『好き嫌い』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
権力者のタワーでは大体の時間が定められている。ユートピアにはない時間を大体推定で計っているらしい。人間界と同じような時間の流れにしているらしいと誰かが言っていた。
そして、七と十二と十九の時にご飯が出る。別に食べなくてもこの世界では生きていけるが、食べたいのなら食べてもいい、そんな娯楽的な扱いだった。
さて、そんなこんなでご飯を食べたボクは、デザートにあったプリンを持って演奏者くんを探していた。
ボクはプリンが嫌いなのだ。黄色いところは甘すぎるし、黒い部分は苦すぎる。中間ぐらいが欲しい。
「⋯⋯⋯⋯権力者?」
後ろから声がかかり、振り向くと演奏者くんが立っていた。ボクのことをまるで何か変なものを見るような目で見ている。
「演奏者くん」
「⋯⋯⋯⋯どうしたんだい、その格好」
彼に言われて、そういえば着替えたんだっけ、と気づいた。
いつもの格好とはほど遠い、とまではいかないが、白色のTシャツに、黒色の長ズボン。靴だけがいつもと同じもので少しばかり浮いている。
「あ〜、えっとね。もうそろそろ寝ようと思って」
「違う」
彼はボクの方に来ると、首の辺りに触れた。
「なんだい、これは」
その時にようやっと識別番号が刻まれている首輪が襟で隠せず丸見えであることに気がついた。
しまった、なんてことが瞬時に頭に浮かぶ。とんだ大失態だ、これは。ボクが偉い立場ではないことが分かってしまう。慌てるようにボクは言った。
「⋯⋯権力者であるという証明だよ。君とボクが立場が違うことを示すためのやつ」
「⋯⋯⋯⋯首輪、じゃないかい?」
「チョーカーだよ!! 全くもう、君ってやつは」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯そう、なのか」
全く納得してなさそうな顔で彼は呟いた。
「あ〜、もう! これ、君にあげる! じゃあね!」
ボクは彼の手にプリンカップを握らせて、さっさと退散した。
それにしても、彼が首輪に触れた時、心臓が大きく鼓動した。
⋯⋯⋯⋯好きな人にあんな近い距離で触られたら、そうなるのも当然だけど。
「好き嫌い」
貴方のその人懐っこい笑顔が好き。
貴方の見とれるほど真っ黒でサラサラの髪が好き。
貴方のその人を信じる強さが好き。
貴方の透き通るような白い肌が好き。
貴方の全てを見透かす様な青い目が好き。
貴方の可愛い桃色の頬が好き。
貴方の時々見せる静かな横顔が好き。
貴方の口で紡ぐ綺麗な言葉が好き。
貴方の実は怖がりなところが好き。
貴方の繊細な手が好き。
貴方の星のような綺麗な歌声が好き。
貴方のすぐに顔が赤くなるところが好き。
でもね、何時も私を置いていく所が嫌い。ほんの少しだけど嫌いなの。
私は貴方の好きになれたのかな。
貴女の父君や母君は、よく貴女に好き嫌いをするなと言いましたね。貴女の大好きだったあの女性も、貴女は人の選り好みをしすぎると貴女に注意したことがありました。
けれど、今俺たちは思うのです。好き嫌い、選り好みをして何が悪いのか、と。
貴女は、貴女の心が求めるように生きるのが良いのです。人はそういう風にできています。各々の持つ魂の示す方向へ、皆進んでいくべきなのです。最も分かりやすくその方位を指し示して見せてくれるのが、貴女の「好き嫌い」なのですよ。
ですから、これからの貴女は、ご自分の好き嫌いをむしろはっきりさせ、実際にその通りに動いてみてください。嫌なものは嫌。好きなものは好き。そうはっきり仰って世界に示し、嫌なものは身の回りから排除し、好きなもので生活を埋め尽くしてください。
そうして自らを幸福にし、日々を全力で楽しんで生きてください。
好きと嫌いに仕分けたら、手元には何も残らなかった。
仕分けたつもりで全部手放していた。
私は何が好きで嫌いだったんだろう。
#好き嫌い
好きは愛して、嫌いは特に好きじゃないだけよ
