『昨日へのさよなら、明日との出会い』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
昨日は、
いい事があったし、
悪い事もあったし、
上手くいったこともあったし、
上手くいかなかったこともあった。
今日も、
いい事はあったし、
悪いことはもちろんあったし、
上手くいったことは少しあって、
上手くいかないこともちゃんとあった。
結局昨日も今日も、
同じように過ごしてたように思える。
明日こそは、
昨日よりも、今日よりも、
良い一日であってほしいと思う。
でも、悪い一日にはなって欲しくないから、
変わらなくてもいいと思ってしまう。
「昨日へのさよなら、明日との出会い」
―昨日へのさよなら、明日との出会い―
太陽が沈んで、空の主役を譲り受けた月が
昇り、星たちがそれを引き立てる
私たちの気なんて知らずに
下りていく太陽は身勝手だし、
遠慮もなしに上がってくる月だって無情だ
嫌気がさす
正義を名乗るかのように昇る朝日は
あまりにも無責任だ
こうやって明日は訪れるし、味気ない昨日は
遠のいていく
縋るほどのものでもないのに、
昨日が恋しくなる
朝日を見ると
明日に届くその直前に、
昨日の直後に引き戻される。
そして今日を繰り返す。
傷のついたCDのように、
同じフレーズを繰り返す。
いつまでも今日を繰り返す。
今日も今日から出られない。
テーマ「昨日へのさよなら、明日との出会い」
昨日の事は、過去の事
明日の事は、未来の事
昨日の事は過去の自分がした事
明日の事はこれから私がする事
昨日の事を悔やむより、
明日の事を考えて進め
昨日の事を振り返るよりも、
明日の事を考える事に時間を使え
過去は私の進んできた道
未来はこれから進む私の、
私だけの道のり
明日はきっと、いい日になるから。
お題〚昨日へのさよなら、明日との出会い〛
「昨日へのさよなら、明日との出会い」
泣いて泣いて泣き疲れてため息をつく
ぴろんとスマホの通知
ちょうど午前零時
これ以上昨日に縋っていても、
きっと何も変わらない
深呼吸をひとつして、
明日からの、新たな日常に期待することにしよう
嫌なことは寝て忘れよう
きっと明日はいいことがあるはずだから
題 昨日へのさよなら、明日との出会い
コンちゃんは渋谷のスクランブル交差点、その真ん中に立っていた。他に人はいない、目の前のビルには23:59の電子公告が永遠と流れていた。夜中だと言うのに周囲の建物は明かりがついていた。
「ユメくん、いる?」
コンちゃんはいじめっ子の名を呼んでみた(もっとも、ユメくんというのはコンちゃんが勝手に呼んでいる名前である)。コンちゃんは瞬時に、ここが夢だと理解していたのだ。
ポケットから電子音が鳴った。オフィスカジュアルのコンちゃんが黒のパンツからスマホを取り出すと、勝手に電話が繋がった。
「Hiii! I’m…I…idk lol.ところでコンちゃん、良い知らせと悪い知らせがある。良い方から話すね、上げて落とす方が楽しいので。この夢には終わりがない。明日なんて来ないぜ、最高だネ。やりたい放題できるからしたいこと考えとけよ。悪い方はしばらくお別れかもしれないんだ。コンちゃんと会えなくなるの寂しいなって思いました。その前に遊びましょ、思い出作りましょ、ネー?」
「(良いと悪い)逆じゃないかな」
「そんなっ」
「遊ぶなら合流しないと、今どこにいるの?」
「ス×ロー」
コンちゃんは道玄坂の方向を向いた。「10分で来いよー」とユメくんが言うので、コンちゃんは小走りする羽目になった。
