『日常』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
最近の日常はとてもと言っていいほどに忙しい。
それはそれはとてもだ。
どれほどかといえば睡眠をまともに取ることができないほどだ。それはそれは忙しい。
地球は一日かけて呑気に一周ぐるりとしているというのに、自分の日常といえば目的地から家までを何往復もしている。
つらいぜでも頑張るぜ、彼女のために
いや、日常が忙しすぎて彼女なんていなかったぜ
人に期待してないはずだった。
だからこそ人付き合いは得意だった。
けど、自分が作ってしまったあの子の理想から外れた時、そこには拒絶しか待っていなかった。
人を信じるのが苦手になった。
人は裏でなにをいうか分からないことを学んだ。
同時に、今までの環境が良すぎたことに気付かされた。
ふとした何気ない瞬間が、
当たり前を過ごせる今が、
平穏な日常が、
自分の中で一番の宝物であり、幸せだと思っている。
〜日時〜
日常
君と迎える朝が好きだった。
君と過ごした夜のあと。穏やかで、ささやかで、静かな朝。二人きりの、二人だけの、朝がくる。
パンを焼いて、コーヒーを作って、カーテンを開ければお日様の光が眩しくて。微笑み合いながら、美味しいねって言いながら、朝食を共にする。
君の寝癖を見るのが好きだった。いつもぴょこんとはねているそれが可愛くて、とるのが勿体なかったんだ。
君が出かけるとき、そっと頬に自らの唇を寄せて、反応を見るのが好きだった。いつもしていることなのに、君は決まって赤面するんだ。
あれほどブルーに感じていた朝が、いつの間にかあたたかい色に変わる。君がいるだけで。
君という存在は、きっと私の原動力だ。君がいるからこそ、今の私がある。君が生きているから、私も生きていられる。
君がいなくなってしまったら、私はどう生きればいいんだろう?
そう、ずっと思っていた。考えていた。
君から、離れられなかった。
――だけど、その幸福も不安も、結局は最初のうちだけ。
君を日常の一欠片だと思っていたのが、駄目だった。
大切なものが日常として浸透していくのが、今はすごく怖い。
あれほど大切にしたいと思っていたものでも、当たり前の存在になると、ないがしろにするのが私だから。
君という存在がなくなった今、空っぽの私に価値などない。日常の一欠片がなくなって、すべてが一気に崩れ落ちた。パリン、と音をたてて、その破片が、私に傷をつけていく。
どうしたら、君はまた振り向いてくれる? どうしたら、日常を大切にできる?
今は、ずっと思っている。考えている。
まだ君から、離れられない。
『やっぱり味噌汁は前の女のが美味かった。』
『お前の作る味噌汁は不味い。』
もう、飽き飽きだ。
どうでもいい。どうとでもなれ。
『ぁ、今日の味噌汁は前の女と同じ味がする!
美味いな!最高だ!』
あぁ、そっか。
前の人も飽き飽きしてたのね。
今日の味噌汁に私は、
そしてこれから私は、
味噌汁に少量のヒ素を入れる。
#日常
日常。
そんなものは、すぐ簡単に壊れてゆく。
前までは私の方が愛されていたのに。
前までは、私の方が優先だったのに。
あの子が王族の血筋だって分かった途端、「私たちが大切に育ててきました」なんて、いい顔をする。
こんな日常、すぐ壊れてしまえばいおのに。
元の日常に戻れ、なんて言わないから。
早く戻って、前までの日常に。
私がこんなに願っても、あなた達は変えてくれないものね。
73テーマ【日常】
【日常】
私の日常が私の言葉をぶち壊す。なんでかな、なんでだろ。優しい色でも崩れてく。貴方を奪って私はロンリー。こないだから君が話しかけてこなくなった。貴方は去って君は避ける。私は独り悲しんだ。日常を返して欲しいのに。言い出せないから目で訴える。そんな目で見ないで、なんて。知らないよ。
変わらない景色の中に
キミが登場するだけで
ボクの物語は色を纏う
太陽は燦々とかがやき
鳥は朝の訪れを祝福し
街はゆっくり目を覚す
さあ共に参りましょう
軽く口笛を吹きながら
大切な今日という日を
『日常』
無題
日が陰る
日常
乗り薄まった身体
離れることが怖いのはわたしだ
魂を繋ぐものが紐であるなら
あのとき離した風船はまだ飛んでいるらしい
脈打つ身体をみておもったこと
それは生物
