自分で片付けろや。
その話を弟にすると弟の顔は次第に青白くなっていった。
厚塗りした絵の具のようなくもり空に僕は歩を進めている。右に視線を向ける。風に枯れ葉が舞い散る中、大きな木の先端つまりは木々の先にに帽子が止まっていた。声がして視線を向ける。木の根元、少女が泣いていた。彼女の帽子が強風にあおられて、あそこの木々まで飛んだのだろう。近づいて彼女に言う。「ちょっと待ってて、お兄さんが取ってあげる」「ホントッ!!」少女が笑む、晴れやかな表情。
風を待つ、帽子を飛ばし自分の手もとへ来るのを。風が飛んだ。今だッ、一瞬の隙を見つけ右手を伸ばす、右手には風で飛んだ帽子。「ありがとう」少女の笑みが満面に浮かぶ。僕はそれに手を振って道を進んだ。
胸元の大きく開いたすべらかなセミロングワンピース姿でウキウキと路地を歩いて行く遊女と、それを値踏みしに近寄る男たちの遣り取りを身を低くして通り過ぎ、途中のホテル街は急足で。
華やいだ街の末、錆びこんだトタンのほったて小屋にその店はある。
ちょっとサボれば常連はおろか誰も来てくれそうにないものだから、この店では酒もそこらの半分の価格で貧乏客を繋ぎ止めている。
先客はひとり。
何年もクリーニングに出していないと思しき埃と脂のきつい臭いがするジャケットの島田さん。
居場所の無さそうな醜女のほうが雑にできて嬉しいとのことで、島田さんは昔話を据えて飲みに来る。
店を切り盛りする堕ろしすぎてイカれた房子ばあさんの話はそこそこ評判で、客は時たま精子に遡って膣の中で旅をする。
自称チィママで居着いたノリちゃんは去年より倍ほど借金がふくれてるけれどバカ明るい。
高い値のつく遊女たちを華とすれば、この店は他にやりようのないカラッカラの枯葉だが、泣き顔をそっと覆い隠すくらいはしてやれるから、銀杏臭さがとれないけどね。
ついに房子ばあさんの持病がだいぶ深刻と聞いてやってきたのに。
ノリちゃんに店を任せるのも酷だからと月末でラスト営業になるのを誰もが惜しむわけでもなく。
先客はひとり。菓子折りひとつ持ってこない。
お題:枯葉
私の命も彼への気持ちも、いつかは木枯らしのように消え去ってしまうのかな?