月に願いを』の作文集

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月に願いを』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど

5/27/2024, 9:33:01 AM

金曜日が満月だったら月を見よう。
 月を見ることを言い訳にして、ただ二人でだらだらと夜を過ごす日。
 学生時代は毎月の恒例行事だったが、お互い社会に出てしまい平日の夜更かしができなくなったことで、半年に一度開催できるかどうかの頻度になってしまったそれが今日である。
 会社からの帰り道、少し良いお酒とおつまみを買って帰宅ラッシュの電車に乗り込む。
 人混みでうんざりする心も今日ばかりは手にぶら下がる重みによって少しだけ浮き足立つ。

 いつも何をするかは決めていない。本当に月を見る日もあれば適当に映画を見る日、ゲームをする日、お互いが別々に好きなことをする日もある。
 ただ決まっているのは空が明るくなって、月が完全に見えなくなるまで起きること、もし相手が寝てしまったら叩き起こすこと、それだけ。
 防音性がそこまで優れていない部屋で、月明かりだけを頼りに夜を越す。まるで一日だけの秘密基地だ。

 ポケットに入れていたスマホが震える。
 メッセージアプリを開いてみれば、どうやら相手も仕事が終わったようだ。
 続いていくつかの写真が送られてくる。
 お酒とお菓子と何かのアナログゲーム。そういえば最近気になっていると言っていた気がする。

 今夜のお供が決まったところで、電車のドアガラスの向こうを見れば東の空に月が掛かっているのが見えた。
 まだ低い所にある丸い大きな月に、少しでも長くこの夜が続いてほしいと願わずにはいられなかった。

5/27/2024, 9:32:16 AM

『すぐにどこかに行ってしまう星よりもずっとそこに在る月の方がよっぽど信用出来る』

いつも月に向かって手を合わせる彼に理由を聞いたらこんな謎の理論が返ってきた。そもそも願いが叶うなんて迷信に信用も何もあるのかと思ったが、やたらと真っ直ぐ目で言われてしまって何も言えなくなった。

『月の形によって願い方を変えるんだよ』
『新月ってのはこれから満ちるだろ?だからこうしたいからこう願うっていう、まあ言わば決意表明みたいなものだよ』

彼の願いは随分と具体的なものらしい。努力家の彼がそんなに神頼みならぬ月頼みしてまでも叶えたい願いとは一体なんだろうか。

『満月は満たされた前提なんだよ、つまりまもなく願いが叶う訳だ。だから願いが叶った前提で月に報告して感謝する』

胡散臭い話だ。
でもそう言って月に祈りを捧げる彼は月光に照らされて綺麗に見えた。色白な肌が透き通って見えるくらいに。
怖くなるくらいに美しかった。

朝目覚めると、彼がいなくなっていた。
ぐしゃぐしゃのシーツはすっかり冷たくなっている。
ベッドサイドには見覚えのない箱が置いてある。
中を開けるとメモとペアリングが入っていたようだった。ようだったというのは、その中の1つが消失していたからだ。
内側には彼と出会った日付が記されている。
メモにはへたくそな字で『君は僕の太陽』なんてらしくないことが書かれていて。

…そうだよ、だからずっとお前を傍で照らしてやりたかった。
だからお前は月なんかじゃなくてずっと隣にいる『お前の太陽』に願えば良かったんだ。そうしたら、毎日願わなくてもたった一言で一生分叶えてやれたのに。



夜になったって俺はあいつを返してくれなんて願わない。
もうそんなものは無いからだ。夜空にぽっかり空いた真白い穴を睨みつけた。

『月は永遠に失われた』


作者の自我コーナー
いつものだけどメルヘンチックな話。
月と太陽なんて言いますが、あの二人はどっちも月で太陽。
『君が太陽で僕が月とかそんな単純じゃない』って言ってますし。

5/27/2024, 9:31:09 AM

5月の夜

     ぼーっと黄色い月を眺める

     なーんにも考えないで

     誰もいない静かな夜

     深呼吸をしてのーんびり

     そんな日が続いたらいいね


              月に願いを

5/27/2024, 9:31:05 AM

月に願を捧げたとおり
妾を斬るというのかえ?
坊やが?
その御大層な聖剣とやらで?