あれもこれもそれもあなたもあの子もあの人も
どれもみんな好き、好き、好き。
そんな世界を願っていよう
きっと好きで溢れたのならしあわせだ
(好き嫌い)
『好き嫌い』
私は母から食べ物の好き嫌いに関して「好き嫌いがあるのはいい。だけど、食べれないのはだめ」と言われてきた。
確かに、大人になって会食の場などで「嫌いだから食べれません」とは言えない。
母の教えは正しいと思った。
これは、食べ物に限らず他のことにも言えるのではないだろうか。
人に関しても「好き嫌い」はあっていいと思う。「あの子はなんとなく自分と合わないから嫌い」「この子は一緒にいて楽しいから好き」
このようなことを心で思うのは自由だ。
ただ、それを表に出してはいけない。
あからさまに自分の嫌いな人を避けるのは良くないので、最低限の付き合いみたいなものは必要だ。
それにしても小さい子どもはいいなぁ。
「あれは好き」「これは嫌い」「あの子は好き」「でもあの子は嫌い」がはっきり言えて。
大人になるにつれて好き嫌いは複雑になっていく。嫉妬、恋愛感情なども絡んでくる。
子どものときのように純粋ではないから。いろいろ考えてしまうから。臆病だから。直接口に出して「嫌い」とは言えなくなる。
だから、みんな裏で言う。それが、俗に言ういじめというやつなのだろうか。
「相手の気持ちを考えて行動する」なんて、言葉だけ。
本当に相手の気持ちを考えて行動することがいじめを無くすことに繋がると思っているなら、
裏で言うのではなく、本人に直接「あなたのこういうところが私は嫌いなんだ。だから、こうしてほしい」とはっきり言えばいいのではないか。
直接はっきり言うことが問題なんじゃない。
その言い方が問題なのだ。自分の思っていることを自分の言葉で伝えれば、きっと、相手もわかってくれる…はず。
・好き嫌い
人間関係に好き嫌いはあって当たり前
好きな人とずっといれるわけではないし、
嫌でも嫌いな人と話さないといけないときもある
世の中ってそういうもんだよね
『好き嫌い』
私は貴方が好き、貴方は私が嫌い
片思いで、友達未満な関係は毎日私に棘を刺す
貴方の笑顔が他の人に向けられる瞬間私は息ができなくなるほど大きく鋭い棘が私の心を刺す
あぁ、どうかこの恋が早く終われと願う
好きなこと
ドラゴンボール見てワクワクすること
楽しいことしてわらうこと
マラソンする事
たくさん食べること
ラーメン、ご飯etc. . .
嫌いなこと
人を気遣って喋ること
しゃべること
会話のキャッチボールすること
わたしは幸せ者で、毎日が「好き」で溢れている。
仕事に行くためにだるい、眠い、と言いながら起きて浴びる朝日の光も、好き。
お休みの日に昼まで寝て過ごして、あーあまた無駄にしたな、って気持ちで食べる遅い昼ごはんも、好き。
眠たいのになんか勿体なくてなかなかベッドに行けない夜も、好き。
きっと、それらを「嫌い」な人は沢山いると思う。
でも、わたしは「好き」。
だってどんな時を過ごしても、その一瞬一瞬はわたしの大切な人生だから。
せっかく今日も自分なりに頑張って生きているのだから、「嫌い」だなんて勿体ない。
誰にも褒められなくても、全然報われなくても、ただその瞬間を「好き」って思えたら、きっとずっと頑張れる。
ああもう嫌い、って思わず言いそうになる場面でも、いや待てよ、ってほんの数瞬だけタンマ使って
「好き」に変換していきたい。
馬鹿げているし、利己的すぎるかもしれない。
でも、気持ちのもち方ひとつで見える世界は変わる。
わたしだけの「好き」で溢れた毎日は、間違いなく誰のものよりも幸せで素晴らしい私の人生になる。
茶漬けは好き、特に鯛なら最強
酢の物は嫌い、酸っぱいものは好きじゃねえ
フクロウが好き、あの眼に惹かれる
書道が嫌い、決められた通りに書かされるのが気に入らねえ
あの人が好きだ、いつだって優しかったから
あいつが嫌いだ、いつだって見てくれないから
この思いをどちらかに分けることができればいいのに
"好き嫌い"
