『日差し』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『日差し』
窓越しに差してくる日差しは眩しすぎて
目を瞑った。
貴方の笑顔も太陽の日差しのようにとても眩しくて
輝いていて
私にとって太陽みたいな存在
あれは日差しの眩しい日だったと思う。
なんでか扇風機の前でゴロゴロしては、「暑い」なんて呟いてた。
暑いというか、正確には蒸し暑い。
蒸し蒸しした空気が肌を撫でるかのようにまとわりつく。
……気持ち悪い。
なんでこんなにも汗が出るんだろう。
こんなにも、動きたくなくなるのだろう。
無に還る、というのはこの事か?
何も考える気も起きない。だが、この私は学生の身だ。
つくづくまとわりつく汗のせいで、宿題の用紙も腕にくっついた。
正直まともになんかやってらんない。
でもやらなきゃ。
そんなことを考える土曜日の午後だった。
お題︰日差し
「あっづい……こんなクソ暑い中歩いてられっか」
悪態をついたとて日陰が現れるわけもなく、ただ延々と伸び続ける道をひたすら歩かなければならない。日光を反射する砂道と原っぱが目に痛い。通り過ぎていく自転車のタイヤがジャリジャリと砂を擦っていく音はどこか緩慢に聞こえるし、葉擦れの音だって妙にじっとりして聞こえる。空気すら汗をかいていそうだ。
「はー……空気は汗かかん、何考えてんだろ」
どうやらバカみたいに暑い日差しのせいで脳がやられているらしい。取り留めのないことばかりだらだら考えてしまう。日傘が欲しい、水分が欲しい、グラギラする、確実に熱中症だ。
夏の田舎はいい、なんてのはイメージで、軽く涼めるような場所が道端にない地獄だ。家にたどり着くまでずっとこの暑さに晒されなければならない。いや、いや、それもこれも日傘を忘れた不運を恨むべし、なのだろう。
「だめだ、あちぃ」
しゃがみこんでしまいたくなるのを我慢して次の電柱まで歩く、そしてさらに次の電柱まで歩く、を繰り返す。
丁度中間地点に当たる木造の建物が見えてきた。今はもう閉店しているが昔そこは駄菓子屋だった。よく折るタイプのアイスを買って食べていたのを覚えている。あれ、確か呼び方が地域によって違うらしい。チューチュー、チューペット、ポッキンアイス等々。
「懐かしいなぁ」
友達とはんぶんこして、ふざけ合いながらまた帰路を辿って。随分昔のことだ、時折懐かしくて泣いてしまいたくなるほど昔。
そう思った途端「やはり帰ってきてよかった」という感情がふっと湧いて出てきた。勢いのまま家を飛び出して、二度とこんなところ帰ってくるもんかとろくに帰りもせず……そうだ、過去の自分すらここに見捨ててきてしまった。そういう表現が正しい気がする。
駄菓子屋のベンチで一休みしたらもう一度歩こう。相変わらず鬱陶しいほど周りの音はじっとりして聞こえるし、バカみたいに晴れていて日差しはキツイ。だが不思議と嫌じゃなくなっていた。
今日は日差しが眩しい日だ
Twitterが直ったからだ
数時間後に大雨が降った
【日差し】
飲み込んでみたくて
大きく口を開けてみた
その熱はゆるかやかに喉を超えて
わたしの身体を包み込む
いま、生きているという証は
自然のちからによって
より濃く深く、刻まれてゆくのかな
そして、コーヒーの水面に
うつるあなたを
もう一度飲み込んだ
#日差し
その日は少し眩しかった
窓から差す太陽が
私には少し眩しかった…
しかし、怖くはなかった