それは現象
それは世界
意思と反して動くシステムは、自分が細胞のひとつであると自覚させる
信じられるものは、地層、テロメア、種
化石にしよう
♯日常
ひどく日差しが照り付ける7月某日。皆が寝静まり、泣く子も黙る丑三つ時。目を閉じて。意識を研ぎ澄まし、耳をすませば、聞こてくる。
「○○。○○ってば!働け、ニート!あの回し車で走るハムスターのように!!」
彼は言った。私をニートだと。視界を開けると、私の顔の前5cmほどの位置に、半透明の和服美青年(個人差あり)が眉を釣り上げて睨んでいた。てやんでい、一体全体なんで私が、こんな得体の知れない空中浮遊美青年に働けなんて言われなきゃならんのだ。あぁ、私の愛ハム「キャベツ太郎」と人間社会を一応生きながらえている神(私)を比べられるだなんて。ひどいヤツもいるもんだ。彼は、半透明の体を泳ぐようにくるりと一回転させて、私の右耳に顔を寄せ語りかけてくる。
「○○。君がいないと僕の力は元に戻らない。今日だってこんなに力が足りないんだ。見て。」
そう言って、彼は私の頬に口付けるとポンッと大きな破裂音が聞こえ、彼の姿は白煙で見えなくなってしまった。そして、煙の中から現れたのは、あらまあ。可愛らしい、「お狐様」ではありませんか。かわいいの権化、しかしこのお狐様は普通の狐とはいろいろ違う。まず、全身真っ白のポメラニアンのような毛並みをしていて丸っこい。毛玉族であろう、そのフォルムはキャベツ太郎と並ぶほど愛らしくて撫でる手を止められない。お狐様は、小型犬サイズのぬいぐるみのような軽さなので、抱き心地もバツグン。よき眠りの友になるのである!
「こら!!○○!僕を抱き枕にしないで!仕事しろニート!」
痛たたたた、顔面パンチヤメテ下さい。一応美少女を生業としてやらせてもろてる私の取り柄奪わないでいただきたい(自称)。お狐様は、光沢感のある毛並みをふぁさふぁさとなびかせながら、しっぽをフリフリしている。なんだかんだ撫でると喜ぶんだよ、このワンコ。だがしかし、そろそろ癒しの時間はおしまいにして、真面目なお仕事の時間だろう。カーテンの隙間から差し込む窓の外の光が、赤黒く私の部屋を照らしている。私は、お狐様の頭をいい子いい子しながら、仕事の話の続きを促した。
こんな私の平和な「日常」は、いつの間にか「奇跡」に等しいものになっていたのだと。あの日の私は知る由もなかった。
-日常-
起きて働いて食べて寝てまた起きる
変わりのない日常はいつしかルーティーンになる
環境が変われば慣れない場所でルーティーンは変わる
でも基本的な動作は変わらず過ごしていく
そんな当たり前のように過ごす日常を
環境によっては当たり前の日常が出来ない人がいる
なんの変哲のない日常が羨ましいと
居場所という安全安心な場所が羨ましいと
裕福で生活できる環境が羨ましいと、思う人もいるかもしれない
だからこそ変わりのない日常を、大切に謳歌して過ごすのだ
私の日常は先生と話すこと。
毎朝授業が始まるまでずっとずっと。
授業開始のチャイムが鳴って、2人で話す時間はおしまい。
10分休憩に会いに行こうとしても
お昼休みに会いに行こうとしても
人気者のあの人の近くはあかない。
目の前の特等席は私だけのものじゃない。
だけど、たまに、次の休み時間においでって
先生から約束を作ってくれる。
単純な私はそれだけで嬉しくってこの日常が
ずっとずっと続いたらいいのにって思う。
卒業までの長いようで短い残りの数ヶ月
あと何回特等席に座れるかな。
久しぶりに外に出た。
この日常になっている引き籠もり生活を脱するべく、服を買いに行こうと思って。
Amazonとかネットで買っても良かったんだけど、なんとなくショッピングモールに行く気になったから。
こんなこと考えるなんて僕らしくないけど、たまには行ってやってもいい。(何様だ僕…)
電車を乗り継ぎ、やっと着いた店はキラキラ眩しくて別世界みたいだった。
何から選べばいいのか分からなくて、おどおどしている僕に、
「お客様、こちらの靴なんかお似合いですよ!」
なんて、
本音かどうかなんて見分けがつかない僕にとって、それはまさしく褒め言葉だった。
「あっ、えっ、ありがとうございます…?」
とか言ってる間にマネキンが着ている服を勧められ、人生で初めてマネキン買いをしていた。
始終戸惑っていたけど、店を出る時、
