ガルシア

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 あぁ、眩しい。目の奥が鈍く痛む。真っ直ぐ前を向くことすら苦痛だというのに、視線を落とせばコンクリートから反射する光に目を焼かれる。どうして夏というものはこうも私に厳しいのだろう。肌をじりじり焦がすかのような感覚は耐え難いし、覆ってしまえばこもった熱で逆上せる。
 やっとのことで自宅の戸を開け、上手く色彩を捉えられない視界を瞬かせて汗を拭った。空気が心地好く冷えている、ということは。思考を巡らせたところへ、奥から慌ただしい足音と明るい声が耳に届く。
 勢い良く姿を現した彼女は満面の笑顔で私を迎えた。その眩しさに面食らった私から鞄を奪い取り、麦茶が冷えていると伝えて彼女は去っていく。こうも甲斐甲斐しく世話を焼かれては、一日の苦労も報われるというものだ。
 麦茶で熱を収める私をどこか満足気に眺める彼女は、相変わらず夏が似合う。日差しを受けても、弱るどころか輝いて見えるし、もはや彼女の視線が日差しに等しいような気すらしてくる。真っ直ぐ見つめると眩しく、しかし本物よりずっと柔らかく優しい。だから私は、彼女に似たこの季節を嫌いになれない。


『日差し』

7/2/2023, 4:36:58 PM