『子供のままで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
大人になれば強くなれると思っていた。
こどもの頃に抱いた理想の自分になれると
信じていた。
自由になれると思っていた。
不自由から解放され
自己決定だけで進められると思っていた。
子どもの頃に描いてた未来は子どもの想像を超える事はなかった。
大人になった今
自由は手に入るけど、責任がオプションでついてきて
自己決定は出来るけど、妥協も我慢も忍耐が隠し味になっている。
想像とは少し違うけど、これはこれで
楽しいこともある。
こどものままなら知らなかった今がある。
出会えなかった人もいる。
子供の頃は早く大人になりたいと願い、
大人になると子供に戻りたいと願う。
隣の芝は青いものだ。
私が子供のまま成長していたら、きっとロクでもない人間になっていたに違いない。
妄想ばかりでだらしなく、好奇心旺盛でも知識は浅くて広いだけ。人の心を理解できないままに終わっていたかもしれない。
でも、その悪い面を自覚して、良い意味で子供のままで生きている人もいる。
彼らのように少年心を忘れずに目標をまっすぐに追いかけるような人を見ていると、
見習わなければと思うが、わたしには到底敵わない。
夢も目標もぼんやりとしているし、何が正しいのかすら曖昧なのだ。
大人になるというのは、諦めを知ること。
誰が言ったかは知らないが、的を得た悲しい言葉だ。
『子供のままで』
大人になりたくねぇ!働きたくねぇ!子供のままなら合法的に女湯のz((私は女です。
という考えだった昔の私へ。
子供のままだと好きな子と結婚出来ないぞ?!
子供のままなら
好きな遊びができた
勉強も毎日の通学もしなくて良かった
おやつも食べ放題可愛い服も
『子供のままで』
永遠を願った神様がいました。
見目みすぼらしい社の奥
隠れるように身を縮める
独りぼっちの神様でした。
小さなあの子を護りたくて
夜な夜な罪を重ねては
壊れてゆく音に怯えていました。
ずっとずっと一緒だと
冷たい体を抱き締めて
融けて混ざり合う夢を見ました。
見目みすぼらしい社の奥
永遠を願った神様は
大切なものと一つになった
独りぼっちの神様でした。
幼い願いは呪縛へと形を変え
歪な幸福を小さな兄妹に与えたのでした。
久しぶりに公園に来た。色褪せた遊具、新緑の匂い、子供たちの遊ぶ声…
自分まであの頃に引っ張り戻されるような雰囲気が足どりを軽くさせている。
もし、こんな自分をあの子が見たらどう思うかな。
罵る?憐れむ?それとも―何も思わない?
あーあ。もっとちゃんと話しとけばよかった、なんて。
後悔は簡単だ。
子どもと大人の境界はなんだろう?
18歳になれば大人?でも大学に進学するならばまだ「学生」のくくりに入りそう。もちろん18で自立して生計を立ててる人もいるから大人と言える?
