『春爛漫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
今年も綺麗に咲いて春爛漫。
4月スタート
私も気持ちリセットして
頑張っていきたいな
─────『春爛漫』
まだ肌寒いでしょうと厚手の上着で出かけ
思ったより強い陽射しに汗ばむが
裸の木々たちは衣替えを渋っているみたい
皆分厚い上着をしまう契機を伺うけれど
ジェットコースターのよう
くるくる変わる気温に振り回されて疲弊している
桜舞い散る華やいだ公園を液晶は映すけれど
北の街の春は一進一退の様相
冬将軍はまだ帰り難く だらだらと居座っているようだ
春爛漫の晴天です
でも、僕の心は曇り空
春と呼べるような穏やかで温かな陽光はどこへやら
ああ 空が青いだけで
桜の花が零れ落ちそうなほどに咲くだけで
もう何もかも
これで良かったのだと思えたならよかった
そう思うには
あまりにも卑屈で
どうにもこうにも土の下から出てこれそうにない
外はまだ寒くて
ここら出たらきっと
冬の寒さに淘汰されてしまう
春爛漫ですよ
地上でそっと囁いているのは小鳥か
僕は頑なに身体を強張らせて
この世の全てに悲観したような顔をして
地中の底
地球の心音を聞きながら
ただ怯えている
春爛漫…
お庭にてバラ、カモミール、クレマチス
春の花たち言葉も踊る
その日はとても晴れていた。
温かい春の日で、桜は元気良く花を咲かせていた。
私はその日電車に乗っていた。
ぼーっと窓の外を眺めながら、視線の先に広がる桜の木々に、春だなぁ……と改めて感じていた。
電車はトンネルに入った。長い長いトンネルだ。
窓の外は暗闇で、だからといって特に視線を変えることもなく、ただただぼーっとしていた。
そして、トンネルを抜けた。その瞬間。
桜の花びらが視界を覆った。
まるでカーテンのように、桜の花びらが辺り一面を舞っている。
驚いている間に、電車は次の駅に到着した。ここでしばらく停車するらしい。本来この駅で長く停車することはないので、何か調整があったんだと思う。
ホームには止むことなく花びらが降り注いでいて、あまりにも幻想的な光景に、しばし見惚れてしまう。
カメラを向けてみても、この光景は上手く写らない。私は心にこの光景を焼き付けた。
あの日ほどの光景には、それ以来出会っていない。もしかしたら夢だったのではないかと疑うくらいの、美しい春の日だった。
『春爛漫』
春爛漫
(本稿を下書きとして保管)
2024.4.10 藍
【春爛漫】
今年の桜はゆっくりで
先週やっと開花した
久しぶりに 入学式に満開だ
桜が咲くと 春が来たと強く感じる
道路脇にある花たちも
咲き始めている
鳥たちの鳴き声が 明るく響き
もう春がきたよと 知らせている
春が好きだ
いつの間にか桜が咲くのが早くなった。春、というには少し肌寒い夜「おつかれさまです」時間を確認し、荷物とコートを掴んで足早にオフィスを出る『もしもし、ごめん今かいしゃで、た』ほとんど無意識にかけた電話、視線を上げると同じように携帯を耳に当てた彼がいた。唐沢は小さくこちらに手を挙げ、携帯を耳から離した、同時にぷつりと通話が切れる音がする「おつかれさん」「…びっくりしたぁ。わざわざ来てくれたの?」「ちょうど、この辺に用があってね」嘘か本当かわからないけれど素直に受け取り隣に並んで歩き出す。いつものタバコの匂いに混じって香るのはこの満開の桜の匂い、上を見上げれば月明かりに照らされた桜が咲き乱れている「桜、綺麗だね」「昼間とはまた違うな、ダイナミックだ」いつもと変わらない通勤路も、特別な場所のような気さえしてくる「すこし、遠回りしようか」そう言って彼が指差すのは桜並木の歩行者専用道路、いつの間にか繋がれた腕を引かれ遊歩道へ入る「う、わぁ」さつきとは比べ物にならない満開の桜、花びらがまるで絨毯のように敷き詰められ、ここだけ異世界のような空間に思わず声が漏れる「仕事忙しくって、春がきたことも忘れてたや」「俺は君がこんなに綺麗だってこと、思い出したよ」「えっ?な、なに」急に歯の浮くようなセリフをこぼす唐沢に体温が上がる「結婚、しようか。明日も明後日も一緒にいられるように」
春爛漫
『春爛漫』
光り輝く春の訪れ
「春爛漫」と「鬱悪化」
命の芽吹きを感じる季節に追いつけず、我が身体に安定剤という『肥料』を与えよさらば与えられん
春爛漫
君に逢うたび感じる
胸の高鳴りは
春の陽気のせいだと
言い訳もきかなくなってきた
春爛漫
春ランラン〜♬
春爛漫
春サンサン〜♫
春爛漫
春ランマン〜♩
「春爛漫」
舞い散る桜といっしょに