No.8
お題「好き嫌い」
音楽好き、絵好き、お寿司好き、海好き、散歩も好き。
虫嫌い、学校嫌い、クラス嫌い、先生嫌い、にんじん嫌い。
幼い頃から好き嫌いがはっきり分かれていた。
好きなものは狂うほど好きだし、嫌いなものは死にたくなるほど嫌い。
趣味だっていっぱいあるし、多分恵まれてる。
でも虫とか、学校とか、傍からみたらくだらないもので僕の人生は壊れていく一方。
好きとか、嫌いとか、全部僕のわがままだってことくらい僕が一番わかってる。
いつの間にか嫌いが、怖いになって逃げて逃げて。
気づいたら好きもわからなくなってた。
好きなものは多分今も好きだ、でも以前のような純粋な気持ちじゃない。
それでも追いかけ続けてた好きも、いつしか追うのが怖く、恥ずかしくなって。
僕に嫌いがなかったら、そう何度思ったことか。
他人の嫌いの感情より、僕の嫌いのほうがきっとよっぽど大きいんだろう。
だからただ逃げてるようにしか見れてない。
僕が弱いだけ。
好きとか嫌いとか言う資格も僕には無いだろうに。
【好き嫌い】
「かわいい」が好きだ。
フリルにリボン、キラキラのラメにスパンコール。ふわふわのぬいぐるみに、とびっきり甘いパンケーキ。
胸が思わず高鳴るような、愛すべきものたち。
しかし、どうやら「かわいい」にはいろいろな制限があるらしい。そして、どうやら自分は、適応外らしい、と言うことも成長するにつれてだんだんわかってきた。
確かに、似つかわしくないと言われるのも無理はない。自分がかわいいが似合う子だったなら。鏡を見るたびに、ため息が出た。
あるとき、そんな子に出会った。ふわっと巻かれたボブに、くりっとした瞳。細い指に、小さい足。優しい声、ゆったりとした言葉。お姫様がもしこの世界にいるならば、こんな子なんだろうと思った。
かわいい、が許されている存在。かわいいに囲まれている彼女を、ずっと羨ましいと思っていた。
「私、こーゆーの嫌いなんだよね」
それは、文化祭の前日の放課後だった。舞台の裏で、用具係であった自分に、ぽつり、と彼女は投げかけた。
本当は、パフェよりコーヒーが好き。ガラスの靴よりスニーカーがいいし、かぼちゃの馬車なんかじゃなくてハーレーで駆け回りたい。そうつぶやいた彼女は、なんだか弱々しく見えた。
「好きなものを好きって言ったらダメなの?」
言うつもりはなかった。けれど、不意に口をついて出てしまった。ありがとう、と小さく彼女は驚いたように、そして笑って見せた。
彼女は今、どうしているだろうか。
あの日の言葉は、自分に向けての言葉だったのかもしれないと、今でこそ思う。別に、あの子になりたいわけじゃないし、女の子になりたいわけじゃなかった。
ただ、かわいいものが好き。かわいいものを愛している。周りにどれだけ嫌われたって、好かれなくたって。そんなこと関係ないと、今なら言える。
行きつけのパーラーで、いちごたっぷりのパフェを頼む。ぬいぐるみに囲まれて眠る。
世界中の誰に嫌いと言われても、俺は俺の好きを生きるよ。
好き嫌い
(本稿を下書きとして保管)
2024.6.12 藍
「好き嫌い」
好き嫌いで判断して何が悪いんだろう
直感やセンスに理由はない
理由がないから変えようがない
変わりようがないんだ
好き嫌いをただの感情論だと捉えないで
ただの気まぐれじゃないんだ
筋が通ってる価値観なんだ
あなたの価値観を知りたい
私の価値観も知って欲しい
傷つけることもあるかもしれないけど
好き嫌いについて話したい
ひとりごと 「好き嫌い」
好き嫌いと聞いて思い浮かべるのは、人に対する好き嫌い。
特に私には嫌いな人がたくさんいる。いつからだろう。
嫌いになりたくて嫌いになっているわけではない。
なのに、人の嫌なところばかり目が行ってしまう。
たいてい、自分と関わる全ての人のことを嫌いになる。
でも、一番嫌いなのはそういう自分自身だ。
自分を変えたいと思いつつも行動できていないところ、継続が苦手なところ、自信がないところ、そのくせ承認欲求は強いところ。
