『待ってて』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
彼女が熱を出した。病院はどこも取り合ってくれず、家での療養に努めた。顔を赤らめ、無数の汗を流す様を見て、何度代われるなら、代わってやりたいと思っただろうか。
何か出来る事はないか。お粥を作ろうか、タオルを冷やしてやろうかとソワソワしていると、ふと彼女はぼくの手をギュッと握った。
「繋いでて」
それだけで良かったのだ。病気の時、無性に寂しく感じてしまうのは誰しもが一緒だ。
「眠るまで、待ってて……」
うとうとと微睡む様子を、横で優しく見守った。そういえば自分も昔、と過去を思い返す。
まだ小さい頃。病気になって眠りにつくと、母は起きるまでずっと手を握ってくれていた。あの時はとても安心出来た。見守られて生きているんだって、心が柔らかな気持ちで満たされた。
「ずっと待ってるよ。起きるまで、ずっと」
可愛らしい寝息が聞こえてくる。ぼくは、軽く微笑みながら熱に浮かされた彼女の寝顔を眺めていた。
ゆっくりおやすみ、元気になった君をまた見せてくれよ。
ぼくも瞼を閉じる。夢の中へと落ちていった。
37【待ってて】
もう少し待ってて
すぐ迎えに行くから
只 この地獄から
抜け出せないだけなんだ
抜け出せたら
すぐに君を迎えに行く
それからはずっと
一緒に居よう
もう
君と離れて暮らすのは
僕ももう限界だ
すぐに迎えに行くから
約束だよ
私は、家族のことが好きだ。
血が繋がっていない私に家族のように接してくれる。
私を殴ったり蹴ったり、私の分だけご飯を作らなかったり、私に八つ当たりなんてしない。私はこの人達のお陰でたくさんのことをしれた。
そんな家族とその日は、旅行に行く予定だった。
まさか向かうための飛行機が墜落するなんて思いもしなかった。
病院で目が覚めたとき後、私以外の家族全員が死んだと聞かされたときは絶望した。
何で私なんだって、私に生きる価値なんてないのに、
って自分を何度も何度も責めた。でもそれも今日で終わり。
今行くから待っててね。私の大切な家族。
待ってて。
大学卒業してちゃんと支えられるようになったら
必ず迎えに行くから。
なりたい職業叶えて、生活出来るようにお金貯めて、
少しでも支えられるように、少しでも楽になれるように頑張るから。
あなたの為なら何でも出来る。
だからもう少しだけ待ってて。
「ちょっと行ってくるから待ってて」
そう言い残して身内は車内を出ていった。僕もまた自販機に行く為に車を後にする。
身内の買い物は長い。
買い出し先について行くのもダルい。
500mlペットボトルのお茶を買って車に戻ってくると、おもむろにスマホを取り出した。ゲームをやろうか、Twitterをやろうか? 映画でもアニメでもいい。
思いを巡らせつつ、いい時代になったものだとしみじみ思う。
昔は読書か頭の中で棋譜並べか音楽を聞くぐらいしかなかった車内の待ち時間潰しは、今やインターネットとスマホのお陰で格段に出来ることが増えた。殆ど家にいるのと変わらない。
取り敢えず車内のシートを倒してYou Tubeに飛ぶと、めぼしい動画を漁ってゆく。
【待ってて】
「待ってて」
「うん!」
私がそうお願いすると貴方は嫌な顔ひとつせず承諾した。
私は貴方から背を向け離れる。
「待ってて」なんて言葉軽々しく言えない。
だって相手は私なんかのために待ちたくないかもしれないし私の言うことなんて聞きたくないかもしれない・・・
そう思うと私は軽々しく人に頼めない・・・
だけどちゃんと信用できる人には頼めるんだ!
私は信用するまでに時間がかかるだけで信用出来ないわけじゃないんだ!
だからどうか貴方を信用させてお願い・・・お願い待っててお願い・・・
「あ、きた!」
と元気に手をふる貴方の姿を見た途端に私は泣き出した。
ああ、ありがとうやっと人を信用できる・・・!!
