『春爛漫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
かじぬソイソイいいあんべぇ。
春になると思い出す。
中学の2年か3年生だっただろうか?
国語の授業で覚えた一節である。
授業は春より初夏だったかもしれない。
けれどもちょうど今頃に思い出す。
暖かさに満ちた言葉は、時を経ても記憶に残る。
『春の嵐』
春の嵐 優しくて厳しい風が吹く 花々が散っていく
まださよならも言えてないのに 私はアスファルトの上 息を呑む 新緑が芽生える あの子の自己紹介が
聞こえる 優しさも厳しさもひとつ残らず拾い集めて
次の唄を口ずさむ ああ、木漏れ日だ 私はまた息を呑む
桜も咲いた三月中旬。学校を卒業し次のステージに胸踊る先輩もいれば、高校という場所に期待も不安も持つ新たな後輩もいるなか、
1年から2年に変わるだけの自分は、特に思うことも無く短い春休みを満喫するだけであった。
それでも多少の義務はありまして、いつも通りの音楽を聴きながらいつもより空いている電車に乗っていた。
車内は外の陽気と比例して家族やカップルが多く見えたが、それは男の子特有の僻みかもしれない。だが制服の自分が車内で浮いている気がするという閉塞感が僻みを加速させたのは間違いない。
そんな車内でも、いつも通りに感じることがある。
ドア付近に立って外を眺めている女の子だ。学校がある日だと同じ時刻の電車によく乗っているので顔はよく知っている。もちろん話すことも無ければ名前もクラスも知らない。同じ学校の制服を着てなければ記憶にも残らないだろう。流石に約1年も一緒の電車に乗っていれば顔ぐらいは覚えるものだが、
だが、今日はいつもとは違う。丁度、車内から桜並木が見えたのだ。外を彩るやや薄めのピンクが視界を埋める。思わず視線を上げたのだが思わず魅了された。
窓の外の桜を眺めにこやかに笑う君。髪を耳にかけたのでイヤホンで何かを聴いているのが分かる。少し頬が赤く見えるのは桜のせいだろうか。
綺麗だった。背景と相まってとても美しく見えたのだ。
その日から女の子に縁遠い自分が彼女を目で追うようになってしまった。
気持ち悪いと思われたくないのでそっと見るだけではあるが、
僕の初恋が始まった。
『春爛漫』
春爛漫とは春に咲く花で明るく満ちているとか輝いていると言う意味らしい。
『なあ?ジン』
「何だ?」
『うちってさ…一応秘密組織でさ。悪いことしまくりなのにさ』
目の前には大きな桜の木。満開に咲き誇る姿に素直に綺麗だと思うが周りには黒ずくめの服に身を包んだ者ばかり。
『全員集めて飲み会とかしてんの?』
「いきなりボスが全員出席で花見をしろと言ってきたんだ。ボスの考えは分からん」
『あーボスって本当に意味不明だなー』
リュウガはため息を吐いた。とその時
『うお⁉️』
リュウガはいきなり背後から抱き締められて驚いた。背中にぶるんと柔らかい物が当たる。
「せっかくのお花見に辛気臭いわよ?リュウガ」
『ベルモット❗ちょっと胸が当たりすぎ❗』
ベルモットは顔を真っ赤にして慌てるリュウガに
「あらあら?リュウガは可愛いわね」
『ちょっ❗️ジン助け』
ジンがいる方に目を向けたらジンはすでに居なかった。
(あのやろう…❗️)
「ジンもたまには空気読むのね」
『どんな空気だよ⁉️てか服の中に手を入れようとすんな⁉️』
いつの間にかリュウガの胸に手が入りそうになっていた。
「たまにしか会えないんだから良いじゃない」
『公共の場なんだから止めなさい❗』
ベルモットはリュウガの言葉に仕方無いわねっと止めてリュウガの隣に座り直した。
「じゃあ次は二人っきりで楽しみましょうよ。夜まで」
リュウガはまた顔が赤くなる。ベルモットはリュウガの耳元で囁く。
「今からでも良いのよ」
『…夜まで我慢できるから❗からかうな❗』
「残念」
リュウガはベルモットと付き合っていた。毎回ベルモットに弄られていたが嫌いではなかった。春爛漫には程遠い黒ずくめの宴会だったが桜の下で会うベルモットは本当に綺麗で
『綺麗だな~』
とリュウガは言った。
「本当ね」
ベルモットも桜を見上げて言った。そんなベルモットの肩に手をかけて少し抱き寄せるリュウガ。
『今度は二人でお花見しような』
「…そうね」
ベルモットは嬉しそうに笑う。普段は見せない優しい姿にリュウガの心のなかは春爛漫だった。
終わり
いっせいに咲くから悪い
群れて咲くから悪い
絡まりあって咲くから悪い
とうぜんの顔で咲くから悪い
うつくしぶって咲くから悪い
貴賎なく咲くから悪い
鬱蒼と咲くから悪い
ひとりでも咲くから悪い
あちらにもこちらにも咲くから悪い
かぐわしく咲くから悪い
咲くから虫がたかり
咲くから枯れ落ちるのだ
お前たちは
『春爛漫』
冬から春に変わり、草木も芽吹き始めた。
人間の生活も変わる時期。
でも、変化するなかでも変わらないものはあるわけで。
ん?何かって?