社会人になって数年、いまだに両親と生活している私は、両親の子どもとして振る舞う時もある。
年齢の数字や働いているかどうかで区切ってしまうのも、なにか違う気がする。ハッキリと線引きが必要なときはそれぞれに応じて区切れば良いのではないかな。
素直に笑えてた頃に戻りたい。今の自分が自分じゃないみたい
子どものままでいたい。
子どもでなくなったら何もかも親に頼ってばかりじゃ、いられない。
今は親に守ってもらえる。
でも大人になって1人立ちする日はいつか必ずくる。
甘えれるのは今のうち。
今を精一杯頑張りたい。
自由だと思った世界が
こんなに窮屈な世界なら
子供のままでいたかった
#子供のままで
【子供のままで】
身長は高くなりたいし、もっと賢くなりたいとも思う。
でも、公園の砂場で服を汚しながら友達とはしゃいで、周りに迷惑をかけるなんて気にしない大音量で騒いで、どうでもいい話を延々と喋っても馬鹿らしいと思わず、「楽しかったらそれでいいよね~~」と思えるくらいの子供心を、大人になっても持っていたい。
どうせなら、幼い時の心を忘れないままで。
「子供のままで」
子供のままでいられたら
与えられた情報の中で
一方的な安全に守られる
自分の事だけ考えていればいい
限られた世界の中で
情報の取捨選択
誰かを守る
周りの大事な人を思う
自分の世界を広げる
それなら、子供のままではいられない
いや、いたくない
ぎゅって抱き締めて。
お母さんにそうお願いしたら、僕のことをそのあたたかな腕の中に抱き寄せて、僕が満足するまで離さないでいてくれた。
頭を何度も撫でてくれたし、大好きだよって何回も言ってくれた。
柔らかなお母さんの感触に包まれていると、ずっとそうしていたくなる。
でも僕は意を決して顔を上げ、お母さんの腕の中から離れた。
「もう、大丈夫」
もう僕は充分にお母さんを堪能したから。
「次は産まれてくるこの子を、ぎゅってしてあげてね」
そう言ってお母さんの大きなお腹をさする。
本当はもっと子供のままでいたかったけど。
でも、お兄ちゃんになれることも楽しみだから。
僕は子供のままをやめて、一歩大人になった。
【子供のままで】
子供のままで
もしも私が子供のままでいられたなら、
今頃あらゆる文学賞を総なめする天才小説家でしょうね。
何をもって子供をやめたのかは知らないけど。
子供をやめた気もないけど。
でも何の夢も叶ってないから、きっと大人になったんでしょうね。
お題「子供のままで」
子供のままで「いたかった」とは
思ったことがない
大人のほうが断然自由だと思っている
ただ
亡くなった父や母に会えるなら
子供の自分に「戻りたい」とは思う
会いたいなぁ
#子供のままで
ここは子供しか住んでいない夢の国
子供の王国
私は家族でここに来たはずだった
だけど今はお父さんとお母さんとは離れて暮らしている
ここではいつまでも子供のままでいられるらしい
毎日不思議なお菓子を貰う
甘くて不思議なお菓子
あとからわかった、あれは成長を止める魔法がこもってる
身体の成長しない呪い
心の汚れのない純粋な子供しか住んでいない
今日も国の子供たちは大人を狩りに出かける
この世から大人を駆逐するまで。
子供のままで
無邪気に笑う君は子供みたい
自分はそんな風にはもう笑えないな
どう君だけはそのままでいてほしかった
あなたは毎日きちんと化粧し会社に向かう。
あなたは仕事に真摯に取り組んでいる。
けれど会社のおかしな風土に染まらず、人としての優先順位は変わっていない。
客先に向かう途中、道でお年寄りが倒れていたら、車を止めて助けに行く。同僚がアポイントの時間を気にして見過ごそうとしても。
社会問題にも関心を持ち、より良い世の中にするにはどうしたら良いかを考え、休日は大学開催のセミナーに参加している。
いつか好きな人ができたら、結婚して子供を産みたい、と夢を話す。
友人との電話の最中に母親から声をかけられるとムッとして「今◯◯ちゃんと電話中!」と応える。
辛いことがあったら家族や気のおけない友人に相談する。泣きながら電話することもある。
電話に出てくれない友人は自分のことを嫌っているのではないかと悲しくなる。