自分が嫌いだ。
年を追うごとに自分をより嫌いになっている気がする。
だんだん人と関わりたくなくなっている。
だんだん生きていくのが苦しくなってきている。
毎日精一杯生きる中で、何かを見るたびにマイナスなことばかり思いつく。
生きていく中で考えることの9.5割がマイナスなこと。
そんなに人生がマイナスで埋め尽くされているなら死んだ方がいいんじゃないかと思えてくる。
それでもまだ生きているのは、最終話までアニメ化が終わっていないアニメを最後まで見たいから。
愛犬と旅行に行きたいから。
今死ぬのは勿体無い気がするから。
死ぬときは痛いだろうし、苦しいと思うから。
大した理由じゃないけどまだ生きてる。
生きていたらこれのために生きたいと思えるようなものに出会えるかもしれない。
夢が見つかるかもしれない。
今のところはぜんっぜん兆しは見えないけれど、いつか見つけられたら良いなと思う。
死ぬ前に。
好きと嫌いが、1人の中に同居しているようだった。
俺が初めてそいつに出会った時、感じたのは「胡散臭い」だった。なにせ目は細くて、口元は笑っていて、何を考えているのかサッパリ分からないからだ。
そんなやつに、生徒会に誘われた。既に次期会長としての地位を盤石にしてからの声かけは、やつの勧誘をますます信用ならないものにしていた。
まあ、それにホイホイついていった俺も俺だ。断るのも面倒で、断った後のことだって考えれば面倒極まっていた。蛇のようにしつこく絡んでくることは間違い無いだろうから。
だから俺は、そんな消極的な理由で生徒会に入った。
仕事は楽ではなかった。普段の学生生活では全く意識していなかったような、細かな行事や、部費の額。あらゆることに許可が必要で、あらゆることに書類が発生した。
俺は、器用な方ではない。パンク寸前になりながらも、必死で回すしかなかった。……そんな中でも、のらりくらりと仕事をこなすアイツが視界の端にチラチラと映っていたのを覚えている。
キミはいつも頑張るねぇ。そんな声をかけられた時は、流石にプッツンとしかけた。お前から誘っておいて、その言い草はなんなのだ。
だが奴は、その後に続けて笑った。やっぱり誘ってよかった。そんなことを言われただけで、不思議なほど怒りがおさまってゆくのを感じる。あまりにもチョロい自分に、逆に怒りたくなってくる。
なんか奢れ。そんな軽口を叩いて、書類をはんぶん押し付ける。奴は笑顔のまま、その半分をすぐに片付けた。早すぎて腹が立った。
他の日には、他のやつがやらかしたヘマのせいで俺が頭を下げに行くことになった。これも社会勉強だとのたまう教師には、内心で中指を立てた。
厄介なやらかしだった。とある部活動の小規模な大会で、協賛した店の名前がパンフレットから抜けていたというのだ。わざわざ足を運んでから、頭を下げることになった。
まあ、若いんだからねぇ。苦笑してそう言う店主は、確実に良い印象を持っていないようだった。来年からは、協賛を望めないだろうな……俺は半ば諦めていた。
それでも、一通りの謝罪をした。許してもらえないまでも、店主の辟易とした態度は引き出せた。そんな時、後ろから声がかかった。
アイツだった。聞けばどうやら、次の学園祭で使うものを、この店から購入する許可が取れたということだった。店主の態度はあからさまに好転して、頭を下げていた俺の肩を支え、持ち上げてきた。
来年からもよろしくお願いします。奴の言葉に、店主はニッコリと頷いた。俺はというと、もう肩をすくめるしかなかった。まあ、コイツだしな、と。
帰り道で、奴はよく分からない表情だった。大変だったねと言われたが、正直言って俺は頭を下げただけなので大変でもなんでもなかった。
お前には負けるよ。そう言ったら、奴はもっとよく分からない顔になった。それきり、その帰り道での会話は無くなった。なんとなく、気まずい沈黙だった。
ある日、奴が教師に呼び出されたのを見た。次期会長として、そろそろ選挙の準備を始めろ。そんな話だったらしい。
