糸石刃純

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 普通に考えたら、それは11月の立冬の頃を指す言葉。

 しかし、家の中で犬を飼っているご家庭では、六月頃には既に、立冬が来ているようだ。

「おい、寒いだろ! 冷房の温度を上げろよ!」
「我慢して! この子がばてたら、どうするの!」

 犬は暑さにも、梅雨のじめじめした空気にも弱い。
だから、犬を飼っているご家庭から、こんな怒号が飛び交うことなんて、ザラにあるようだ。

 それはある種の風物詩だ。

 でも、飼い主達は、一生、いいや、永遠にでもこんな怒号を飛ばし続けていたいのだろうと思う。

 その怒号が無くなった年は、怒号の原因がその家から去ってしまった時なのだから。

 
 
テーマ『寒さが身に染みて』

1/11/2023, 1:15:23 PM