『夫婦』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「いい夫婦の日だそうですわ」
『いいわねー、仲のいい夫婦の方は』
「ええ、私たちとは無縁の存在…」
『そうですわ。何光年も離れていらっしゃるわ…』
陽だまりの中。私はお友達と世間話をしているわ。
『あら、もうこんな時間なのね。帰らなくちゃ、主人に怒られちゃうわ』
「まぁ…お大事に。では、ごきげんよう」
『ええ!ごきげんよう。』
…そう言う私も、帰らなければ主人に怒鳴られてしまうわ。ご近所様にも迷惑をかけないよう、急いで帰りましょ…
あぁ、私は主人のため、主人のためと、いつも私の時間を費やしてきたけど、それはなんの意味があるのかしら。
知らないわ。ただ、もしかしたら、その先にはなにかあるかもしれない。それを目指して今日も、主人に叩かれ殴られ蹴られ、罵られ犯され…
地獄の日々を、これからもまた進んでいくんだわ。
今日のお題
╭━━━━━━━━━━━━━━╮
夫婦
╰━v━━━━━━━━━━━━╯
「夫婦」
に、なれる日って、
来るのかなあって、思う。
今日は、良い夫婦の日。だから何をするって訳じゃあない。一番身近な夫婦は親だけど、だから何をするって訳でもない。母の日、父の日はする(かなぁ?)。
良い夫婦とはどういう夫婦だろうか。仲の良い夫婦。喧嘩の少ない夫婦。長続きする夫婦。色々ありそうだけれど、「良い」という言葉自体が曖昧だから、人によって基準は違う。親曰く、長続きするには干渉しないことが大切。まだ二十年にもいかない夫婦だけど。熟年離婚とか、あるからなあ。見た感じ「まだ」大丈夫そう。でも、確かに有言実行。趣味も仕事も違うからあまり干渉していない。だから、喧嘩したり、お互いがぎくしゃくすることもない。なるほど、干渉しない、か。
ひとまず今日は良い夫婦の日。妻または夫に優しくしてあげましょう。
優しい人と付き合ったとしても
いい夫婦になれるとは限らないよね
別々の場所で
違う体験をしてきた二人
同じ空気を吸って
同じものを見ていたら
いつのまにか
家族になったね
………夫婦
「夫婦」
恋人と夫婦って何が違うんだろう?
―恋人
一緒にいるとドキドキしてときめく。
少し会えないと不安になる。
共に幸せになる。
―夫婦
一緒にいると安心してほっとする。
ずっと長くいると不満が募る。
共に幸せを創る。
こう考えると結構違うかも。
結婚ってやっぱり人生の中で大きな出来事なのかな?
高校生だからあんまり実感がわかないけど、恋人も夫婦も、同じ熱量の愛を互いに伝え合える対等な関係の人がいいなぁ。
それがたぶん1番難しいんだけどね。
夫婦
親子とか家族みたいな、ある種言葉では説明の付かない、縁と呼ばれるようなもので結ばれた関係が昔から苦手だった。
だって、それは血が繋がっているという理由だけで生活を共にしてはいるが、私が好んで選んだ人たちではないのだから。
気が合わなくたって当然だし、半ば仕方がないと諦めてもいた。
一方、夫婦はどうだろう?
