『寒さが身に染みて』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ふと手のひらを開くと、人差し指の先が切れて血が出ていた。しかし、どうして血が出ているのか思い当たる節がない。自分はただ道を歩いていただけである。その時、耳に激しい痛みが走った。嫌な予感がして耳を触ると、そこからもやはり血が出ていた。通勤前の出来事だった。通勤路は非常に道が広く整備されていて歩くのに妨げになるようなものはなにもない。私はただいつものように歩いて会社に向かう途中だった。いつもと違うのは家に手袋を置いてきてしまったこと、そしてよりによってそういう日に限って風が強くて寒かったこと。会社に着いてみると、社員たちはみんな事務局に殺到していた。どうやら絆創膏をもらう列らしい。
「やあ、Aさん。おはようございます」
「おはようございます、Bさん。これは一体なんの騒ぎですか」
「見ての通り、絆創膏をもらう順番待ちです。今日は風が強かったでしょう?」
「風?」
「あなたは最近引っ越してきたばかりでしたね。ここは他よりも一段と寒い地域でしてね。特に風は皮膚を切るほど。みんな北風に皮膚を切られて、こうして絆創膏をもらいに並んでいるわけですよ」
「私、妊娠したのよ」
あなたの澄んだ目が
みるみる絶望の色に染っていくことに
私は安堵していた
あなたの十字架は私が降ろす、
例えその背骨ごと引き剥がすことになっても
そう決めたのは
この腹に新たな生命が宿ったと知った時だった
私たちは良い親友だった、
いや、正確に言うならお互いに良い親友を演じていた
あなたが私を見つめる瞳は
出会った当初から情熱を帯びていて
私たちは、
どちらかが2分の1の確率で今とは違う身体をもって
生まれていたら恋人同士になれたのかもしれない
それがどれほど意味の無い夢想であるかはわかっている
あなたは他ならぬこの私に恋をし、
そして私も唯一のあなたに恋をしていたから
でも私たちはお互いに若くて、
どうしようも無いくらい臆病だった
私への気持ちに蓋をして苦しんでいる
あなたを見ているのは辛くて、
臆病な私は、
世間一般の「普通」に奔放に身を委ね、
自分の感情を見て見ぬふりをすることに徹した
しかし、もし20歳という区切りで、
あなたが私たちの関係性の変化を望むのなら、
私はそれを全て受け入れるつもりだった
あなたの苦しみも幸せも、
過去も未来も、
非難も恐怖も、
愛しいあなたの手を取って
受け入れようと決めていたその時、
私に天罰が下った
それは、
罰と言うにはあまりに無条件に幸福の形をしていた
この子の父親になる人は
驚きと喜びで飛び跳ねながら
指輪を買いに走ったけれど、
私はその背中を見つめながら
あなたのことを考えていた
あなたの十字架をいかに残酷に引き剥がして、
私への思いを断ち切らせるか、ということを
未練すら残らないように、
冷徹に、無慈悲に
今、あなたを絶望に染めているのは一体なんだろう
20歳という若さで母になる私への哀れみか
想い人の奔放さが招いた結果への同情か
十字架を背骨ごと引き剥がされた痛みか
耐え難い沈黙の間、
私はあなたの瞳を見ながら
私自身を見つめていた
幸福そうな顔をした私がそこにいる
これで良い、
あなたの十字架は確かに地に落ちた
その傷が癒えたらどうかまた歩き出して、
今度こそ幸福を見つけてね
私のたった1人の愛しい人
寒さが身に染みる、
私は目を閉じてあなたを見つめていた
寒さが身に染みて
寒い。
さびびすぎる。
何のためにこんなに脂肪をつけてんだ?
寒さから守るためだろ!