ユメくんは謎生物である。毎日コンちゃんの夢に現れてはコンちゃんをいじめて笑っている。その姿は酷く不明瞭で形が掴めない。おまけにドロドロしていてヒトの形をしていない時もある。
例えば小学生時代の夢を見ていたとき、少女コンちゃんは隣の席の少年ユメくんに消しカスを投げられていた。やめてって言うと今度は消しゴムをちぎって投げられた。
コンちゃんは23歳である。こんな小学生のイタズラは笑って許せるはずなのに、なぜだかすごく傷つくのだ。向けられた無邪気な悪意が積み重なって、コンちゃんの心の柔らかいところを刺激した。
「えぇーーーん」
「キャッキャ」
ユメくんは大喜びした。無数の手をパーっと広げてふりふりさせた、まるでゲームに勝ったご褒美を貰えた時のように。
とまァ、ユメくんはこんな風にコンちゃんを泣かしていた。ユメくんはいじめられたことがないので、幼稚で典型的な嫌がらせしか思いつかないのである(と言っても、この生物に脳は無い)。
しかしコンちゃんはユメくんを嫌いになれなかった。ユメくんにいじめられるから寝るのが怖くなる、ということもなかった。だっていつも最後には、「また明日ね」って言ってくれるから。
「わ、ぁ」
ス×ローに着いたコンちゃんは感嘆の声をあげた。ユメくんがお寿司を食べているテーブルは、大量に積み上げられた皿でほとんど埋まっていたからだ。ユメくんは頭っぽいところから大きな口を出して、流し込むようにお寿司を食べていた。
ここにも人はいない。期間限定ネタ増量キャンペーンを謳うBGMだけが店内を占めていた。ユメくんがこれだけ食べているのに、レーンのお皿が全く減っていないのも不思議だった。
コンちゃんがテーブルに着くと、ユメくんはあったかいお茶を淹れてくれた。
「⋯⋯ あち、!」
「アハハ、ハ。コンちゃんは何にする?好きなの食べなァ、俺奢らないけど」
「えーっと⋯⋯ その前に、いっかいお皿片付けようよ、食べるとこ無くなっちゃう」
「そだね」
ユメくんは(本当に)大きな手でテーブルの上を薙ぎ払った。ガァン!ガラガラカラ⋯⋯ 。とテーブルはスッキリしたけど、コンちゃんのお茶まで飛んで行った。コンちゃんは一瞬びっくりしてキュッと力を入れたが、ユメくんが「食べよー」って言うので、改めてレーン見た。ユメくんに何を言っても聞いて貰えないことをよくよく知っていたので。
1枚目はマグロを取った。しかし、お皿を置く前にユメくんに取られてしまった。2枚目はたまごを取った。これも取られた。3枚目はコハダを取った。また取られるんじゃないかと、チラとユメくんを見ながら皿を置いたけど、取られなかった。こんな調子で、コハダしか食べさせて貰えなかった。
「満腹です」
「美味しかったけど、途中で飽きちゃったよ⋯⋯ 」
「なぜ」
ユメくんは本当にびっくり!全然わかんない!というふうに手っぽいものを2本上げた。ふたりはス×ローを出て、車道の真ん中を歩いていた。ユメくんは、今はヒトに近いカタチをしているが、歩き方は紙人形のようにゆらゆらしている。
「次は何する」
「⋯⋯ うーん、」
「カラオケ行こうぜ」
「え、ぁ、うん」
考えさせるくせに選ばせないのがユメくんだ。それはユメくんが1番コンちゃんのことを理解しているからである。
「ねェ、本当に今日の夢は終わらないの?」
「スマホ見てみな」
言われた通りポケットからスマホを取り出す。画面には23:59の数字が光っていた。なるほど、とコンちゃんは思った。しかし困った。明日も仕事があるし、上司の相談(愚痴)に乗る約束をしてしまった。起きられないとなると文句を言われるかもしれないなァ、と思いつつも、何だかほっとしていた。