これは、紛れもなく私自身が好んで選んだ関係性の人だ。
なのにあろうことか、血縁の相手よりもさらにタチが悪いではないか。
それに、自分が産んだはずの子どもたちだってそうだ。
私には子どもが三人いるのだが、三人が三人、誰一人、私の思うようには育たなかった。
似て欲しいところは似ず、似て欲しくないところばかりが継承された。
でも、きっと子どもとはそういうものなのだろう。
思うままそのまま、それぞれが自分たちの道を進んで行くのがあるべき姿なのだと。
かつての自分がそうであったように。
さて、残ったのは夫だ。
彼のことは、分かっているようで分からない。
知っているようで何一つ知らない。
分かったような、知ったような気になっていた時期もあるにはあったが、今は何周か回ったのち、何度目かの分からないというフェーズに突入している。
夫とはきっと、そんなよく知らない、分からない存在の人のことを言うのだろう、と最近は思うようになった。
お題
夫婦
夫婦ってなに
いろんな言葉で表されるそれが
私にはよくわからなかったけれど
いいも悪いもわからなかったから
ただしあわせであってくれたら
いいなと思ったのは嘘ではない
〈夫婦〉
通りを歩いていたら、目の前から老夫婦が手を繋いで歩いて来た。
こんな素敵な夫婦がいるのかと思わず声をかけそうになったが、ぐっと理性が発動し、通り過ぎた。
振り返ると、何やら話をしているようで、互いの顔を見合って、笑い合っていた。
手は繋いだままだった。
「夫婦」とかけまして
「借金まみれ」と解きます。
その心はどちらも「夫妻/負債」です。
「夫婦」
いつかこの世に生まれるわたしの子のおじいちゃんとおばあちゃんはきっと離ればなれなんだろうな。
夫婦
(お題更新のため本稿を下書きとして保管)
2023.11.23 藍
夫婦
うちの両親は昔から仲が良い。還暦を過ぎた今もデートと称してしょっちゅう二人きりで出かけたりする。
子供の頃は大人になったら両親のように愛する人をみつけて温かい家庭を築くのだと漠然と思っていた。それがスタンダードなあるべき姿なのだと。成人した今となっては信じられない。途方もなく難しい、ほとんど不可能なことに思える。
恋をしたことがないわけではない。初恋の人は中学の頃の数学教師だった。三十代前半くらいで教師の中では若手だったのだろうが当時の私にとっては随分大人に見えた。彼は既婚者で、私の恋は始まる前から終わっていたが、教壇に立つ彼の横顔を見つめるのは楽しかった。
けれどある日、職員玄関で彼の奥さんを見かけたとき、私は一も二もなく逃げ出した。綺麗な女性だった。私は彼と本気で付き合えるなどと思っていたわけではなかったはずなのに、ひどく惨めだった。私はトイレに駆け込み、鏡の中で真っ赤な目をしている詰襟の少年を見つめた。これがこの先ずっと続くのだ、という実感が不意に湧いて、私は泣いた。
大学生の頃、実家の隣に住んでいた幼馴染の両親が離婚した。家族ぐるみで親しくしていたが、彼の両親が以前から不仲だったというのは聞いていた。家同士の都合でお見合い結婚した二人の間に愛情は芽生えず、利害の一致だけで息子が成人するまでは一緒にいたということらしい。
「正直、きみん家がうらやましいよ」と快活な彼が珍しく溢した弱音に、私はなんと返して良いか分からなかった。
両親のような夫婦でいるのはかなり奇跡的なことでは?と私が言うと、歳の離れた兄は大きく頷いた。それから、「両親は確かに素晴らしいけれど、ああいう人生が全てでもないと思うよ」と苦笑した。「俺は好きに生きてるし、お前もただお前らしく幸せになってくれれば親だって文句ないだろ」
私は下手くそな笑い顔を作って、眩しく兄を見つめた。
『夫婦』
幸恵と結婚したのは12年前になる。あの頃は、早く婚姻関係を持ってこの女を自分の側に縛り付けねばならないという一種の使命感のようなものを抱いていた。
若い時分、私は九州出身の男らしく亭主関白を家庭のイメージとして抱いていた。実際、親父はまさに昭和の亭主関白な頑固親父といった態度であり、母の方は物静かで地味な土手に咲くすみれのような大人しい純和風な女であったため、自身の考えていた家庭のイメージとはそんなものだった。九州の辺鄙な片田舎では、周囲の家庭も概ねその様なものであった為、大人になれば自身もそのような家庭を作るのだろうとぼんやりと考えていた。
