『奇跡をもう一度』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#奇跡をもう一度
「お前が下ノ村の弥助か」
…左様でございます、お殿様。
「下ノ村が鬼に襲われた時、お前だけが幸運にも生き残ったそうだな」
…左様でございます、お殿様。
「そして逃げ込んだ上ノ村も、先日鬼に襲われ、またしてもお前だけが生き延びたのだな」
…はい、左様でございますお殿様。
「一度目は奇跡、だが二度目の奇跡などあり得ぬと儂は思う。
もはや村を襲った鬼とは、お前自身であることは自明の理。
正体を見せよ、この鬼め!」
ギラリと刀を抜かれ、弥助は目を白黒させる。
二度はないと言われても、あるものはあるのだ。
どう言えば分かってもらえるのか、
ダラダラと汗を流しながら、絶体絶命の弥助は三度目の奇跡を願った。
「奇跡をもう一度!」
奇跡がもう一度起きること自体が奇跡なので
奇跡カウント2必要となりこの願いは叶わない
「奇跡をもう二度ほど!」
響きがダサいがつまりこれが最適
奇跡をもう一度
そんな貼り紙を見たのは、電車で寝過ごしてしまい慌てて降りた山奥の駅だった。
ホームに人の気配はなく、足元を少しひんやりした風が通り過ぎてゆく。
辺りは紅葉の帳で覆われていて、まるで世界に自分1人だと錯覚しそうになる。
その中で不意に目を引いたのがこの貼り紙だった。
貼り紙には大きく奇跡をもう一度、というフレーズが踊っている。それ以外には何も書いておらず、どこか不思議な雰囲気を醸し出していた。
奇跡
奇跡と聞いて特に心当たりがあるものはなく、ここに立ち止まっているのも暇なので改札を出ることにした。
ところが改札らしき場所には、柵こそあれど切符を入れる場所もカードを翳す場所もなかった。
少し罪悪感を覚えつつも、柵を押して外へ出た。
そこには澄み渡った青空と、ひとつの人影が見えた。
人影はこちらに気がついたのか大きく手を振ってくる。
無意識のうちに身体が前に進む。
何も考えられなくて、気がつけば目の前には満面の笑みを浮かべた弟がいた。
弟に誘われて、虫取りもしたし鬼ごっこもした。
次第に楽しくなっていく気持ちと裏腹に、空は茜色を帯びてきた。
「ねね、帰る?」
ここで初めて弟は、私に問いかけてきた。
茜色に侵食されていく空を見ながら、そうだなぁ…と呟く。
「暗くなってきたし、帰ろっか。」
横で座っている弟に手を差し出した。しかし、いつまでも握り返されない手。
不思議に思って、弟の方を向いた。
「ねね、奇跡はね、一度しか起こらないんだよ。」
だからここでばいばいなんだ、またね。
ざあっと視界を紅葉が遮って。
気づけば私は、あの駅のホームにいた。
手には奇跡をもう一度と書かれた紙が収まっていた。
その文字の下には、たどたどしいお世辞にも綺麗とは言えないひらがなで、____と書かれていた。
奇跡とは、常識では考えられないような不思議な出来事を指すらしい。
きっと神様の気まぐれなのだろう。
でもその一度きりの奇跡が、出来事が、気まぐれが、何より尊いものだったのだと思う。
崩壊の果てに、
ぼろぼろの船で何光年もの間
暗闇を彷徨って
僕らはついに星を見つけた。
ガラス玉みたいに輝くこの星で
僕らはまた奇跡を起こせるだろうか。
10/3 唐揚げ
ドアが閉じる寸前に、何とか電車に滑り込む事ができた俺は、座席に腰を下ろす。
今日はいつになく空いていて、目の前に座っているのは一人だけだった。大学生にしては幼く見えるその男の子は、買ったばかりの唐揚げをビニール袋に顔を突っ込んで食べている。油を垂らしながら、むしゃぶりついているが、一口食べる度に顔を捻っている。
それはまずい時のジェスチャーなのか?それとも美味しいもの食べる時の癖なのか?俺と目が合うと気まずそうに、袋を閉じた。ただまだ未練があるのだろう。数秒置きに、ビニール袋をいじるし、割り箸で唐揚げの位置を直していた。
奇跡をもう一度って難しいお題。
今まで生きてきた中で、「奇跡だな」って思うことはあまりなかった気がする。
時々、いいなとか、すごいねって言ってもらうことはあっても、全ては自分自身が下してきた決断と努力の積み重ねによって得たものだと思っている。
だから奇跡というよりは必然に近いし、もう一度ということも無い。
強いて言うなら、私にとっての奇跡は、
大好きな家族に出会えたことだろう。
生まれる時の家族は選べないから。
♯奇跡をもう一度
奇跡をもう一度…
あの一瞬の花火のように…
貴方に出逢えた奇跡をもう一度
いや、一度だなんて言わなくていい
貴方と過ごして行く日々の中での奇跡を…
奇跡を何度でも…
その奇跡を…貴方と共に噛み締め、共に歩んで行きたい
あ 飯も食えないって?