寒さが身に染みて
私の育った町はあまり雪が降らない。
だけど海沿いなので風が強く、そんな日に自転車を乗ると耳が冷えてとても痛い。
マスクをして走行すると酸欠になる上に眼鏡が曇って運転しづらいことこの上ない。
だけど
冬の独特の空気の匂いが好きだ。
白く吐き出された息が好きだ。
ぴりぴりに冷えた空気を切り裂くように自転車を走らせるのが大好きなんだ。
もちろん
冬は水が冷たくてつらい。
霜焼けを起こすとつらい。
暖を取るために着膨れするのが面倒。
寒さが身に染みて動くのが億劫になることも少なくない。
それでも私は冬を嫌いになれずにいる。
あと数ヶ月もすれば春らしく暖かくなるだろう。
きっとみんな春の訪れを待っているだろう。
だけど私は冬が去って行くのがつらい。
毎年、冬が終わることが寂しく、暖かくなることを憂鬱に感じる。
寒さの所為じゃなくて
こんなにも寒く感じるのは
繋いでた手が離れていってしまったからかな。
冷たくなる手に冬の冷たさが痛いくらい染みて
君の温もりを求めてしまう。
いつからこんなに寒がりになってしまったのかな。
君が隣いないと、いつもよりも肌寒くて
心細くなる。
雪と一緒に君への想いが積もってゆく。
どこまでも降り続ける雪は、いつになったら
溶けて消えるんだろう…
寒さが身に染みて
外に出ると
寒さが身に染みる
家に帰って来ると
部屋の暖かさと
おかえりなさい、という声の温かさが
身に染みる
寒さと愛が身に染みて。
ぬくぬくと過ごしていた年末年始が終わった。
世界は、いつものように動き出した。
朝夕はこんなに寒かったのか。
俺はマフラーに顔を埋めた。
寒くなければ、スマホを触りながら歩道を歩くところだが、寒すぎて手袋をしていてもポケットから手を出したくない。
なんなら、出来る限り肌を露出したくない。
年末年始はこたつに入ってごろごろしていた時間帯……俺は職場につくなり、時計を見てため息をついた。
そこへ、どん、と音を立てて書類が置かれる。
「年末年始の長期休暇に入る前にやれっていったよね?」
女性の上司が冷たい視線で俺に圧をかける。
外気温も寒さが身にしみたが、会社内でも背筋が凍るような冷たさを感じることになるとは。
【寒さが身にしみて】
雪を踏み締める音が、ギシギシいっているときは
気温が低い証拠。
マスクごしでも分かる。空気がキンとしている。
寒い…なんて思っても口には出さない。
口に出したら寒さをもっと感じてしまうから。
身に染みるような寒さは、まだ当分続きそうだ。
普通に考えたら、それは11月の立冬の頃を指す言葉。
しかし、家の中で犬を飼っているご家庭では、六月頃には既に、立冬が来ているようだ。
「おい、寒いだろ! 冷房の温度を上げろよ!」
「我慢して! この子がばてたら、どうするの!」
犬は暑さにも、梅雨のじめじめした空気にも弱い。
だから、犬を飼っているご家庭から、こんな怒号が飛び交うことなんて、ザラにあるようだ。
それはある種の風物詩だ。
でも、飼い主達は、一生、いいや、永遠にでもこんな怒号を飛ばし続けていたいのだろうと思う。
その怒号が無くなった年は、怒号の原因がその家から去ってしまった時なのだから。
テーマ『寒さが身に染みて』
ポケットに手を突っ込み夜道を歩く。
大した距離ではないが、車も人も通らないからか、世界に1人きりとなってしまったかのような感覚になる。
隣に居てくれる人がいれば…。
こんな季節のせいだろう。人肌恋しい。
『寒さが身に染みて』
好きという気持ちを
伝えたいけど伝えられない
もどかしい
寒さが身に染みて
歳を重ねると寒さが身に染みてきた。
いや…身に染みるを超えて、身に染み込むくらい。
靴下無しでフローリングを歩けなくなったし
なんなら靴下を履いてても薄いのだと
足にじんじんと寒さが響いてくる。
昔は寒さよりもお洒落を優先したこともあったし
少しくらい冷えてもなんとも無かったが