大学進学という頃に、俺は上京をした。仕事も人も都心に集中していくと叫ばれ、田舎の人口減少やら少子高齢化が強い波となり押し寄せて来た頃であり、事実実家近くの会社やら、商店やらも廃業続きでこのまま此処で暮らし続けて良いものかと不安感を覚え無理を通して東京の大学に入学をした。
幸恵とは、2回生の頃に飲み会で出会った。一体何の名目で開催された飲み会であったかは忘れたが、俺を飲みに誘った剣道サークルの村上先輩の彼女の友達に誘われて、その飲み会にやって来たのが俺と同じく2回生であった幸恵だった。
飲み会の主催が先輩であった為、2回生は少なく俺と幸恵は端の方の席に隣り合って座らされた。
田舎から出てきて、1年は経ったがまだ東京の人間には中々馴染めず、その中でも東京の女は派手な装いをしていることが多かった為、俺は2回生になっても女とはあまり関わり合いにならなかった。時折り、話しかけられても苦手意識というか、嫌悪感というか東京の女とは同族の様に思えず心に大きな壁があった。
幸恵には、「東京の女」の雰囲気を感じなかった。飲み物を両手で持ち、下を向いて周囲の会話に混ざれず、ただただグラスを垂れる水滴をジッと見ている内気な女。メイクも薄く、服装も暗い色のブラウスとズボンというまぁ地味なものであった。間違っても、渋谷の109などには行きそうにもない。第一印象は、田舎の女なのだろうか?というものだった。 東京の女とは、馴れ合えそうもないが、この女とはまぁ話が出来そうだ。そう考えた俺は、幸恵に声をかけた。
「君も2回生なんだろう?話そうじゃないか。君、出身は何処なんだい?」
俺の言葉を聞くと、幸恵はゆっくりと顔をグラスから此方へと移し、小さい声で答えた。
「はい。2回生です。出身は東京で宇多川のあたりです。」
俺は驚いた。幸恵は、色が白く地味なもんだから大方青森だとか、秋田だとか東北から来たものだと考えていたが、まさか東京の「と」の字も感じさせない様なこの女が東京生まれだとは。俺は俄然、幸恵に興味が湧いた。東京生まれの東京の女らしからぬ女。一体どうすればこの煩く、年中百鬼夜行の様な騒がしく爛々とした東京で東北の女の様な風態になるのだろうか。
それから、幸恵は自分から他人へ話をするのが苦手そうなタチであるのに加えて、俺の方は幸恵に様々な質問やらをしたものだからその飲み会では幸恵はほぼ俺とだけ話すことになっていた。その後も、ゼミやらサークルやらの付き合いで飲みに誘われるたび、どういう訳か幸恵もまた別筋の知り合いから誘われて来ているという事があり、俺と幸恵が恋仲になるのにもそう時間は掛からなかった。
大学を卒業し、東京の大企業とは言えないがそこそこの商社に就職した俺は今では九州の男というより東京の男になった。東京は人を染めると言うが、俺は正しく東京に脳天から爪先まで染められた。若かりし頃の「東京の女」への嫌悪はなくなり、街を闊歩する魑魅魍魎も当たり前の人間であり、当然の住人だと認識を改めた。
読書家で大人しかった幸恵は、出版社に就職をしたもので、文学書を担当したいのかと思っていたが、実際のところ担当したかったのは女性向けの雑誌であったらしく、今では何とかという横文字のファッション雑誌を担当している。
学生生活を終え、俺と結婚をし、仕事に精を出す中で幸恵はどんどんと変わって行った。結婚をすると、女は派手な装いから地味になる事が多いと聞くが、幸恵はその反対であった。
地味な幸恵は、洒落た装いの女になった。109などには絶対行きそうにも無いなどと考えていたが、今では仕事でもプライベートでも109に行き、最新の流行だと言う服を買ってくることも多い。先日も、何処かしらのサロンで施して貰ったというネイルを披露してくれた。
幸恵は、あの時分俺が興味を持った東京らしからぬ女では無くなった。実のところ、幸恵の稼ぎは俺よりも多いほどで俺が養ってやるというような女でもない。家にこもって大人しく亭主に縛られて生きるなんてのは、全くもっての外のようで、自分のそばに縛りつけるなんて事は出来ない、自由な蝶となった。
幸恵は、輝いている。出会った頃より一層。今の幸恵は面白く、興味深く、あの時分つまらないと思っていた東京の女はこんなにも側にいて楽しい存在だったのかと思わせられる。 過去の出会いから、現在までに思いを馳せていると、キッチンから幸恵が紅茶を持って来て対面の席に腰掛けた。