ふたりはま×きねこに向かった。カウンターには寄らず、そのままボックスに入っていった。スクリーンにはには最近流行りのミュージシャンが映ってアルバムの宣伝をしていた。
「なんか歌えー」
「えぇ、」
悩んだ末に、コンちゃんは先程映っていたミュージシャンの歌を入れた。色んなところで聞く歌なので多分歌えると思ったからだ。前奏が始まっていざ最初のフレーズを、と、その時、曲は止んでしまった。ユメくんが演奏中止を押したからだ。
「気に入らない?」
「当たり前だろ」
「そっか、」
コンちゃんは、次はデュエットを入れた。恋愛ソングでちょっと恥ずかしかったが、これならユメくんも歌えると思ったので。しかし今度は前奏が始まって2秒で終わってしまった。
「ばーーーーかーーーーーーー」
「⋯⋯ 」
「俺歌お」
ユメくんはパンク・ロックでシャウトした。大音量がボックスに響いて揺れていた。コンちゃんは両手で耳を塞いでいたが、なんだかワクワクドキドキしてパッ!と笑っていた。ユメくんの歌う歌はコンちゃんを愉快にさせた。
「楽しかったね!」
「ネー。次何する」
「ァ、えっと⋯⋯ 」
「映画な」
ユメくんは二足歩行に疲れたらしく、シャクトリムシみたいに進んだ。シアターに着くと、ふたりは上映中の作品が並べられているモニターの前で止まった。
「何見る」
「⋯⋯ 」
「ステイだ。逃げたらバッチンする」
ユメくんは関係者以外立ち入り禁止の部屋にドアの隙間からずるん!と入っていった。コンちゃんは、シアターに来るなんていつぶりかしら、と周りを見渡して、なぜだか悲しくなった。それからしばらくして、ユメくんは水たまりが広がるみたいに戻ってくると、「スクリーン2に行く」と言った。
スクリーン2では、リスさんとウサギさんがスペシャルポップコーンを食べる映像が流れていた。ふたりは真ん中辺りの席に着くと、たくさん持ってきた食べ物(キャメルポップコーンLサイズ2つ、オレンジジュースとス×ライト、フ×ンタグレープにコカ・×ーラ、チョコチュロスとアイスクレープを前菜に、メインディッシュはアメリカンドッグ。これら全てユメくんが勝手にカウンターから持ってきた)をセットして上映を待った。
「ユメくん、」
「なんですか」
「お別れするって言ってたよね、それっていつかな」
「この映画が終わった後ですね」
「私、ひとりになっちゃうのかな、」
「いや。ここ(夢)にいる限り俺がいじめますが。ひとりにはさせねぇよ、俺の楽しみが無くなっちゃうでしょうが」
コンちゃんは、なんだか矛盾してる気がするなァ、とは思いつつも、ひとりになることは無いと知って、眉を下げてちょっと笑んだ。
いよいよ上映時間だ。劇場は暗くなり、スゥとプロジェクタのレンズが広がった。
ユメくんが用意した映画はラ×ンツェルだった。それはコンちゃんが何度も見た作品だった。物語はまだ始まったばかりなのに、結末を回顧したコンちゃんはハッとして涙を流した。そうだ、そうだった、私はデ×ズニープリンセスが好きだった。子供っぽいと思われるかもしてないから誰にも言ったことはなかったが、私はデ×ズニープリンセスが大好きだった、とようやく思い出した。
お寿司が好物だった。特にコハダが好きだった。家族みんなで回転寿司に行って、お皿をたくさん積み上げて、最後にガチャガチャをするのが好きだった。なのに周りは「コハダなんて渋いね〜」と、歳に合ってないみたいなことを言うのだ。