ひらひら踊る君を見ていると、
自然と笑みがこぼれる。
やわらかな木漏れ日に包まれて
君もにっこりと笑った。
【春爛漫】
私は新学期が嫌い
人見知りだから新しいお友達なんかできないし
でも前までのお友達はみんな新しいお友達といるし
私は出会いの季節が嫌い
入学する時なんかは特にね
お友達2人は同じクラスなのに
私だけ離れちゃった
ずっと嫌で嫌で仕方なかった
でも君に会うことができて
そんな考えもなくなった
今まで意味もなくやってきたスポーツも
君と出会うきっかけになったから
やってきてよかったって思えた
たまにはこんな季節も悪くはないかな
なんて思うことができた
君に出会えて本当に良かった
私は君のおかげでやっと
満開の桜の景色が輝いて見えるようになった
本当にありがとう
私と笑いあってくれる君が好きだよ
これからも仲良くしてね
【春爛漫】
桜が咲いた
満開の薄紅の下
手を伸ばす君の笑顔も咲いた
「春爛漫」
貴方が笑っている
友達と話している時
他愛もない会話に花を咲かせて
たまに相手をからかっては
楽しそうに笑っている
貴方が微笑んでいる
2人きりで話している時
そこに私の姿は映っていない
貴方が笑う時
楽しそうにしている時
まるで花が咲き乱れるような、幸せそうな時
それはいつも、私の関係ない所で起こる
寂しいけれど
仕方ないね
貴方が好きなのは私じゃないんだもの
貴方には私のことが見えていないものね
『バラン』
人魚に涙を流させてもそれで食う飯は美味い
遥か昔に似た子どもはやはり今見ても異質だ
たくさんの人と出会ったらいいよと言う声は
返信してないだけで、まだ届いてますよ。
あとがき
刺身やお寿司、お弁当に付属されている
緑の草むらのようなバラン。
オランダ語で、仕切りとか区別の意味合いがあるとか
昔は葉蘭(はらん)という植物が使われていたとか。
春が来た。
あの子と俺の世界がちょうど鏡合わせになる。
この溢れんばかりの俺の気持ちも鏡合わせになればいいのに。いつだって俺の片思いだ。
なあ、目を開けてくれないか。
越えられない壁にそっと手を合わせる。
なあ、もうすぐ桜が咲くんだ。
こちらの桜も綺麗なんだぜ。
君のためにたくさんたくさん集めてくるから。
君への想いも、咲いてほしくて。
春︰
爛︰爛(ただ)れる、腐る
漫︰締まりがない、みだり、どこまでも広がる水
出逢いと別れが交差する
清々しい季節に風が吹く
希望という花が心に咲く
淡い色した夢は光り輝き
未来を切り開く力となる
勇ましくそして軽やかに
風は背中を押してくれる
桜が咲く頃に思い出して
心に花を持っていること
永遠に美しくあることを
『春爛漫』
『春爛漫』
「もういい加減にして! 泣きたいのはこっちなの!!」
そう叫んだあと、アパートに響き渡っていた泣き声が一瞬止まったかと思ったが、結果、さっきよりもっと大きな声で泣き出しただけだった。
「もう……どうすればいいの」
ベビーベッドの手すりを掴んだまま床にへたり込む。
目から涙がぼろぼろと出てくる。それを拭う気力もなく、次第に嗚咽が混じった泣き声が喉の奥から込み上げてきた。
ふと自分の中にある掴みどころのないどす黒い塊の影に気づいた。目の前で泣きわめくこの小さな生物をもっと簡単に泣きやませる方法があるじゃないか──
一瞬でもそう考えた自分が怖かった。やり場のない感情を力いっぱいに握った拳に込める。
手のひらに爪がささって痛い。痛いけど当然の報いだ。私はダメな母親だ。母親失格なんだ。
娘が産まれてからのこの半年間、私はなんとか踏ん張り耐えてきた。
初めての子育てに四苦八苦しながらも、最初の1ヶ月は育休を取ってくれた夫と力を合わせ、どうにか乗り越えられた。
あの頃も睡眠時間は充分とは言えなかったものの、まだ娘を見て"かわいい"と思う心の余裕はあった。何かにつけ写真を撮ったり、1日の様子を事細かに日記につける余裕もあったくらいに。
だが、いつからかそんな余裕もなくなっていた。
仕事を再開した夫が帰るのは夜遅くのため、日中は一人で世話をする。夫が帰ってくるまでの間、娘の面倒を見ながら家事をして、夕飯を作った。
飛行機で2時間ほどもかかる場所に住んでいる母に簡単に頼るというわけにもいかず、近くに住んでいる義理の母には気を使って頼ることができなかった。
そして、そのうち始まった夜泣きがさらに私の心に追い打ちをかけた。
昼夜問わず寝れない。気が休まらない。娘に笑いかけようにも、笑い方すら分からない。そんな自分に自己嫌悪した。
こんなはずじゃなかった……何度そう思ったか分からない。
私たち夫婦が待ち望み、やっと産まれた初めての子ども。