けど酷いことしたな簡単に信用できない私は相手を試さないと本当に信用することができないんだから。
「酷くないよ。大切のは本当に信用したいっていう心だよ。」
まるで心を読まれたかのように言われた言葉に驚き私は貴方を見つめる。
「何年一緒にいると思ってるの・・・君の言うことなんて全部お見通しだよ!」
まるで太陽のように笑う君に私もつられて共に笑いあった。
空が真っ赤に燃えていた。きっともうすぐ日が沈む。
スマートフォンを片手に彼女は駅前の像の前で誰かを待っていた。時刻を見ると夕方五時と表示されている。
「ごめーん、ミナ待った?」
駅口から、急いだ様子で制服姿のショートヘア女子が走ってくる。手には紙袋が二つ、中身は大量のチョコレートとラッピング用品が見てとれる。
「全然。それよりユウカちゃんから一緒にチョコ作ろうって言われたから何事かと思ったよ」
ミナは駆け寄ってきたユウカから袋の片方を受け取り、歩みを進めた。
「えへへ、実は最近、恋人ができまして」
照れ臭そうにユウカは口を開く。夕日のせいか、照れてるせいか、彼女の顔は赤かった。
「そうなの!? おめでとう! だからチョコ作りするのかぁ!」
「ミナも好きな人いるんでしょ?」
歩きながら目をそらすミナ。ぎこちなく、うん、と伝える。
「僕から告白してオッケーもらったんだ、ミナも待ってるだけじゃなくて、自分からアタックしてみたら?、と、思って誘ってみました」
ユウカは、へへ、と笑って見せたが
「そう言って、お菓子作りとか未経験だから失敗しないように、ベテランのあたしに声かけたんでしょ?」
今度はユウカの方が、ぎくりとなり、頷く。ユウカは男勝りで、料理やメイクなどの女っ気がないようだ。
全くもう、と言わんばかりにミナはため息をついたが、彼女は輝く夕日をみて、何かを決めたらしい。
(待っててね、先輩)
【待ってて】
※【伝えたい】の前の話、【この場所で】の後日談
待ってて
カーテンの隙間から柔らかい風が
吹き込む1番後ろのここの席、
黒板とチョークが重なり合い
外からは笛と共に地面を駆け抜ける砂の音。
黒板に並べられた白い文字は
まるでラブレターのように映り込む。
「ねぇ、先生?」
「待ってて」なんて私言わないよ、
「待ってる」って先生にいつか言わせてみせるから。
自分自身に
友達に
家族に
恋人に
自分を許せるようになるまで
時間がかかりそうだから
待ってて
色褪せた写真
記憶の中では今尚 鮮やかに輝きたりて
誰もに 忘れられた
錐で 穴を開ける
何処にだったろう
こぽり 溢れ出す何か
ソレの名は知らない
手が空を切る
遠い目をした青年の まだ守られるべき背中に
囁く
お題【待ってて】
タイトル【門】
《待ってて》
もうすぐ君のところに行くから
待ってて
「待ってて」
とてもお世話になった叔父さんが救急
で運ばれた。
若いころからお酒が大好きで、肝臓が
だいぶ悪かったようだ。
命の危険もあって直ぐに病院にかけつ
けたが、思っていたよりも顔色も良く
いつも会う時の叔父さんの顔だった。
「今日は皆んな来て賑やかだったから
また今度ゆっくり来るね、叔父さん、
待っててね。」と伝えてその日は帰っ
った。
私は叔父さんに千羽鶴を折って持って
行こうと空き時間に少しずつ作ってい
た。あともう少しで完成という時に叔
父さんの容体が急変した連絡が入った。
慌てて家のことを済ませて出かけよう
とした時に母親から叔父さんが亡くな
った連絡が入った。
「また今度来るから待っててね」
その言葉が叔父さんとの最後の会話に
なってしまった。
叔父さん、遅くなっちゃった、、、
それ以来、「待っててね」なんて言葉
は使わなくなった。
たくさん可愛がってくれたのに、中々
お返しが出来なくてごめんね。
叔父さん、ありがとう。
〜鯖缶のコーナー〜
この話はノンフィクションです。
独身だった叔父さんは初めての姪の
私をとても可愛いがってくれました。
会う度にたくさんのお小遣いをくれ
ました。からかわれたり、ちょっか
いを出されたりしたけど、どんな時
も優しくて楽しい思い出しかありま
せん。
ありがとう、叔父さん。
「待ってて」
誰からの言葉を想像するだろうか
幼い子がトイレに行く時、親に「待ってて」
放課後に帰る時、友達に「待ってて」
仕事へ出勤する時、ペットに「待ってて」
人は不安で、人は安心したいからその言葉を使う。
信頼している人にしか使わない言葉でもある。
結婚の時、「待ってて」
すぐには判断できない、先延ばししたい、
そう考えると、
先に待っててというのと言われた後に待っててというのでは、大きく意味合いが違ってくる気がする。
子ども限定の言葉としては、いいのかもしれない。
待って
その君の気持ちに同意出来たらどんなに嬉しいことか
そう思うたび胸が痛くなる
けど
それに同意するのは今じゃないから
だから
「待ってて」
___________________________________________________
キミにはこれから苦しい思いをたくさんさせると思う
けどそれでも
僕を愛してくれるって言うなら
待ってて
帰ってくるのがいつになるなんて分からない
けどきっといい男になって帰ってくるから
お願い
世界情勢や世界経済が平和になり落ち着いたら必ず君の元へ行くからそれまでしばらく待ってて。
必ず迎えに行く。
その後は‥‥。
そして誰が何と言うまでもなく‥‥。
世界はきっと平和になるから待ってて。
体調等に気を付けて無事を過ごして。
待ってて。
待たせてごめんね。
どれだけ時間が掛かっても、絶対に行くから。
それまで待ってて…
『待ってて』
あなたと歩んだ道筋たどる
覚えているわ何もかも
誰に認めてもらえなくとも
気持ち悪いと言われても
海を眺めてあなたとふたり
静かに肩を寄せたこと
今日があの日の続きであるなら
波打ち際で待っていて
今すぐあなたを迎えに行くわ
これはふたりの逃避行
「待ってて」
忙しい喧騒のなか
裸足で駆け出したら
ふたりまた会える
だから負けずに
待ってて
テディベア
待ってて、
俺はそう言ってここから離れた
なんで?
ここにずっといたら頭がかち割れそうだったから
色んな人の声、雑音、足音がごちゃごちゃしてた
少し落ち着き戻ったら君は安心したように
「よかったぁ帰っちゃったのか、と、」
と言いかけた瞬間目を見開いて俺をみた
俺は「どうしたの?俺なんかなってる?」
っていった
君は貴方じゃないって言って何か言った
掠れた声に聞こえた「、、、、!」
なんて言ってたのかな?
聞く前にどっかに走ってっちゃったよ
でも俺はその場から動けなかった
あの言葉のせいで、
待ってて
と言われましても…
何を待てと言うの
わからないの
でも…
ニュアンスで読み取れと
…
そんな器用なアタマは
持ち合わせておりません
残念ながら…
どうしてもって言うなら。
少し待ちます…
不可解でありますが
あなたを信じて
待ちましょう…