答えは………自分で見つけたまえ!
君を想う気持ちだって、言えるわけないだろ
川沿いの桜並木は見事の一言につきる。両側に満開の桜が咲き誇り、川の表面は桜の花びらで敷き詰められていた。河川敷には桜とは別の春の花、チューリップやマーガレットが植えられて花開いている。色鮮やかながら喧嘩することがない。これが『春爛漫』と言うのだろうか。
桜吹雪が巻き起こり道行く人々の歓声は自然のショーに対して上げられて、花びらのシャワーで視界が桜色に染まっては、はらはらと揺れて落ちていった。
「思ったより風が強いけど、とっても綺麗…!」
パステルカラーのワンピースを着て俺の先を歩いていた君はくるりと振り返る。プリーツスカートが広がったかと思えば体に添って閉じてまるで花びらのようだ。
「昼間の桜もだけど、夜桜も綺麗だよ。桜を見ながら花見酒なんて風流だろうね?」
「それはぜひ飲んでおかないと勿体ないね。夜が待ちきれなくなっちゃう」
ちょっと気の早い君がまた背中を見せて「おつまみは何がいいかな」と呟き近くの桜を見上げていた。
風が一際強く、俺たちの髪を乱した。例えるならぶわわっと下から吹き上げられるような風だ。
「きゃ」
「…!」
君のワンピースは軽やかに見せてくれる反面素材が薄い。案の定スカートはふわりと翻り…かわいい悲鳴をあげて押さえていた。けど反応が遅かった。口笛を吹きそうになったのをこらえる。
「み、見た…?」
「見て…ないよ?」
君の視線に堪えかねて明後日に目が泳いでしまう。桜と色味が合いそうな淡い水色の下着なんて断じて見ていない。ちょっと眼福だとか、風に感謝したとかは…まぁ、あるけど。俺たちの周りに人がいなくて良かったと思っている。「似合ってるよ」と口走りそうになったがそれは帰ってから伝えるとして…。
「これなら気兼ねなく歩けるかな?」
またイタズラな風に遊ばれたら大変だと、ジャケットを君の細い腰に巻き付けた。
桜が日本人は大好きだ。
桜だけ開花予想など天気予報のニュースになるし
入学式や卒業式の頃、桜が式の雰囲気を盛り上げる。
桜は散り際が美しい。儚げで桜の花びらが舞う中、新しい出会いもまるで広告の写真のように鮮明でそこだけが浮かび上がる。
薄桃の桜の木の下ですれ違った君と僕が何か始まりそうな予感がした。
『春爛漫』
春爛漫
春らんまん
はる爛熳
はるらんまん
同じ言葉なのに、漢字の使いかたで印象が異なって見える。
どれも素敵だけど、私は上から2番目がすき。
桜の季節って、なんだがいつも慌ただしくしてたら終わっている気がする。
今年だってもう桜の木に緑が出始めたし。
お花見し忘れたなーって思うけど、春はそれだけじゃない。
チューリップにツツジの花に、一面のタンポポ
春はまだ、始まったばかりだ。
先駆け新芽に 口踊る
包む光りに 肌踊る
色とりどりに 開く花
散る花びらに 濡れる頬
数多の旅の うたかたに
道行き照らす 夢宴
―「春爛漫」―
【春爛漫】
春眠暁を覚えずとはいうけれど
今日は本当に暖かくて
つい居眠りをしてしまっている君。
その横顔と春爛漫の景色が合わさると
まるで1つの絵画のように美しい。
もう少しだけ君の寝顔を見ていたいから
僕は睡魔に抗うことにするよ。
春爛漫
なぜか春爛漫より少し前の季節の方が心が晴れるようだ。雪の季節の終わり、少しずつ春が始まってくるのがなにか嬉しい。もちろん花がはち切れんばかりに咲いてるのも好きだ。もしかしたら春爛漫は春の始まりから花が咲き乱れるところまでが春爛漫なのかもね。
4月3日に新年度の仕事が始まって、最初の日曜日。
雪降る田舎出身の、都会に揉まれて擦れた捻くれ者のアパートに、夜、クール便の荷物が届きました。
送り主は、遠く離れた田舎の実家。ようやく訪れた春を、その恵みを、おすそ分けしたかったのでしょう。
「フキと、フキノトウと、ギョウジャニンニクと?」
東京と故郷の春とでは、季節が1ヶ月以上ズレます。こちらではもう葉桜でも、向こうは今頃春爛漫。
「ユキザサか。食い方よく知らないんだが」
公園にキクザキイチゲが広がり、林道にカタクリが顔を出し、道端でスイセンが咲いて、それらを陽光が照らし温めているのでしょう。
「スミレの砂糖漬け……?」
随分とまた、今年は気取ったものを。
捻くれ者は、荷物の底のタッパーに、見慣れぬ薄紫がじゃんじゃか詰められているのを見つけました。
