『放課後』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
放課後は楽しい。
中学生の頃、僕は帰宅部で、徒歩通学出来る距離に住んでいた。それでいてぼっちで、静かな場所ほど心地好いものを知らなかったものだから、放課後は、誰もいない教室で黙々となにかをしていた。
例えば普段は手を着けないような小難しい本を読んでみたり、音楽を聴いてみたり、授業の復習をしてみたり、頭に浮かんだシーンを書き連ねて、執筆みたいなことをしてみたり。
そんなちっぽけな日々が楽しくて、大好きで。そのためだけに苦い学校生活を乗り越えていた。
放課後は、一人静かに教室で過ごす。
それ以上に楽しいものはないのだ。
──うん。
高校に入るまではそう、本気で思ってたんだけどね。
「おいっ、今絵の具飛ばしたの誰だ!?」
「そっち段ボール足りてる?」
「それよかペン欲しい、ペン」
「アッハッハッハッハ! ゲホッ、ウハハッ……」
文化祭まで残り一週間。大詰めの時期である。
そこに静かな空間はなく、ガヤガヤと騒ぎながら作業を進める同級生たちの姿があった。
まあ、うん。なんだろうね。
昔はこういう雰囲気がすごく苦手だったけれど、今なら、こういうのも悪くないと思える自分に心底驚いてるよ。
「なあ佐藤ぉ、暇なら手伝ってくれよ~」
「暇じゃないっての! 仕方ないなぁ」
「よっしゃ! こっちこっち!」
うーん、世の中不思議なことだらけだなぁ。
▶放課後 #27
人生の放課後。
人生の授業は苦しい
今日の授業は愛の授業で
あなたは泣き止まない
あなたとまた友達に戻れたら
音楽室で合唱して
休みの日はみんなでユニバに
行けたら
あなたは泣き止むだろうか
私はあなたに何度も泣かされて
今回ばかりはあなたが泣いて
人生の授業
タイミングの合わない私たち
私があなたに振り向いてほしい時
あなたは私を無視して
あなたが私に縋り付く時
私は逃げ出して
人生の放課後に
自分のために焼き芋買って帰るの。
開放された気分の放課後
僕達はまさに
旧い地球の放課後を
体験しようとしている
〜放課後〜
放課後はすべてがどうでもよくなる
大嫌いなあれこれから解放されて自由を感じるからだ
学校を後にしてすぐ側にある秘密の場所へ足を運んだ
そこにはこっそり集めた大切なガラクタたちで溢れている
ぼろくてどこかが欠けたりしているお気に入り達
辛い日には家に帰らずしばらくそれを眺めて過ごした
家でも学校でもない誰も知らない自由な居場所
自分だけの秘密基地 感情たちの解放区
それが自分の拠り所だった
もしこの場所が無くなったら自分はどうなるんだろう…
その無意識によって魔が差した
気がついたら基地へ火を放っていた
積み上がっている何もかもが不揃いな本が燃え上がる
誕生日に貰ったぬいぐるみも炎に包まれていく
家族からのもの 友達からのもの あの人からのもの
記憶の染み付いた物たちがすべてが灰に変わっていく
なんとなく気に入って今日拾ってきたライター
そんなつまらないものがすべてを終わらせた
放火後はすべてがどうでもよくなる
大好きなあれこれから解放されて自由を感じるからだ
解放区からの解放
自由になれたはずの心は辺りを舞う灰と同じ色をしていた
なんか物足りない時に行った、駅前のクレープ屋さん。
真夏の暑い日に楽しんだ、河川敷。
悲しくて一人になりたい時に行った公園。
一つ一つの場所が、私の放課後を彩った。
どれもが大切な思い出。
今はそれを胸に、自分は社会人として生きている。
〜放課後〜
あれ。どうしたの?
そんなところに突っ立って。
ああ、もしかして先輩と待ち合わせ?
