『巡り会えたら』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
それはずっと昔の記憶。生まれる何百年も前の記憶。
僕が生まれた国の王女の生誕祭で行われたパレードで見かけた王女が忘れられなかった。まだ幼い顔をしていたが、凛としていて力強さの感じる美しい顔をしていた。
だが、当然一般市民であった僕は二度と彼女の顔を拝めないまま生涯を終えた。
そして、生まれ変わった僕は彼女のことが忘れられずに、面影を探していた。だから、クラスで好きな人のタイプを訊かれるといつも「プライドが高くて、強い人」と答えていた。誰からも共感は得られなかったが、それでも諦められなかった。
面影を探し続けてさらに数年。僕は大学に進学した。その時は突然訪れた。
入学式が終わり、各学部の講義室へ移動しようとしたところでその面影を見つけた。衝動に駆られるまま、彼女の腕を掴んでしまった。
「触んな!」
素早く振り払われたが、怒りに満ちたその表情がこの上なく僕を興奮させた。彼女があの王女なのかはわからない。
だが、その顔はどこからどう見てもあの時の王女そのものだった。
やっと巡り会えたのだ。何度、巡り会えたらと考えてきたのだろう。同じ立場で生まれたこの時代を逃すわけにはいかない。なんと声をかけようか。
「ごめんね。タイプだったからつい声を掛けようとしたんだけど、初めてのことだったから焦りが出ちゃった」
「なにそれ、気持ち悪い」
口から出たのはナンパのようなセリフだった。
仕事探しと恋は同じだと思った
どきどきするような憧れの仕事をしてみたいけれど、
きっと心を落ち着けて長く付き合えるのは
安心感のある仕事なんだろう
#巡り会えたら
巡り会えたら (10.4)
違う
…かもしれない。
もう一口スプーンを運んでため息と共に飲み込む。やはり、ずっと探している味ではない気がする。とはいえきっと味覚も変わっているはずで、実は正解かもしれなかった。
「でも、もっと甘くて固かった気がするのよ…」
プリンアラモード。幼い頃に一度味わったそれは、ふふふと笑っているように細かく揺れていて。缶詰フルーツと生クリームが負けるくらいに甘くて。ちょっとざらっと私の舌を撫でていったのだ。
「作り直しますか」
突然降ってきたセリフは、疑問というより宣言だった。私と同い年くらいの青年はそのプライドを刺激されたのか、きゅっと形のいい眉を寄せている。
「わ、えっと、お願いします」
結局3回も作らせちゃった…
申し訳なさでいっぱいになりながら、つんとプリンをつつく。一口、すくおうとして険しい視線と目が合う。
「あの、どうしてここまでしてくれるんですか?」
「貴女の笑顔が見たくなったから」
な、と固まる。
ざらりと舌に乗ったプリンは、これまでで1番甘かった。
20231003【巡り会えたら】
いちどは 偶然
にどは 奇遇 次を数える
さんどめは 『巡り会えたら』
いよは 必然に
※短歌モドキ
【巡り会えたら】
腕の中で冷たくなっていくあなたを感じている。
さっきまでの熱が嘘のように、冷えていくの感じる。
どれだけ健全に生きていようが、
生きとし生けるものには必ず死は訪れる。
当然それはあなたにも。
そもそもあなたにとって、
この人生は幸せだったのだろうか?
あなたの求めていた幸せって
こんなものだったのだろうか?
聞いても返答などできないあなたの口を閉じる。
光や色をもう感じることの出来ない目を閉じる。
そっと頬に手を添えて、美しいその顔に口付けをする。
そして、最後の最後にあなたの耳に囁いた。
「次こそ、正しく巡り会って幸せになろうね。」
巡り会えたら
何十億という人間がいる中で、君しかいないって思える人に巡り会えたら
人生はどんなに豊かで、輝いたものになるのだろうか
また何処かで逢えたら
キミにあの頃を若気の至りだと笑い合って欲しい
また何処かで逢えたら
キミが好きな物を共有して欲しい
また何処かで逢えたら
キミとよく似た子と触れ合って欲しい
また何処かで逢えたら…
また何処かで逢えたら…
また何処かで逢えたら
キミのように言葉で愛を伝えさせて欲しい
題名:巡り逢えたら
作者:M氏
出演:🌧
【あとがき】
書き方が大きく変わりました
M氏です
皆さんに会いたい人は居ますか?