音楽が好きだった。特にパンク・ロックが好きだった。高校時代、カラオケには週に一回は行っていた。友達と行ってふざけながら歌うのも好きだったけれど、どちらかと言うと低い歌声を聞いている方が好きだった。自分には出せない声に、憧れを抱いていた。
全部忘れていた。コンちゃんは社会に疲れきって、みんなの好きなものを優先していた。その方がえっ!って顔をされないからだ。
コンちゃんはパタパタ泣いた。泣きながらアイスクレープを食べた。映画はドリンクだけよりも、いろいろ食べる方が好きだからだ。100分間、もぐもぐしながら涙が止まらなかった。ユメくんは100分間、コンちゃんを鑑賞してニコニコしていた。
「次は何する」
「おいしいパン食べたい。サクサクのメロンパン、しっとりのやつは気分じゃない。中にメロンクリームが入ってるのがいいの」
シアターを出たふたりはスクランブル交差点に戻ってきた。コンちゃんの後ろには23:59の電子公告が点滅して流れていた。
「オ、そうですか。でもコンちゃんの記憶にそんなものはないから、自分で探しな」
「うん」
「俺がいなくてもちゃんと泣けよ」
「うん」
「ありゃ、これはもう二度と会えない気がしてきたなァ。サヨナラだネ。グットバイ」
「うん、泣かせてくれてありがとう」
渋谷のスクランブル交差点の真ん中。00:00の電子公告が流れた。
昨日の私には、勝てない、今日の私には、勝てない、明日の私には…
『昨日へのさよなら、明日との出会い』
普通、『今日より明日へ』じゃないですか?
昨日からいきなり明日なんて、今日の立場は?
なんてね。
今日が消えてしまうと言えば、台湾映画『1秒先の彼女』
もう、本当に可愛らしい映画です。
後半、思わず泣いちゃった後に『エエ〜ッ!』な展開が来て心臓バクバク。
からのもう一度、今度はボロ泣き。
そんな映画。
何でも人より1秒早くなっちゃう彼女。
ヨーイドンではフライング、写真は何時も目を瞑ってしまってて。
とにかく何でもタイミングが合わない。
それに反して、何事も人より1秒遅い彼は、毎日彼女が働く郵便局の窓口に切手を買いに来ます。
まとめて買えばいいのに、変な人。
彼女の彼に対する印象はこんな感じ。
そして、彼女は毎朝、公園でタイのエビダンスを教えている先生と運命の出逢いを。
このエビダンスがホントもう、元気が出ると言うか、笑えると言うか、私はめっちゃツボでした。
You Tubeて何回もリピリピ!
良かったら見てみてくださいな。
彼女や、彼、先生、彼女の行方不明のお父さん、ラジオのDJ、皆が個性的で愛すべき人達です。
私はロードショー公開と、名画座とで複数回観ちゃいました。
で、この可愛いラブコメディが日本でもリメイクされます。
台湾版は、旧七夕のお祭りがメインなんですけど、日本版もそれに合わせて七月七日に公開らしいです。
男女逆転で『1秒先の彼』
岡田将生さんと、清原果耶さんがW主演で、山下敦弘監督、クドカンさんが脚本とのことで、公開をちょっとワクワク待ってます。
てか、私の愛するエビダンスはどんな形で再現されるのでしょう?
それは個人的には、とっても重要。
いま、これを書きながら、公式サイトを見に行ったら、クドカンさんが、台湾版のキャスティングが完璧すぎて、と書かれていて、そうでしょうそうでしょうと、ニンマリ。
きっと私は、日本版を観たらまた台湾版も観たくなっちゃいそうです。
で、『昨日へのさよなら、明日との出会い』ということで、全ての人が、勿論私も含めて、素敵でハッピーな、そしてワクワクな明日でありますように!