ほほほ……おお怖い


その剣先、届けばいいのう?




“月に願いを”

5/27/2024, 9:27:29 AM

新月のある日、夜空に願い事をした。
「同級生に会えますように。」
数日後、町中を歩いていたら、偶然同級生に会った。自分よりも背が高いが、顔は当時のまま。懐かしい気持ちに浸った。もう2度と会えないのではないか、と思っていた。ずっと話していても時間が足りなかった。また会おう、と約束をしてこの日は別れた。
半月が見える頃、同級生とカフェで待ち合わせをした。このカフェは自分の行きつけの場所だった。彼の行きつけも同じだったことに驚いた。自分はエスプレッソとチュロス、彼はココアとチョコドーナツを頼んだ。彼はココアの中に粉砂糖を入れて飲んだ。流石甘党…いや、甘すぎるだろ。この日はのんびりと話し、次は買い物に行こう、と誘ってくれた。
満月の頃、待ち合わせ場所のお店に行った。だが、時間になっても彼が来ない。しばらく待ってみることにした。どれだけ待っていても来ないので、1人で買い物をして自分は帰った。
何度メールを送っても、彼の既読がつかない。自分は諦めることにした。
「また会えればよかったのに…」
月に向かって呟いた。

※フィクション
【お題:月に願いを】

5/27/2024, 9:22:37 AM

「子供たちにどう埋め合わせをすべきか」
彼女なら妙案を出してくれるが、起こすのも忍びない。静かな寝息と、耳元の羽が擽ったくも心地良い。滑らかな髪を梳いて見れば、絡まることなく指をすり抜ける。
車窓から望む月は煌々と輝いている。今宵の天体観測は皆で願い事をする予定だったが、私は──

Title「昇華」
Theme「月に願いを」

5/27/2024, 9:18:45 AM

月に願いを



今日も同じように、月に向かって手を組んで目を瞑る。そして願いを込める。
いつかあの人が戻ってくると信じて、

5/27/2024, 9:15:52 AM

あの時
キミと
一緒に





夜空を見た。







月は

まんまるだった。









今日も
満月が
見える。

キミの姿は
近くにないけれど。







どこかで
キミが
変わらず

元気で
幸せで
ありますように。


#月に願いを

5/27/2024, 9:15:10 AM

帰りたい 家にいるのに 帰郷の念 どことも知らず 迎えを待ってる

お題「月に願いを」

5/27/2024, 9:03:04 AM

月に願いを
今日も綺麗な月が出ている

願いをかけたら叶うかな…

月に願うなら、あなたに笑顔で…幸せでいてほしい

5/27/2024, 9:01:49 AM

月に願いを

「今日の月なんか赤くない?」
「え〜そうかな?」
「お前、目ぇ悪いんじゃね」
「はぁ?目ぇ悪くねぇ~し、お前って言うな!」
「あはははは、口悪すぎだろ、でも、ホントに赤くね」
「まぁ言われてみれば赤いか、、」
「なんか、願い事とかしたら叶うんじゃね」
「流れ星じゃないんだから、そんな卑猥なこと言わないでよ」
「どこが卑猥なんだよ!笑、じゃあ変なボケをしないようにって願うかぁ〜」
「誰のこと?」
「お前だよ!」
「だからテメェはお前って言うな!」
「あはははは、こりゃ叶いそうにないやぁ」

5/27/2024, 8:53:29 AM

音楽が聴こえてきますね。
あれは小学1年生の頃だったか
父にもらったお人形は優しい顔をしたピュアホワイトの妖精さんでした。
オルゴール入りの人形で背中のゼンマイを回すと
ゆっくり首を周しながら動くのです。
そのメロディーは星に願いをでした。
月じゃないんかーい!