M氏は浮かびはしますけど少しばかり怖いです
出演してくれた彼女のように
自分が相手に渡すものを明確に持っていませんので
言葉も何も出なくなりそうと言う不安を持ちます
ここにあるのはただの点と線
あなたは今この点と線の並びを目で追っている
あなたは点と線の並びの向こう側のものを追っている
向こう側にある何か あなたはそれを追う
それを追う という点と線がまたあなたにそれを追わせる
それとは意味 という点と線があなたとそれを巡り合わせる
しかしほんとうに巡り合ったのだろうか?
腑に落ちないあなたは再び点と線を巡る
どんな思い出も
今なら
笑って語り合える
そんな気がする
誰がどうだった
なんて事よりも
あの時
心も体も思考も
ただ若かった
そんな自分を
思い出す
恋や愛
友情
痛みを味わい
優しさを知り
欲望と誠実さの
狭間で迷い
いつしか全てに
背を向けて
皆
それぞれの道を
歩んで行った
あの時の友
あの時の恋人
ちょっと笑い合った
名前さえ
記憶に無い人
もしいつか
巡り会えたら
同じ世界で
同じ時代を生き
一つの物語を作り上げた
同志として
きっと
懐かしく
微笑み合うだろう
「巡り会えたら」
もしもまた巡り会えて、その時も変わらず思ってくれているのなら、もう一度聞いてくれないかな。このとんでもなく広い世界で数多に存在する人間の中から、もし私達二人がまた巡り会えたらそれは偶然ではなく必然だからね。そしたら酒を飲み交わしながら昔話をしよう。そうして最後に同じ質問をしてくれ。それじゃあまた会おう。
そう言ってあなたは旅に出た。もうあなたとは会えないかもしれない、そう思うと寂しくなった。あなたはのらりくらり飄々としていて大事なことも言葉にしない様な人だったけど嘘だけはつかなかった。
だから私も最後に「また会いましょう。」そう言って、あなたが見えなくなるまで手を振り続けた。
【巡り会えたら】
もしまた貴方に巡り会う事があるのなら
私は絶対に泣いてしまうだろう。
お前を見た途端に怒りが溢れて悲しくて悲しくて・・・
もう一度殺して
今度は確実に心臓を貫いて
そして私も死ぬのだろう
刻はなんども繰り返すという
何度引き裂かれようとも最後にはまた逢う
切っても切れない関係
何度目かの人生
この世界でも出逢う運命なのだろう
『巡り会えたら』2023,10,04
ピンとくることがある
直感、衝動買い、勢い、虫の知らせ
私の場合、それらの多くは信じるものであり
巡り会いなのだと思う
時に「やらなければ良かった」と後悔することはあれど
ものすごく失敗した、と感じることは意外と少ない
何かしら学びを得るから
今までの一番の巡り会いはなんだろうか、と考えるけれど
何かの前には別の何かがあって
どれも不可欠だから
もう、私として生まれてきたことが
人生最大の【巡り会い】だったのだと思う
ラーメン屋の代替わりで
突如失われたあの餃子と
幼かった私を魅了し
揺るぎなきトップに君臨し続けたあの餃子と
もう一度、もう一度でいい
巡り会えたら
うぅ…
今部活開始前だけど、先輩がランニングの存在を忘れているという微々たる可能性にかけて走るという概念を想起させる言動を控えてる
追記: 頑張って走った
完
・巡り会えたら
「わたし、生まれたくなんてないわ」
やわらかい雲の布団にくるまって、その少女…とおぼしき『たましい』は言った。かたわらにはもう一つ、少年…とおぼしき『たましい』が、愛おしそうに控えている。
「ぼくは、早く生まれたいなぁ。人間になって、早く君をこの腕で抱きしめたいもの」
たましい、とは、ふわふわした、実体のない存在だ。手もなければ足もない。でももし、その時彼女が顔を持っていたら、その顔は真っ赤だったに違いない。
僕はそっと、二人に近づく。一切の感情を消して。義務的に。
「生まれる準備ができました。お二人とも、こちらへどうぞ」
僕は天使。この空の上で、神様の助手として、たましいがうまれる手伝いをする者。保護者、と言ってもいい。幸せそうに後をついてくる二人が愛しくて、僕は思わず泣きそうになる。
世界の広さを、この子らは知らない。生きているうちに出会える確率なんて、足元の雲を成している水蒸気の粒よりもわずかなものだろう。
たった一人、僕にもいた。いつか巡り会えると信じて、別れた人が。だけど。
僕の手はあの人に届かないままだ。
「おい。そこの天使。仕事が遅いぞ。順番を待つたましいは山ほどいるんだ。テキパキ動け」
全知全能の、女神様。愛する人は、「山ほどいる」たましいの一つであった僕のことなど、覚えてもいないのだから。
ふっと、自嘲気味に笑って。
「はいはい。分かってますよ」
泣くのは、やめにしよう。僕にできるのは、この子たちを応援することだけだ。
雲の上の天使ではなく、愛する人を持つ、先輩として。
今すぐ巡り会えたならこんなにも嬉しいことはない
早く、未来の旦那さん!
