『夢が醒める前に』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『夢が醒める前に』
久々に会うおまえと、あの公園でキャッチボールをしたい。あの頃のように。
懐かしい景色とその一部のおまえとおれが童心に還りたわいない戯言を宣いながら、おつかれなんて言い合いながら。
小学校から中学まで同じで、高校は別々だったから一緒の時間は確実に減ったけれど、たまに会って飯を食って笑ったな。
高校三年の夏、喧嘩した。
しょうもない馬鹿げた口喧嘩から口を聞かなくなった。
昔はお互い若くて、青かったから無駄に意固地になって終ぞ謝ることなどしなかったな。
それからおれは県外の大学にいった。
あれから四年経ち、社会人になった。
ふらりと懐かしいこの場所に立ち寄ってみれば夕が差しグラウンドが焼けたように美しい。誰として居ない此処には遙か上空に海色の鳶が一羽。
遠く飛翔する、落ちる陽に向かって。
それは煌いてとっても眩しかった。
目が醒めるその時まで、
おまえが生きていたあの夢にまだ浸らせてくれ。
早く
早く、あの手を掴まなきゃ
わたしから遠ざかっていく後ろ姿を
ただひたすらに追いかける
その足は重く
あの人との距離は開くばかり
お願い
わたしに気づいて
立ち止まって振り向いて
夢から醒めるその前に
誰かが私の夢を醒ます前に。
夢の中でならあなたは私が好きなあなた。
でもきっとこの夢が醒めたら私はあなたの事を嫌う。
私が好きなのは夢の中のあなただから。
「どうかこの夢が醒めても私が本当のあなたを好きでありますように。」
夢が醒める前に
夢が醒める前に、
したいことをしてしまおう。
どれだけ恨みを買ってもいい。
夢が醒めれば、僕に害はない。
もしも現実でできるならば、
自分の中の幸せは満たせただろうな
『夢が醒める前に』
「これは夢だよ? だから、何も気にしないで」
そう言って笑うアイツが、どうしても哀しくて。
いつからだったか。俺の世界に”昼”がなくなったのは。
不治の病と言えば、寿命が縮まるものを想像しがちだが、俺の場合はちょっと違った。
俺が患ったのは、”昼に起きていられない病”だった。
……いや、笑うのも解る。けどこれがかなーり厄介なんだよなぁ。
昼ってのは朝も含まれてるからな、日が昇ると同時に強制睡眠状態になるわけで。
日没と共に起きる虚しさは、何とも言えねぇしな。
そんな俺の心内を見透かしたかのように、アイツは起きる度に俺の側にいるようになった。
ニコニコと、何でもないように笑って、いつものごとくはしゃぎまくって。
俺に怒鳴られて、見た目にも解るくらいしょげて、仕方ねぇなって許すまでがセットで。
ーーーでもさ、解ってんだよ。
アイツが、俺に合わせてることも。
その為にろくに寝てないことも。
なのに、会う度に言うんだよな。
「”夢が醒める前に”話したかったから」ってさ。
本当、お人好しにも程があんだろーが。
ーーーま、そんなアイツを突き放せない俺が、一番情けねぇんだけどな。
夢が醒める前に
冷たくなっていく祖父を見た日、漠然と抱いた感想。
「ああ、この人はもう、起きる時間なんだ」
どこかズレているかもしれない。起きる時間、だなんて、むしろ永遠の眠りについたところだというのに。それでも僕はそう感じたんだ。
僕らは今、長い長い夢の中にいる。笑いあり涙ありの長編小説の中に。そうしてその物語を終え夢から醒めるとき。それこそが、僕らの“死”なんじゃないかと。
だからあの日親族が揃って涙を流しているなか、僕は泣かなかった。ただ、祖父の目覚めを静かに見送っていた。
・・・
「先生!———は助かるんですか!?」
悲鳴が聞こえる。母が嘆く声が、医師の焦る声が聞こえる。うるさいのに、抗議する声は出ない。僕の体は何故か動かなかった。