5/27/2024, 8:52:22 AM

二人で外飲みなんて久しぶりで、ついつい酒が進んでしまった。酔いの回った彼を連れ、ゆっくり歩いて帰ることにしたのが二十分ほど前。中心街からは既に遠く、夜も深いため周囲に人の気配はない。空に雲一つなければ風も吹かず、不規則な足音が住宅街に小さく響く。眠くないかと振り返って尋ねると、微妙、などと文字通り曖昧な返事。重たげな瞼と緩んだ頬が月明かりでよく見えた。何だか随分と幸せそうだ。このままキスがしたい、なんて思ってしまうあたり自分も大概酔っているのだろう。何事もなく家に辿り着けるよう、少し見張っていてくれないか。月に傍迷惑な依頼をしつつ、その手をとって再び歩き始める。


(題:月に願いを)

5/27/2024, 8:50:31 AM

満ちては欠ける月に願いを
毎夜姿を変える月に願いを
そしてこの夜に置いていく
想いはこの夜に置いていく
まどろみの中で月に願いを
もう少しこの夢を見させて



月に願いを(お題)

5/27/2024, 8:46:29 AM

月に願いを


月は神秘的
だから願いを叶えてくれるって思うかもね
でもさ、月は月だよね
願いを叶えてくれるはずがない

月にて願っても
何も変わらない

そう、ただの夢物語

現実を見よう。
今 何ができる?
今 どうしたい?

さあ、できることからやってみようよ。

自分の願いを
自分で叶えよう
大丈夫、現実を見れば 必ずできる

自分を信じる方が
月を信じるよりも
難しくない。。。



黒猫はな

5/27/2024, 8:41:09 AM

『月に願いを』

届かぬ思いは風へと託し

数多の希望は星と輝く

澄んだ青空に自由を求め

広がる海には優しさを

私は月に願いましょう

君が笑顔でいることを。

5/27/2024, 8:39:16 AM

お月様、僕の話を聞いてくれる?

「みんな僕の考えてる事を知るとバカにしてくるんだ」

「だから僕は自分を隠しているんだ」

「でも僕は本当は…」

5/27/2024, 8:21:54 AM

「月に願いを。太陽に祈りを。あなたのためなら私は 何にでもなる。どうかあなただけは幸せでありますように。」

 これはフィクションの世界にしかない概念なのだ
 いつからかそう言い聞かせるようになった

 そんな虚しさや悲しみを忘れる瞬間がある

 あなたの心からの笑顔に癒やされたときだ

 きっとあなたは永遠に気づかない
 
 そんなあなたの尊さを守りたい

 私の恋はいつも実ったら終わってしまうから

 今はただあなたの近くにいたい

5/27/2024, 8:15:54 AM

月に願いをこの言葉を聞いて私は昔の頃を思い出す。なぜなら月にはとてつもない力があると思っていたからだ。その時はまだ純粋で何もかも信じ込んでしまっていた。あの頃に戻りたい、これが今私が思っていることだ。

5/27/2024, 8:13:46 AM

月に願いを

 太陽の下で生きる者は「昼の子供」である。彼らは地に満ちている。
「夜の子供」は彼らと似ているが、幾つかの点で明確に異なる。
 彼らは昼の光を浴びられない。そして生物、特に昼の子供たちの血液を摂る必要がある。
 長命だが繁殖力は低く、昼の文明の発展とともに食糧(昼の子供が想像するよりは少量である)は入手しづらくなりつつある。
 彼らはごく小さな集団で地下に潜み、「自分だけのモノ」との出会いを夢みている。特別に相性のよい昼の子の血液は、彼らの慢性的に続く飢えと渇きを満たし、血を交わした昼の子は長命を得るという。

 一人の夜の子が、満月の夜によくある願いごとをした。
「どうか僕だけの人が見つかりますように」
 彼は昼の世界では大地主の身分であり、住む土地には野生動物が多く棲んでいる。食事にはさほど困っていなかった。ただ、とても寂しかった。


