『手を繋いで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
はげしく揺すられて持ち上がる身体。
このまま意識さえもどこかへ行ってしまいそうで、私は必死で手を伸ばした。
「怖い」
彼は無言で奪うように繋いで、そのまま敷布に押し付ける。
どこか辛そうで頬は赤い。行為とは真逆をいく子どものような顔で、私の恐ろしさも少し遠のいた。
頬が触れ合い名前を呼びあったあとキスをする。
身がはちきれんばかりの僥倖だった。
私達は上り、月だけが静かに沈んでいく。なんて長い夜だろう。
「手を繋いで」
手を繋いで!!
そう言って手を差し伸べて。
この世界から逃げようと言ってくれた君の手は温かかった。
いってしまったの?嫌だよ、嫌だ。戻ってきてよ。お願いだから。怖い、恐ろしい。私からいくしか無いの?戻ってきて欲しいよ。でも仕方がない。
やっと見つけた。怖かった。良かった。
「手を繋いで、もういかないでね。」
お題『手を繋いで』
手を繋いで
あなたの手はなんで
こんなにも安心できて
暖かいんだろうか。
そしてなんだろう
この温もりは。
あなたと手を繋いで
これから先もずっと
歩んでいきたい。
そう思った。
♪おてて つないで… そんな出だしの歌があったな。
調べてみたら、童謡「靴が鳴る」とあった。
ああ、知ってるわ。歌詞を追っていくと、メロディーもだんだんと思い出してきた。
童謡って、懐かしいね。
「手を繋いで」
『ルネさん』
『ルネさま』
『ルネ』
『あなた』
『お母さま』
『母上』
『母さま』
ハッ、ハーハァ、ハーハァ、スゥーッ、ハアー。
びっくりした…。
何で何度も、誰かに呼ばれた。
ハッハッハ…、何だ…夢か。
此れが俗に言う、走馬灯なのか?
右手を上げようと、ふと、右手を見た。
お母さまに右手を握られ、上げられなかった。
辺りを見回して、分かった。
此処は、病室だった。
嗚呼、なるほど。
だから、たくさん呼ばれたのか。
「お母さま、おはようございます。」
「お母さま、」
「ふふふ、起きてますよ。おはよう、ルネ。」
「おはようございます。」
嬉しくて思わず、頬が上がる。
「先ほど、たくさん、私が呼ばれる夢を見ました。」
「ああ…それは、此処に駆け付けた方々の声じゃないかしら。」
「そういうことでしたか。」
私の中で、納得した。
「ええ、あなたは生死を彷徨っていましたから。
本当に良かった。あなたの声をもう一度、聞けて。」
お母さまの声は、どこか安堵した声だった。
「ごめんなさい、心配をお掛けしました。」
「もう、謝らないの。家族にくらい、心配かけて良いの!」
「ありがとう。お母さま。」
「良いのよ…それくらい。わたしも謝らないといけないの。」
お母さまは、どこか申し訳なさそうな表情をした。
「あのね、あなたの家族のことなのだけど…。」
「どうしたの?」
「あなたを心配して、三日三晩ずっと…あなたのそばを離れなかったから、
あなたの容態が安定した時に、半ば強引に家に返したの。ごめんなさいね。」
「ううん、ありがとう。寧ろ、助かったよ。」
「久しぶりにあなたの手を繋いだわ。」
「あの時、以来ですね。」
「あなたが私の娘に成ってくれた日、以来ね。」
「はい。」
穏やかな時間が流れた。
「あっ、いけない。早く、あなたの目が覚めたことを皆に知らせないと。」
私は、幸せ者だな。そう、改めて思えた日でした。
喜びの歌
さざなみの絵筆にのって空をゆく
明るい夕焼けの光に
おとぎ話の少女のほっぺたを見る
夜の闇は地平の裏に待っているけど
にぎった手のひらが
温もりを僕の心臓に送るから平気
心細い道ゆきだけど
浮かぶあなたの笑顔がはげます
歩くのに不自由はない
心がまだ熱をもっているうちは
ぬかるんで 重くなる
世界が次の太陽を知るころには
生まれ変わった人の痛みが
また誰かを救う
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【12】手を繋いで
手を繋いで
情に流れていっちゃうから、別に好きじゃない。体の硬直具合と暑くなる体温に君が気がつきませんように。わざと真剣になってみる。この関係を崩したくない。今のままでも、多分ずっと好きで、付き合ったら別れがくるから怖いんだ。手を繋いで帰ろうか、さようなら、私だけの愛。