ふいに、ふわりと身体が浮く感覚があった。直感的に悟る。『夢が醒めるんだ』と。
待って。僕はまだ、まだやりきれていないことがある。多すぎる。あれもこれも、まだ全部。
ああでも、どうしても目覚めなきゃいけないのなら。最後に、目の前にいる母に伝えたいことがある。それだけでいいから。
夢が、醒めてしまう前に。
夢が覚める前に、今何事もなく生きていることがどれだけ幸せな夢であるか、気づいておきたい。
あの人との出来事全てが醒めてしまう夢の中の出来事ならば、
その時は、誰か眠っている俺の心臓を一突きして殺してくださいませんか。
あの人が居る幸せな夢から醒めて、現実を見て絶望してしまう前に…
夢が覚める前に
ティータイムにしよう
そして君と幸せに暮らそう
噛みつきたい
まって
明日は来るかな
ぐるぐるする
夢が醒める前に
好きな人と楽しく、出掛けていた。
まだまだしゃべり足りない。
だけど、帰る時間になりそうだ。
今日思ったこと伝えなくては。。
伝えずに目が覚めてしまった。
現実に戻った、後悔しないために伝えに行く。
夢が醒める前に
幸せだった
夢の中では
そんなの、悲しい
でも現実も悲しい
夢の中で暮らしていたい
思い描く夢の中では自由
なんのしがらみもない
この夢が醒める前に、もう一度あなたに会いたい。
真実で構成された、
嘘偽りない、
私だけのあなたに――。
〜夢が醒める前に〜
夢が醒める前に
夢の中に行けば貴方に会える
現実では、会えない距離にいる貴方に
頬に触れて手を繋いで互いを抱きしめあって
言葉を交わして寄り添いあって
幸せな時を作る
夢が醒める時間が近づいてくる
もう少し、あともう少し
貴方のそばに居させて
夢が醒める前に
ああ、これは夢なんだ。
そう気づいてしまったら急にいろいろなことがどうでも良くなった。悩んだことも、頑張ったことも、苦しんだことも。起きてしまえば何のことはない、いやな夢だった、というありきたりな言葉と共に処理されてしまうのだろう。この男に苦しめられてきたことも、今私が抱いている感情も。
ならば、夢が醒める前にこれだけは済ませておかなければ。
私は手の中の包丁を、その存在を確かめるようにぎゅっと握り締めた。
「自分、もしかして迷子の子やな?」
高校一年生の春頃。
その辺りでこの幸せな夢を見始めた気がする。
所謂、一目惚れってやつだ。
「んはは、図星っぽいな。
この学校やけに広いし部屋数も多いもんな。わかるわ」
にぃっと笑う。
まるで芝犬のような無邪気な笑顔を向けられ、
私は危うく失神するところだった。
「どこ?職員室?」
と聞かれ、小さく頷くと
「そかそか。じゃあ俺が先輩として案内してやらんとな」
「えっと、ありがとう、ございます」
ようやく言葉を捻り出すことができた。
声は震えていたが怖いと言う感情はなかった。
「緊張しなくてええんやで?そんながちがちだと俺が恥ずかしなってまうわ」
と頭を掻きながら言う先輩は誰が見てもイケメンだった。
とりあえず行こか!と言われ2人で歩き出した。
そこからの会話は緊張しすぎて覚えていないが、
先輩が実家で飼っている芝犬がとても可愛いということは十分わかった。
「ここが職員室やで」
と教えてくれた時、
私が今まで息することを忘れていたくらい
先輩に見入っていた事に気づいた。
「あっ、本当助かりました、ありがとうございます」
と頭を下げるとあたふたした声が聞こえる。
「頭上げてや、そんな、当たり前のことしただけやし、!」
私は既に彼の虜になっていた。
それからと言うもの、毎日が楽しくて仕方がなかった。
同じ学年では無いし会うこともあまりなかったけど、
会う度に手を振ってくれたり、目があったら笑ってくれた。
正直告白しようか迷った。