 国立公園のすぐ近く、個人の所有地内に小さな廃坑がある。
 時刻が夕暮れ時で運が良ければ、見学もできる。
 小さな坑内には、あなたが先程国立公園で見て来たあの鉱石、世界中でもここでしか採れないという青い石がここかしこに煌めいており、夜空を嵌め込んで作ったモザイク画を思わせる。
 だがかつて鉱山だった頃に落盤事故があったとかで、それほど奥へは行かれない。
 管理人は真昼の空のように青い目をした青年で、穏やかで若々しい。
 彼は夕暮れ時になると現れて、迷い込んで来た者にはお茶や軽食を振る舞い、足を捻った者には応急処置をしてやり、近くの町まで連れて行く。居心地のいい宿や美しい場所も教えてくれる。
 廃坑の近くには小さな洞窟らしきものがある。入口からは屋根付きの通路が延びており、彼の住むこぢんまりした家の一部と繋がっている。よく見ると、「住居の一部につき見学不可」という、よく磨かれた立札が出ている。
 家の側には、よく手入れされた墓がある。
 すぐそばには、簡素だが上品な領主館が建っている。持ち主はこの一帯の地主らしいが、姿を見た者はいない。
 管理人は、この館の持ち主に雇われているらしい。だが、自分が管理しているのはこの鉱山と農場だけだ、という。
 この管理人は自分の遠縁にあたる人である。
 ずっと昔、なぜあの洞窟のそばに住んでるの? と聞いたところ、こんな話をしてくれた。


 十歳の時、まだ鉱山が動いてた頃だ。あの廃坑で落盤事故にあった。
 親父はそこの監督みたいなものだった。ある日息子に職場を見せていたら、そこで事故が起きて死んでしまった。
 俺はあらゆる意味で一人になった。つまり、社会的にも独りぼっちになり、無名の小さな鉱山に閉じ込められ、そのことを誰かに伝える術もない。
 どれくらいの時間一人でいたのかはわからない。ただ親父の左手の指先だけが見えていて、そこを両手で掘り返そうとしたのは覚えてる。
 指が痛くてたまらなくなったところで、一旦ライトを消した。とても疲れてた。

「残念」「残念」
「潰れてしまった。この子じゃ足りない」
 何か罅割れた、気味の悪い声が聞こえて目が覚めた。
 目の前に誰かがいた。でも真っ暗だからわからない。
「君、大丈夫?」
 俺と同じ、子供の声だった。
「…誰?」
 すると辺りの青い石が、星空みたいに光りだした。
 自分と同じくらいの子が膝まずいていた。髪は黒くて、見たこともないほど綺麗な顔をしている。
「痛い?」
 頷きながら、この子はどこから来たんだろうと思った。彼はそう、古い映画みたいに恭しく俺の両手をとると、いきなり指先を口に含んだ。
 汚れてるよ、と言おうとしたが、痛みが消えたのに驚いて言葉が出てこなかった。
 少し、間があった。
「その人は君の仲間?」
 彼は俺の凭れている瓦礫を差した。
 父だと伝えると、
「…ごめんね、今の僕には出してあげられない」
 そりゃあ無理だろう。
「君一体どこから来たの?」
「すぐ隣から。僕ずっとここに住んでるんだよ」
 それから数日、彼は俺の世話をしてくれた。食べ物は林檎、飲み物は何か薬草茶みたいなもの。用を足す場所もちゃんとあり、使うといつの間にかきれいになっていた。彼は身体中の傷に薬らしきものを塗ってくれ、清潔にしてくれた。
 それで少なくとも、発狂せずに済んだ-突然父親という存在が消え失せて、しかもその亡骸がすぐ側にあるというのは、子供が経験しなくていいことのはずだ。彼が現実の存在かどうかはどうでもよかった。
 彼は外の話を聞きたがった。特に昼の光について。確かに昼は太陽が出ていて、どこもかしこも明るい。でも、昼でも月は結構見えるよ、と伝えると、何故だかちょっと寂しそうな顔をした。

 何日か経つと、何だかひどく眠くなってきた。するとまた、夢うつつにあの変な声が聞こえた。
「早く早く」
「死んでしまう、もったいない」
「貴方も死ぬ、我々のように」
「この子でいいから」