委員会、さっき終わったから、たぶん、もうすぐ来るよ。
うん、行っても大丈夫だと思う。
誰かいても副委員長くらいじゃないかな。
あ、うん、またね。
また明日。
嬉しそうに微笑んで私の隣を横切っていった彼女を、私は何とも言えない気持ちで見送った。
【放課後】
「今日の放課後デートしない?」
目と耳と頭を疑った。すぐに自分の後ろを確認するがそこには誰もいなかった。
「ちょっと。人の話聞いてる?」
「え、あ、うん」
どうやら、聞き間違いでも人違いでもないらしい。彼女は僕に話しかけている。その綺麗な両眼の中に阿呆面よろしい僕が映っている。これは夢なんかじゃないんだ。僕と。この子が。デート。in放課後。あれ、この場合はofか?atだったか?英語はあまり得意じゃないから自信がないや。
って。
そうじゃなくて。
「あのさ、……本気なの?嘘じゃなくて?」
「何が?」
「その、放課後にデートしようって話」
「だからそうだって言ってんじゃん」
あんた耳ついてんの、って、いつもの毒舌を僕に浴びせてくる。良かった、いつもの彼女だ。やっぱりこれは夢ではない。
「じゃ、そゆことだから。放課後昇降口で待ってて」
「う、うん」
「良かったぁ」
良かったのはこっちのセリフだ。まさか、ほんとにデートだなんて。しかも誘いはキミの方から。僕が仄かに想いを寄せていた同じクラスの小鳥遊さん。明るくてサバサバしていて、誰にでも隔てなく接する人。憧れるようになってから半年ほどがすぎたけど、大して会話したこともないのにいきなりデートの誘いが来るとは。ありがとう神様。もうこれで僕は一生分の運を使い果たしただろう。それくらいに奇跡だ。
「だってさメイちゃん。鳴海くん放課後良いってさー」
「……え?」
彼女が声を張って呼んだ人物が扉のそばに立っていてこっちをちらちら見ていた。僕と目が合うと急にソワソワしだした。確か、隣のクラスの子。面識が無いからフルネームを知らない。
「もっと喜びなさいよこの幸せ者め。あんたを指名してくれる子なんて、この先現れないんだからしっかりやんなさいよ。これ逃したら、あんた一生ネクラ男よ」
最後にもう一発毒舌の銃弾を僕に撃ち込んで“メイちゃん”と彼女は教室から出ていった。え、何、やっぱり嘘ってこと?いや嘘じゃ……ない。事実なのは事実だ。あれ、僕何言ってんだろこれ。日本語おかしいな。
僕がテンパってる間に2人は行ってしまった。どうなってんだよ、これ。僕のデート相手はキミじゃないのか?メイちゃんなんて知らんぞ。どしたらいいんだよ放課後。いや、ちゃんと待つけどさ。
「こんな、ことって…………えぇ〜」
僕の気持ちは届いてないってことじゃないか。がっくり項垂れてしまった。でもメイちゃん、良い子そうだったな。デートに誘うってことは、つまり僕のことが好きってことで……いいんだよな?
「そっか、そうなのか」
途端になんかざわざわしてきた。
相手は違うけど、とにかく放課後デートか。そっかそっか。
めっっっっっっっ
ちゃ楽しみじゃんか!
今日のお題は『放課後』
放課後って言われると、
色んなこと思いつく人も多いと思う。
だけど、私はそんなに思いつかないな…
だけど、放課後ってなんか
キラキラしてるよね(?)
晴れた日に、夕方ぐらいになると光差し込むの
私の中では結構好き
放課後、私は友達とよく喋ってることが
あったな。
そのせいで、習い事にめっちゃ遅れたことも
あった。だけど今思うと青春だな
友達は、わたしにとってかけがえのない存在
だったんだ。今もだけど
友達には、相談したり、愚痴言ったり
同じ学校だと「わかってくれる」
それが1番幸せで嬉しいんだよね。
学校離れて、改めて感じたものだった。
ありがとう、友達
仲良くしてくれてありがとう。
人が、どうか亡くなる前に
いっぱい「ありがとう」を言えたらいいな。
『放課後』
ちりん、ちりりん、と風鈴が鳴る。
おばあちゃんの駄菓子屋に遊びに来て、代わりに店番をすることになってから十数分。
あまりにも人が来ないから、カウンターの上の扇風機に向かって「あ〜」と声を出してみた。
耳に届くのは波打った声。
「ぷっ……」
「!?」
抑え込もうとしたように、くぐもった吹き出し声が聞こえて、バッと店先を見る。
そこにいたのは、半袖のYシャツに、黒のスラックスを着た、スポーツ刈りの男子。
「い、いつからそこに……っ?」
「……コホン、えっと、あんた、店の人? いつものばあちゃんは?」
「え、あ、おばあちゃんは今ちょっと出掛けてて……私が店番してるの」
「ふぅん、あのばあちゃんの孫とか?」
「そう」
スポーツ刈りの男子は店の中に入ってきて、駄菓子を物色する。