【昨日へのさようなら、明日への出会い】
いつも男みたいだった自分。
でも、あるTikTokの動画が流れてきた。
『女に生まれたせいで人として
見られるのがこんなにも難しい。
でもそんなことを思うのは女を捨てたくないからでしょ
女であることの素晴らしさを知ってるから。』
女の子らしくなくていいから、自分らしく生きたい。
って思えた。TikTokには素晴らしい出会いがある。
昨日への自分にさようなら、明日の自分との出会い。
田舎の駅に人のいない。見渡せば、ただ圃場に風がそよぎ、葉擦れの音がそちこちに囁いてやまない。
わたしがここに帰ってくるのは一年ぶりだ。向こうの方で踏切の警笛が鳴り響く。わたしは、半ば朽ちた停車場のベンチから腰を挙げ、軋むレールの音を眺め遣った。
申し訳程度の一両編成。無論、ワンマン運転の車両には通例の如く、乗客も居ないだろう――いや、たった一人だけ、古ぼけた天鵞絨の椅子には、確かに昨日が座っていた。
昨日はゆっくりと立ち上がると、乗り込む間際のわたしに気付いたようだった。けれども、一言もなく立ち去った。わたしは、咄嗟の出来事に茫然と昨日の背中を見送った。
誰もいない車両の中、わたしは、窓の外を次々と置き去りにされていく緑色の風景を何を思うでもなく見過ごしていた。やや眠たげな窓に映るわたしの顔には、どこか昨日のものと似た愁いが透けて見えた。
いつの間にか少し寝ていたようだ。
次の駅――当然無人駅だ――に着くと、古ぼけた停車場に、誰かが立っているのが見えた。
電車が到着すると、一人の女性が慌てた様子で車内に乗り込んで来た。誰かを探している様子で四囲を見回している――それは、明日だった。
明日は不安げな表情を浮かべたまま「昨日は?」とだけ聞いた。わたしは「もうここにはいません」と、先程の駅で降りていったことを伝えた。
明日はそれを聞くと、走って駅を出て行ったようだった。
わたしは、大きなあくびをひとつすると、眼を閉じた。耳の中には、行き先の案内が流れる。
次は――、――。わたしはその駅名に驚き、飛び起きた。
――しまった!寝過ごした!
わたしの旅程は決まってこうだ。やれやれ。肩を落とすと、窓を開け、目の前を流れる風光が力強く車内に吹き渡るのに感じ入ってみた。
たまには、こういうのもいいだろう。だって、わたしは――
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昨日へのさよなら、明日との出会い
昨日へのさよなら、明日との出会い
(宝石の国二次創作)
昨日、デマントイドガーネットとショールが拐われた。昨日?もっと前だったかもしれない。二人がいなくなってからの時間は止まったようで、長くも短くも感じられた。
(俺っち、これからどうなるのかな?)
単純につまらなかった。つまらないと感じると、二人がいなくなったことを思い出して、気分が沈んだ。同い年と弟を同時に失くしたのだ。誰を頼ればいいのか分からなかった。
(でも、このままなんて俺っちらしくない)
いつでも上を向いていたかった。くよくよするなんてバカのすることだ。俺っち、バカだけど。バカだから、なんでもプラスに考えたかった。
「マラヤ、俺っちと組もうぜ!」
二人のいた昨日とさよならした。今身近にある明日を大切にするために。後ろは振り返らない。叶わない願いは祈らない。
今日は昨日の明日
明日の昨日は今日
昨日のことは忘れないで
今日を無事に終えられることに感謝して
明日が来ることは当たり前じゃない
だけど明日何か良い事でもあれば
その何かに少し、期待してみたりね
あなたは笑ってそう言った
*昨日へのさよなら、明日との出会い
昨日の自分さようなら!!
髪はばっさり切ったし!
メイクも変えてみたし!!!
もうあいつの好みとは全然かけ離れた私なんだから!!
私なんだから!!
新しい出会い探すぞーー!
まだ少し涙が霞むこの気持ちの中、振り切るようにするしかなかった。
これで良い。
よしっ!!!!