 目が覚めると彼はやっぱり側にいて、外に出たいかと訊いてきた。
 出たいけど無理だと思う、何だかとても眠くて身体が重い、と言った。
「僕のところに来てくれたら、君はずっとゆっくり眠っていられる。でもやっぱり帰りたいなら、君だけなら何とか出してあげられると思う」
 帰れるなら帰りたい。父さんに何があったか知らせないといけないから。
 そう言うと、彼は綺麗な顔をくしゃっと歪め、僕が連れて行ってあげる、と言った。
「大事な人なんだね」
 父と一緒に埋もれてしまった鉱内の地図では、あそこは行き止まりのはずだった。だが彼は俺をおぶって地図にはなかった、細い通路に入ってゆく。青い石がきらきらしていた。
 俺は眠くてたまらなかった。彼のところで「ずっとゆっくり眠って」いれば良かったと思った。全身が変に熱っぽくて、震えているのがわかった。ふいに、彼が立ち止まった。

「…昼の光」
 そこは細い、本当に細い坑道の出口だった。あと十段ほど登れば、父と通った道へ出る。階段の先には柵があり、隙間から空が見えていた。
「登れそう?」
 俺は首を振った。
「帰りたい?」
 それには頷いた。
「あのね、僕あそこには行けないんだ。だから、だから、許して」
 そう言うなり、彼は俺をそっとおろし、思い切り抱きしめた。思いのほか強い力だった。首筋にちくりと痛みが走り、疲れとだるさが吸い取られるように軽くなった。
 また強い眠気-今度はとても快いものが襲ってきて、俺は目を閉じた。夢の中で、彼は何かを繰り返し言っていた。

 翌朝、落盤跡(親父の死んだ場所よりずっと手前でも起きていた)の処理に来ていた仲間たちが、古びた「立ち入り禁止」の柵の中で倒れてる俺を見つけた。彼らは一週間近く、親父を探してくれていた。
 俺は親父がもっと奥で事故に遭ったこと、亡くなったのは間違いないこと、自分は奇跡的に無傷だったこと、食糧と水を多めに持っていたこと、無我夢中で歩いていたらここにいたことなどを並べ立てた。本当なのは最初の二つだけだ。あの子のことは、誰も信じないと思って言わなかった。あの先は間違いなく行き止まりで、俺のいた坑道の先を知ってる者は誰もいない、そうみんなが言ったからね。みんな親父を悼んでくれて、俺に優しくしてくれた。

 俺は独りになったけど、遠縁にあたる人が引き取ってくれた。きみのお祖父さんの従兄弟だよ。引き取られてすぐアメリカに移民して、十年くらい向こうにいた。
 夜になると、よく埋もれたままの親父とあの子のことを思い出した。鉱山の中の夜の光も。
 いつかあそこへ戻れますように、あの子が何であれ、もう一度会えますように。月の綺麗な夜には必ずそう願った。
 願いごと? みんな叶ったよ。
 ある満月の夜、俺はここに戻ってきて、幸せを見つけた。それはあの洞窟に詰まってる。ただ、幸せの中にはきちんと覆いをかけて守らないといけないものがある。この家はそのために作ったんだよ。


 一人の夜の子が、満月の夜にいつもの願いごとをしていた。
「どうかあの子が戻って来てくれますように」
 洞窟の入口に腰掛けて月を見上げる。彼は今でもずっと寂しかった。

 旅姿の青年が目の前に立った。
 ここらで見たことがないほど背が高くて、がっしりしている。だが目は真っ青で、あの時僅かに見えた昼の光と同じ色をしていた。

 二人の住む奇妙な家は、決して日の差さない安全な屋根に覆われ、昼のようにあたたかく明るい灯りで溢れている。夜の子は少し天井が低いことを気にしているが、昼の子は気にならないらしい。
 二人は満ち足りて、幸せに暮らしている。彼らが月を見上げるのは、ただ「綺麗だね」と言って微笑み合う時だけである。

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