そのうち、すももを持ってレジに来た。
「えっと……」
おばあちゃんに教えてもらった通りに、バーコードを読み込んでレジに表示された代金を見ると、「あ〜」と波打った声が聞こえる。
「! ちょっと……」
「久しぶりにやったわ、これ」
楽しそうに、無邪気に笑う顔にドキッとしてしまったのは、絶対に秘密。
「それ、うちの制服じゃないな。あんたどこの学校?」
「西高……」
「へー、結構近いじゃん。西高ってバスケ強いだろ? 今度練習試合するから勝ちたいんだよな」
「えっ、あなたバスケ部なの?」
こんな偶然、あるんだ。
部活に入ることが必須で、何となくで選んだバスケ部のマネージャー……。
眉根を下げながら、眉尻をくいっと上げて笑う顔を見ると、この人が勝てるといいなと、敵なのに思ってしまう。
ちりん、と風鈴が鳴る音を聞きながら、私はすももの代金を読み上げて、お金を受け取る為に手を出した。
「今度練習試合に行った時、あんたがいないか探してみようかな」
「……すぐ見つかるよ、きっと」
「なんの自信だ、それ?」
ぷはっと笑う彼と再開する時、驚いた顔が見れるのかなと思うと、今喋る気にはならなかった。
――これは、後に恋人となる彼と私の、出会いの瞬間。
なんて事ない学校の放課後
になるはずだった
嫌なこと続きの私にとって放課後の屋上は特別なものだった
ここなら誰にも見つからない
そんな気が勝手にしてた
登るなと言うには低い金網を乗り越えて縁に立つ
重力に身を任せて体を投げる
誰かが何か言った気がしたが気にしない
私のカーテンコールはここまでだ
駅までおしゃべりしながら歩いた帰り道
放課後はあれをやろうか、これをやろうか
なんてはしゃいでいて無敵だった女子高生も
車道で何回も轢かれていたカラスだったであろう死骸を見たとたん喉の奥でヒューと音が鳴った
#放課後
クーリッシュ片手に
青空眺めながら
汗を流す
風が吹いて
屋上のフェンスから
サッカーの砂を蹴る乾いた音を聞く
『放課後』
放課後の教室には今、一番会いたくなかった彼女が待っていた。
長くサラサラとした黒髪に、黒縁のメガネ、その奥に見える吊り上がった目尻。
「待ってた」
僕に投げかけられる鋭い言葉。
僕は悪くない、そのはずなのに。
だから昨日、僕はクラスメイトの女子たちと一緒に帰ったんだ。
「なんで……」
脳裏によぎるのは、違う学校の男子と親しげに笑っていた、大好きな彼女の後ろ姿。
僕は小さく呟く。
「なんで、僕ばっかり」
放課後
【逆さに読んでもok】
中学の一年まではバドミントン部に入っていたが
辞めてしまい帰宅部になった。
その後、文芸部の子に部活にこなくていいから
在籍してほしいと頼まれて、文芸部の幽霊部員になった。
なので、放課後といえば帰宅なのだが
学校近くにポツンとある文房具屋によく立ち寄ったのを思い出す。
何買うでもなし。
ただ、ボールペンの試し書きコーナーに落書きして帰る。
ぐるぐるぐる、それだけだった。
そういえば一度だけ、こんなことがあった。
その日も、ぐるぐるしようとボールペン売り場に近付くと
先に試し書きコーナーを埋め尽くす超大作が描かれていた。
堂々たる龍の絵。細部までキチッと描かれていて驚いた。
思わず、少し残されたスペースに龍の絵の感想を書いて
感動を伝えた。また描いてくれるといいな、などと思いながら。
そして次の日、ちょっと楽しみに放課後文房具屋に寄った。
しかし、試し書きコーナーは刷新されていて隅っこに
「落書きはご遠慮下さい」と書かれていた。
…まあ、そうだよな。ぐるぐるぐる。
きづけば辺りが薄暗かった
みんなとはしゃいだ雪の日のこと
がっこうの鐘の音さえも
こおってしまう雪の日のこと
いまはもう戻らぬその時は
しろい雪とひかってた
いっしょにきらきらひかってた
#放課後
こっそりと階段裏で秘密事
下校チャイムは聞こえなかった
#短歌 #書く習慣 20231012「放課後」
放課後
放課後。君と二人で家路を歩くいつもと変わらない日常。なのに、今日の君は、何処かもどかしい…私は、気付いたら君に聞いていた。「どうしたの?何か、今日、ずっと無言じゃない?」と聞くと、君は、ふと顔を赤らめ、話した。「高校卒業まで残り1ヶ月。だから、高校卒業後、すぐに俺と同棲して欲しい!」急な君からの言葉に驚きを隠せない程幸せな私…「そんなの、ズルいよ…いつも、君は、私がキュンとするセリフを表情も変えずに真剣な眼差しで言うんだもん…そんなの、良いに決まってるじゃん!もちろんだよ!私も早く君と同棲したかったんだ!」と答えた。その後は、二人して、顔を赤らめたまま、無言でバイバイを交わし、家へと帰った…私は、その日、あまりにも嬉し過ぎて、ボーっとしてばかりで、夜もなかなか寝付けなかった…だって、毎日夢見た愛する恋人との同棲生活なんて…!私、心持つかな…?いつも不意打ちでキュンとさせられてしまうし…これからもずっと宜しくね💕︎なーんてね…
