『安心と不安』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「安心と不安」
安心と不安が入り交じって
狂いそうなほど、
きみを縛りつけたくなってしまった。
僕はよくコケる学校の階段、ちょっとした段差、ドジとか天然とかそういう笑い話どころじゃ無いくらいよくコケる
友達には「誰かにコカサれてるんじゃねぇの?笑」なんて言われる。下校中、青信号歩道橋を渡る「ッ?!」歩道橋にひびが入っていた案の定コケた
後ろ足を前に出す、、、コケなかった女神が僕に微笑んだのかもしれないでもみんなの前でコケたからまた笑われるな、、、運は良かったが結局恥さらしだ
勇気を出して前を見るそこには、口角が上がっているどころか地面に着くぐらい下がっていた何なら顔が青ざめていた僕は不思議だったふと、我に返る
信号を見た、あれっそう言えば今信号何色だっけ?信号を見ると「安心」から「不安に」変わった
安心と不安
安心と不安
抱擁と警告
慢心と不満
夕刻と失笑
改心と不信
絶望と鼓動
『安心と不安』
安心と不安は裏表
あなたなら安心して任せられるとか、あなたがいると安心できるとか言われるのは嬉しい。
でも、言われれば言われるほど不安が大きくなる。
そう言ってくれるけど、私はちゃんと任せてもらえるくらいしっかりできてる?
安心してくれるだけの器量があるの?
考えすぎと思うけど、期待を裏切ってしまうようなことしないか不安だ
安心と不安
安心しすぎると危機感が薄れる。
不安しすぎると何も行動ができなくなる。
どちらもさじ加減が必要だ。
【安心と不安】
君が死んじゃう夢を見た
目覚めると君は僕の横で小さく寝息をたてて寝ていた
あぁ 夢でよかったな
あぁ 予知夢ではありませんように
1年前の今頃の話。私は、人生で一番緊張していたと言っても良いと思う。皆も体験したことはあると思うけど今日は高校受験当日の日なのだ。今日まで友達やゲーム、スマホを見るのを我慢して、毎日塾に通ってはひたすらに勉強した。努力は積み重ねて来たつもりだったけど、不安は全く消える事は無いまま、私は高校に足を踏み入れた。
あれから1週間が経ち、もう今日は合格発表の日だ。時間が経つのが早過ぎて怖い。あの日やれる事はやったつもりだけど、絶対の自信がある訳じゃないんだ。合格発表の時間になりスマホで高校のホームページを開く。下にスクロールするにつれて自分の番号に近付いて来る。…次が私の番号。緊張しつつ、ゆっくりスクロールする。
『 …あった、、 』
そこには、私の番号が書かれていた。つまりは、 "合格"だ。その瞬間安心して涙が溢れて来た。 いや、今まで頑張って来たからこその嬉し涙だったんだろうな。…まぁ、こんな感じで安心と不安があるのが受験だと私は思う。
そして今、まさに受験シーズンだよね。
中学、高校、大学と様々な受験があるはず、でも皆なら大丈夫。今まで積み重ねて来たことは絶対無駄なんかじゃないから。"不言実行" 受験当日までは自分がすべきことを最後までやって、受験が終わったら自分がやりたいことを思う存分やれば良い。受験生は見てないかも知れないけど、少しでもエールが届くと良いな。皆に勝利の花が咲きますように。
#安心と不安
自分の趣味のためにお金を使った。満足感と安心感で心が満たされる。だが、時間が経つと、やがて不安になってくる。
もっと別のことにお金を使うべきだったんじゃないか、とか
そのお金を貯蓄に回せばよかったんじゃないか、とか。
こんな生き方でいいのだろうか、不安は不安を呼び、頭の中でぐるぐると回り出す。
安心と不安を繰り返し、それでも、自分で選んだ選択を信じるしかない。間違ってないよ、と自分に言い聞かせながら