今日のテーマ
《昨日へのさよなら、明日との出会い》
「バイバイ」
「元気でね」
「向こうでも頑張って」
見送りに来てくれた友達が目を赤くしながら口々に言う。
わたしはその一つ一つに頷いて、お礼と別れの言葉を返す。
転勤が多い親を持つと、こんな別れは慣れっこだ。
みんなに合わせてしんみりした顔をしてみせるけど、心の中はそこまで悲しくはない。
ただ、せっかく仲良くなったのにな、と少しだけ残念な気持ちがあるだけ。
でもそんな寂しい気持ちも長くは続かない。
嘆いていても引越も転校もなくなるわけじゃないのだから。
引越先へは電車での移動となる。
荷物は引越業者のトラックで既に出発している。
家の前で彼女達と別れ、家族と一緒に駅に向かう。
「ネットで調べたら、近くに美味しいパン屋さんがあるみたいなんだよね」
「そうなの? 近くに安いスーパーがあるといいんだけど」
「今度のところは駅前にでかい本屋があるみたいだな」
「どうせまたすぐまた引っ越すんだからあんまり本は増やさないでね」
「お父さんも電子書籍にすればいいのに。最近老眼で小さい字が読みにくいって言ってたじゃん」
「いやいや、やっぱり本は紙ならではで……」
両親と姉は引越先の近所の店などについて、ああでもないこうでもないと盛り上がっている。
わたしはそれをぼんやり聞きながら後をついて歩いていく。
可愛い文房具を置いてる店があるといいなと思っていたら、後ろからバタバタと走ってくる足音が聞こえてきた。
避けた方がいいだろうかと思いながら振り返ると、足音の主は同級生――いや、元同級生の男子だった。
わたしが振り向いたのを確認して、ホッとしたような顔をする。
「お母さん、電車まだ大丈夫だよね?」
「何? ああ、お友達? まだちょっと余裕はあるけど……」
「先に行ってて。すぐ追いつくから」
何か言いたげににやにや笑う家族を追い出すように先に行くよう促す。
改めて向き直ると、彼はTシャツの袖で汗を拭いながらどこか気まずさを感じさせる笑みを浮かべた。
「見送りに来てくれたの?」
「うん……いや、見送りっていうか……」
1学期の間、ずっと隣の席だった。
マンガの話、動画の話、なんてことない雑談でよく笑い合った。
その彼が、今まで見たことないくらい真剣な顔をしてわたしを見てる。
急に胸がドキドキし始めて、そわそわ落ち着かなくなってくる。
これまでの転校の時にはこんなことはなかった。
見送ってくれるのは大抵仲の良い女子数人、それすらない時だってあった。
まるで少女マンガみたいな展開に、もしかしたらという期待が胸いっぱいに広がってくる。
いやいや、ないでしょ、さすがに。
何か借りてたのを忘れてて、それを言いに来たとか、きっとそんなとこだって。
でも何か貸し借りした記憶もないし、催促する機会は昨日までにいくらでもあったし。
期待しては打ち消し、打ち消しては期待が膨らむ。
そうしてどのくらいの時間が経っただろうか。
体感的には何分も経ってる気がするけど、たぶん実際は数十秒。
彼は、意を決したように唾を飲み込むと、何かを差し出してきた。
お父さんの名刺が入るくらいの小さな封筒。ワンポイントの花の絵が可愛らしい。
しっかりした感触から分かるのは、中にカードか何かが入っているのだろうってことくらい。
お別れの手紙か、それとも――?