「どうぞ素敵な日常を!」
って言われて、ハッとした。
もしかすると店員は僕の考えてる事全部分かってたのかもしれない。
この服を着て出掛けるようになる日常が来る。そう考えると、勇気をだして来てよかったと思えた。
6:30 起床
7:12 出発
7:26 電車に乗車
8:26 下車
8:32 バスに乗車
8:43 下車
8:55 学校着
9:30 授業開始
17:00 学校終了
ここまでが私の日常。
ここからは私が決められる非日常。
自分が主役だと思い込む、そんな家に帰るまでの約2時間。
少し在り来りなことを言う。
日常は意外と簡単に、非日常になり得る。
本当に、些細なことで変わるのだ。
それを忘れてはいけない。絶対に、絶対にだ。
「日常」
「個人的にさ。『連載は日常ネタ職場ネタとかが長く続けやすい』と思ってたのよ。生活してるだけでゴロゴロその辺にネタが転がってると思ってたから」
3月11日のお題が「平穏な日常」だったわ。某所在住物書きは過去の投稿を辿り、当時を懐かしんだ。
「実際書いてみるとほぼ砂金探しなのな。
生活して仕事して、その中にハナシのネタは川の砂ほど有るんだろうけど、じゃあ、実際にネタの砂をふるいにかけて、そこに『コレ投稿したい!』と納得できるハナシの砂金は、何粒残りますか、っていう。
なんなら、眼の前に明確に書ける砂金が有っても、絶対何割か見落としちゃってますよねっていう」
まぁ、だからなに、ってハナシだがな。「多分それお前だけだよ」って言われても反論できねぇし。
物書きはため息を吐き、天井を見上げる。
――――――
今日も、ようやく仕事が終わった。
自分のルーチン片付けて、上司に決裁だのお伺いだのたてて、新しい厄介事もといお仕事割り振られてそれ片付けて。その間に休憩で、お弁当食べたりして。
あと◯ヶ月で△のノルマ捌けってさ、って愚痴る。
それが私達の仕事。私達の日常。
なお面倒な仕事を平気で部下にガンガン押し付けて、自分は楽な作業だけしてる上司は全員滅べばいいと思う(※個人の感想です)
仕事が終わったら、職場の先輩と一緒にマッケに寄って、今週あと1日頑張りましょうのご褒美にマッケシェイクのバニラとストロベリーを、Sサイズで。
ネット情報だ。マッケシェイクは、Mを1個買うより、Sを2個買う方がお得らしい。
ホントかどうかは分からない。
「これからもさぁ。ずっと、続くのかな」
ちゅーちゅーちゅー。先輩の糖質量チェックの視線を感じつつ、でも飲みたいものは飲みたいので、まずストロベリーのシェイクから。
「春にノルマ来て1年でさばいて疲れて、その間クソ上司にこき使われて、また春が来て……って。
それが、ずっとずっと、日常に、なっちゃうのかな」
「この職に就いている間は、そうだろうさ」
なにを今更分かりきったことを。そう付け足す先輩は、プレミアムコーヒーのブラック。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、いつも感情ほぼ平坦な先輩の機嫌が今日は良い。昨日数年ぶりに甚平を新調して、それをすごく気に入ったからだって。
「嫌なら転職した方が良い。合わない仕事を無理矢理続けて、それが恒常化して、ストレスを溜め込み過ぎては、事実として心にも脳にも、すごく悪い」
つらつらつら。海馬が云々、血中コレステロールが云々、先輩は相変わらず、難しいことを解説するけど、そのすべてが相変わらず、なんていうか、他人事だった。
クソ係長に仕事振られて、疲れてるのは、先輩も一緒なのに。ストレスかかってるのは先輩も一緒なのに。
いつも先輩のアドバイスは、私ひとりだけに向けた表情で、言葉で、抑揚だ。
これも、ずっと、日常であり続けるのかな。
「不服そうな顔だ。どうした」
「べっつにー。なんでもないでーす」
ちゅーちゅーちゅー。ごろごろごろ。
ストロベリーシェイクをスッカラカンに飲み終えて、間髪入れずバニラに口をつける私を、先輩は少し不安そうな目でチラ見した。
その後バツの悪そうな顔で視線を外したけど、多分、自分が何か悪いこと言っただろうかって考え中なんだと思う。
『日常』
最近毎日学校が楽しい
好きな人に会えるのが幸せかも
蝶々結び
「幼なじみの男の子と距離近すぎない?いつか彼にも彼女ができるんだろうし邪魔しちゃダメよ」