今日も趣味について考える。考えている時間が楽しいのだから、わたしの生き方はこれでいいんだ。
「ねえ、私のこと好き?」
「好きだよ。もう、今日だけで何回言わせるの?」
彼はそう言って困ったように笑うと、膝の上に乗せた私の額に優しく口付けた。
そのくすぐったい感触があたたかくて愛しくて、私もうっとりと目を細める。
ああ、なんて幸せなんだろう。
でも、この幸せが長くは続かないことも、私は知っている。
人の気持ちは移ろいやすくて、すぐに変わる。
「楽しい」から「寂しい」に。
「嬉しい」から「悲しい」に。
「好き」から「嫌い」に。
私が安心できるのは、彼に愛情表現をしてもらう時だけ。
その安心も、時間が経てばすぐに薄れる。
だって、人の心は変わるものだから。
今「好き」でも、1週間後には、1日後には、1時間後には、1分後には、もう「嫌い」になってるかもしれないから。
安心はすぐ不安に塗りつぶされて、だから私は確認することをやめられない。
「ねえ、私のこと好き?」
たぶん、私が安心することは一生ないんだろうな。
やわらかな水面に浮かびながら
底に在る不安に怯え続ける
永遠を見据えながら
朝、無事に今日という日が始まったことに安心する。
夜、もし明日が来なかったらと思うと不安で仕方ない。
数年前は、明日なんて来なくていいとずっと思っていたのに
私を変えたのは、貴方なんだよ。
星になった貴方に会いたくて、何度も危ない橋を渡った
でも貴方が怒ると思うから辞めたの
毎日を必死に生きて、今日も眠りにつく。
貴方の代わりに私が人生を歩んで行く
安心と不安
安心と不安の比率って
たぶん3対7くらいだと思う…。
でも不安を乗り越えたら、
安心が待っているのは確かだ。
安心するのは認めてもらった時
不安なのは拒否られた時
安心できるのは相手のあたたかい対応
不安になるのは相手の怪しい横目
安心は温かさ
安心は自信
不安は冷たさ
不安は緊張
誰かの温もりで安心できる
安心するのは不安になるより100倍難しい
たくさんの不安を乗り越えてこそ安心できるものだ
不安と安心なら当然安心したい…
彼とは付き合っている。少し歳は離れているけど大好きな人。
「愛しているよ。大切だし、ずっと離したくない」
優しい愛の言葉を投げかけてくれる度に私の頬は甘く弛む。
幾度となく手を、唇を、身体を重ねてきた。
嗚呼、何て幸せなんだろう。
彼の左手には、嫌に眩しく光る銀色のリング
私達は付き合っている。ただ結ばれず、後ろ指を指され、世間から蔑まれても彼が好き。
僅かな時間の逢瀬。その時間はこんなに心穏やかなのに、彼と別れ自分の帰路を歩む時に、不意に涙が溢れそうになる。
この関係は波状の様にー
私は
不安障害。
れっきとした病名であり、病気であり、今も通院しているし、薬を服用している。
誰にでも不安は、あるが、人よりも不安が強く出る。
パニック障害と似ている。(厳密には違うが、書籍とかでは、「パニック障害、不安障害の治し方」とまとめられている様な気がする。不安障害だけ扱っているイメージは、ない)
診断された時、府に落ちた。
最初の頃は薬の副作用や、落ち着いたかと思えば、ある問題に不安がになり。
不安になっていないと不安なのかって位、不安になり。
だが、今は不安になる事はあまりない。薬は飲んでいるが、薬のお陰か、メントレなどのお陰か。不安障害と認め、あ、不安になった?何に対し?あー、これは、こうしたら良いね。と対話して、今の不安どうするか。
漠然な不安や、自分の力が及ばない不安は、捨てる事にした。だって、どうにもならないから。逆にどうにでもなるんじゃない?