私はずっと願い続けている。
もう一度あなたと巡り会うことを。
そして、触れ合えることを……
〜巡り会えたら〜
巡り会えたら…
例えば
素敵な人
素敵な本
素敵な花
素敵な鳥
素敵な店…
生きていく中で
どれだけの
『素敵』に巡り会う事出来るかしら?
自分も
誰かの素敵な人だと思われるようにしたいな♪
お題
巡り会えたら
『巡り会えたら』
死にたいと思った。
この世界から消えてしまいたいと。
何か辛いことがあった訳では無い。
だが、幸せなことも無かった気がする。
朝起きて仕事に行き自分の職務をこなし、定時に上がって一人暮らしの家に帰り眠りにつく。
ただただ『普通』の生活を過ごす毎日。
いつからそう思い始めたのか…。
思い出せないのはそれぐらい前からなのか、無意識に考えていたからか分からない。
気づいたらその思いは自分で抑えが聞かないほど大きなものになっていたのだ。
思い立ったが吉日という言葉を思い出し、規則通りの手続きを済ませ退職し急いで身辺整理をして後腐れが無い状態にした。
少しの罪悪感も湧かない自分に驚いてしまったが、もう後戻りは出来ないしするつもりもない。
最期は綺麗な星空を眺めながら海の中で迎えたいと思い、調べた良さげな場所へ行くことにした。
身軽な状態で電車に揺られ知らない土地へ向かう。
日が落ち月が上り始めた頃その場所に着く。
ちょうど天気が良く満天の星が見える日だったらしい。
満月の明かりで多少は霞んで見えてしまうが、それでもあまりの星の多さに声が出ず眺めていると声をかけられた。
「綺麗ですよね、星も月も」
誰もいないと思っていた為驚いて振り返ると、そこには自分と同じく身軽な格好をしている人が月明かりに照らされて居た。
返答に困っていると続けてその人は言った。
「あなたもですか」
それは一体何を指す言葉なのか、驚いて固まってしまった自分には理解が出来なかった。
が、少ししてその人も自分と同じ目的なのだと察する。
「こんな綺麗な満月とたくさんの星に見守られる最期なんてとても素敵だと思いませんか」
目も合わせず数多の星を眺めながら尋ねてみた。
「えぇ、そうですね」
小さく笑いながら答えるとその人は一歩足を進めた。
「まさか最後に同じ感性の方に出逢えるとは思いませんでした…」
表情はよく見えないが凄く嬉しそうな声でその人は呟いた。
「私も星、好きだったんですよね」
そう言いながらその人は着々と目的地まで歩みを進める。
黙って自分も足を進めた。
気がつけばもうそこには真っ黒な海が広がっていた。
隣には名前も顔もよく知らない人が立っている。
不思議と黙っていても居心地が良かった。
最期だからなのかもしれないけれど、こんなに落ち着く人は初めてかもしれない。
少しばかりの後悔が生まれた。
お互い一言も言葉を発する事無く今にも降ってきそうな星を眺める。
「星、綺麗ですね」
その人からこぼれ落ちた言葉は目の前の海に吸い込まれた。
「月も綺麗ですよ」
自分からこぼれ落ちた言葉もその海は逃さず奪い去る。
そしてどちらからともなくお互いの手を取り合った。
強く繋いだ手を握りしめたあと初めてしっかりとその人の顔を見た。
何も知らないその人の体温を手から感じ何故か涙が溢れる。
その人は眉を下げて困ったように笑っていた。
「行きますか」
その人は言った。
「行きましょうか」
自分が言った。
2人同時に身体が宙に浮く。
固く繋いだ手はそのままで、満天の星と綺麗な満月をバックに大好きな海へ身を委ねた。
水中の中で意識を手放す前に目に映った景色は知らない誰かの泣き笑う顔と淡く光る満月だった。
ーあぁ、名前も素性も知らないけれどもっと早くこの人に巡り会えていたのならばこんな選択は選ばなかったかもしれない。