会長ねぇ。あきらかに気乗りしていない声色で、戻ってきたソイツは頬杖をついていた。
俺はというと、その時はまたぞろ忙しくやっていた。ハンコを押して、紙をさばいて、ハンコを押す。単純作業の苦痛の中、わざわざ愚痴を聞く気にはならなかった。
だが、頬杖をついたまま、ソイツはあまりにもしつこく俺を見つめてきた。とうとう根負けして、俺の方から口を開いた。
次期会長様が、出だしからつまずくのはまずいんじゃないのか。準備は早い方がいい。そんな、当たり障りのない、それでいて会話が広がらないよう細心の注意を払った言葉。
キミの方が向いてると思う。そんな戯言が、ハンコを押す音の合間に聞こえてくる。
生徒たちの人を見る目が無ければ、投票してもらえるかもな。冗談だと思って、そんな軽口を叩いた。すると、紙をめくろうとした腕が掴まれ、細い目が視界いっぱいに広がった。
ギョッとした。というのも、奴の顔は冗談を言っている時のそれではなく、本気の発言を受け流されて怒っている時のものだったからだ。
キミのそういうところは、嫌いだ。そんな風に言われて、俺は言葉に詰まる。細い目が少し開いて、鋭い光が漏れている。
ややあって、俺はどうにか言葉を絞り出し、なだめようとした。何をムキになっているんだ。会長になりたくないのなら……。
それは、遮られた。奴の怒りは、冷めるどころか、どうやら煽られてしまっている様子だった。
自分を卑下して、馬鹿に見える。キミはそうじゃないのに、なぜキミは自分を正しく評価しない?
その時ようやく分かった。コイツは、俺に怒っている。俺の内面に対して。
ふざけるな。言いたいことなら、こちらにもある。いつもいつも薄ら笑いで、人の心を見透かすようなことを言いやがって。
キミはいつも能面みたいじゃないか。こっちの気持ちだって、慮ったことすらないんだろう。無神経なことばかり言うよかいい。
無神経なほど仕事ができる奴に言われたくない。お前が俺を隣に据えたせいで、俺は嫌でも自分の無能さを理解させられる日々だ。感謝してもしきれないね。
それはご丁寧に、どういたしまして。二度と自分のことを無能だなんて言うな、キミのその態度には苛々させられる!
周りの連中が静まり返って、ようやく俺たちは止まった。肩で息をしていたし、顔はそれなりに赤いし、一息つけば第二ラウンドすら始めたかった。
だが、俺たちは互いに椅子に座り込んだ。フルラウンド終えたボクサーのように、体力を使い果たしていた。感情をぶつけるのは、まったく疲れる、非生産的な行為なのだ。
お互い、嫌いなところが多いな。口からこぼれたその言葉に、奴は吹き出して力なく笑った。それを分かって生徒会に誘ったのに、まだまだ甘かったなぁ。奴も完全にくたびれていた。
ゆっくり動き始める周囲につられて、俺もまた、書類に手をかける。喧嘩が終わっても仕事は終わらないのだ。
立候補してやる。その言葉に、奴が反応したのが分かった。だが俺は、顔を上げずに、言葉を続ける。
お望み通り、生徒会長に立候補してやる。だけど、お前も出ろ。それが条件だ。
ふーん。キミの卑屈なスピーチじゃ、誰もついて来ないだろうに。負け戦になるんじゃないか?
せいぜい良いハンカチを用意しとけ。
言ってから、あんまりベタな台詞に自分で笑ってしまった。
目標文字数 2,700字
実際の文字数 2751字
主題「好き嫌い」
副題「青春」
もうちょいか
【好き嫌い】
好き嫌いはありません
得意と苦手はあります
好きも嫌いも
なんて贅沢な感情
個のためにある訳ではないものに
極めて個人的な評価を与える
テーマ“好き嫌い”
子供の頃
「好き嫌いはやめましょう」
と学校で言われた。
その学校で私は嫌われていた。
嫌われて虐められていた。
その事を教師は気付いていたはずなのに
誰も咎めなかった。
「好き嫌い」って
食べ物以外ならしても良いのかな。
ねぇ、先生?
私は貴方が大嫌いです。
この学校の生徒全員が大嫌いです。
ねぇ?私が嫌われてるんだから
別に嫌っても構わないよね?