だから、不安にならなくなった。
…けど、安心しては、いないんだよね。
お題
安心と不安
泣き声をあげられるたび安堵して
眠れない夜の不安と過ごす
母がよく言っていた。貴女は難産で夜泣きがひどかったと。だから初孫である娘のよく眠る姿を羨ましそうに眺めていた。日中はそれで良いけれど、夜中はこわい。娘の寝息はあまりにか細いため、もしかしてと思って眠れない。不安に小さな手を握ると、突然甲高い泣き声を上げ始めた。ああ、生きてる。
お題:安心と不安
安心と不安
「保険、入ってみないか」
数年ぶりの連絡自体、嫌な予感がしていた。うさんくさい笑みを浮かべて鞄からタブレット端末を取り出す友人に、雅紀は己を守るように腕を組む。
「おれに金はない」
「まあ、そう言うなって。大した保険料じゃねえからさ。試しと思って入ってみろよ。今なら衣料用洗剤とタワシもつけるし」
「いらねえ」
「中身だけでも聞いてけって。ただの生命保険とか車両保険じゃない、創作保険だ。ものを作る人間のための、保険だ」
また胡乱な話を――カップいっぱいに注がれたぬるいコーヒーを口につける。熱っぽく創作保険について語る友人こと雄大は、出来の悪いパワーポイントを表示させながらあれこれ説いた。
「創作、クリエイティブな仕事に携わる人間は不安定な状況に置かれることが多い。所得だけじゃない、身体面、精神面もだ。健康的に過ごせそうにない環境下で長時間の労働を求められるし、人間関係やら自分のスランプのせいでメンタルをやられるやつもいる。そんなとき活躍するのが創作保険ってわけだ。月にたった二千円お支払いいただけるだけで、こんなサービスが受けられる」
箇条書きのサービス内容がグルグル回転しながら所定の位置におさまる。
タクシー割引券五百円分、家事代行、お子様の送迎、病院までの送り迎え、専門家によるメンタルケア、創作に関する相談およびアイデア提供――すべて月に一度のみ。しかもすべてのサービスが使用できるわけではなく、いずれか三つを選べる、というもの。
「信用できるかこの野郎しばくぞ」
「あいかわらず短気だな、おまえは。大人気サークル『キャラメル納豆』のサークル主として、人を頼りにしたいときもあるだろ」
「公共の場でサークル名を出すんじゃねえ。商売としては、いいだろうさ。あったら助かるやつもいる。ただ安すぎるんだよ。どのサービスを組み合わせて受けるにしても、だ。それに、保険っていうのが、気に入らない」
「どうして?」
「保険はそもそも安心と不安をセットにして売る商売だ。人生なにが起こるかわかりませんから、今のうちに備えておきませんか、っていう人間の不安につけこんでる形態自体が好きじゃねえ。クリエイターのための保険というのなら、そもそもクリエイター、クリエイティブな仕事で生きる人間が生きやすい制度を整えるべきだろう。この保険はそもそもクリエイターが所属してる集団や組織と衝突する危険はねえのか? だいたいアイデア提供ってなんだ。職業によっちゃ越権行為だし著作物の権利にも関わる――」
「わかったわかった。保険というのが気に食わないんなら、言い換えよう。創作お手伝い屋さんだ。クリエイターの補佐を、仕事内容の他で支える仕事さ。どうだ?」
雄大の妙に軽薄な態度や、お手製感バリバリのパワーポイント資料、具体性のなさ、長年の付き合い……そういうものから、雅紀はピンときた。
「さては創作保険なんて事業、ないんだろ。おまえの思いつきでおれから金をとろうってんだな」
「そんなことは――」あからさまに狼狽し、雄大。「ごめんなさい」
「ふざけんなブッ殺すぞボケナス」
「ワーッ! 待て待て! 騙そうってんじゃないんだよ!」
フォークを突きつけて脅すと雄大は白状した。むかしからそうなのだ、こいつは。
「悪かった、正直に言うよ。おれもさ、最近ようやく仕事が落ち着いて……むかしみたいに活動したくなったんだよ。でもひとりじゃ全然だめだった。なんにもできねえんだ。で、おまえの補佐ってことなら……いいかなあって」
「最初からそう言えばいいだろうが」
「だっておまえ、信じないだろう」
「もちろん」
がっくり肩を落とした雄大に、コーヒーをぶちまけてやりたい気持ちになりつつ――雅紀はダラけた学生時代を思い出していた。