仕事やプライベート、いろいろあって悩みは尽きない。
でもたいていのことはお父さんが解決してくれる。
わたしもあなたも中年と言われる年齢になったけれど、あなたは出会った子供の時のままで。
#子供のままで
仕事帰り、買い物を終え品物をエコバックに詰めていた
疲れたな…帰ったら洗濯して夕飯作って…夕飯何作ろ…
などと考えていると視界の端、床を黒っぽい何かか動いた
反射的に目をやるとそこにはつるつるの床を一生懸命動く虫
ゴキブリにしては細みだし、コウロギにしては長い
おぉ、おけらだ
春だなー
いやまてそんなことじゃなくここはドラックストア
このままじゃこの子踏み潰されちゃうじゃん
そもそも什器の下にでも入ったら終わりじゃん
あーそういや去年もコンビニでおけら見つけたな
久しぶり過ぎて触るの躊躇してたらアイスコーナーの下に逃げられちゃったんだよなぁ
あの時なぜか助けられなかったこと酷く落ち込んだんだよな
今でもそのアイスコーナーの前を通ると、暗い埃だらけの床の奥で現実には見たこともない乾いたおけらの姿が浮かぶくらいに
品物を詰めながら床のおけらをちらちら見る様は紛れもなく不審者
んー結構周り人おるな…けど去年の助けられなかったあのおけらの生まれかわりかもしれんし…
いや、絶対違うだろと思うもう一人の自分も品物を詰めている
詰め終わるとサッカー台にあるペラペラのビニール袋を一枚引きちぎり、そのまま流れるようにまるで自分の落とし物を拾うかのような所作でおけらを捕獲
高速で店内を後にする、不審者過ぎる
いやいや大丈夫、誰も見てないしお前自意識の塊かよ
自分につっこみを入れながら捕獲したおけらを見る
半透明の袋の中で必死にショベル型の前脚を動かしてる
弱ってはなさそう、良かった
ドラックストアの駐車場を見渡してみても土のある場所はない
当たり前だがすべてアスファルトで舗装されている
途中の公園にでも…いやこのショベルで掘れそうな土あったっけな?花壇とかなかったかも…
んー仕方ない、持って帰って家の前の畑に逃がすか
どうせなら柔らかい土のほうがおけらもきっと安心だろう
エコバックに一緒に入れるとシャンプーの詰め替えとかで潰れるかもしれない
せっかく助けた命を自ら終わらせてしまうことだけは避けたい
そんなもん後味悪すぎるに決まってる
ビニール袋を片手で握りしめながら自転車を漕ぎだした
子供の頃はこんな風に生き物捕まえては家に持ち帰ってたなぁ
その辺に落ちてたペットボトルにおたまじゃくし入れて帰ったり…懐かしい
あ、逃がす前に息子に見せよう
昔は私と一緒で虫好きだったけど今はひたすらゲームだもんなぁ
おけらはレアやろ、驚いて感動しちゃうかも、ふふふ
意気揚々と帰ってただいまを言うなり息子に
見てー!おけら捕まえた!
ゲームの手を止めて出迎えてくれた息子は眉毛を少し上げ
あ、へー、ほんとだ、初めて見た
みみずだーって♪おけらだーって♪のおけらだよ!
あー、なんかあったねそんな歌
初対面はなんともあっさりしたものだった
本人いわく、顔に出ないだけで驚いたし感動もしたらしい
もうちょい観察する?との母の提案に、もう見たしいいかなとサラリと断る息子とともに外へ出た
五月初めの夕方はまだ涼しくて、薄い明るさでどこか寂しかった
ビニール袋のおけらを土の上に出してみる
おけらは慌てた様子だったが周りが土だと分かると、ショベルを巧みに動かし見る間に土に潜っていった
そのあまりの速さに二人とも、おぉ〜と感嘆の声をもらす
姿が見えなくなったが、地中のおけらの動きに合わせて表面の土が波打つ
子供のままの私と、子供なのに大人な息子に見守られ
小さな命は拍動していた
息子と二人、土が動かなくなるまで見送った
静かでいい時間だった
さて、夕飯でも作りますか、何か食べたいのある?
いや〜、特にない
君はいつもそうだよねぇ、などと交わしながら家に戻る
突然舞い降りた、正確には地べたを這いずってた出会いと静かな別れを終えて
ゆっくりと、それぞれの日常へ戻っていった
いつまでも子供のままでは行けないと躾を喰らい、世の汚いところが目立ち、綺麗なところが見えなくなりました。