今は冷えは死活問題だ。
とはいえ、太陽の日差しが何よりも有り難いし
熱いお風呂に入る喜びも噛み締めれるし
湯たんぽという文明の利器の恩恵も実感できるので
冷えも悪いことばかりではない
ということにしておこう。
でもやっぱり…春よこいこい。早くこい。
三日月
きらきらと
弧を描き
うるむ
神秘の輝き
****
20歳
あこがれて
たちどまり
とおりすぎては
いつしか
遥か昔日に
****
寒さが身にしみて
決断する
「寒さが身に染みて」
他人の不幸にぞっとする
その一方で
自分の境遇の方がまだましと
不釣り合いな優越感
それもまたぞっとする
自分の中に
シベリアの雪を見ながら
外の霜柱を踏み歩く
2023/1/11
私も大分年をとったものだと思う。小寒を過ぎると寒さが身に染みてくるようになったからだ。「くぅ。寒い!」首から冷気が入らないようストールをきつめに巻き直す。「こんな日は一杯ひっかけて温まってから帰ろう。」そう決めて飲み屋に向かった。が、定休日。臨時休業。定休日。定休日。貸切。「こんな事ってある!?」店が軒並み開いていない。酒は諦めるか、それともコンビニで酒とつまみを買って「宅飲みするか。」コンビニに向かうべく小路を進んでいくとコンビニの明かりではなく提灯の明かりが見えた。これ幸いと当初の目的通り飲み屋へと入った。「いらっしゃい。」ゆったりとした女性の声に迎え入れられた。白い割烹着が眩しい。「あれ、人間のお客さんなんて珍しい。」そんな女性の声を聞き、(あ。ここは足を踏み入れるべき場所じゃない。)そう直感した。
寒さが身に沁みて
吐く息も白くなる
こんな日は早く帰るに限る
早く温もりを感じたい!
王様
中二病には外に向かっていくものと、内に向かっていくタイプがあるようで、後者に名前があるかは知らないけれど、前者は『黒歴史』なんて呼ばれたりする。
『黒歴史』は笑いに変わるけど、後者のタイプは、こじらすと長引くやっかいな影になる。
自分は後者だったよな。
自分は他人より感受性が強く
心の成長が早く、
精神的貴族階級にいる。
錯覚だよ。
そんなんだから、ちょくちょくこの世を儚んで『死にたい』なんて考えたりするわけで、世界が自分と他人の二種類しかいないと絶望するわけだ。
まぁそうなんだけど、極端すぎるよ。
で、よっぽどすごい心理というか真理があるんじゃないかと解体していくと、なんということはない。
自分が王様扱いされないから拗ねてるだけって知ってた?
はだかの王様というか。
服着ろよ王様。今日は寒いぜ。
俺たちは平民だよ、王様。
仕事して、飯食って、セックスして、相手がいなければ風俗行って、たまに梅毒もらって肝が冷えたりする、一般よりちょっと下くらいの、わりと居心地のいい立ち位置の、のほほんと生きてる平民だよ、王様。
小説でも書いてリフレッシュしようよ王様。
格好つけちゃダメだ。言っちゃいけないようなことはどんどん言っていこう。どうせ誰も読んでないんだから。
ほら、そうするとだんだん『死んだところでどうしょうもない』って思えてくるだろう? 王様。
#寒さが身に染みて
寒さが身に染みて
あの時期のことを思い出す
寒さが身に染みて
貴方のことを思い出す
寒さが身に染みて
涙がこぼれ落ちる
寒さが身に染みて
貴方の言う事、聞いてればよかった。
ねえカイロちょうだい
「寒さが身に染みて」
日本は寒い
でもその寒さで心は温まる
例えば
友達とするおしくらまんじゅう
彼のポケットに入れる手
家族で入るこたつ
みんな違う暖かさ
寒さは身に染みる
暖かさは心に染みる
寒さが身に染みて
2人で歩いた冬の帰り道
手を繋げば 不思議と
寒さを感じなかった
来年の冬は
お揃いの手袋を作るねと
彼女は笑って言った
また寒い冬が
今年もやって来た
僕の手には
彼女とお揃いの手袋
だけど
手を繋ぐ彼女は
もう居ない
1人で歩く冬の帰り道
寒さが身に染みて
僕の頬を 涙が伝う