二人で立ち上げた同人サークル、刷りすぎてさばけなかった同人誌、締切に間に合わなくて印刷所に泣きついた夜、入稿データが消えた朝――どれもろくでもない――そこそこ楽しかった日々。
雄大の存在が、雅紀にとっては〈保険〉だ。安心と不安をセットにしてやってくる。
「わかったよ。やろうぜ、二人で。久しぶりに」
「……ありがとな」
眼鏡の奥の目をうっすら涙で濡らし、雄大が鼻をすする。おれはまだ完全に許したわけではないのだぞ、という態度で、雅紀は尋ねる。
「んで、なにやりてえの」
「マンションポエム擬人化麻雀バトルとかどうよ!」
「またテメェは意味のわからん寝言をほざきやがって! 描くのはおれだぞ! おれが描きてえのは甘酸っぺえ青春なんだよッ!」
「得られなかった幻にいつまでもしがみついてんじゃねえ! 時代は闘争だ! 常に新しい考えが勝つんだ!」
いい年をしたオッサンが喚き始めたことで二人して店を追い出され、冷たい北風が吹きすさぶ街を歩く。どこへ行くでもなく、ただ口論を続けるためだけに、二人は歩いた。
『恋愛に必要なのは安心か?不安か?』
恋愛に必要なのは不安である。なお、ここでの恋愛とは恋人になる前の段階を指す。なぜか?答えは簡単、人は手に入りそうで入らないものに惹かれるからだ。例えばあなたに好きな人がいるとする。あなたはその相手に対してとても積極的なアプローチをしている。誰が見てもあなたがその人にベタ惚れなことは明らかだとしよう。この時相手は、あなたの心変わりがないことを確信しているだろう。一種の安心と言えよう。さあ、果たして、自分のことを好きだと明らかに分かる相手を、人は自分に繋ぎ止めようとするだろうか。わざわざ自分の時間を割いて、相手にアプローチをするだろうか。コストをかけなくても、自分から離れないという確信があるなら、別のものにリソースを割くのが人間である。釣った魚に餌はやらない、ということだ。もっと有体に行ってしまえば、都合の良いキープ扱いされる可能性さえあるだろう。「愛されるよりも愛したい」なんて歌詞にもあるように、人は追われるよりも追いたいものなのだろう。片想いが一番楽しいなんて言われるのはそのせいだ。
一方、相手が自分を好きなのかどうか判然としない時、人はその人を気にかけるのではないだろうか。「自分のことが好きなのか?いやでも……」。誰であれ、好意を寄せられることを不快に思う人は少ないだろう。そして人間とは好奇心を抑えられないものなのだ。果たして本当にその人は自分を好きなのか、気になってしまうのも無理はない。そうして気にしているうちに、自分がその人を好きになってしまった…なんて経験をしたことのある人もいるだろう。また、一度確信させてしまったとしても、その確信を揺らがせることも一つの手だ。自分を好きだったはずの人が他人に目移りすることを、快く思う人間はあまり多くない。「あの人、自分のことを好きなんじゃなかったのか…?」。当てが外れたような気分は、あるいは悔しさを呼ぶだろう。もしくは別の人間への対抗心が生まれるかもしれない。不安は人を惹きつけるのである。
思うに、安心とは人を惹きつけるというよりかは、継続的な関係を築いていくために必要な要素であるのだろう。もちろんあらゆる人間関係において最低限の信頼は必要だが、安心を与え過ぎるのも良くないということだ。特に恋愛においてはそうだろう。
不安という要素は恋人になる前の段階だけでなく、恋人同士となった後にも効果を発揮する。なぜか?人間とは慣れる生き物だからだ。誰でも初めは相手に自分をよく見せようと努力する。相手の気持ちを考え、好ましいと思ってもらえる行動をとるはずだ。だが、付き合っていくにつれ、相手が傍にいることが当たり前になっていく。「少しくらい良いだろう」「相手は自分を好きなはずだ」…。そういった思いは油断と慢心を生み、少しずつ関係を悪くしていく。例えば、付き合い初めは十分前に来ていた待ち合わせも、付き合いが長くなると「少しくらい遅れても良いだろう」と遅刻することがあるかもしれない。付き合い初めは張り切っておしゃれをしていたのも、徐々に気の抜けた格好になるかもしれない。事前にリサーチしていたデートも、馴染みの場所で済ませようとするかもしれない。いつまでも気張っていることは難しい。あるいは、「少し遊ぶくらい良いよね」と、他の人に目移りすることも考えられるだろう。そこで必要なのが、不安という要素だ。具体的には、恋人が自分以外の異性に人気があったり、自分のことを好きでいてくれるかの確信が持てなかったりといった例がある。もちろんやり過ぎるとそれはそれで破局に繋がるだろうが、安心だけでも関係は崩れるだろう。