「『作り過ぎた』って。あのなぁ……」
同封されたカードには、父が趣味の菓子作りを再開したことと、母がそれを真似て砂糖漬けを大量生産中であることが、ほっこりつらつら。
母曰く、緑茶にスミレもなかなかオシャレ、とか。
「ひとりじゃ食いきれない。職場に持っていこう」
チャック付きの透明袋に、乾燥剤と一緒にスミレをザカザカ詰め終えると、捻くれ者は袋を冷蔵庫に、
入れる直前で思い出し、通勤バッグに入れました。
スミレの、砂糖漬けです。常温保存も可能です。
上司に振られた大量の仕事をさばくために、今週は定時で上司の邪魔の入らぬ自宅へ帰って、少し寝た後ずっと仕事仕事仕事でした。
疲れが溜まって、頭がよく働いていないのでしょう。
「今の仕事が終わったら、1日くらい休むか」
寝て、日付が変わって、起きて。
いつも通り、捻くれ者は出勤していきました。
それを待っていたのが例の上司。捻くれ者に大量の仕事を振った、今月からの新係長です。
「お前最近、定時で帰ってばかりだな」
自分の部署の仲間に、砂糖漬けを配ろうとした矢先。
捻くれ者の席に、新係長の後増利がやって来ました。
「そんなに暇ならコレもできるだろう?」
淡々々。言いたいことだけ言い、渡す物だけ渡して、後増利は帰っていきました。
こいつに故郷の春をくれてやるのは心底シャクだ。
捻くれ者は一転、砂糖漬けはソロで対処しようと固く誓いかけましたが、
ふと、向かい側の席に視線をやると、後輩が後増利の背中に小さく歯をむいて、中指を立てておりました。
「手伝う。私今ちょっとフリーだから」
後輩が言いました。
「あのゴマスリクソ上司。イイ気になっちゃって」
これくらい、たまには自分で云々。今に見てろ云々。
ヒソヒソ言いながら、ノートの電源を入れる後輩。
捻くれ者は、こいつにならあの街の、春爛漫の欠片を少し、分けてやっても良いと思いました。
春爛漫…花がどんどん散ってゆく。
ふと手に乗った花びらは少し冷たくて。
死んだんだ…って思った。
ほとんど全員、死んでいた。
だけどお墓みたいな不気味さはなかった。
逆にすごく暖かくて、なんなら私も仲間に入れてもらいたいくらいだ。
けど…私はこんなに綺麗には舞えないんだろうな…。
過呼吸と精神的に追い込まれた3月中旬。
ぼんやりした状態で1日を過ごす3月下旬。
外では春の花が咲き乱れ、生命の息吹きが感じられるようになった。
去年の今頃は桜やルピナス、桃の花も見に行ったっけ。
今年は無理だなと考えてると彼が買い物に行こうと言った。
ここ数日は部屋にこもって外には出ていなかった。
彼の車に乗って助手席で流れる景色を見ていると、満開の桜のトンネルが現れた。
風に舞い上がり、見事な演出をしてくれる。
別に遠出しなくてもご近所で良いものが見れたと私の心も春爛漫になった。
「春爛漫」←お題を書くことにしました。
まだ寒さが残るころ
せっかちな梅が花を咲かせる
それは予期せぬ別れの予兆のように
南から心地よい風が吹き強さを増す
山がポツポツと息吹を吹きはじめ
桜がいっきに咲き乱れはじめる
それは別れの合図のように
様々な花が様々な色をつけて
いよいよ春爛漫を迎えるころ
別れを忘れさせるかのように
慌ただしく新たな出会いを迎える
そしてやがて、みどりが濃くなり
賑やかであつい空が訪れるのでしょう
『春爛漫』
春という季節は、私をどうにも緊張させる。
新生活の始まり、対人関係の構築、期待と不安に包まれる。
テレビの向こうは、桜の開花を騒ぎ、花見を強要した。
人が群れ、宴が催される。ある意味、解放なのだろう。
世界規模で流行した感染症はそれまでの常識を覆した。
「もし、地球でこんなことが起きたら」
パニック映画はフィクションで平時だから楽しめるのだ。
しかしあらゆる状態の人間を等しく残酷に巻き込んだ。
著名人も亡くなった。
再会するのは火葬後というのも衝撃的だった。
制限をかけない方向に変わった。
これも『春』が来たひとつの例なのだろう。
感染症という長い冬を過ごして、待ち望まれた瞬間である。
春爛漫。春に対する好感度が上がったかもしれない。
「桜、すごいね」
桜のあまりの美しさに、語彙力が失われる。
毎年毎年
2人で過ごせることに感謝
もう人生もだいぶ後半で
日々の暮らしが大切です
今年も一緒に桜を楽しめたね
暖かくなって
あなたとの1年をまた迎える
其れがわたしの春爛漫