「俺のLINEのID書いてきたんだ。交換できる時間あるか分からなかったから」
「あ、少しなら時間あるから今交換する?」
「時間、平気?」
「そのくらいなら大丈夫。走ればすぐ追いつけるし」
先を行く家族の背はまだ見えている。
走るのは得意だし、足も遅くない。
スマホを取り出してLINEのアイコンをタップする。
二次元バーコードを表示させると、すかさず彼がそれを自分のスマホで読み取る。
『よろしく』
友だち登録をした彼から即座にメッセージが送られてきた。
ポコンという音と共にアニメのキャラクターのスタンプも。
男子はあまりこういうの使わないイメージだったけど、案外そうでもないのかもしれない。
文字を打つのも、スタンプを送るのも、思ってたよりめちゃくちゃ早いし。
「昨日の内に言ってくれれば良かったのに」
「他の奴らの前で言うとうるさそうだったから」
「あーわかる! みんなすぐそういう話に持っていきたがるもんね」
「おまえとは話も合うし、これで完全に切れちゃうのも何か……」
「そっか……そうだね、これでまたマンガの話とかできるね」
わざわざ走って追いかけてきてくれてLINEのID交換なんて言い出すから、これは本当にもしかするかも――なんて期待しちゃってたことなんか、恥ずかしくて絶対に気づかれたくない。
だからわたしは何でもないふりで笑って言った。
ちゃんと笑えてるかな? 笑えてるよね?
「えっと、じゃあそろそろ行くね」
「あとで、またLINEする」
「うん。じゃあね、バイバイ!」
「ああ、気をつけて」
笑顔で手を振って彼と別れ、走って家族の後を追う。
途中で封筒を受け取ったままだったことを思い出した。
ID交換したんだから、これはもう用無しかもしれない。
でも、せっかく書いてきてくれたのを返すのもなんだし、もしかしたら餞の一言くらい書いてあるかもしれないし、と思って、落とさないようポケットにしまう。
「どうだった? 告られた?」
「そんなんじゃなかったよ。LINE交換しただけ」
「なーんだ、そうなの。お姉ちゃんの方はそういう色気のある話はなかったの?」
「ないない、あるわけない」
興味津々に聞いてきたお姉ちゃんの言葉に首を振る。
お母さんは残念がりながらお姉ちゃんに矛を向け、お父さんはそれを聞きながら笑ってた。
わたしの方こそ「なーんだ」な気分だったけど、それは家族にも気づかれずに済んだようだった。
電車に乗って暫くして、家族の目を盗んでそっとさっきの封筒を開ける。
糊付けはされてなくて、予想通り、中には封筒と同じ柄のカードが入っていた。
言えなかったけど、ずっと好きでした
もし嫌じゃなかったら、友達としてでいいから、チャンスを下さい
筆圧高めの、少し角張った癖のある字。
記されていた言葉に、じわじわ頬が熱くなる。
もしかして、もしかした!
心臓がうるさいくらいにバクバクし始めて、今はとても冷静に返事のメッセージを送ることなどできそうにない。
『カード読みました。返事は夜まで待って』
震える指でそれだけ打って送信すると、すぐに既読がついた。
さっきとは違う絵柄の『待ってます』のスタンプが即座に送られてきて、その反応の早さに少しだけ笑ってしまった。
昨日まではただのクラスメートだった。
転校で切れるはずだったその縁は、今日、彼の勇気で繋がった。
そして明日からは、きっと違う名前の関係になる。
にやけそうになる頬を無理矢理引き締めて、わたしはそのカードを大事にバッグの内ポケットにしまったのだった。
【昨日へのさよなら、明日との出会い】
時刻が変わるまで残り…
平々凡々な人生だった。学校に馴染めず、社会に馴染めず、家族にも心配と迷惑をかける。そんな人生だった。
親は言う。
「真っ当な人になりなさい」
兄弟は言う。
「𓏸𓏸はなんで何もしないの」
教師は。元クラスメイトは。元同僚は。
否定して。蔑んで。心配して。………でも結局は皆言うんだ。
「「怠けたいだけなんでしょ」」
こんな人生もう嫌だ。そう思った時。あるゲームに出会った。バーチャルゲームと呼ばれるそれはヘルメットみたいな物をかぶり、遊ぶゲームだった。
別の世界で、別の自分になれる
この世界の主人公は君だ!!