日中の明るさの中に見る光など
少し眩いぐらいだ
明日には今日の光など忘れているだろう
でも私は知っている
暗闇の中に差す光の恐ろしさを
差し出された手を掴む恐怖を
あなたに会えない明日を迎える
なにかの痛みを
目に痛いほどの光が風が吹くたびにキラキラと降り注ぐ。どこまでも青く広がる空と緑のコントラストが美しく目を細める。こんなにも広い世界でどこに行っても馴染めない。毎日なんとか胸を張って歩いているが後ろから押されれば崩れてしまいそうなほど自分でも限界を感じている。昼休みのこの時間だけが唯一の気の抜ける時間だ。このまま空に溶けてしまえたらどんなに楽だろう。願いも虚しく重力に縛られどこにも行けない。あぁ、苦しい。苦しいけれど命は続く。きっとどこかに私と同じ人がいるはずだ。同じ貴方へ、今日も一緒に一日をやり過ごそう。きっといつか貴方も私も、幸せになれるから。ただただ今はやり過ごそう。
宙の見物人
病院のA部屋から
自分の体温で心地よくなっているけれど、少し湿っている布団の中で夢をみる。
私は強い日差しに照らされて、目を閉じている。足元を流れる冷たい水を体で感じて揺れている。今にも羽が生えてきそうな気分だ。このままこうしていると反射する光に紛れてしまいそう。
古代エジプトから
私は今小舟に乗って揺られている。太陽がさんさんとしている。観衆からの歓声が聞こえる。周りのごてごてしい花の香りはとても良いし、たまに足に跳ねる水滴も心地よい。だからこのまま灼熱の光にこの身が紛れてしまえばいいのに。このまま自然と共に、誰にも汚されないまま永い眠りについてしまいたい。私は今から生贄となる。
【日差し】
あぁ、眩しい。目の奥が鈍く痛む。真っ直ぐ前を向くことすら苦痛だというのに、視線を落とせばコンクリートから反射する光に目を焼かれる。どうして夏というものはこうも私に厳しいのだろう。肌をじりじり焦がすかのような感覚は耐え難いし、覆ってしまえばこもった熱で逆上せる。
やっとのことで自宅の戸を開け、上手く色彩を捉えられない視界を瞬かせて汗を拭った。空気が心地好く冷えている、ということは。思考を巡らせたところへ、奥から慌ただしい足音と明るい声が耳に届く。
勢い良く姿を現した彼女は満面の笑顔で私を迎えた。その眩しさに面食らった私から鞄を奪い取り、麦茶が冷えていると伝えて彼女は去っていく。こうも甲斐甲斐しく世話を焼かれては、一日の苦労も報われるというものだ。
麦茶で熱を収める私をどこか満足気に眺める彼女は、相変わらず夏が似合う。日差しを受けても、弱るどころか輝いて見えるし、もはや彼女の視線が日差しに等しいような気すらしてくる。真っ直ぐ見つめると眩しく、しかし本物よりずっと柔らかく優しい。だから私は、彼女に似たこの季節を嫌いになれない。
『日差し』
日差しが強い。
私の目はお得意の笑っていない糸目になった。
同時にいつもはつり上がりぎみの眉は平行に。
ぎりぎり足元が見える視界。
私はこの糸目をして鏡を見ているとき、私平行眉が似合う、と毎回思う。
はあ、爪が長い。早く切れ。今週だけで何回そう思ったことか。
自分の部屋に爪切り常備しておこうかな。
どうせやらないか。
目覚まし時計をセットした。
時計はベッドから立たないとリセットできない距離の棚に置いた。
別に一度立ってからまた寝ることはできてしまうんだけども私。
なんかさっきから自分のやっている行動の意義をことごとく否定してないか?