い そうなんだ
あ てんや物とる?
い 実はずっとそれ
あ じゃ、俺のカレー作る?
い え?
あ ほらずっと前に…
い だったっけ…
『奇跡をもう一度』
「雨宿りの先に」
出会いが奇跡ならば、結ばれることは運命だと、ある人は言った。
それならば、結ばれたふたりが別々の道を歩むことは、何と言うのだろう。
突然降り出した雨。
駆け込んだ先で、まさか彼女と再会するなんて、ツイてるとか、そういうレベルじゃない。
だが、色々と話しかけても彼女はこちらを見ようとしない。
やはりまだ怒っているのだろう。
どの面下げて話しかけているんだと思っているに違いない。
確かに、悪いのは俺の方だ。
「君と別れて、死ぬほど後悔したんだ」
ぴくり。
彼女の肩が跳ねた。
この機会を逃したくない。
今すぐここで土下座しろと言われたら、してみせる。
彼女の名を呼ぶ。
もう一度、ちゃんと顔を見せてほしい。
泣きそうになっているのを堪えていることを、指摘したら、彼女は嫌がるだろう。
だけど、それが彼女の視線をこちらに向けさせるのに効果的だということを知っている。
振り向いた彼女の顔が歪む。
今度こそ、間違えない。
だから、どうか────
────奇跡をもう一度
・4『奇跡をもう一度』
俺は怖くなって家を飛び出した。
実際にはゆっくり、なにも見てないかのように、コンビニに行くように平静を装って玄関を出た。
しらない女はこちらを見ていない。
本当にコンビニに入った。おかしいと、思い返すと夕方だったはずだコンビニの時計を見るとさっき帰宅した時間くらいだった。
部屋で寝ていた時間はなんだったんだろう。
あのしらない女は誰なんだろう。
しばらく考え、やはり家に帰ることにした。
今度も誰もいなかった。
そう、母親と猫はもうこの世にいないんだった。
それを思い出した。
【続く】
もう一度 " 奇跡 " 起きてくれないかな。
神様に聞いても答えてくれない。
今日も息をして生きてる。
こんな人生いや。限界。
今日も心臓が僕を呼んでいる。
また怒られるのかなぁ。
奇跡を期待するなんて、愚の骨頂だ。そんな幻想に縋るのは、無知で弱い人間の所業だな。
奇跡とは、ただの偶然の産物。確率のゲームでしかない。それを期待し、頼りに生きるとは、自らの運命すらコントロールできないと白旗を上げるようなものだ。
この世界は因果律によって支配されている。原因があって結果が生まれる。努力があって成果が得られる。そこに奇跡など存在しない。もし奇跡を信じ、努力せずに幸運だけを待つなら、その人生は砂上の楼閣のように脆く儚いものとなるだろう。
奇跡を期待する者は、現実から目を背けているだけだ。厳しい現実と向き合い、努力を重ね、自らの手で未来を切り拓くことこそが、真の強さだ。運命は自ら掴み取るもの。奇跡などという甘い言葉に踊らされるな。
奇跡を待つ暇があるなら、今すぐ行動しろ。汗を流し、知恵を絞り、現実を動かすんだ。その一歩一歩の積み重ねが、真の力となり、真の成功へと導く。奇跡などという幻想に、貴重な時間とエネルギーを費やすのはやめろ。
この世界は冷酷で、奇跡は選ばれた者だけに微笑む。だが、選ばれなかったからと言って諦めるのか? 奇跡を待つよりも、自らを鍛え、磨き、現実を動かす力を手に入れるべきだ。そうすれば、奇跡など必要ないと笑って言えるようになる。
奇跡を期待する者は、人生という戦いの真の厳しさを知らない。甘い幻想に浸るのは勝手だが、その代償は大きいぞ。現実の壁に打ちのめされる前に、目を覚ませ。
瞬間瞬間の、奇跡みたいな時間が誰にもある
私たちはふとたまに、走馬灯のようにその瞬間を懐かしむ
もう、戻れないことはわかっていても
私たちはあの時は良かったと懐古するのだ
奇跡をもう一度
神様、お願い。私の友達を助けて…
私の友達は死にかけの私を助けるために自分自身を生贄に私を助けた。そのせいで友達は目を覚まさなくなった。もう10日は目を覚ましていない。ご飯も何も食べてないから、このままじゃ友達が死んでしまうかもしれない。