「私ね。貴方と付き合い始めた時は、紅茶を飲むなんて思ってなかったなってさっき考えてたの。」
一体、何の話だろうか。と思い、どうしてそう思ってたんだ?と問いかけると、幸恵は笑いながら答える。
「昔の貴方って、頑固な人って感じで少しムスッとして、如何にも亭主関白で緑茶を淹れさせそうだったものだから。昔は、そこが面白そうで貴方に興味を持ったんだけど、今は東京の男で紅茶に砂糖を2つも入れるんだから。」
俺は、少し不安になって幸恵に尋ねた。
「亭主関白で、頑固そうな人が好みだったのか?それなら……俺はかなり変わってしまったから、今はもしかすると……」俺が言い淀むと、幸恵は快活な笑い声を上げた。
「まぁ、昔はね。あまり周囲にいないタイプだったから。でも、今の貴方も大好きよ。意外と繊細で可愛いんだから!」
私も、妻も昔とは変わった。性格も考え方も。昔興味を持った相手と、今の相手は同じでは無い。でも、今の相手にも興味を持って、愛を持って、そして昔より今の方が好きだとさえ思う。
幸恵と結婚挨拶に行った時、見せてもらった親父と母の出会いのアルバムと、父の言葉をふと思い出す。
母は薙刀の選手で、道端のすみれというより、生けられた一輪の白百合で父は気弱な文学青年だった。それが、一見関白な亭主と大人しい妻になっていた。
「本当は、アイツは私に縛られるような人じゃ無いのだが、私に尽くすのがどうも楽しいらしくてね。可愛らしいだろう。」
人は、変わる。変わっても愛おしく、変わるから愛おしい。その変化を側で見られることそれが夫婦の楽しみであり、喜びだ。
幸恵の淹れる紅茶は、今日も美味しい。
夫婦
ずっと一緒で
これからも離れることなんて無いって思ってた
君は僕に
「私が死んでも私に囚われないで
あなたの人生を歩んで。」
なんていうけれど
僕には到底無理だよ
僕の心をあたためたのは
僕の心を満たしてくれるのは君だけなんだ。
僕は、まだ君を忘れられないみたいだ。
冷えきって
凍りついた僕の心を溶かしてくれたのは
何も残さず行ってしまった
あなたが一つだけ残してくれた
お揃いのネックレス
慣れた手つきで呪文を唱え、寮の正門を潜る。
この寮はとある老夫婦が管理していて通称、初心者寮と呼ばれている。
学園を卒業して尚、自力で家すら借りられない者向けの寮。話題に上がった際の瞬間最大風速を除けば、悪い所は何一つない聖地だ。
......世間からのそれが一番デメリットでは、という至極真っ当な意見は聞こえない事とする。
「おぉ今日は早いな!どうじゃった?成果の程は」
「あ、レオルさん!お疲れ様です!」
そそくさと渡り廊下を歩いていると後ろの方から突然声をかけられた。
モップ片手に実に清掃員らしい格好をした彼こそが件の老夫婦の一人、レオルさんである。
「成果って......踏んだり蹴ったりですよ!」
聞かれた反射で叫んでしまい、思わず手で口を覆う。危ない危ない......これ以上のご近所問題は勘弁だ。二桁目の偉業は防いだ。さすが私。
そんな私をいつも通り面白いと笑い飛ばしたレオルさんは、何か意味ありげな笑みを浮かべてメモの切れ端を渡してきた。
これがただのおつかいだったりするのもまた、いつも通りの事だったりする。
「夫婦」
私は妻と結婚して10年以上経ちます。彼女は頭が良く、問題に直面したらアドバイスを求めるようにしています。彼女は家事は好きではないので、できる限り私がするようにしています。時々、疲れますが私の性格上やってしまいます。彼女が嫌がることはできるだけ排除してあげたいです。彼女は私の拠り所です。これから先も、末永く二人で幸せに生活していきたいと願ってます。
姿も、声も違うはずなのに。
懐かしくて、今もそこにある。
この人と共に在り、彼の帰る家を守りたい。
彼の左手をとった。
『私の居場所』
「夫婦」
頭の中の母性と父性が
夫婦喧嘩をしている日
そのままでいいよと母が言い
変わらなければと父が言う
母性原理と父性原理
右脳と左脳の別居生活
だけど頭という同じ屋根の下
なんやかんやで折衷案
夫婦仲良くアウフヘーベン
私の両親が出会わなければ私が産まれることはなかった
そのまた両親が出会わなければ私の両親も生まれることはなかった
そのまた両親もそのまた両親も……
出会ったおかげで今の私がいる