こんなキャッチフレーズだった気がする。
今思うととても安易なものだ。作り込まれてる世界観と「ゲーム」というフレーズだけで予約し、数週間。やっと手元に届いた。
あと、数分。あと、数分で時は1度リセットし新たな明日を迎える。
そして僕も、新しい自分って奴になれる。
こんな惨めで、何も出来ない僕でも、あの世界なら少しはマシになるかな。なんてね……。
そして遂に時は1度リセットされた。
「「ようこそ。新しい世界へ」」
昨日へのさようなら、明日との出会い
昨日へ、さようなら
明日へ、これから頑張るね
夫よ!
これからもどうか
よろしくお願いします。
愛してるよ、夫よ!
【昨日へのさよなら、明日との出会い】
おはようで迎えた昨日が、おやすみで明日になる。
時間は流れ続けるからこそ、出会いと別れがある。
昨日と明日を繰り返す日常が、これからも続くように。
これが昨日と明日の境界線である今、私が思うことだ。
「ダラダラ部屋」
ただいま自由人戻りました&さっそく書いていきます(笑)
いやぁねぇ〜ネタが全く浮かばなくて辞めてたんですが
急に頭に「ヒーロー」なんてカタカナが浮かんだんで
今日は僕の思うヒーローについて語りつくそうと思いますww
誰もが夢見るヒーローは多分、ピンチに駆けつける強い人とか
子供の頃に見た大きな背中をした大人とか、まぁ色々あるでしょうけど♪
僕にとってヒーローはやっぱり
どんなときでも自分を見ていてくれる人でしょうかね?(←聞くなw)
例えば遠く離れた地に居たとして電話越しの声だけで
元気なのかそうじゃないかを直ぐに気づいてくれるような人
それって今まで細かいとことかをきちんと見ていてくれなきゃ
絶対気づけないでしょうから(^^)
大丈夫?とか元気?とか
その一言だけで一人じゃないって思えますね
ホントそういう人が居るだけで気持ちが救われる
うん、まさに、救われる=ヒーローw
僕もなるべく察してやれるようにはしてるのですが
なにしろ鈍感が背中の真ん中あたりに取り憑いているのでw
だいたい二番手か三番手あたりで気づくんですよね(笑)
で、悩み話に花咲かせてる中に「どったの?」って混ざりに行くんですww
まぁー!!ヒーローとは程遠いですね!(笑)
でも、少し時間を置いて落ち着いた頃に
僕なりに面白いこと言って笑わせたりします(^^)
お笑い芸人の人達ってそう考えると凄いですよね♪
人を笑顔にできるって、それもまたヒーローなんだと思いますね
僕も人としてまだまだ未熟ですけど、人も自分も笑える毎日を送れるように
頑張りたいと思います♪
はい、今日のダラダラ部屋はここまで(^^)
またね(^_^)ノシ
「愛してる、今までも、これからも。」
その言葉が僕を蝕む。僕だって愛してる。ずっとずっと。
-全部、全部遅かったのかな。
素直に好きだと言っていれば、何か変わったのかな。
迷いなく好きだと、愛してると言えば…
君の元に行けるのかな。
『どこにいるの?教えて。』
空虚に向かって問いかける。答える声なんかない。
途端に心を黒い何かが覆う。
まるで水の中で藻掻いてるみたいだ。
思うように息が出来なくて、苦しくて、
会いたい。人目でいいから、君に会いたい。
その想いだけが僕の中にあった。ずっと。
笑顔の裏に、優しさの裏に、僕という存在の中に
君への想いがあって。苦しかったよ。
だんだん僕の世界に色が無くなったんだ。
君の居ないこの世界になんの価値も無いからさ。
でも、彼らはこんな僕の背を撫でてくれた。
受け止めてくれた。赦してくれた。
君に想いを素直に伝えられなかった事、上手く嘘をつけなくて心配と迷惑をかけた事、全部を彼らは赦してくれた。
だから、
-色の無い世界で生きていた昨日までの僕とは
さよならしよう。
そして、こんな僕を救ってくれた人達の手を取って
明日からを生きていこう。