なんで、なんで、私なんかを助けたの。自分が死ぬかもしれないのに。それに、私が助かっても、君がいなきゃ本末転倒だよ。だからお願い目を覚まして。
一緒に生きようよ。好きなことしようってこれからも一緒って約束したじゃん。こんな風に約束破るのは反則だよ。だから目を覚まして……
お願い神様、私の友達を助けて。
お題『奇跡をもう一度』
昨日、推しが同じ電車に乗っていた。
私の推しは2.5次元の舞台を中心に活躍している俳優で、とにかくとんでもなく顔がいい。それが同じ電車の同じ電車車両に乗っていたからパニックになっていた。
彼の足元には黒くて大きなカバンが置かれていて、おそらくそこに稽古着とかいろいろ入ってるんだと思う。舞台俳優は荷物が多いんだなって。
話しかけないのかって? 話しかけるわけがない。
ただでさえ電車は混み合ってるのにそれを押しのけて推しに話しかけに行く勇気はさすがにないよ。それに推しはサングラスして、黒い帽子をかぶってバレないようにしている。
けど、やっぱサングラスごしでも顔がいいなぁと感心する。私が降りる頃には推しはいなくなってたけど、明日も同じ電車に乗っていたら嬉しいなとひそかに思うのだ。
『奇跡をもう一度』
月の無い空を窓から覗いては星がひとつ降るたびにふたりで小さくはしゃいでいた夜があった。その興奮からなかなか寝付けなくなって空が明るみ始めた頃に寝入ってしまった私は次の日の朝に慌ただしく母に起こされても夢か現か分からないままに時を過ごした。
あのとき一緒にいた子は誰だったのだろう。ひとりっ子の私に弟妹は増えることなく、月がいくつも欠けては満ちてこどもだった私は大人になった。あの頃の私に近いぐらいの齢のわが子は今夜流星群が訪れるというニュースに目を輝かせてまだ明るい窓の外を見ては早く暗くならないかとしきりに気にしている。
今夜は新月。こどもを寝かしつけるつもりが寝入ってしまい、目を覚ました私が見た光景は窓辺から空を見つめるわが子と見知らぬこども。星がひとつ流れるたびに小さなふたりは小さくはしゃいで次に星が降るのを今か今かと待ちかねていた。あのとき一緒にいた子だ。振り返ったその子は星のように微笑んで手招きをした。
お題『奇跡をもう一度』
未来の俺はこの部屋から脱出したのだろう。
だったら奇跡をもう一度起こして、
この部屋から脱出すればいいだけの話だ。
紙切れの文章にはヒントがある。
まずは部屋の周りを見ることから始めよう。
ベットは部屋の中央に置かれている。
特筆したレイアウトではない。
一人暮らしを始めたばかりの友人の家に遊びに行った時がそんなレイアウトだったなぁと思い出した。
ぐるりと一周して分かった事、
この部屋には窓がない。
おかしい。おかしすぎて笑えない。
不自然過ぎる部屋のレイアウトの箇所に俺は、
疑問を抱くのだった。
End
奇跡をもう一度
最高の瞬間にあった君を見て
時間を巻き戻してもう一度、
奇跡をもう一度
もう一度
その度に僕が近くなって
君の視界に入って
一緒に幸せをもう一度
僕も奇跡にあえるように
ハッピーエンドに上位版があったんだってくらい
巻き戻してその上で幸せを願う人
仏の教えを忘れた。
迷子になった気分だった。
窓の外には雨が打ち付け、無数に雫をつくっていた。
空は白く、頭のように霞がかって…
このやすりを掛けられたような気持ちも、何とよぶのか、忘れてしまった。
“奇跡は諦めないヤツの頭の上にしか降りてこない”
奇跡と聞くと、いつもこのセリフが浮かび上がる
いわゆる『奇跡』とは、
どんな事が起きても止まらず進む事、
そしてその先で微かな光を掴み取る事なのだろう
なかなか難しい注文だ
だからこそ『奇跡』は尊いものになる
それならもう一度を願うのは強欲なのか?
都合よく奇跡は起きるものでないし、
漫画やゲームのように起きなくても、
泣きながらでもボロボロになってでも進んでいけば、
もう一度別のかたちとして見つける事はできるはずだ
諦めなければ、どんな奴にも奇跡は起きる
しぶとく生きていくのが『奇跡への近道』だ