でもなったばかりだし、手を振るのも笑ってくれるのも
他の人に普通にしてるかもしればいし…
…と永遠に出てくる色々な可能性があったので断念した。
ある日、私はサッカーのマネージャーをすることが決まった。
実際に部活へ行きサッカーの練習の様子を見せてもらうと、そこにはあの先輩がいたのだ。
私に気づいた先輩はサッカーの練習を辞めてこちらへ寄ってきた。
本当に輝いていた。
汗すらも漫画のエフェクトのようで、
より一層先輩を引き立たせていた。
「マネージャーか!よろしくな!」
生きていてよかったと思った。
あぁ、この夢が一生続いてほしい。
告白して、振られたら夢は醒めてしまうのだろうか。
それからの毎日どうなるんだろうか。
お題:夢が醒める前に 2023/03/20
追記(読まなくてもいいです)
:この2人は結ばれるのかな。
本当は先輩に彼女がいたって言う事にしても良かったかもなと思ってました。(バットエンド)
夢が醒める前に、醒めることは無い。
キミの手を握った後、もう引き戻せない所まで堕ちてきてしまった。
地獄だか、なんだか。これは悪い夢なのか。
でも確かに温もりは、てのなかにあるんだ。
夢が醒める前に
夢って嫌じゃないかい
自分がなりたいものになれて
自分がしたいことしてて
気になるあの人と
距離縮まってドキドキ乙女発動して
父親も母親も仲良く愛し合ってて
友達にも沢山可愛がられて
私はみんなに愛されて
すごく幸せに浸ってる
でも全部 理想なんだ
現実はもっと辛いでしょ
夢があると比較しちゃうじゃん
夢が醒がめる前に
そんなものは 私の中にはあらわれないで。
_ ₀₁
知らない人が私の手を取る。
暖かな温もりが実感を与え、やがてそれを介して人とのつながりを教えてくる。
あれ、この人、知ってる。
母だ。
彼女はおさげを揺らして、私の小さな手を包むように支えて、そこに飴玉を落とした。私の手をぎゅっと丸めて、その上から両手で押さえ込む。
「お兄ちゃんには内緒よ」
うん、と笑った。
私ではないけれど、私は笑った。
じわり、じわ、じゅわっ。
溢れたような音が胸から聞こえる。短い逢瀬が確かに私に愛を教えてくれた。
誰かの母から、誰かへの愛が、私にとっては眩くてたまらない。愛しい気持ちが誰かのものだろうと、私のものだろうと、変わりはない。
夢から醒めたらこの記憶も愛もなかったことになる。
なら一生醒めないままがいい。夢の中で死なないまま緩やかな情愛に溺れて生きていたい。
願って、願って、本物になる日が来ると信じて。
「起きろ」
静かな朝。布団の中の微睡。
叩き起こされたとしても、夢は続いていた。夢の中の夢は終わったけれど。
「私、仕事がありましたか」
「俺の朝食」
「ああ。当番でしたね」
彼は返事もせずに部屋を出て行った。存外優しいことを知ったので、私はそれが寝起きから身支度のための時間だと理解している。
「朝ご飯は白米と魚、それから……ええっと、みそ汁」
一緒に食べたら、なんだか家族みたいだ。同じ家の中にいるみんなって家族なんだろうか。
朧げな記憶を辿って飴玉を思い出す。
家族ってきっと美しくて、綺麗で、暖かくて、汚れのない情愛のことだ。まったく苦味のない、完全に透き通ってはないけれど、純粋で可愛い飴玉のような。そういう家族が良い。
なれたらいいな。みんなと、家族に。
そして、この夢の中の本物に。
夢が醒める前に
決して正気に戻ってはいけない。
この世界ではおかしいのも、狂うのも大歓迎さ。
でも、一つだけ忠告しておこう。決して正気には戻らないことだ。それはきっと君の身も心も滅ぼす。
だから、今日もおもしろおかしく、頭を狂わせて好き放題するんだ。正気に戻る前に、夢から醒める前になんかもう戻れないんだから。
夢が醒める前の心拍。
常温に引っ張られる熱湯のように安堵する。