てかなんだよこの話、ただの本物の日常かよ。
なんだよもう。
早よ寝ろ。
完
日差しより、日差しでできた影が好きです
でも影は日差しがないと生まれない
だから日差しも好き
/日差し
まだ七月に入ったばかりなのに
もうカーテンを開けるのを躊躇う
暑さも紫外線もお引き取り願いたい
夏は薄暗く過ごしたい
#日差し
私は日差しの差し込む図書館が嫌いだ。
モダンなデザインだとか、写真映えだとか、色々と理由をつけて大きな窓のある図書館を作ろうとする風潮があるが、私はそれが許せない。この世の人たちはインクの褪色する一番の原因を知らないのだろうか。閲覧室だけならまだしも、書架の部屋にまで窓を設置するのは、書物への冒涜としか思えない。
そもそも図書館は古代ギリシャ時代に書物を書き、保管する場所として生まれた。書物という形をとった知識を溜める場であって、利用する場ではなかった。こうして図書館の中で本を読めること自体、人類社会の進歩がもたらした貴重な恩恵だというのに。図書館の根幹をなす書物を破壊する一番の原因を自ら招き入れるとは何事か。カメラのフラッシュだってインクを褪色させる原因なのに、写真撮影を推奨するような宣伝をするのはなぜなのか。理解に苦しむ。
だから私はこの空間が好きだ。3階建ての図書館の2階。専門書や専門誌のアーカイブが中心の、滅多に人が立ち寄らないこの部屋に窓は一つもない。LEDライトが控えめに照らす申し訳程度の閲覧スペース。人が立ち入らない限り照明がつかない書架。換気扇の音以外は聞こえない、ページを捲る音すら響くような静けさ。この書物を第一に考えた空間に来ると、私の心は高揚する。図書館の主は書物だ。読者は客に過ぎない。図書館の厳粛な雰囲気に支配されるのは快い。
幸せな時間は唐突に終わりを告げた。
こぽん、こぽん、と特徴的な足音が聞こえる。この靴音は、と思わず眉間に皺が寄る。
「ねーえ」
想像通りの人物がドア枠からニュッと顔を覗かせていた。同学部の、真面目なのか不真面目なのかわからない、ふざけた奴。その革のブーツは足音がうるさいからやめた方が良いと何度も言っているのに、聞く耳を持たない。
「また潜ってるの?」
「潜ってるよ。いつでもね」
「いい本あった?」
「ここにある本はどれも面白いけど」
「いっつもそれ言うよね」
「私の邪魔する暇あったらさっさと課題やれば?どうせ3階窓際のボックス席を占領しているんでしょ」
「正解。さっきまで昼寝してた。良い感じに日差しが差し込んできて眠いのなんの……来る?」
仏頂面の話題とは対照的に、人懐こくニヤニヤと笑って奴は言った。
「行かない。用がないならどっか行って。読書の邪魔なの」
「用あるよ。聞いたじゃん、『いい本あった?』って」
「そんなこと言われても。ジャンルは?」
「労働経済学、賃金」
「331.6の『貨幣と賃労働の再定義―異端派マルクス経済学の系譜』は良かった。さほど古くない本だから3階にあってもおかしくないけど、読む人いないからここの書架にあるんだろうね」
「古くないって何年?」
「2010年」
「いや、十分古いって」
「21世紀じゃん」
「基準そこ?」
まぁいいや、と奴は靴をこぽこぽ言わせながら私の横を通って、書架へと消える。パチッ、パチッと書架の右半分、奥行きの半分くらいまで明かりが付いたのを見届けて、私は読みかけの本に視線を落とした。
視界の左側、一番手前の電灯が消えて暗くなった。
(まだ探してるの?)
思わず私は視線を上げて、書架に目を向ける。一向に足音は聞こえない。分類番号も教えてあげているのに、どうしたらこんなに手間取るのだろうか。
目の休憩がてら、頬杖をついてぼんやりと書架の奥を照らす光を眺めていると、やっとこぽこぽと特徴的な足音が聞こえた。視線を本へ戻す。十数秒後、再び視界の左側が明るくなった。
「めっちゃ探した……」
「どうしてそんなに探すのが下手なのかわからない」
「だってめっちゃ下にあったもん。一番下!屈まないと見えないって」
「で、なんで向かいに座るの?」
「ここで読む。3階に帰ってこの本開いたら寝る自信ある」
「パソコンとか財布、盗まれても知らないよ」