執着と弱さと自己愛、傲慢さ。綺麗に繕おうとしてることが見え透いてるから、どうか幸せになって。根底には不安と恐怖。1人じゃないから大丈夫。批評もしたくないけど、これがありのままだとは言えないから。愛が何かを履き違えてると思うから。胸の辺りの声に耳を傾けてみて。
私はいつこの心臓が止まってしまうかわからない。幼少の頃から未だに治療法が見つかっていない難病に罹っているから。今日の昼間だって発作が起きて、本当に痛くて辛くて苦しかった。人々が寝静まった今も「明日の朝目が覚めることはないかもしれない」という不安に駆られてなかなか眠れずにいる。
生を受けたものはいつか必ず死を迎える。それでも私は、死というものにどうしようもないくらいの恐怖を感じる。
「ねえ、少しの間だけでいいから手を繋いでてくれないかな。…お願い」
私が寝そべっているベッドの隣で、椅子に座って読書をしていた貴方に言った。貴方は一瞬驚いたような顔をして、それからすぐに何も言わずにそっと私の手を握ってくれた。優しくて温かい、大きな手。この温もりを感じられている間だけは生きている実感が持てる。いつの間にか、涙が零れ落ちる。
大丈夫、私はまだ生きている。
『だるまさんがころんだ』
「だーるーまさーんがころんだ」
動いたらだるまさんと手を繋いで捕まえられるんだ。だから動かないようにしないと。1人また1人、だるまさんに捕まっていく。僕にはそれがとても怖かった。だるまさんにタッチすれば捕まった子達も助けられるけれど、僕にはそれが出来なかった。逃げてその日はそのまま家に帰った。
僕は振り返るのがとても怖い。でも、今だってずっと怖い。常に足音が後ろから聞こえてくる。振り返るとその足音は止まる。いつからか気になりだしたその足音は最近大きくなってきている。多分、最初は遠すぎて気が付かなかったんだ。でも、もう僕はダメかもしれない。
小指一本が君の精一杯。
No.5 手を繋いで
手を繋いで離さないで。
あなたにはいなくならないでほしい。死なないでほしい。
ずっと一緒にいて―。
あなたに会った瞬間から全てが変わった。運命の歯車が、大きな大きな歯車が動き出した。音を立てて動いた。
わたしにはちょっとだけ未来がわかるんだ。感覚とかで、今日はどんな日になるかとかわかる。わからないときもあるけど。
わたしが視た未来は変わらないと思ってた。でも、あなたは未来を変えてくれた。あなたには未来を変える力があるの。
あなたは言った。「お前のことを守りたいだけだよ。」って。今までで1番優しい目でわたしを見つめながら言ってくれた。
どんな夢でみた未来だろうと、どんなに未来を感覚で察知できようと、強く願う思いには敵わない。決められた未来なんてものはない。強い思いが未来を変える。「未来は変えられる。」あなたがそれを教えてくれた。
でもあなたはどこか遠くにいる気がしてた。周りの環境に馴染もうと、行動していた。寂しかった。それにわたしたちの未来を阻もうとする人たちの攻撃を何度も受けた。怖かった。また1人になってしまう気がして。
どんな環境になろうとあなたはわたしの1番近くにいてくれた。だから、寂しさは感じたけど、怖さは感じたことがないの。
いつかあなたが離れると思うと怖い。
わたしの手をとって。
手を繋いだら、ずーっと離さないでほしい。
ずっと一緒にいるって約束して。
手を繋いでいてね
先の見えないこの道を
迷いながらも歩み続けられるように
手を繋いでいてね
楽しいときも、悲しいときも
心が揺れる日々の瞬間
私の瞳の中に
ずっとあなたがいるように
手を繋いでいてね
いつか必ずきてしまう
お別れの時にも
強く生きていけるように
この街には、ろくろ事件と云われる都市伝説が存在する。
此処に二人の男女が佇んでいた。
「ねえ、本当に入るの?」
「せっかく来たんだから。勿体ないだろ」
「嫌な予感がする」
「大丈夫!絶対に手離さないから」
手を繋ぐのは大変で、離すのはとても簡単。
でも、知っているのでしょう。
お互いに離さない限り、
本当の"さようなら"には程遠いことを。
No.2
―手を繋いで―
彼氏に別れを告げられた。突然で、声が出ずただ混乱することしか出来なかった。
なんで?なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで!