安心と慢心は紙一重だ。不安という要素は、恋愛初期の相手の気持ちを考え、好ましいと思ってもらえる行動をとる努力を思い出させる。恋人に対する行動としては当たり前のように思えるが、慣れるとそれすらしなくなるのが人間だ。適度な不安を抱かせるというのは、相手を繋ぎ止めるのにおいて非常に効果的なスパイスとなるだろう。
あなたがいるから「安心」する
でもあなたがいつの間にか私の傍から
離れてしまわないかと「不安」 になる
お題「安心と不安」
「今日はちょっと寒いね、ケイ君」
甘い声が聞こえる。チョコレートのように甘い微笑みが僕を見下ろす。彼女に抱きしめられている僕は、何もせずにただその顔を見つめている。
もう何日経っただろう。
ふと疑問に思ったが、時計どころか窓さえないこの部屋では、時の流れなど分からない。
彼女からもらって愛用していた腕時計も、携帯電話も、どこかにいってしまった。
この部屋にあるのはちゃぶ台とこの身くらいだ。
強いて言えば、彼女が出入りしている扉もあることはある。どうやら彼女が出ていく際に外から鍵をかけているようだが。
布団や食事は、彼女がその扉から運んでくる。
といっても、この部屋の電気が消えることはないので、布団があっても眠れたものではないが。
「そんな心配しなくて大丈夫だよ、停電してもいいように、ここは予備電源あるから」
僕が不安そうな顔でもしていたのだろうか。
彼女は思いつきもしなかった僕の不安を言い当てて、僕の額にキスを落とす。
その、少し頓珍漢な彼女の気配りが、この状況を作り上げたのだろうか。それとも。
おそらく数日前、まだ僕が彼女に監禁される前のこもだ。
僕は彼女に打ち明けた秘密があった。
それは、本当にしょうもないことで。
授業のときも、夜眠る時も、きみのことが頭から離れないのだと。
ずっと一緒にいられれば、こんな気持ちにならないだろうにと。
きみと僕の気持ちが離れてしまわないか、不安なんだと。
はたから聞けばただの惚気だ。僕もそんなつもりで言った。彼女もそうだったらいいなという期待も込めて。
彼女はいつものように優しく笑って、小さめの手を僕に差し出した。
「それなら、ずっと一緒にいよっか」
同棲しよう、という意味だと思った。
彼女は最近一人暮らしをし始めたと言っていたし、まだ行ったことなんてなかったが、広いところなのだと聞いていた。
軽率にその手を取った僕は、彼女の家に招き入れられた。
ゆっくり二人でティータイムを過ごしたあとの記憶はなく、気づいたらこの部屋で布団に寝ていた。
はじめのうちは、飽きたら解放してもらえると思っていた。彼女に飼われているような気持ちになって、少しワクワクしていたこともあった。こんな日があってもいいと思っていた。
だが、いつまで経っても解放の時は来なかった。
いつやめるの?と聞いても、彼女は微笑むだけだった。
家族や友達に会いたいと言っても、わたしより大切な人なの?と悲しそうに問いかけてきた。
帰りたいと年甲斐もなく泣き叫んでも、彼女はただ優しく抱きしめるだけだった。
諦めた。諦めるしかなかった。
助けを求める相手は彼女しかいない。彼女に何を言っても届かないなら、もうどうしようもない。
諦めた僕の口は、もう何の言葉も紡げなくなっていた。彼女は、僕が応えずとも僕に声をかけ続ける。
「喋らないケイ君も格好いいね、誰にもみられなくてよかった」
「カナちゃんっていつもわたしの前でケイ君の話してるんだよ、ケイ君はわたしのものなのに」
「ケイ君、少し痩せちゃった? もっと栄養あるご飯作るね」
「髪伸びちゃったから切ってあげるね。大丈夫、わたし、こう見えて器用なんだよ」
部屋に虚しく響く声はいつまで経っても明るかった。
彼女にはもしかしたら僕の返事が聞こえているのかもしれない。
僕は何を間違えたんだろう。
ただ、彼女に同意してほしかっただけなのに。
ただ、彼女の気持ちを確認して安心したかっただけなのに。
ため息をつく気力も失った僕は、今日もただ彼女に抱きしめられている。
おわり。