「財布はポケットの中出し、パソコンは誰も盗まないでしょ。未だWindows7だよ?」
「世間ならまだ20%くらいシェアあるけど」
「いやいや、大学生相手ならゼロでしょ」
どうやら、3階に戻る気はないらしい。一応真面目に読む気はあるらしく、奴はニヤニヤ笑いを引っ込めてページを捲り始めた。こう振る舞われては仕方がない。私はこの空間の主ではない。主は書物だ。そして、書物は知識を求めるものを拒まない。
私は一つ息を吐いて、本に目を落とした。静けさに換気扇の音と、もう一人分のページを捲る音が加わった。
いつも浴びてる眩い光がいつか消えるかもしれない
そんなことを思ったのはいつからだろう
ただこの日常から逃げ出したくて、辛くて
現実から背を向ける
私の目の前は真っ暗闇だ
もう私は日に照らされることは無いだろうか
でもあなたに会ったから
暗闇から眩い光に包まれる
そんなあなたに会えてよかった
ありがとう
【日差し】#16
薄明光線。俗に「天使のはしご」とも呼ばれる現象。雲の隙間から流れ出る日光が、美しく見える現象。
わたしはこの現象が好きだ。小学生の頃、友達と遊んでさあ帰ろうか、というときに丘の上から見たのを覚えている。幼き心なりに、綺麗だなあと感じた。
最近は、それくらいの時間に外にいることが少ない。だからか、久しぶりに見た時に、ひどく懐かしい気持ちに包まれた。
#日差し
強い日差しに照られて手をかざす。足は冷たい水に浸してある。今日は生きているんだなぁと頬にガラスの粒がほろり。
日差しとは、暖かく眩しいものである。
日の温もりも感じることができ、眩しさから心も温まる。
綺麗なキミの ながい指
ふっと 現れ
「 眩しいね 」
愛しさが ひろがる
太陽のように
* 日差し *
窓を抜けて照りつける日差しを遮る為に、分厚い遮光カーテンを引く。途端に部屋は薄暗くなるが、俺には此れが一番居心地が良い。外は如何にも暑そうで、引き篭る事に慣れてしまった身体には毒の様なのだろう。
のそりのそりと布団に包まると、欠伸が一つ。漸く眠気が来たらしい。昨晩は、病院から処方された半錠の睡眠導入剤を飲み下しても全く眠れず、暫く布団の中で携帯端末を弄っていたが、そのうち諦めて適当にパンなど食べながら本を読んだ。薄い文庫本だったので2時間か其処らで読み終わってしまい、その後は少しばかりゲームをして、飽きて、今度は座椅子の上で携帯端末を眺めた。特に何が見たいと云う訳でも無く、只々呟きを親指の腹で流し続け、そうして気が付いたら昼前になっていた。
俺には仕事が無い。と云うより、自ら辞めてしまったのだ。特段ブラックだとか、人間関係のいざこざがあった訳では無い。安月給ではあったしグレーな部分はあったが、それなりに良い職場だった様に思う。では何故か?簡単に言えば、疲れてしまったのである。
俺は、四半世紀と数年ばかり生きてきたが、人とは少しばかり違うらしい。幾分か疲れやすく、ストレスに弱く、暑さ寒さや湿気にも弱い。病気では無いが、如何にも所謂「普通」の人間と云う奴の生活が、些か難しい様で。それなりに仕事も出来、怒られる事は滅多に無く、忘れ物や遅刻も殆ど無い。けれど、如何してか生き辛いのだ。いっそ何か大きな病気だったり、障害があれば……と思うが、当人からすれば楽では無いだろうから、そんな考えに至る自分に嫌気がさす。
死にたいなどと思った事は無い。然し、毎日寝付きが悪くて、眠れなくて困る。鬱では無いし、パニックも無い。けれども何故か、夜になると身体の中がぐるぐると渦巻いて、冷たくなる様な感じがしたりしていけない。「普通」とは何だろう。自分を守る為に仕事を辞め、無為に時間を過ごす俺は、逃げたのだろうか?甘えているのだろうか?それとも?
嗚呼、瞼が重い。また厭な考えが脳味噌を掻き回す前に、寝てしまおう。此の眠気に身を任せて、沈みきってしまおう。
コップの水を一口飲んで、俺は目を閉じる。カーテンの隙間から差す日も、直ぐに気にならなくなった。
【日差し】
目が痛くなるような日差し。
日焼け止め塗らなきゃ。
日焼けしないようにパーカー着なきゃ。
ツバの広い帽子をかぶり、日傘をさして外へ。
サングラスも忘れてた。
今年の夏は日焼けしませんように。