その“彼女”というのはあなたの息子ですよと言ったら母はどんな顔をするだろうか。
まだまだ同性愛に対しての偏見が強いこの国で僕たちが手を繋いで歩くことは難しかった。
幼稚園の時からずっと一緒の彼に対する恋心を自覚したのは小学生の時だった。彼はかっこよくて性格もいいからもてる。彼女が出来たという報告をきく度にベットに潜ってひとり泣いた。
感情を抑えきれなくなり、泣きながら伝えて縁を切ろうとしたら向こうも同じ気持ちでいてくれていることを知った。友達がパートナーになったけれど四六時中一緒なのは変わらなかった。それなのに、母親の感というのはなんと鋭いものなのだろう。
問い詰められて言わざるを得なかった。異端視されるのは覚悟していたけれど実際にされるのは辛かった。
「好きなら相手の子の幸せを願いなさい。」
そう言われてはっとした。何となく避けるようになった。学校も部活も一緒だから話しかけてくれるけれど、そうするしかなくて辛かった。けれど相手はその方が幸せになれると思ったから別れる決心をした。
家を5時に出る。少し早めにグラウンドについて体を温める。今日の放課後言おうと思って緊張して寝付けなかったからか、体がなかなか温まらない。
寒い。震えが止まらない。寒さからだろうか、きっとそうだと信じたい。彼が隣にいてくれなくて自分はこれからどうしたらいいんだろう。そんなことを考えてしまって気が落ち込んだ。イヤフォンからは一緒によく聞いていた曲が流れて楽しくて幸せな日々を思い出してしまって、いつの間にか地面に小さな池が出来上がっていた。
「おはよう」
はっと顔を上げると、大好きな人がいた。
「泣いてるの?」
そう言って涙を拭ってくれるから余計に止まらない
もう触れないでって思わなければいけないのに、優しい手つきが嬉しいとしか思えなかった。
「あのね、別れよう」
「どうして」
「幸せになれないよ、同性婚は認められてないし子供も作れない。子供大好きなの知ってるよ。それに周りから気持ち悪がられる。この後もこういうの続くって考えると耐えられないんだ」
「靴紐、解けてる。」
僕が放った言葉に触れることなく彼はしゃがみ込んだ。
いつも解けてしまう靴紐を結んで?と頼むと結んでくれた、それもこれで最後なんだ
自分から別れを切り出したくせに哀しくて仕方がなかった。別れて、女の子と前みたいに付き合っていつか結婚して子を成すのだろうか。
どうして男に産まれてきてしまったんだろう、
どうして出逢ってしまったんだろう
どうして、好きになってしまったんだろう。
「解けても何度でも何回でも結び直すよ。不器用だけど綺麗な蝶々結びになるように。」
いつも一緒に聴いている曲だった。
「一緒にいたい。周りから認められなくてもいい。隣にいてくれることが何よりの幸せだから。ずっと結ばせて欲しい。」
起きたお日様の光を浴びて輝く蝶々は、今までの蝶々の中でも1番綺麗でゆっくりと羽を休めた。
「また結んでくれる?」
そう尋ねると優しく微笑みながら頷いてくれた。
#日常
どれが好き?と聞かれたからあれが好き、これが好きと答える。
だけど、私の好きは他の人にとってはおかしいものらしく、意味わからない。気持ち悪い。どういう趣味してるの?と否定の嵐。
それなら聞かなければいいのに。とは思うけどきっとそれで自分の鬱憤を晴らしているのかと思うと少し哀れに思える。
けどね、毎日毎日否定ばかりされては私だって疲れるの。
だから決めたよ。私はもうここから居なくなる。
遺書を用意して、住んでる地区の中で一番背の高いビルに登る。
ビルの屋上で靴を脱ぎ、遺書を置き、フェンスを越える。
さぁ、最期は誰にも否定はさせない。
自分の運命は自分で決めるんだ!
――バイバイ今世。こんにちは来世。
題名日常
日常はだれもが当たり前だと思っているものだと思う
だけどそれも突然と崩れるものだとも思う
みんなは日常はどんなものだと思う?
「こんにちは。」
学校からの帰り道、ガードレールのそばを歩いていると、男に突然声をかけられた。
「少しお時間よろしいですか。」
その男は、流暢な日本語を話すが、背が高く、整った顔立ちをしていて、金色の髪に褐色の肌、マリンブルーの瞳と、まるで異国の王子のような容貌であった。
その姿は、私にとって、このありふれた世界に、あまりにも浮いた存在に見えた。