病院で初めて娘が笑った時、心に陽だまりができたような言葉にならないほどあたたかい気持ちになった。
そこから、"ひなた"と名前をつけた。このあったかい響きには平仮名の方がいいよね、と2人で相談して決めた。
「ひなた」と呼ぶと笑ってくれた。それがとてもかわいくてたまらなかった。かわいくないはずがなかった。なのに──
仕事終えて帰宅した夫がそんな私をみかねて、「週末3人で出かけようか」と言った。
「え……」
私は信じられない気持ちでいっぱいだった。
「もう外に連れていっても大丈夫なんだろ? 外は桜が見頃だし、ひなたに初めての桜を見せてあげたい」
「──何でそんな簡単に言うの」
夫が不意をつかれたようにこっちを見る。そして戸惑ったように言う。
「別に、簡単なんて」
「そうでしょ! 自分はひなたの世話をずっと私に任せっきり。私は1日生きるだけでこんなに精一杯。なのにあなたはそんなふうにお気楽にして、その上私が悪者みたいに言って」
「俺がいつそんなこと言ったんだよ」
「言ったじゃない。私がひなたを全然お出かけに連れて行ってないって。ひなたが可哀想だって。ダメな母親だって……」
自分でも感情が抑えきれなかった。
分かってるんだ。夫は何も悪くない。悪いのは自分だ。今のは彼に向けてじゃなくて、自分に言いたかったことなんだ。
「──今日はもう寝る。夕飯は明日朝食べるから」
そう呟かれた言葉だけが部屋に残って、そして静寂に消えた。
次の日、ソファでうとうととしていた私が目を覚ますと、もう夫の姿はなかった。
心当たりのない毛布が1枚私にかけられていて、冷蔵庫に入れておいた昨日の夕食の皿は、全部洗って水切りに置いてあった。
ベビーベッドでは娘が珍しく静かに眠っている。
私は起こさないようにそっと近づいた。両手を上げて寝る姿がいつも夫が寝る時の姿にそっくりだ。そうやって静かに寝息を立てる娘を見てると、なんだか無性にかわいくて愛おしくてたまらない気持ちになった。
そう思うと私の頬は自然と緩んでいた。ああ、私にもまだちゃんとこんな感情があったんだ。そう気づいた。
週末になり、私たち家族は初めて3人でちゃんとしたお出かけをすることになった。
友人たちにもらった外出用のかわいい洋服を着せ、母にもらったくまの耳がついた小さな帽子をかぶせる。
「あれはいれたし、これもOK……これで全部かな?」
荷物の多い乳児のお出かけのために、夫がほとんどの準備をしてくれた。
「うん、ありがと」
「よし、じゃあ行こうか」
普段の買い物は夫に任せているため、外に出るのは久しぶりだ。
1歩家から出ると外にはいつの間にかちゃんと春が来ていて、すっかり暖かくなった空気を吸い込むとなんとなく春の匂いがした。
「ひなたーお出かけですよー。桜を見に行くんですよー」
私が抱いている娘に向かって、夫が歩きながらうれしそうにしゃべりかける。
「お父さんの方がはしゃいでるみたいだねーひなた」
娘はそんな私たちに構うことなく、初めて見る景色に目を行ったり来たりさせている。
「ほら、あれ!」
夫の声につられて視線を追うと、そこにはこれ以上ないくらい満開の桜が通り沿いにずらりと並んでいた。
天気も申し分ないほどの花見日和だというのに、まだ少し時間が早いせいか車通りも人通りも少ない。
「こんなにすごい桜なのに、私たちがひとり占めだね」
私がそう言うと、夫が「違う違う」と首を振る。
「三人占めだよ、それを言うなら。この桜はたった今、俺たち三人だけのもの。よし、ひなたおいでーお父さんと一緒に桜を見よう」
夫がひなたを抱きかかえて、桜の枝の方にひなたの顔を向ける。
その時、その枝から桜の花びらが1枚ひらりと落ちた。
それを見てひなたが笑った。それは、この満開の桜にもこの光に満ちた春の陽気にも負けないほどの、まぶしい笑顔だった。
ふと夫の方を見ると、向こうも同じくこっちを見ていた。
「笑ったね」と私が言うと、「うん、笑った」と彼も言った。
娘はきっと、今日見たこの圧巻の桜も、今日感じたこの春のあたたかさも、この瞬間私たちがどんな顔をしていたかも、すべて覚えてないだろう。
でも私たちは一生忘れない。世界中の幸せをかき集めても足りないほどの、溢れんばかりの幸せを。
「来年もまた来ようね」
花びらの影の下で2人に向けて言う。
夫が握る娘の手は、気づかないうちに大きくなっている。きっとこれからもあっという間に大きくなってしまうのだろう。
夫がひなたの顔を私に見せるようにこっちを見た。
「うん。来年も、再来年も。もういい加減いやって言われるくらいになっても、毎年来よう」
「──うん」