掃除をして部活をして
職員室に呼び出されて
公文やピアノへ行って
今や刑法解説マシンの准教授にも
そういう放課後があったんですね
なんて想像するのも愛
高校三年生の夏休みを過ぎると、放課後、教室に残っている生徒の数が増える。部活動に邁進していた生徒たちが、続々と引退していくからだ。
帰宅部の直子には、引退の二文字は関係ない。常に引退しているようなものだからだ。せっかくの時間を有効活用しようと、昨年ぐらいから、冬の大学入試に向けて問題集を繰り返しているところだ。
(……駄目だ、集中できない)
自宅での勉強は捗らないことが明白で、直子は教室に残って勉強していたが、今日はどうも騒がしい。人が増えたせいだろうか。
仕方がないので図書館にでも行こうと、荷物をまとめているとき、肩を叩かれた。直子は瞬間的に眉間に皺を寄せると、渋々と振り返った。
「何?」
「今から帰るなら一緒に帰ろうよ」
朗らかに笑う幼馴染の姿と、その幼馴染に黄色い声を浴びせるクラスメイトたちの姿が目に入った。ますます直子の眉間の皺が深くなる。
直子はこの幼馴染が苦手だ。端正なルックスで文武両道なものだから、いつも女子に囲まれている。彼の人柄が苦手だと言うわけではなく、彼と関わることは余計な嫉妬を貰うことと同義だから、なるべく関わり合いたくない。
「……わたし、帰るんじゃなくて、今から図書館で勉強するつもりなんだけど」
「じゃあ途中まででいいから」
そう言いながら彼は直子の鞄をさっと持つと、そのまま教室の外へと出ていってしまう。相変わらず強引な奴だなと溜息をつきながら、直子もそそくさと教室を出た。クラスメイトの視線が痛い。
教室の出入り口から陰になったところで彼は待っていた。
「俺ん家来ない?」
「あのね、匠くん。わたし、勉強するんだってば」
「俺ん家でもできるでしょ」
「何でわざわざ人のお家で勉強しなくちゃいけないの? それだったら、自分の家で勉強する方が遥かにマシ」呆れたように肩を竦めると、直子は彼に向かって手を出した。「鞄、返して」
彼は彼女の手に自分の手を重ねた。しまったと言わんばかりに彼女の目が大きく見開かれ、手を引こうとする。しかし、彼女が手を引く前に、彼がしっかりとその手を握ってしまった。
「ほら、帰ろうよ」
そう言って、彼は歩き出した。振りほどきたくても彼の力に勝てなくて、引きずられるようにして直子も歩き出した。
昇降口に向かう途中で、彼がぽつりと言った。
「俺さ、推薦決まったんだよね」
知ってる、と直子は返した。最後の夏、県大会の突破こそできなかったけど、今までの実績から早々に大学側から声がかかったという話は、二学期が始まった途端に耳にした。
「……だからさ、直子もおいでよ」
彼はぎゅっと直子の手を握った。
「あのねえ、匠くん」直子は彼の背中に向かって言う。「わたし、そんなに成績がよくないから、受験勉強をフツーに頑張らなくちゃいけないの」
その言葉を聞いて、彼はぴたりと立ち止まった。こちらを振り向いた顔は嬉しそうに輝いている。応じるように、直子は微笑んだ。
「ずっと一緒って約束を守ってほしかったら、受験勉強の邪魔はしないで」彼女のピシャリとした言葉に、わかった、と答える彼の声音は明るい。「でも、あんまり期待しないでね」
満面の笑みを浮かべて彼は頷いた。
並んで歩く二人の姿を、夕陽が優しく照らしている。
【放課後】
放課後に街へ遊びに行くのが楽しみだった。
高校生のおれとおまえ。
先輩のおまえを呼び捨てにできるのはおれだけで、それだけで「とくべつ」みたいで嬉しかった。
コッソリ制服から私服に着替えて学校を抜け出し、オトナのいない放課後を楽しんだ。
ビリヤードにカラオケ、映画に行ったし、楽器屋で覚えたてのギター弾いてみたり。
おまえは平気な顔で街中でおれの手を握るから、おれ、しんぞーが飛び出すくらいドキドキしたんだぞ。
「じゃあな」って駅で別れる時、決まっておまえは自販機の陰におれを連れ込んで、ほっぺたにキスしてくれた。
嬉しくて、切なくて、明日も会えるのに、別れるのが辛かったっけ。
今、おれたちは仕事終わりに街に遊びに行くことはなくて、スーパーに寄って買い物をして、家で一緒に平凡な夕飯を食べている。
もう放課後の楽しみはないけど、オトナのおれたちも結構楽しいよ。