私の事愛してるって言ったのに?ずっと一緒にいるって言ったのに?どうしてそんな事言うの?わかんないよ...
前みたいに手を繋いでよ。前みたいにデートしようよ。
「ねぇ、行かないで。お願いだから」
そんな事も言えずにただ立ちすくむだけ。
家を出ようとする彼氏に私は咄嗟に近くにあった包丁で彼氏の腹部を刺す。
痛そうに、腹部を抑えながら唸る彼氏。
私を見捨てるからこうなるの。自業自得。
でも大丈夫。
『これからは、ずーっと一緒だよ?』
end 2023/12/09
手を繋いで…。
手を繋いでみたかった。
最後にありがとうございましたって
握手できたらいいな。
泣かないぞ。
手を繋いでくれて、ありがとう
あのときに君が繋いでくれた手の温かさが、今でも俺を支えてくれている
こうして違う道を選んで歩いて
君の顔も、君の声も
もう思い出せないくらい時間が経ってるけど
でも、それでも
繋いでくれた左手の感覚だけは今でも確かに覚えてる
それがあるから俺は大丈夫
だから君は、確り手を繋いでくれる人と幸せになってね
本当にありがとう、感謝してる
「手、繋いでいい?」
突然そう聞かれた夜。
寂しいからと深夜に呼び出されて家に行ったら、なぜか一緒に寝ることになった。
シングルのベッドで、いい年した男が二人身を寄せあって眠るというのは、例え相手がどんなに気を許した相手でも慣れないと思うのだが、あげくに手を繋いでほしいと言われて、動揺しないわけがない。
「…なんで」
「寂しいから」
「そういうことじゃない、なんで俺なんだ?」
「…なんでだろうな」
「は?」
「………なんかさ、さっき、夢見たんだよ。誰かが目の前で死ぬ夢。誰かは分からなかったけどさ、なんとなくそれがお前だったような気がして」
「つまり死んでほしくないってことか?」
「そーいうこと、だと思う。うん、多分そう。もし死ぬなら、オレと一緒に死んでほしいって、今思った」
「今て」
「…とにかく、先に死んだら寂しいから呼んだ」
「…ふーん」
しばらく、無言が続く。
多分秒針が三回回ったくらいの音を聞いたとき、不意に手を握られた。反射で握り返す。
「…いいって言ってないけど」
「うん、でも多分許してもらえると思った」
「信頼すご」
「それで、いい?このままで」
「………うん」
「ほら」
「お前が言ったんだろ」
「ははっ」
「…とりあえず寝るぞ」
「ん、おやすみ」
「おやすみ」
そういって寝る体勢に入る。
しばらくして、うとうととしてきたころ、
「ありがとう」
そう、耳元で聞こえた。
ふと横を向くと、鼻の頭が触れた。
少しの間、そのまま見つめ合う。
お互い何も言わないので、天井に視線を移そうと思ったら、唇のそばに何か柔らかいものが触れる。耳にはこらえた笑いが聞こえる。知らないうちに指が絡まる。
顔にあって、柔らかくて、こんな風に触れられるものと言えば…
目が、冴えてしまった。
【手を繋いで】
手を繋いで歩いていっても
過去は見えるけど
未来は見えない
未来も見えれば苦労しないのに
【手を繋いで】kogi